勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
「────では改めて、これからについて話をしたい」
「うぃっす」
その後、落ち着いてから俺たちは別室、広い会議室のようなところに移動した。
ディストール王とほか王族であり今は俺の義理の兄姉になった数名が長机の向こう側に座り、俺の左右にイレヴンとノインさんとサザンカさんとリンが座る形になり、これからの王族側で考える魔族対策について打ち合わせる事となった。
ちなみに、俺への報酬は先ほどあったようにノインさんだったが、他3名、イレヴンとサザンカさんとリンへの報酬について。
熱烈なキスが終わり落ち着いた後にディストール王からそれぞれ話を振られたのだが、しかしみんなの答えはおおよそ同じであった。
『欲しい物はもうロックから貰っている。だからこそ、ロックが困らないように今後も万全の支援をお願いしたい』
みんな一様に、金品や装備による報酬は求めていないと伝え、俺が今後困らないように国の方で支援してほしい、と王に申し出てくれたのだ。
それ聞いた時に嬉しかったり申し訳なかったり感動したりで号泣しちまったところあるよね。
なんでみんなこんなに俺に優しいんだ……!!
命を助けられてるのはいつもこっちやぞ!! 無限に頭上がりませんわよ!?
でもまぁ考えてみれば、今んところ家計を共にしてるわけだからお金は俺が貰ってみんなに渡せばいいし、装備についてもイレヴンとリンは不要で、サザンカさんも今の装備が考えうる世界最高の装備だからこれを超える装備を準備するってのも出来ないだろう。
他に何か都合をつけるという話でも特に王族に今急いで求める物はないから、いつでも俺が王族におねだりできるようにした方が色々と動きやすいのは間違いない。
有難い話ですね。これで俺はリンの食費を気にする必要はなくなったわけだ。
贅沢舌にならない程度に美味しいものを食べさせてやりましょうね。
「話さねばならぬ内容が多すぎるからな。一先ずは現状の報告と今後の確認をしよう……いいかな、ロックくん」
「あ、はい。……えーと……」
「ウィリアム兄様ですよ~ロックくん。第一王子で、私達の長兄になります~」
「なるほど。そういや戦場でお顔見たかも……よろしくお願いしますウィリアム様」
「王族の長兄の顔と名前くらい覚えておきましょうよマスター」
「ハハハ……これからは義理の兄弟になるな。よろしく頼むよロックくん。では改めて……」
そうして今後の打ち合わせが始まり、ディストール王の隣に座ってる若々しいイケメンが会議の進行を始めてくれた。
お顔は見たことあるけど名前知らなかったので首捻ってたら隣に座るノインさんが教えてくれて、俺も顔と名前を一致させる。ウィリアム様ね。長兄ね。OKOK。
イレヴンが突っ込んでくるけど王都民でも普通に知らない人多いと思うよ王族の顔と名前なんて。いや俺が興味なさ過ぎ問題だったのはその通りなんだけど。
なんてったって9人いるからなぁ……これまででアンナ様、アンドレ様、ノインさんを知ってて、今日ウィリアム様を覚えられたけど。残り5人も早く覚えないと。
この会議が終わったらみんなと改めて挨拶して自己紹介の場を設けてもらうか。ウィリアム様も言ってくれたけど義理の兄さん姉さんになるんだからな。
……なんで俺王族の皆さまの義理の弟になってんだろうな??
