勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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125 一晩でやってくれました

 

 

「おはよーさんです!」

「おはようございますマスター」

『みゃ』

「おはよー」

「おはようございます主殿。ノイン殿も……うむ、随分と血色がよろしいようで」

「おはようございます~。うふふ、とっても素敵な一夜でした~。みなさんもぜひ味わってもらいたいくらいです~」

 

 リビングに降りていき、既にテーブルに並べ始められていた朝食を見つつ朝の挨拶を交わす。

 少々寝坊しちまったな。普段はかなり早く起きる俺だが、流石にあれほど夜の運動をしてしまうと影響が出ちまったようだ。

 

「すんませんサザンカさん、朝飯作るの手伝えなくて……寝坊しちゃって」

「お気になさらず。主殿にとっても大切な夜を過ごされたのでしょう。むしろ家主である主殿に料理までお任せしてしまうのは……その、ええと……よ、嫁の一人としては、うむ、恥ずべき事とも……」

「いやそんな男尊女卑な考えはロック家にはありませんからね!? サザンカさんと一緒に料理作るのめっちゃ楽しいし朝早く起きる習慣も変えたくないんで明日からちゃんと起きますからね!?」

「……ふふ。畏まりました主殿。では明日は拙者も期待してお待ちしております」

「マスターは意外と家庭的ですよね。家もよく掃除して小綺麗にしていますし……ミルの教えが良かったのでしょうね」

「わたしもそうじはちゃんとしなさいっておそわった! へやがきれいじゃないときもちがくらくなるって」

「あー……あはは、王城にいたころは私は自分であんまり掃除してなかったですね~。これを期に私もしっかり掃除するようにします~」

『みゃ!』

 

 その件をサザンカさんに謝りつつも、並べられた料理が冷める前に朝飯を頂くことにする。

 テーブルにつけば、ミャウが珍しくイレヴンの頭の上にいた所からひょいっと降りてテーブルの下を歩き、俺のフードの中にいつものように収まりに来た。可愛い奴め。

 

「よ~しよし。悪かったなイレヴン、ミャウ預けちゃって」

「いいえ、何の負担もありませんでしたから」

『みゃあ……』

「そう? ……イビキうるさくなかった?」

「それはうるさかったです」

『みゃあ!?』

 

 フードの上からミャウの腹をもみもみなでりこしながらイレヴンに話を聞けばやっぱりイビキかいてたらしい。

 コイツ普段は可愛い鳴き声してるのに寝る時になると途端に変なイビキかくからな。鼻の中なんか詰まってたりすんのかな。今度動物病院で見てもらってもいいかもしれない。

 しかし今日は随分とお腹撫でられて暴れてんな。ご主人様がいなくて寂しかったんかお前?

 

「それじゃいただきますっと」

 

 さて、そうしてみんなでいただきますの挨拶をしてから朝食を食べ始める。

 今日もサザンカさんの味噌汁沁みっ沁みやで。これにはノインさんも大満足。

 王族の舌すら唸らせる俺の嫁は流石です。いやここ今俺の嫁しかいないんだけど。

 

 

『──────…………失礼いたします。王都に住む皆さまへ、国王様からのお言葉があります』

 

 

 しかしそんな穏やかな朝食の時間に、急に王都全体に向けたアナウンスが流れ始めた。

 これは……王都放送だな。

 全都民に何かを案内する時に流れるレアな放送。

 つい最近だと闘技大会の開催で一度アナウンスが流れたのが記憶に新しい。

 まぁ俺が聞いたアナウンスはそれが直近ってだけで、実際には昨日の魔王軍襲撃で緊急アナウンスで何度も流れたらしいけど。

 

「この時間に放送ってなると、当然昨日の戦争にかかる話だろうなー」

「でしょうね~。戦後の処理がどうなったのか、全都民が気にしているでしょうから~」

「ごはんおかわり!!」

「うむ。よく食べて、しかし放送はしっかりと聞くのでござるぞリン殿」

 

 おかわり4杯目に突入するリンを尻目に、一度食事の手を止めて放送を聞くことにした。

 

 

『……国王、ディストール=オーディンである。昨日(さくじつ)は、唐突な騒乱に見舞われ……未だ混乱の最中にあるであろう民の皆よ。大変な苦労をかけたこと、まずは心よりお詫び申し上げる。人類を滅ぼさんと奇襲をかけてきた魔族の大軍……魔王軍が復活したことの証左である。調査によれば、とうとう魔王そのものが復活したことも確認されてしまっている。本格的な戦争が始まろうとしているのだ』

 

「まず素直にお詫びから入るのがディストール王らしいというか」

「そういうところまずはスジを通す人ですからね~お父様は~」

 

