勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
イレヴンにしがみつき、全速力のダイブブースターでマナの噴出口を遡り頂上に向かう。
「もっとだ!! もっと急げイレヴン……!! 俺の体は気にすんな!!」
「
振り落とされそうなほどの勢いだが一刻の猶予もない。さらに急ぐようイレヴンに檄を飛ばす。
俺の勘がまたしてもガンガン鳴っているのだ。
ノワールさんの命が繋げるか……かなり際どい。
誰も失いたくないのに、失われてしまいそうだと急に響き出しちまったのだ。
「もう、少し……ッ」
頂上付近になり、大穴から開けた空が見えてくる。
闇に一度染まった空の色が、マナの噴出が止まったことで徐々に青みを取り戻したようなそれが目に写り……そして、とうとう俺たちは噴火口から脱出した。
「────主殿!! ご無事でっ……!!」
「ロック=イーリーアウス! 生きていたか!!」
「心配かけてマジですんません!! 状況はっ!?」
頂上に戻れたところ、随分と涙で目を腫らしたサザンカさんが噴火口の淵ギリギリで俺を出迎えてくれて。
そして続く声、ヒルデガルドさんの叫ぶ方を見れば……そこには未だに目を開かず、しかしまだ恐らくは死んでいないノワールさんの巨体と、その傍で回復魔法を放つリンの姿が見えた。
「魔族どもは去った!! リンが瀕死のノワールを何とか蘇生させようと回復魔法をかけ続けているが残り魔力が厳しい……! 先程まで私もサザンカもリンに魔力を分け与えていたが……」
「やっぱそうか……! イレヴン!!」
「はい! エクスアームズ11『エクスキューショニング』、重ねて13『リジェネギガヒール』!!」
どうにも状況は芳しくないようだ。
やはりあのノワールさんの巨体を、崩れかけている体を回復させるには並大抵の回復魔法では追いつかないらしい。
リンも必死に魔法を放っているが……明らかに魔力切れを起こしかけている。サザンカさんも、同じドラゴニュートであるヒルデガルドさんも既に魔力を分け与えたとのことだが……それでも足りなかったようだ。
魔力回復薬も既に飲んでいたようでいくつか瓶が転がっているが、魔力回復薬は回復速度を高めるもの。急激な回復を望めるものではない。
急いでイレヴンがエクスアームズの出力を高めるエクスキューショニングを使ってから、先程スキル開放した強力な回復魔法を掛けるが……それでもまだ足りない。
俺の勘がそう察してしまっている。
今ここにいる二人の回復魔法だけでは、ノワールさんの命は繋げない。
「リン!!」
「ロック……!! おとーさんが、なおらないの……!! わたし、わたしたちだけじゃ、もう……っ」
リンに駆け寄り声をかけるも、返って来たのは涙声で。
リンにも分かってしまっているのだろう。ノワールさんの生還が絶望的な状況であると。
今はただ、死に向かう肉体を何とか繋ぎ止めているだけで。リンと、そしてイレヴンが回復に加わったが、どちらかが手を緩めるだけでその命が潰えてしまうような状況であると。
そして己の魔力も限界が近い。
詰んでいる。
折角会えた親と、碌な言葉も交わせず死に別れる運命がすぐ傍まで近づいていて。
─────だが、今ここに俺が来た。
ふざけんなよ。
親が子供の目の前で殺されていいわけねぇだろうが。
なんとしてもノワールさんを復活させてやる。
「リン!!」
「ふぇ!? ロック……!?」
リンの背後から、その小さな体を思いっきり掻き抱いた。
既にイレヴンには全力で俺の魔力をパスを通じて送り込んでいる。
そして魔力切れになりかけてるリンには───俺が魔力を分け与えてやる。
俺の魔力は底なしなんだ。その俺がここに間に合ったことでピースは揃ったんだ。
「最後まで諦めんな!! 俺はお前を肝心な時に諦めるような女に育てた覚えはねぇぞ!!」
「で、も……」
「俺の魔力も全部持ってけ!! 注ぐ先が魔装具じゃなけりゃ指輪だって邪魔しねぇだろ!! いっくらでも注ぎ込んでやるからお前は全力で回復魔法をかけ続けろ!! イレヴンもだ!!」
「っ……うん!! わかった!!」
「勿論です!! もう私は諦めない……!!」
俺の声に、回復魔法を掛けてる二人がやる気を取り戻して竜の巨体に光を生み続ける。
リンの体に密着させた俺の体からごっそりと魔力が持っていかれる。
前にシスターにリンがやっていた魔力譲渡を、今度は俺がリンにやってやるのだ。
リンも魔力の受け取り方はもう覚えている。ドラゴニュートの扱う魔法の出力に応じて凄まじい勢いで俺の魔力が消耗されて行くが……知るか!!
