勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
色々あった戦争の翌日も、もう夜の帳を迎える時間となった。
まず朝一番にティオの様子がおかしかったので慰めて、朝飯食べて出発して。
それで最初に孤児院のみんなに元気な姿を見せてやって、シスターとティオにはエルフの歴史の是正しとくわって伝えて。
その後ギルドに出向いたら俺のギルドカードぶっ壊れ問題が発生してて、でもギルド側でも便宜を図ってくれることになって。
そんで王城に向かったらなんとノインさんが今回の戦争の報酬で俺に嫁入りすることになって電撃結婚してしまって。
そこから今後の方針などについて王族とじっくり打合せして、家に帰ってきて。
ノインさんが自分の部屋を増築したり、この家のルールについて教えたり、なぜか女性陣だけで謎の相談をしてたりして。
サザンカさんが変わらず夕飯を振舞ってリンもあんだけお昼食べたのに夜もしっかり10人前食べて。
そして現在は、食後のお茶を飲んでリビングでみんなで落ち着いていた。
大きめの長方形のテーブルの最奥の面に家長である俺が座り、頭の上にミャウがいて、右手側にイレヴンとリンが、左手側にサザンカさんとノインさんが座っており、食器の後片付けも終わってみんなでのんびりした空気が流れている。
昨日が説明不要の超多忙な一日だったことに加えて、今日は今日で色々情報の海を叩き込まれて脳が疲弊しているからな。
こうした落ち着いた時間というものはとても大切。休める時に休むのだ。
「ふへぇ……このお茶ンまいな。これいいですねサザンカさん。しっかりした緑茶って初めて飲んだけど好きな味かも」
「うむ。帰りに露天で見つけた茶葉でございますが、主殿のお口にあったようなら何よりでございまする。まさかこの国に質のよい玉露が在ろうとは」
「王都は貿易も盛んですからね~。ヒノクニの文化はマイナーメジャーでファンも多いので交易品は結構質のいいのが揃ってるんですよ~。私も緑茶大好きです~」
「普段のコーヒーとはまた違った苦みですが……悪くないですね」
「サザンカ、これちょっとにがい……」
「む、リン殿のお口には合わなかったでござるかな。緑茶に砂糖はそぐわぬし……温めた牛乳にするでござるか?」
「そうしてもらえるとたすかる……」
『みゃ!』
「畏まり申した。ミャウ殿にも冷ました牛乳を用意するでござる」
帰り道で買ったギョクロとかいうヒノクニのお茶で喉を潤す。
この苦み好きなやつだなー。コーヒーもブラック派だったし俺割と苦い味好きなのかもしれん。
カトルもティオもコーヒーに砂糖ミルクマシマシ派だからアイツらは子供舌だ。そして我が家のメンバーでもリンが苦い味は好きじゃなかったようでホットミルクをサザンカさんに淹れなおしてもらっていた。平和だね。
穏やかな時間を過ごして、この後はそれぞれお風呂に入って寝るだけのそんな時間なのだが。
しかしそこで、俺が目を逸らし続けてきた問題についてとうとうイレヴンから切り込まれた。
「それで、マスター」
「なんじゃらほい」
「……今日は誰を抱くのですか?」
「──────いやァ……」
「いやァではなく」
「ちょっと待ってェ……」
「今日一日待ちましたが」
そう……俺は今日────童貞を喪失するッ!!!
はずなんだけど。(冷静)
いやでもちょっと待って……? 結構急な話じゃない……?
確かに一昨日もデカパイに囲まれて露天風呂入ったし。
昨日もみんなから魂の告白を受けて誰と何回キスしたか数えきれないし。
今日だってノインさんがお嫁さんに追加されたりと物凄い女性遍歴を辿ってる俺なんだけど。
なんかこうさ……ほら……落ち着かないじゃん!?
もっと欲望のままにセックス! セックス!! ってなるハーレムモードに突入するには余りにもこう……心の間!? 精神的余裕!? 落ち着く時間!? そういうのが足りないと言いますか!!