『だが……此度の大戦、第三次人魔大戦と称すこの戦いにおいて─────我々人類は勝利したッ!! それも、最終的な戦死者がゼロという奇跡を成したのだッ!! 胸を張ってほしい!! 誇ってほしい!! この勝利はこの国に生きる民全ての力あってのものであるッ!! 避難誘導にて大きな混乱を為さず速やかにグランガッチに退避した都民の功であり!! 王都を守るためにその盾となった騎士団の功であり!! 前線に赴き奮闘を果たした冒険者たちの功であり!! 英雄と称する活躍を果たした者たちの大戦果があってのものだ!! 故に、改めて私は心より述べる!! 感謝を!! 王都オーディンに住むすべての者に、有難うと!! 心から御礼申し上げるッ!!』

 

「最終的に戦死者がゼロであったのは……本当に奇跡でした。ノインの力あってのことですね」

「そんなそんな~……私はギリギリまで、ロックくんの命と他の人の命を天秤にかけて悩んでいましたから……どちらかと言えば今でも申し訳ない気持ちというか~……」

「でも俺らが戻ってくるの確認する前にみんなを助けようと思って動いてたらしいじゃないですかノインさん。むしろ悪いのは遅れて来た俺らと言っても過言ではない」

「ごめんねノイン、わたしがとぶのがもっとはやかったらよかった……?」

『みゃあ……』

「いえいえそんな~!? リンちゃんもロックくんも全然悪くないですよ~!?」

「うん、リンは悪くないぞ。じゃあ最終的に誰が一番悪いかって言ったら俺の死亡通知の誤報を流したギルドが悪いんで。つまりノックスさんに全ての責があると思われる」

「どうして主殿は執拗にノックス殿に責任を被せようとするのか」

 

『無論、まだ魔王討伐は為されていない! しばらくは緊張した日々が続くであろう!! 避難するような事件が再び起きないとも限らない……民の皆には、不便をかけることもあるだろう! しかし……どうか、戦う者たちを応援してやってほしい!! 今一度魔王を斃し、魔族を滅ぼすまで!! どうか、皆の助力をお願いするッ!!』

 

「熱いぜ義父(パッパ)

「お父様……というか、王族は先祖代々みんなこんなノリですね~。先代の王……お爺様は私が生まれた時には逝去されてましたけど、やっぱり熱い男だったみたいですし~」

「血筋よな。ウィリアム殿も王権を継ぐころには熱い男になっておられるのでござるかな」

「少々ハウリングしてますね声が」

「ちょっとうるさい」

『みゃ』

 

『─────国王からのお話は以上だ。続いて第一王子である私、ウィリアムが此度の戦争における経過と、現状と、今後の王都軍およびギルドの動きについて説明する。聞き逃した者は後日ギルドか王城前の駐屯地にて報告書をまとめてあるので確認してもらいたい。では──────』

 

 

 ……さて。

 その後、ウィリアム様が話を引き継いで簡単にまとめられた戦果やこれからの動きについて確認する。

 つっても俺らは昨日王城でおおよそ話を聞いていた通りなので、驚く様な報告というものはそんなになかったけれど。

 

 簡単にまとめると。

 

 ・魔王軍23万はほぼ壊滅できたね。

 ・率いていた将軍ベルゼビュートも間違いなく討伐したね。

 ・戦死者は蘇生魔法で生き返ったのでゼロだね。

 ・怪我人はそりゃ多いが命に係わる重傷者は少なく、それも回復魔法で頑張れる程度だったね。

 

 ~ここから戦後の話~

 

 ・魔族からドロップしたお金やら素材やらがすごいからこれは戦争終わったら国民みんなに還元するね。

 ・打ち漏らした魔族が王都の守護結界の外にいるから結界の外に不用意に出ないでね。

 ・捜索隊と討伐隊を組んでこれから残党討伐してくるから戦果を待っててね。

 ・戦争で冒険者全体のレベルも上がったしかなり前向きに勝利の見込み見えてるからね。

 ・残党の処理が終わったら再び本格的な魔王討伐隊を結成して倒しに行くからね。

 ・戦時中なので色々ライフラインとか軍備増強の為に協力お願いするので出来る範囲でよろしくね。

 

 ってな具合だ。

 イレヴンが分かりやすくまとめてくれました。

 

 俺らがお願いされたいわゆるレベル200を超える限界突破訓練とか、そこら辺の深い所までは放送で流れなかったが……おおよそこの放送で、都民たちも戦勝の安堵とともに、今後の戦時中の在り方について考えていくところになるだろう。

 混乱も多いだろうな。ギルドも王族も騎士団も大変になることは間違いない。

 

 けどまぁ、俺らは俺らが出来ることをやるだけである。

 限界突破のお手伝いと、魔族の残党処理。

 この二つが俺らパーティのできる仕事だな。

 がんばるぜ。俺以外のみんなが(他力本願)。

 

 因みになんだけどさ。

 

「なんで俺の名前とノインさんの名前をこれ見よがしに戦果報告で言いまくったんだウィリアム様」

「これ~……その、多分ですけど~……戦争終わって落ち着いたら、私とロックくんの結婚式を挙げる時の布石を打ってる気がしますね~」

「王族の方々は末妹への愛が深くないですか?」

「昨日の様子で何となく察していたところではござるがな」

 

 俺の名前めっちゃ出されて困惑してんすけど!!

