勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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第二章 クラン・ケンタウリス
14 力が欲しいか。欲しければ……くれてやる!!


 

 

「ふわぁ」

 

 早朝、まだ日が昇るか昇らないかくらいの時間に俺は目を覚ました。

 習慣だな。じーさんと一緒に暮らしてた頃はとにかく早起きして介護職もびっくりなくらいじーさん家で家事の世話して朝一木こりしてってやってたからな。

 まぁ早起きして困ることはない。三文の徳ってやつよ。三文ってなんだろな。

 

「おはよー、ミャウ」

『フルスァー……ニャンパスァー……』

 

 相変らず俺の布団に潜り込んで爆睡かましてるミャウを起こさないように布団から出て、朝の支度を始める。

 今日はカトルとティオも泊ってってるからな。昨日しこたま食べたし朝飯は軽いものにしておくか。

 自室を出て一階に降りると、すごい顔色悪い感じのカトルがソファでうんうん唸ってた。ザ・二日酔い。

 ティオが起きてきたら回復魔法かけてもらいなされ。飲み過ぎダメ絶対。

 

「風呂にお湯張っておくか……飯はサラダ多めにしといて……」

 

 この後女子陣が起きてきて風呂に入るので先にお湯を張っておくのがまず一つ。

 続いて朝食の準備。台所の上にアイテムボックスからどばっと食材を取り出して料理を始める。

 じーさんから譲ってもらった等級SSのアイテムボックスは品質も堕ちないし容量もデカいし便利この上ないぜ。

 コンソメスープを煮込みながらサンドイッチ作るマシーンになりながら、みんなが起きてくるのを待った。

 

「ふぁー……あ、おはよーロック」

「おはようございますマスター。早起きなのですね」

「ふみゅふみゅ……もぁぁぁ……みー……」

「おはよーさん。お風呂準備出来てるからまず入ってきちまえよ。その後俺らも入るから。朝飯出来るのはもうちょっと待っててなー」

 

 しばらくすればリビングにやってくる女子陣。みんな髪が長いから見事に寝ぐせが……いやイレヴンはついてねぇな。寝ぐせつかないタイプの髪質かね。綺麗だもんな。

 包丁でパンをすぱすぱ切りながらもとりまお風呂へ促す。俺もカトルも女子が出てからでいいやろ風呂入るのは。

 

「まだ調理中であれば私もお手伝いいたしますか? マスター」

「大丈夫。今朝は簡単なスープとサンドイッチだけだから大して手間でもないし。風呂でリンの髪と尻尾よく洗ってやってくれな」

「孤児院出てからさらに家事に磨きかかってるねーロック。これで口を開かなければねぇ……ま、お言葉に甘えて早速お風呂入ってきちゃいましょー」

「おふろ……ふみゅ……」

 

 寝ぼけまなこで目をしぱしぱさせてるリンの手を取ってティオとイレヴンが風呂に入りに行った。

 どうなんだろうな……リンとイレヴンに挟まれてティオが死んだ魚のような眼になってお風呂に入る事が無いかだけが心配だ。

 リンだけでも相当な戦力過剰だ。そこにイレヴンが混ざる事でティオの脳は重力の塊に挟まれて対消滅してしまうのかもしれない。

 なんであいつあんな平らなんやろな……背も低いし……ってか俺も身長そんな高くないからもしかして孤児院での栄養状況がアレだったんか? 確かに俺とティオがいたころは食事のメニューそんなに多くなかった気がする。

 やはり孤児院へのお布施はもっと増やすべきだな! 子供は大きく育たねば……!!

 そして大きく育った女の子たちがごっくんボディになって卒院後に我がハーレムの一員になってくれれば……!!

 

「……なんかすっげぇよこしまな思考の波動を感じた」

「ん。起きたかカトル。頭大丈夫か?」

「聞き方もうちょっとねぇか? でもめっちゃ頭いてぇ……昨日飲み過ぎたな……」

「マジで自制を覚えろよなお前ー。俺らがいたからよかったものの一人の時に酔っ払ったらお前の外見だとお持ち帰りされんぞ? しかもオオカミが男ってパターンもあり得るぞリアルに」

「怖……いや、反省するわ。ロックたちがいたんで緩んでたな。水くれ……」

「ほいよ」

 

 下らないこと考えながら朝食の準備が大体終わったところで、カトルがむくりとソファから身を起こした。

 随分と頭痛が酷そうだ。整った顔が真っ青である。マジでコイツ酒弱いんだな……かつての俺の姿だ。俺も酒で痛い目を見た経験がある。

 まぁ俺の場合は美人局されてコイツの場合はお持ち帰りされるという違いはあるが。顔面チート偏差値野郎め。

 俺はカトルにコップに注いだ水を渡して、テーブルに朝食を並べて、ミャウがみゃあみゃあ鳴いて部屋から出て来たのでミルクと餌の干し肉を準備して、そのあたりで女子組が風呂から上がってきた。

 はい。ではみんなで朝飯です。

 