ぶっちゃけ今目の前にいる4人の女性みんなにおんぶにだっこ状態な俺なんかが手を出していいのかとかいう想いもぬぐえないというかぁ……!!
「……ちなみに一応伝えておきますが。私はいつでも、マスターが望むままに愛していただいて構いませんよ。今日でなくとも」
「拙者も、うむ……その、は、初めてである故に主殿に満足いただけるかは判りかねまするが……いついかなる時も求めていただければ、誠意と愛情を籠めて御奉仕させていただきまする……」
「わたしもくるならいつでもこい!!」
「リンちゃんのそれはちょっと違いません~? まぁ~……もう一つ現状報告をしておくと~、間違いなく今日という日に私とロックくんは結婚したってことで~。ロックくんは結婚当日に他の女を抱く様な男じゃないですよね~? 今ならウェディングドレスでお部屋で待ってますよ~♡」
「嘘だ!! ノインさん流の強がりだッ!!」
「かわいそうにな~。ここ数日……ロックくんのことですから、日課になってるであろう
「くぅぅっ! 言うなぁっ!!」
「あはははは~…………いや転生チートさんの物語のパロネタで盛り上がれるのは楽しいですけど今この流れでやる事じゃなかったですね~?」
「それな。ちょっと冷静になれましたわ」
「マスターとノインは何の話をしているのか……」
みんながみんな、照れを含んで頬を染めたえっちな笑みを浮かべて童貞を殺すセリフを吐いてくるものだから俺の堪忍袋の緒はもうだいぶ限界が近づいてきています。
エロ過ぎるんだよみんな……!! いいのか本当に!! 据え膳いただいちまうぞコノー!!
「いや……でも、ほら、さ。ちょっとみんな冷静になってほしいんだけど」
だが俺には事情があった。
この場で欲望に任せて突き進んではいけない事情が。
それはとても至極常識的な考えで、世の男として決して忘れてはいけない事情が。
「その……ヤったら、ほら、デキるじゃん。……あれ、そういえばイレヴンは……デキるの?」
「私はまだデキませんね」
「あっ……スゥー……そっか。いずれはデキるんかなって思うけど……や、それは一旦置いといて。その……今はまだ魔王も健在で、魔族との戦争も落ち着いたとは言えないし、これからどれくらい解決まで時間がかかるか先が見えない中で……デキちゃったら、ほら、色々大変だからさ!! もちろん最終的に平和を取り戻したらその時こそ心から愛し合いたいし!! 責任は取るつもりだけれど!! 今はさァ!? 気を引き締め直す時と言いますかァ!?」
性行為をするということは、子どもが出来るという事だ。
もちろんだが、子どもは宝だ。尊いものだ。俺だって平和になってからもずっと子ども作りたくない! とか言うはずもないし、ちゃんと責任は取るし子どもも育てたいとは……思う! 子どもは好きだし! 急な話で具体性は全く帯びてないけど!!
でも今ここで性欲に負けて世界最強の戦力の4人を孕ませて最後の戦いに臨ませられませんでした! とかってなったらさぁ!! 流石にさァ!?
「はい、
「えっ」
『みゃ!?』
したら急にノインさんから謎の魔法を掛けられた。
俺の勘が何も危機を叫んでなかったから捌き斬りなど出来るはずもなくその魔法をビビビーっと喰らう俺。
えっなにこれ。
「……18歳以上しかプレイできないゲームなので、チート当てなくてもきちんとフラグ立てればそういう行為ができちゃうんですよね~。でも何の対策もなしにシちゃうとちゃーんと子どもができるので、対策として隠し要素で避妊魔法が実装されてるんですよ~。まったく制作陣は変態だぜ~」
「えっ待って急に何が何!? 何の何で何ィ!?」
「えへへ~、気にしないでくださいね~。今のは避妊魔法と言って~……この魔法を掛けられると~、24時間の間はどんなに愛を交わしても子どもができなくなる魔法です~。気兼ねなくズコバコしてよくなりましたよ~」
「まぁ……今の時代ではメジャーな魔法ですよね。女性にしか使えませんが」
「うむ。冒険者飽和時代に、高名な女性冒険者が広めて流行ったという……女であればその魔法の存在は必ず耳にするところでござるな。ノイン殿が使えるのは流石王族というべきか」
「シスターからおそわったからわたしもつかえるよ。もしものときはつかえって!」
「初耳にもほどがある!!」
『みゃあ……』
ノインさんが説明する内容がワケが分からなくて混乱してるよ!!
