勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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114 ロック家はエンゲル係数95%です

 

 ギルドを後にして、俺たちは王城に向かうことにした。

 流石に王城付近ともなれば道行く一般人も減ってきて俺らへの過度な声掛けも少なくなり、そこまで気配を消さずとも歩けるようになった。

 これで一つ問題は解決された……と思っていたのだが、しかしここで新たにもう一つ問題が発生してしまった。

 

「おなかが……へった……っ!!」

「腹の音ヤバい」

「雷鳴のような重低音が響いていますね」

『みゃ』

 

 リンの腹が空腹を訴え過ぎなのである。

 既に第一審を終えて控訴を迎えそうなほどの腹の音が周囲に鳴り響く。

 孤児院でのんびりしてギルドでほぼ午前中を終えたから、今は既に13時に近い。

 確かに昼飯には少し遅いが……それでこんなになる? これが人の腹からする音か?

 いやリンは人間じゃないんだけど。ドラゴンなんだけど。

 

 親ドラゴンであるノワールさんは五体無事だった時にあんまり長くお会いしてたわけじゃないけど……別に空腹音とかひどくなかったよな?

 ホエール山脈の頂上だと殆ど食料とかないだろうし。リンだけ特別なのか? マナを吸ってれば腹が満ちるのか?

 じゃあ俺が魔力を分け与えればいいのだろうか。いやしかしヒルデガルドさんも健啖家だったし……ドラゴニュート形態特有のモノなんかな。わからん。

 

「まぁ王城に行けばなんか美味いもんタダで食べさせてくれるやろ。もう少しの我慢だぞリン!」

「がまん……!!」

『みゃあ!』

「平然と王城に飯をタカりに行こうとするの凄い度胸ですねマスター」

「まぁ……昨日の活躍を鑑みれば食事くらいは許されようぞ。アンドレ殿やアンナ殿からもリン殿は可愛がられており申したし、王城には普段ヒルデガルド殿も顔を出しておられるのでござろう?」

 

 王城に行く途中にどこか食事処に入って昼飯済ましてから行くのも考えたのだが、急いで向かった方がいいというウォーレンさんの言もあったし、何より俺たちは昨日の戦争の功労者である。

 メシくらいはお願いすれば出してもらえるやろ! という雑な考えでそのまま王城に向かうことにしたのだ。

 いやマジでリンの食事代で俺の財布の95%くらいの出費になってるからね。孤児院への寄付は除くとして。

 エンゲル係数95%だよ? 装備とか他のモノ殆ど買ってないってのもあるんだけどさ。

 だからこそ気兼ねなくタカれる相手にはタカるのだ。ノインさんのほか、アンドレ様やアンナ様とか捕まえられればあの人たちなら笑顔でご飯を振舞ってもらえるはず。

 それくらいには関係も出来てるし恩も売れてる……はず!

 

「ってなわけで見えてきました王城正門」

『みゃ』

「ごはん……!!」

 

 周囲にゴロゴロとリンのお腹の音を響かせながらやってきた王城前。

 正門の前にいつもいる門番の騎士のお二人が今日も直立不動であった。いつもお疲れ様ですわ。

 二人のうち、こないだ好意的に声をかけて来てくれた女騎士さんの気配を甲冑の下から判断して、気安く挨拶する。

 

「どもー! お仕事お疲れさんです!」

「はっ、お疲れ様です!! ロック様とお連れの皆さまですね!! 昨日は大変なご活躍でございました!! かの災厄たる戦場で皆さま方のご活躍により騎士団らの命を救われまして、僭越ながらこの場で感謝を申しあげさせてくださいッ!!」

「おねーさんも無事で何よりっすわ! まぁ活躍したの後ろの3人ですし生き返らせたのはノルン様すけどね。で、えっと……王様が俺らの事呼んでるって聞いてきたんですけど」

「承っております! すぐに案内の者、を……」

 

 向こうも俺の顔を見つけてぴこんと甲冑を揺らして元気に挨拶を返してくれた。

 昨日の戦争にこの人も参加してたんだって。そりゃそうやな。正門を護る様な騎士となれば階級が低いって事もないだろうし。

 あれだけの戦争だ、戦える騎士は魔装具無しでも前線の支援に向かったことだろう。甲冑の下のお顔は見れてないけど推定美人な女騎士が無事で俺も何よりである。

 そんな彼女に用件を伝えて以前のように案内をしてもらおうと思ったところで、しかし。

 