「まず、昨日の戦争の結果とその後の動きについてだ。かなり長話になるのでよく聞いてほしい」
「了解っす。イレヴンが覚えてくれるので大丈夫です」
「確かに聞き漏らすつもりはありませんが覚える努力をしろよマスターも」
「ンーンン」
「まぁ……ある意味適材適所ではござらぬか。頭脳担当はイレヴン殿が適任でござる」
「わたしもおぼえるのはあきらめるのでイレヴンにまかせる!」
『みゃ!』
「このゆるいノリがいかにもロックくんたちですね~。好き~……」
「ふ……心に余裕を持ち、柔軟な思考を常とする。これが君たちの強さの秘訣かな?」
さてそれじゃあ長話になるという、戦後の処理の動きについて。
全部聞いても覚えられる自信ないから覚えるのはイレヴンに、知識面ではノインさんに任せよう。俺の女たちがこんなにも優秀。
「では──────」
その後、ウィリアム様が長々と話した内容をイレヴンにかみ砕いて説明してもらって俺の脳内で理解した内容は以下の通りだ。
(1)戦争について
・襲撃は無事に死亡者ゼロでしのぎ切れたが、殺し切れず戦場から逃げ出した魔族が存在することが確認された。
・王都から離れたところにある村や町にはまだ闇の魔素が溜まってるところもあり、大至急被害を抑えなければいけないので魔族残党の討伐が喫緊の課題。
・既にヒルデガルドさんは魔族残党の捜索調査、討伐に飛び回っているとのこと。
(2)魔王の討伐について
・魔王軍本隊、魔王と残る将軍格と幹部とかは多分ホエール山脈の向こう側の魔族領に存在している。
・いずれは討伐隊を組みたいが魔族領の詳細が不明で現状はうかつに動けない。魔族残党狩りが落ち着いたらリンの力も借りて徐々に魔族領を調査、侵攻を開始して魔王を討伐したい。
・闇のマナの生成が停止している以上、時間をかければかけるだけ魔族が闇のマナを消費するから有利になる見込み。
・けど俺のギルドカードがどれだけ詰まっていられるかも不明なのでそちらも併せて調査したい。
(3)俺らの扱いについて
・俺は冒険者という枠組みではなくなったが、今後特段王城にずっといてもらって24時間完全警護とかは考えてないと。自由にしてもらっていいと。
・国として行う支援は、今後は王族最強の戦力であるノインさんが護衛として常に身辺を護るほか、金銭的、制度的な支援はいつでもいくらでも王族から行うと保証してもらえた。
・俺の勘が常軌を逸する有用な武器であることはノインさん、ルドルフさん、アンドレ様とアンナ様、ヒルデガルドさんに聞いて王族も把握しているのでアテにしている。
・なので出来る限りフリーに動いてもらった方がよいだろうと。ある意味では魔族の動きを誘う餌として、好きなように動いてほしいと。
・自宅も特に変わらず。王城で生活とかしなくてもよいと。ノインさんが俺んちに王城と闘技場を繋ぐ転移陣を組んでくれるらしい。自分の自宅扱いになれば設置できるんだって。流石ですノインさん。
(4)今後について
・好きに動いてよいとは言ったが、もし今すぐ動かなきゃって用事がなければレベリングに協力してほしいと。
・俺を除く今回のホエール山脈から帰還したパーティのレベルが200の上限を超えてる? ようで、ノインさんでもその状態には至ってなかった。
・そんな俺たち相手に模擬戦すればさらに王都の戦力を強化することができる。
・とのことで、見込みのある冒険者に声をかけるようにギルドに話してあるから、時間のある時にお願いね、と。
・これにはみんなも快く了承。闘技場を訓練場として使うようになって、明日以降にヴァリスタさんやカトル、メルセデスさんやティオらケンタウリスのみんなと訓練する予定になった。
・魔族残党で強敵がいたり、魔王関係の新たな情報が入ればそちらに動く。超高速で飛べるリンがいる以上、俺らが一番速く世界を飛び回れる存在なので必要なときに派遣できるようにしたい。
(5)その他もろもろ 質疑応答
・エルフの歴史の是正について
→うむ!! ロックよ、それは俺の方で必ず、明日には!! 親父殿より全都民へ通知するように働きかけよう!! 戦争の結果と経過の報告と共に周知を行う!!
・グランガッチで捕まえてたカリーナどうなりました?
→今回の襲撃についての情報は持ってなかった。今も隷属の首輪をつけて王城地下の牢にいる。自白魔法に慣れて来たのか中々喋らないのだ。
・じゃあ俺がまたくすぐってみましょうか?
→機会があればやってみてほしい。
・じゃあ今すぐ全身もみほぐしてきてやりますかねェウヘヘのヘ!!
→両手両足に花の状態なのに少し落ち着けエロマスター。
・ノインさんお住まいとかどうします? 俺とその……結婚したってことになったけど……。
→ロックくんのおうちにお泊りですね~。もう私はロックくんのものですから~……好きにしていいんですよ? 昼も、夜も、いつでも♡
・ヴッ
→主殿の心臓が止まっておられる。
→ロックはへたれ……。
・その他色々、ホントに色々
→とりあえずその場のノリと勢いで何とかしたろ!!!