俺の魔力に限界はない!!
何故なら今めっちゃリンのデカパイを抱きしめているからだッ!! 性欲ッ!!!
「サザンカさん!!! 俺の性欲を満たすために何かしらエッチ供給大至急っ!!」
「何と申した主殿!?」
「ヒルデガルドさんもこれで無事にノワールさん助けられたら一晩しっぽりってことでどうっすか!!」
「この局面においてもお前は
とにかく今は性欲を満たすことが急務。
信じられないくらいアホな発言をしているのは自覚しているがマジもマジなのだ。
なにせリンが俺から吸い取る魔力量が尋常じゃない。これまでもイレヴンバイクや護りの指輪に魔力を注いだ経験があるが、そんな比じゃないくらいの勢いでごっそり持っていかれてる。
それだけリンが助けたいってことなんだろう。自分の産みの親を。
だったら俺はそれに応えねえとなぁ!!
この大仕事の後にご褒美エッチが待ってるとなれば俺は無限の力を手にすることができる!!
さぁ脱いでサザンカさん!! 俺にその110オーバーなどたぶんデカパイを捧げて!!
ヒルデガルドさんも今頑張ってる俺に一目惚れして!! 妹分のおっぱい揉みながらいう発言じゃないけど!!
いやほんっとに何度でも言うけど俺今全部マジだからね!! ノワールさんを助けたくてこんな話してるからね!?
「む、ぅ……
「殺し文句の五月雨ッ!!」
「強きものに惚れるが我が一族の血筋!! 今しがた主殿を護ることができなかった不甲斐なき配下なれど、望まれればいかようにも拙者の全てをお使いいただいて結構! 閨を求められれば心より尽くしまする! その、どんなにえっちな事でも、拙者はいやとは言いませぬ……!!」
「余りにも都合の良すぎる設定!!」
「初めてを捧げるならば主様しか考えられませぬ。安寧を取り戻した後、願わくば主殿の
そしたらまずサザンカさんがめちゃくちゃ告白してくれるぅ!!
えっ嘘。マジで言ってんの……? サザンカさんからもそんなに愛されてたの俺……!?
そんな……俺が求めればそのビッグなおっぱいもビッグなおしりもビッグなふともももビッグごっつぁんできるってこと!?
俺との子どもが欲しいデカパイがさらにもう一人!?
「…………ロック=イーリーアウス。私は男性経験がないわけではない……が、別に操を立てるような相手もいない。しかし体を許す相手は選ばせてもらっている」
「つまり俺はダメってこと!?」
「そそられるかと言われれば否だ……が。しかし王都の出立からこの瞬間に至るまでお前の言動は見て来た。軽薄と思われるような物言いの中に確かな芯と熱、そして力と意志がある。リンや他の女が見初める理由もわからなくもない……」
「焦らしプレイ!? 焦らしプレイなんすか!?」
「……魔王と相対し、魔族の将軍格や幹部複数に狙われたところを凌ぎ、己の死すら欺く材料にして奴らの裏をかける様な……そして今、手段はともかくノワールを助けるべく必死になっている様なお前は……好ましい。だからノワールを助けられてその後もお前が何とかできたならば、一晩だけなら好きにさせてやってもいい」
「言ったな!? 言質取りましたからね!?」
「私は約束を違えん。人類を裏切り私との約束を違えた不肖の姉とは違ってな」
そしてヒルデガルドさんも憮然とした表情を作りつつも童貞少年を焦らすような物言いで最終的には一晩OKを出してくれた。
こんなに贅沢なことがあるか!? 俺は今多分全人類でも初めてドラゴニュート
こりゃ何が何でもノワールさんを生き返らせねぇとなぁ!!
魔力タンク全人類代表選手ロック=イーリーアウス行きますッ!!