「ごはん……ッ!!!」

『みゃ』

「…………お食事の方を先に御準備差し上げたほうがよろしそうですね!!」

「ギルドから急いで来たんでェ……ご準備していただけると助かってェ……」

「王都を救ったドラゴンと救世主の姿ですか? これが……」

「どこまでも主殿とリン殿らしいというか」

 

 世界唯一のブラックドラゴンの腹の音が地割れのように鳴り響き、会話を遮った。

 リンを見ればよだれもドッパドパに滴り落ちている。服に落とさないようにしような。淑女たれ。シスターとノワールさんが泣くぞ。

 そしてそんな様子のリンを見て、騎士のおねーさんもこりゃ緊急事態だと大変に気遣った配慮を頂けてしまった。優秀だわこの人。

 

「おい、伝令だ! ディストール王とウィリアム王子へロック様が参られたことのご報告と、あわせて大至急食事の準備をなさるように伝えよ! リン様が空腹であられるとな!!」

「はッ!」

「気楽にごはん食べさせてもらえるかなーと思ってたのになんか大ごとになって来た」

「マスターは見通しが甘い」

『みゃ!』

 

 女騎士さんのほうがもう一人の門番兵士(男性)に指示を出し、ダッシュで伝令に行く姿を見送りつつ、俺たちは食事の準備を待つことになった。

 フードからミャウを取り出してリンに捧げてモフってもらって空腹を紛らわしてもらいつつ、門番のおねーさんと昨日の戦争の話どうだったのかなんてちょろりと聞いたりして時間を潰すことにした。

 

「昨日の一件は本当に青天の霹靂でございました……我ら門番も含め、戦えるものは全て前線へ。そうでもしないとあの津波のような魔族の群れは押し留められなかったでしょう。絶望的な戦であることはその場にいた皆が理解していました。それほどの大軍に急に攻め込まれていて……」

「ほえー。俺らは途中から参戦でしたけど……そん時でもやべー数いるなってなってたけど。やっぱ大変だったんでしょうねぇ」

「それはもう。遠目にも地平線が全て埋まるほどの魔族が確認できてしまいましたからね。身震いを隠すのも一苦労でございました。それでも、最前線を努めるカトル様とティオ様が……お二人の炎と水の爆発が煌くのを見て、皆の心が折れぬように繋いでくれていたのです」

「おー、あいつらやるじゃん。最前線で頑張ってたーとは本人から聞いたけど……」

「ロック様ら御一行にも負けぬご活躍でございましたよ。あのお二人が希望を絶やさずに堪え続けてくれたから戦線が維持できたのだと私は思っています。そして闇が広がった後に、リン様が……黒い竜がこちらに闇を引き裂きながら向かってくる姿を見た時には、私は恥ずかしながらへたりこんでしまいました。その時は敵か味方かわからなかったもので」

「そりゃそうっすよねー……んー。…………もしかして想像以上にみんな苦戦してて、想像以上に俺ら英雄みたいな感じだった……?」

「それは論ずるまでもございません!! あの絶望の闇を晴らしてくださった救国の英雄! 我ら騎士団にはロック様やリン様、イレヴン様、サザンカ様を悪く言う輩はおりません!!」

「……実際に戦争に参加した人から話を聞くと熱量が違いますね」

「拙者らも薄氷の綱渡りを繰り返した上での参戦でござったからなぁ……本当に、主殿がいなければこの一連の戦はどうなっていたことか」

「ごはん……ごはん……」

『ふみゃ……』

 

 がっしりリンに捕まれてよだれがだらだら頭に垂れてへにょるミャウという捕食者と被捕食者の危うい光景に冷や汗流しつつ、おねーさんから実際に戦争に行った一般兵士の熱のある話を聞けた。

 最前線にいたカトルやティオ、アルトさんたちは逆に必死に戦ってたって感想しかなくて、俯瞰した視点での絶望感とかそういう所は聞けなかったからな。

 聞けば聞くほどヤバい状況だったという事が分かって、ホントに色々間に合ってよかったわって言う安堵と、同時に俺らの評価ヤバくなってない?? という恐縮も生まれてしまって。

 いや……もちろんリンやイレヴン、サザンカさんは頑張ってくれてたんだけどね? 俺がね??