「──────これで大体話すべき内容は話し終えたかな?」
「ですかねぇ。こんなに真面目に長話したの人生で初めてですよ」
「真面目にしてたの最初の10分くらいでしたよねマスター」
「途中からだいぶ遠くを眺めており申したな」
「ねむい」
『ふみゃむにゃ……』
「ここ数日枯渇していたロックくん成分が補給出来て助かります~」
うん。
ホントにクッソ話が長くなって!! 午後いっぱい続いた会議の内容をすっきりまとめた俺をむしろ褒めてほしいところありまぁす!!(涙)
そりゃあ全部が全部真面目な話で王都の未来とか人類の未来がかかった話でもあるし。
俺らがその中でも重要な存在になっちまってるところは理解しているつもりではあるんだけれどさ。
それはそれとしてこの状況を俺が求めていたかって言ったら絶対にNOだよね!! ハーレムだけならいくらでもウェルカムだけど!!
なんで魔王及び魔王軍に命を狙われててさらに俺が死んだら人類が滅びるレベルの存在になってんだろうね!?
しかしこのまま魔族に命を狙われていては気兼ねなくこの俺のまわりに存在するデカパイ×8を堪能することもできない。
不意にバアルみたいなムキムキマッチョが襲撃して来たらと考えると夜も眠れなくなっちまう。魔王ダブレスちゃんとかデカパイドラゴニュート3姉妹とかヴィネアならまぁ許すが…………ん? あれ?? バアルさえ殺せばあとは魔族に狙われてもボーナスステージかもしかして???
いやまぁそれでも俺の大切な人が狙われたりやられたりしたら余りにも悲しいしな。とっとと魔王を堕として世界に平和を取り戻してからいっぱいデカパイハーレムを堪能しよう。それがいい。
というわけで思考をさらっと切り替えました。
俺は常に前向きだ!! 怯えろ魔族!!!
「じゃあとりま……明日から俺らは冒険者のレベリング修行に付き合うのを主として、魔族残党狩りで手助けが必要とかカリーナの件とか、何かしら俺らの力が必要な事があれば王族から連絡が入るのでそれで動く。落ち着いて調査が終わったら魔王討伐部隊が編制されて、それで魔王を倒しに行く……って感じでいいんですよね」
「ああ、おおよそは違えていないな。また個別に相談などがあればルドルフを通じて君たちに伝えよう」
「了解っす……ってか、ルドルフさんはそうか、ノインさんの付き人で……でも今回俺の元にノインさんが来たから……あれ、ルドルフさんのお仕事ってどうなるんですか? もしかしてルドルフさんもついてくる感じ?」
俺の方で今後の動きについてウィリアム様に最終確認を取ったところで、しかしそういえばノインさんが我が家に来るということでルドルフさんどうなるんだ? と疑問を口にする。
いつもはノインさんの後ろに控えているルドルフさんだが、俺の隣にノインさんが来てからは王族の皆さまから3歩後ろに立って控えるようになっている。
もしかして俺んちにまでついてくるのかなこの老執事。
いやそれはちょっと……大変申し訳ないけどすごくノーサンクスですわよ??
「ほっほっほ。まさかまさか……姫様とロック様の愛の巣にお邪魔するような野暮な真似は致しませぬよ」
「そっすか。安心……っていうのもアレだけど。え、じゃあルドルフさん今後どうなっちまうんスか? その、シスターがお世話になった人とも聞いてるし……俺の都合で失職とかになったら申し訳ないの塊でェ……」
「ご安心ください。ロック様のご自宅のお隣に居を構えましてそこでロック様のお宅の警備、日常生活面での支援、および王族との連絡役を担うよう王より命をうけてございます」
「マジすか助かる。え、でも俺んちの隣って何もない空き地ですけど……?」
「最上位の建築スキルを所有していますので何の問題もありませんな。実を言うとつい先程すでに新居を建てさせていただいております」
「仕事早」
「ルドルフは何でもできますからね~。私も建築スキルは持ってるのでロックくんのおうちにお邪魔したら私の部屋を拡張増築させていただきますね~」
「多芸すぎるこの二人」
ひとまず俺んちにルドルフさんが同居するようなことはないようで一安心。
俺んちの隣で見張ってくれて警護とかしてくれるんだって。なんて頼れるんだ。
俺の中でルドルフさんが雑に何でもできるおじさんになってるからな。俺のまわり何でもできる人多くて助かる。
じゃあこれで王城でのお話も終わりかね。
時間を見ればもう夕方に近い。お昼過ぎに王城について、そこから食事もあって2時から始まったこの王族との打ち合わせだけど本当に長い時間話してしまった。
今日はもう帰りましょ。サザンカさんに美味しい夕飯作ってもらうんだ。
「それじゃあ……俺たちは今日は帰りますね。何かあったらまた」
「ああ。ノルンをよろしく頼むよ、わが
ウィリアム様ほか、ディストール王や他の王族にもぺこぺこと頭を下げて、俺たちは王城を後にした。