「マスター!! 今更口に出すのも極めて無粋ですがっ!! 愛していますよ、私も!!」
「わたしもだいすき!! だからロック、もっとちょうだい……!!」
「分かってらい!! いっくらでも持ってけこんちくしょーっ!!」
そしてイレヴンとリンにも改めて愛を叫ばれれば本気も本気よ!!
俺の煩悩を受け取れオラッ!! 性欲炸裂ーッ!!!
絶対に助けてやるからなノワールさん!!
「ぐっ、うい、ういぃぃっ……!?」
「マスターからの魔力が、これほど……っ!!」
溢れ出す魔力により、とうとう俺の体から闇の虹色の光が溢れ出す。
以前に護りの指輪にぶち込んだ濃密な魔力を、全身からリンへ、パスを通してイレヴンへ注ぎ込む。
それに応じて二人の体から放たれる回復魔法の光も極大になり、ノワールさんへ向けて希望の光として注がれて。
ホエール山脈の山頂にて、奇跡を起こさんと何色もの光が生まれて、そして。
『─────あ……ゴホッ、まさか……そんなことが……』
「おとうさんっ!!」
奇跡を────果たしてやった。
※ ※ ※
息絶える寸前だったノワールさんの口から言葉が零れてから数分。
大穴が開いていた竜の胴体は徐々に再生された肉で塞がって出血は止まり、小康状態は保たれたように見えた。
「疲れ」
「ロック、すごい!! すごくすごかった!!」
「流石ですね。マスターの底なしの性欲に感謝です」
「疲れェ……」
「絶対に無理だと思っていたが……いや、なるほどな。奇跡を起こせる男か、お前は」
「お疲れさまでした主殿」
『みゃあ!』
性欲という名の魔力を注ぎ込みまくって疲労困憊した俺は、サザンカさんに膝枕をされて横になっていた。
闇のマナの放出が止まったあたりで逃がしてたミャウも戻ってきて今は仰向けになってる俺の胸の上にいる。
なお俺の顔は今サザンカさんの胸と太ももの生み出す空間に挟まっている。すごいよここの空間の幸せ数値。
見る見るうちに俺の性欲が回復していく。バミューダトライアングル。
『……ロック=イーリーアウス。助けて下さってありがとうございました。従者であるイレヴンにも礼を……そして、リンにも。まさか闇のマナを扱う我が娘が、相反する属性の回復魔法まで覚えているとは……』
ノワールさんも、傍目に見る感じではすっかり回復しているように見える。
これで一先ず全員生き延びた……かな。とりあえず魔族が襲撃してくる前の状況まで戻せた、とは思う。
だけどいつ魔王や魔族どもが戻ってくるかわかったもんじゃないからな。急ぎここから離れる必要がありそうだ。
サザンカさんの下乳の重みを味わっていた顔をどたぷんっという効果音と共に持ち上げて身を起こす。
それで胸の上にいたミャウがころりと転がり落ちて『んみゃ!』と鳴いた。すまん。
「主殿! もう起き上がられても大丈夫で?」
「うん、とりあえず……急ぎここから離れないといけないでしょ。いつまた魔王が襲ってくるかわからないし……ノワールさんも飛べますか? 管理人がここから離れられるかは知らんけど今は一旦移動して……」
『いえ。それには及びません』
とりあえず移動しようとノワールさんにも提案したら、なぜかそこで首を横に振られた。
え、なんや。
奇跡的に生き延びたんだからとりま逃げましょ? その巨体で移動がバレるの危惧されてるならドラゴニュート形態に変身してもらってさ。
絶対デカパイドラゴンだから俺へのお礼も込みでさ。いいじゃん麓のバードマン温泉でしっぽりしましょうよ。デカパイハーレム風呂を堪能すれば俺も全回復するからさ。
なんて、一仕事終えた気分で呑気に声をかけたが、しかしノワールさんから帰って来た返事は全く予想外の答えだった。
『───私はもうすぐ命を失うでしょう。過剰な魔力供給で何とか肉体と魔力炉心は治癒してもらえても、僅かな寿命がさらに縮むことは避けられなかったようです』
「えっ!? おとうさん!?」
『そして───今、魔族の大軍勢が王都に侵攻しています。それも止めなければなりません』
「なんだってぇ……!?」
そんな答えが返ってきて、まだ修羅場は終わっていないことを察した。