 ぶっちゃけ死線をくぐったのはホエール山脈の一瞬だけだし、あの時だって俺自身にダメージが入ったとかそういう話でもなくて……なんか俺だけ別に辛い思いしてなくてなんかごめんね!? ってなってる。

 あんまり自分を卑下しすぎてもアレだってのは今朝イレヴンにも言われたから口にはしないけどさ。本当に頭が下がる思いだわ。

 

「───準備が出来ました! まずはお食事とのことで、食堂へご案内いたします!」

「ごはん!!!」

『みゃぅ……』

「ん、助かります! そんじゃおねーさんも色々お話あざっした! お仕事頑張ってくださいね!」

「っ……はい! 有難うございます!! ロック様もお元気で! 心より応援しております!!」

 

 そうして10分ほどで準備してもらえたということで、案内の兵士について行って門番のおねーさんと別れることに。

 色々お話なども聞かせてもらったのでお礼がてら声をかけたらなんか嬉しそうな声が返って来た。やだこの人なんだか可愛いわ!

 後でフルフェイスの兜外してお話してみたい所さんです。デカパイだといいな。

 

「…………いえ、まぁいいか」

「英雄視されれば今後もあることでござりましょうな……相手に悪意がなければ目こぼししましょうぞ、イレヴン殿」

 

 なんか俺の女二人が俺の耳にも届かないほどの小声でなんかひそひそ囁き合ってた。

 身長高い美人二人の耳打ちってエロいよね。デカパイ百合の可能性あると思います。

 

 

※    ※    ※

 

 

 さて、そうして王城に迎えられて兵士についていくと、以前通された大広間じゃない別の部屋に連れてこられた。

 途中から料理の匂いが漂ってきたのでリンの尻尾がぶるんぶるん揺れていた。床の絨毯傷つけんなよなお前。

 

「こちらでございます」

「ごはん!!!」

「案内どもです。んじゃおっじゃまー」

 

 案内してくれた兵士さんにお礼を言って、今にも扉をぶち破りかねないリンを制止しながら扉を開ける。

 すると中には満漢全席かと言わんばかりの色とりどりの料理が無限に並んでた。10分でこれ作ったんか? サザンカさん並みの腕前のシェフがいっぱいいそう。

 そして広がる円形のテーブルに、見覚えのある数名が座っていた。

 

「うむ!! 来たなロックよ!!」

「おっひー!! 元気そーじゃーん!! 昨日はマジ感謝感激雨霰(あめあられ)ちゃんなーロクちんなー!! リンちゃんもみんなもどんどんメシ食べちってってなー!!」

「おお。アンドレ様にアンナ様じゃないすか! すんませんゴチになります!」

「ごはん!!!!!!」

 

 先日のグランガッチ事変で仲が深まった王族の二人、アンドレ様とアンナ様だ。

 ある程度予想は出来ていた面子だ。ノインさんも来てくれるかなと思ったが何故か今は姿がない。まぁいずれ会えるやろ。

 そしてテーブルに並べられてる料理に飛び込んでいくリン。サザンカさんが暴走しすぎないように止めてくれるの有難いな。ノワールさんの代わりのママ役助かります。

 

 さて、俺らもテーブルについて用意された料理を有難くいただくことに。

 王城で出される料理を食べるなんてそうそう経験しない事やろな。贅沢な雰囲気がある。

 手をついてお辞儀して早速いただきます!

 

「ん……まっ! 美味いっすねコレ! サザンカさんの料理には及ばないけど流石王城メシなだけあるわ! んまっ!」

「主殿、こういう時は別に比較していただかなくとも……いえ、拙者の料理が舌にあっているのは嬉しい限りにござるが」

「ガハハハ!! 確かに野営で頂いたサザンカ殿の料理はまさしく絶品であったからな!! 素直な感想でいいぞ!! それでこそロックだ!!」

「うまい!! うまーい!! おかわり!!! 5ばいくらいもってきて!!!」

「リンがまるでブラックホールの如く料理を空にしていく」

「ヒルデの姐さんもよく食べるけどリンちゃんそれ以上なー? どこに入ってんだーやっぱいっぱいおっぱいなんかー?」

『みゃ! みゃみゃ!』

 

 うん! 美味! サザンカさんの料理には及ばないけど美味っ!!