そんな魔法あったの!? 聞いた事すらなかったよ!?
女性の間だけで知られている魔法なのか……いや確かに、考えてみればこれが必要なのは女性だろう。
悪辣なゴロツキってのは王都には少ないけど他の国にはそういうのもいるだろうし、ゴブリンやオークに代表されるクソ魔物どもは女性を襲って攫って……っていう習性を持っている。
そんなときにこの魔法を習得していれば最悪中の最悪は回避できる……という事だろうか。いやそもそも襲われてる時点で最悪ではあるんだけど。
ううん。世の中って広い。
「なので~……好きにしていいんですよ、ロックくん♡」
「懸念も無くなれば、後はマスター次第ですよ」
「いかがされるか、主殿」
「こづくり!」
『みゃ』
「ほォァあ……ッ!!」
そして俺の退路は断たれた。
いや退路というか進路というか。突き進むにあたり懸念された事案が見事に解決されてしまって、最早止まれぬ! な状況になってしまった。
したら……したらァ……ッ!!
「…………その、結婚初日ということもあるし……この中で一番付き合いも長いので……そのォ…………ノインさん、で……!!」
「っ~~~♡♡♡ はいっ♡ 嬉しいです、旦那様……♡」
俺は今夜の相手にノインさんを選んだ。
理由は説明した通りだ。青天の霹靂とはいえ、間違いなく俺は王家からも円満の承諾を得て、ノインさんを嫁にした。長年夢見ていたものが叶ったのだ。
そんな彼女に……4年前からずっとお世話になった彼女の結婚初夜に、俺が他の女を選べるはずもなく。
もちろん、俺もノインさんの事は大好きだ。愛している。その愛を確かめるために俺も覚悟を決めた。
いっぱいエッチな事出来るんだからよく考えたらこれ超嬉しい事だからな!! とうとうそのロイヤルデカパイをこの手に抱けるんだからなァグヘヒホ!!
「じゃあ早速ノインさんお風呂入ってきてくださいねェ!! そのあと俺が入るから!! 風呂から出たら部屋にお邪魔するんでウェディングドレスで待っててくださいねェヌヘヒ!! フヘ!!」
「とうとう開き直りやがったなマスター」
「まぁ理由と順列を考えればノイン殿が妥当でござるからな……拙者は
「よかったね、ノイン!」
「すみませんね皆さん、お先にいただかれちゃいます~。それじゃあお風呂……一緒に入りませんか~? ロックくんのお背中流しますよ~?」
「あっスゴイ魅力的な提案……だけど今日はミャウもお風呂に入れてやりたくてェ……! お楽しみは最後まで取っておきたくてェ……!!」
『みゃ! みゃっみゃ!!』
「あら~。それじゃあ私もお部屋で楽しみに待っていますね~。では……お先に♡」
くっ……あえていつものゲスなノリを出して熱を冷まそうと思ったけどみんな俺のゲスムーブに慣れてるから落ち着いてやがる!!
むしろ小動物を見るような目でみんな見てきやがってクソー! チワワじゃないんやぞ! こちとら暴走を何とか堪えているオオカミやぞオオカミ!!
やはりベッドの上で
俺の長年のイメージトレーニングが輝く時ッ!! あへあへにしてやるわい!!