 もういいよ有名になるのは!! いやどうせもう英雄として祭り上げられる感じなのはわかってるけどさ!! 中身ただの勘がいいだけのガキなんだからね!!

 なんとしてもハーレムだけは守護(まも)らねばなるまい(決意)。

 最終的に俺のハーレムに文句言えるやつがいないくらい活躍すればすべて解決だ。そう考えておこう。

 

『……なお、最後に一つだけ、王族より詫びねばならぬ話がある。それは今を生きる都民へのものではなく、かつて滅びてしまった……親愛なる隣人であった、希少な亜人種に向けてのものだ』

 

「ん」

「これは……どうやらアンドレはマスターとの約束を守ったようですね」

「エルフだ! ティオと、シスターのおはなし!」

「……え、あれ? リンにシスターがエルフだって話したっけ? ティオの事はネレイスタウンの件で知ってただろうけど……」

「ううん、ちょくせつはきいてない。けど、ドラゴンはうそがわかるから。シスターとこじいんではなしてたときに、そこだけうそついてた」

「マジか。……その、本人にそれを話したりとかは?」

「してないよそんなの。わるいでしょ」

「大人や……!!」

「主殿が滝のような感涙を」

「気遣いが出来ますねリンちゃんは~」

 

 そして放送の最後、どうやらアンドレ様はきちんと約束を守り、早急な対応をしてくれたようで。

 ウィリアム様の口から、エルフの迫害の歴史が誤りで、今回のグランガッチの襲撃の件と絡めて、冤罪であったことをはっきりと説明し始めた。

 

 これを聞いたシスターとティオが少しでも……笑顔になってくれてたらいいなぁ、なんて思っていると。

 

『みゃ……みゅわぁ……』

「……」

 

 なんかミルク呑んでたミャウが神妙な顔をし始めて。

 んでそれを何故かイレヴンが神妙な顔で眺めてて。

 えっ何。昨日なんかあったの君たち。

 

『……故に、エルフたちは魔族により尊厳を奪われていただけだった。それを人類が知らずに迫害しつづけてしまったのだ。……今は亡き……いや、もしも生き残りのエルフがいれば、聞いてほしい。これは我ら王族の罪である。衷心よりお詫び申し上げるとともに、出来る限りの謝罪と賠償を行いたい。都民たちも、どうかこの事実を聞き、よく考えていただきたい。すぐに誤りの禍根の全てを漱げるとは思わぬが、せめて次代に残さぬよう願いたい。今後は王立図書館にある書物に記載されたエルフの説明文なども即時訂正し、重ねて正しい歴史については戦争が終結した後に尋常教育の一環に加える予定である』

 

「……妥当な所、かな。いきなり全部まるっとスッキリなんてできないし……そもそもエルフへの迫害なんてのも若い世代にはピンとこない話だしな今は」

「ですね~。老人だって実際にエルフを見た人なんてのはいないでしょうから~……うん、すぐにはスッキリできないかもしれませんけど……いつか、ロックくんの大切な人たちが、心から笑える日が来るといいですね」

「マジでそれ」

 

 ちょっとそんな愛猫と相棒の様子は気になったけど、放送自体はとても丁重な説明と謝罪でまとめられていた。

 ノインさんも言った通り、これでエルフへの偏見も無くなって、いつかシスターとティオの二人が笑顔になれればそれでええ。

 それ以上の事はしないし、俺からも二人がエルフだって周りに言いふらしたりはしない。

 知るだけでいい優しさがある。

 これ以上の踏み込みは野暮ってもんさ。カッコつけすぎるくらいはいいだろう。

 

「……うし! ごちそうさんです! 朝飯も食べ終わったし……後片付けしたら王城に行くか! 限界突破訓練で呼ばれてるし!」

「そうですね、まずは改めて日程などをすり合わせておきましょう。ごちそうさまでした」

「ごちそうさま!! きょうもたいへんおいしかった!!」

「ごちそうさまでした~。本当にサザンカさんはお料理上手ですね~」

「お粗末様です。では洗い物を手伝っていただけるかなノイン殿」

「ええ、もちろん~」

『みゃ……』

 

 その後は朝食を食べ終えて後片付けもして、食後のコーヒーをキメてからみんなで再び王城に向かうことになった。

 今度こそ有名人になってしまった俺ら一行。

 もうリンに変身してもらって王城まで飛んで行ってむしろモブ都民共を威圧してやるかなんて考えていると。

 

「ちなみにですねロックくん」

「何です?」

「既にここを私の自宅設定にして、転移陣を使えるようにしてあって~。私達ロック一家や、私が許可した人は家の前の転移陣が使えますよ~。ついでに昨日の戦争で世界中の魔素が濃くなったのを利用して王都の各所にある旧い転移陣も戦後に励起してまわってたので、中央ギルド本部にでも、王城前にでも、闘技場でも……なんならグランガッチでもすぐに転移できるようになってますからね~」

「有能すぎません???」

 

 ノインさんが一晩で転移陣を俺んちの前に作ってくれてました。

 俺の嫁たちがみんな有能すぎて俺いるコレ?

 

 

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