 最近なんかこう……美味いもん食べ過ぎじゃない? ってちょっと危惧するところあるくらいに美味しいもん食わせてもらってんな俺な。

 もちろん俺が一番好きなのはシスターが作ってくれるシチューの味ではあるのだが、しかし毎日のようにこんな旨い食事ばかり食べていると街の食事処とかで食べた時が若干の不安があるわ。

 まぁリンは味より量を求めてるところがあるからそこまで問題にはならんか。街の料理屋でも全然満足する貧乏舌だしな俺もな。

 リンの無茶なおかわり依頼にも笑顔で迅速に応える給仕の人たち。プロやな────────。

 

 そうして食事もそれぞれのペースで進めていき、王族の二人も一緒に食べ始めたところで、色々と話も進んでいった。

 

「ロックに他の皆も、昨日は本当に奮迅たる働きをしてくれたな! この後に親父殿……国王から直々に恩賞と感謝の言葉があるので準備しておいてほしい!!」

「ん、了解っす。つってもなんかこう……厳かな感じでやるのはちょっと恐縮しちゃってェ……」

「安心しろなー、その辺あーしらも理解(りか)ってっかんなー! 略式で軽くちゃっちゃと済ませてやれなーって伝えたった! すぐ終わっかんなー!」

「超助かるぅ! 昨日の活躍は俺以外のみんなが頑張った結果でもありますし……あんまり俺個人への報酬とかそういうのは控えめでもよくてェ……」

「そう遠慮するな、活躍した者に報酬を出せねば王の名も廃るというものだ!! …………ところでだな、ロックよ」

「ん、何すかアンドレ様」

 

 このお二人とも関係を作れていたので、話は円満に進んでいく。

 アンナ様の理解度が高くて助かる。イレヴンやサザンカさんはともかく俺はホントにただの小市民なんで、こう、イメージするような大聖堂で王に下賜されて……なんてのはちょっとゴメン被る所だったので! 正装は準備してるけどあれ肩凝るし! 着るけど!

 人妻じゃなければこの勢いで口説き落としたいくらいの親愛度稼げてるなぁとかどうでもいい事も考えつつ、話の流れで報酬の件になったところでアンドレ様がなんからしくない雰囲気で俺に話を切り出してくる。

 

「報酬は……お主が一番求める物にしようと考えているのだ。お主は我ら王族に何を最も求める?」

「おいこらアンドレー? そこはパッパとも話しただろー? ロクちんの自由意思に任せるって……」

「や、いや姉上……先に聞いておいた方が間違いがないではないか! 念のためだ、念のために……な?」

「えっ何? なんかあるんスか?」

「いや何もない!! 何もないが……一応聞かせておいてくれ!! 無論、何と言われようと報酬は必ず準備する手はずだ!! 遠慮なく言ってみるといい!!!」

 

 聞けば、先に俺が求める物を聞いておきたいとのことで。

 なんかアンナ様が怪訝な顔でアンドレ様を窘めるが……いや、でも別に俺そんな無茶な事言うつもりはなかったしな。

 ちょうどいいや。つい先ほどシスターとティオに話した件をここで打診しておこう。

 

「えっと……じゃあ、必ず王様にお願いしたいと思ってたことがあったんですよね」

「おお!! やはりか!! すなわちそれは!?」

「アンドレ様圧つっよ。つってもまぁ……アンドレ様も聞いてた話ですけど。ほら、例の───」

「例の!?」

「────エルフの件っす」

「うむ!! ……うむ!?」

「グランガッチでカリーナから聞き出した、エルフが昔魔族に操られて人類に敵対してたって話っす。ようはエルフの迫害の歴史ってあれ完全に冤罪じゃないスか」

「んん!?!?」

「あれを是正してほしいんですよ。出来る限り大至急で。かわいそうじゃないですか……デカパイエルフたちがずっと無実の罪で差別されてたなんて。それを王様からの言葉で、全国民に是正を促してほしいんですよね」

「な……んとっ!! そ、それは駄目だロック!! その願いはいかんぞ!!!」

「えっ」

 

 そうして信頼できるアンドレ様に相談してみたら、なんといきなりダメ出しがなされた。

 えっなんで。別に俺そんな、私欲にまみれた願いとかそういう話してないっすよね?

 自分で言うのもなんだけど結構立派な願いじゃない? まさかNGが出されるとは。

 

「それは……既に俺の方で親父殿に打診している話だ!! カリーナから話を聞いた時点で経過は既に国王に報告をしているし、歴史の是正もいずれとは思っていた!!」

「あ、なるほど。アンドレ様の方でもう話進めててくれたんすね?」

「うむ!!! この件はそもそも、かつての王族が裏切りの経過を詳しく調査せずに誤解の種を残したままだったことが大きな原因!! 王家の汚点とも言えよう!! 故に、これを解決し今は亡きエルフらに謝罪をするのは我ら王族の務めである!! 無論の事、戦友たるロックより大至急という希望も受けたので、俺の方から早急に話を進めるように通しておこう!! 確かにグランガッチの件があった今だからこそ、王都の民に真実を伝えるにはいいタイミングであるしな!!」

「おお……」

「だからロックよ、その願いは親父殿には言わなくていいぞ!! 俺の方でなんとかするからな!!!」

「謎の圧を感じますが……まぁ了解す。アンドレ様にその辺任せますね」

「うむ!! だから親父殿に願う報酬は他の、もっとロックらしい願いにするといいぞ!!!」

「アッハイ」

 

 しかしその後の話を聞けば、アンドレ様がその辺を既に王様に伝えてくれていたとのことで。

 王族もこの件はちゃんと重く見てくれてるみたいだな……アンドレ様からも俺に任せろと言われてしまえば、俺からさらに急かすってのも変な話だ。

 大至急やってくれるって話だし、じゃあこの件はアンドレ様に任せるか。アンナ様もこの件聞いてくれたから、もし是正の件が遅れたらアンナ様にチクれるしな。

 

「……っぶねー、マジぶねー……アンドレよく聞いたわ―マジで。どうするー? もうちょっと念おしとくかー?」

「む、ぅ……いや姉上、まずは一つ懸念を潰せてよかったが、しかしこれ以上深堀して出てこなかったら色々と悲しくなる……もう後はロックに任せるか……?」

「いうてよー……ロクちん無類の女好きだと思ってたけど割と真面目な部分ありよりじゃん……?? そりゃ周りの子達も惚れるわなーこれなー……」

「ぬぅぅ……しかしこれ以上こちらから歩み寄ってしまっては王族のしきたりが……」

 

 しかしそこでなんかアンドレ様とアンナ様の二人が隣り合う席で小声でぼそぼそと耳打ちしている。

 いや聞こえてるんですけどね?

 

「すみませんシーフで耳がいいんで聞こえてます……えっと、何? ホントになんか俺やっちゃいました??」

「む!! スマン、聞かなかったことにしてくれ!! 先程のエルフの歴史の件は間違いなく俺に任せてもらって構わないからな!!」

「そだなー!! もうここまで来たらロクちんの運命力信じてるわー!! パッパの前で好きな事お願いしてくれなー!!」

 

 どうにもお二人は俺が願う事に謎の懸念があるみたいだ。

 いやまぁ……そりゃさ? エルフの件がもう心配ないってなったら次に俺が願う事はノインさんを俺にくださいなんだけどさ。

 ついでにまだ結婚してない第六王女のマリア様と第八王女のセルフィ様も俺にくださいってお願いするまでが俺が出来るMAXのお願いなんだけどさ。王女の名前だけはバッチリ覚えてる。王族みんなデカパイ美人だろうし。

 つってもまぁ、流石にそんなの王様の前では言えないしね。その辺はわきまえてますよ大丈夫。

 

 ってか、そういえばノインさんだよ。

 第九王女ノルン様……俺と一番親しい王族であることは間違いないだろう。その人がこの食事会に出て来ていないのはなんか違和感を感じる。

 もしかして図書館で俺を待ってくれてたりするのかな? でも流石に戦争の翌日で王族がお忍びでも図書館にはいかないよな……??

 

「その、ところでノインさんってどうしたんです? 昨日の戦争でも最後すごい活躍して……もしかしてあの蘇生魔法で疲れて休んでたり? そうしたら見舞いとかしたいんですが……」

「「……!!」」

「えっ何その顔」

 

 なんで心配してノインさんどしたん? って聞いたらアンドレ様もアンナ様もなんか変な顔して俺の方見て、そして顔を見合わせてこれだ! って感じの顔してた。

 なんなん??

 

「う、む……ノルンはな、少々……いや、今は言うべきではないか」

「そだなー……うん、あーしらの口からは話せねーわ。悪いロクちん、ノルっちの事は……」

「え!? 何スか何かあったんすかノインさんに!?」

「いや……うむ、スマンがそろそろ謁見の時間だな」

「リンちゃん、そろそろ食べ終わったかー? お腹いっぱいかー? そろそろゴチっさまでよきよき??」

「よきよき!! たいへんびみでした!! ごちっさま!!」

「食後の挨拶はちゃんとしましょうねリン」

「む! ごちそうさまでした!!」

「うむ。では俺が王の元へ案内しよう」

「なんか唐突に急かしてきてません??」

「ロック……全ては親父殿から聞いてくれ」

「なんで」

 

 そうして何故か急かされるままに食事会は終わってしまい、俺は正装に着替えさせられて王の待つ広間に向かうのだった。

 なにがどうしたの!? ノインさんに何があったのぉ!?

 

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