「いただきまーす!!」

「いただきます」

「いただきます。……想像以上に整った料理が出てきて驚いています。マスターはマメでもあるのですね」

「いただきます。あむあむ……!」

『みゃあ!』

「…………ティオ、回復魔法頼む……」

「もぉ! 毎回酔っ払ったらやってあげないから! 今回だけだよ? 『ケアヒール』っと」

 

 それぞれが騒がしくサンドイッチをつまんでスープを飲んで。カトルはティオに回復魔法をかけてもらい二日酔いが治ってからしっかり食べ始めていた。一家に一台ティオがいれば便利やな。魔導タンクも補充できるし。勝手に魔力回復するしコイツ。

 

「あ、リンはサンドイッチ全部食べないようにな。それ弁当の分も入ってるからね」

「えッ…………」

「すごい絶望顔」

「昨日あんなに食べたでしょー。ンモー勢いよく食べるから口周りに欠片ついちゃって……ほら顔見せて」

「んむぐぐぐ。ありがとロック」

「おかしい……マスターがマトモ過ぎます。昨日酒場であんなにも下らないハーレム論を語っていた人と同一人物とは思えません」

「ロックは尊敬できる点と尊敬できない点が同居しすぎてるから……」

『みゃあ……』

 

 リンがめっちゃ勢いよくサンドイッチを食べるもんだから弁当分として作っておいた+10人前まで手を伸ばしそうだったのでストップをかける。

 言葉で止まる様になって俺も胸が熱いよ……。最初の頃は体で止めなきゃならなかったしな。

 食べかすが口周りに零れてしまってたのでナプキンですいすいと拭ってあげる。猫みたいだ。ミャウもいるから俺んち猫多いな。ミャウも口周りがミルクで汚れてるから拭ったろ。

 

 さて、そんなこんなで朝食を食べ終えた。

 ティオたちが食後のコーヒーと身の回りを整えている間に俺とカトルは風呂を浴びてさっぱりして、改めて今日の予定について話す。

 

「リンは今日も孤児院だな。シスターやみんなにご迷惑をおかけせんようにね」

「ん。きょうはれきしのおべんきょう」

「がんばってねリンちゃん!」

「いっぱい勉強して立派な大人になれよな」

「いずれはリンも冒険者になるのでしょうかね。いってらっしゃい」

「いってきまーす」

「ワイバーン便に気をつけてなー」

『みゃあ』

 

 とりまリンは今日も孤児院なのでいつものように羽を広げて飛び立っていくのをみんなで見送った。

 修道院に行かない日なんかはリンが暇を持て余してしまうので預け先があるのはかなり有難い。学校にはちょっと色んな意味で行かせられないしな。シスターに感謝ですわ。

 

「で……俺らはまず鑑定してもらって分け前の分配だな。トゥレスおじさんの所に行こっか。午前中で終わるかねー」

「親父ならあれだけの量でもそんなかからねぇだろ」

「でも新ダンジョンが出来たばっかりだから他の冒険者とかも使ってるかも? 今は鑑定屋さんもすごい忙しい時期だよねーきっと」

「早めに向かいましょうか」

「せやね。んじゃ行くぞい!」

『みゃあ!』

 

 昨日話してた通りまずは鑑定。トゥレスおじさんにお世話になりに行きます。

 んでもちろんの事流石に今日は鑑定後にまた冒険に行くほど俺らも元気じゃないので、冒険で魔力使わねーだろって理由でカトルとティオに家の魔導タンクに魔力補充してもらった。

 一般的な術士でも満タンにするのがしんどい魔導タンクを余裕でフルチャージしてくれる友人助かる。

 コイツらマジで規格外だよなー。早く金級になって名前もっと売れねーかな。そしたら二人の友達って立場を使って酒場でナンパできそうなのに。

 

 魔導タンクの補充も終えて、俺たち一行はトゥレスおじさんの鑑定ショップを目指して出発した。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

 ついた。

 ちょうど開店するくらいの時間に向かえば、店の前で『OPEN』に看板をひっくりかえすトゥレスおじさんを発見。ナイスタイミングである。

 

「お、ラッキー! まだ他の客来てねぇや!」

「逆にこの時期に客が来てねーのはどうなんだよ親父……ちゃんと儲かってんのか?」

「トゥレスおじさん、おはようございます! 今日もお世話になりますね!」

「おはようございます、トゥレス」

『みゃあ!』

「……来たか。そろそろ来るものだと思ってた。いらっしゃい、ロック、ティオ嬢、イレヴン。カトルは余計な心配はするな……俺が食っていける程度には儲けてる」

「店の宣伝なんもしてねーもんな親父。他の客には不愛想だし……心配だぜ俺は。いつ潰れるんじゃないかってな」

「親子喧嘩はやめてもろて」

 

 トゥレスおじさんの鑑定屋さんはかなり奥まったところにあるので客足も控えめである。仕事はいっちゃん律儀だと思うんだけどね。余計な値引きや交渉もなくてキッチリやってくれるし。

 なおもちろんのことだが俺がカトルつながりでこれまでもお世話になっているように、ティオもここの常連客である。カトルの幼馴染であるティオの事をトゥレスおじさんは『ティオ嬢』と呼ぶ。

 

「ギルドの報告は聞いている……新しくダンジョンが3つ出現し、そのうち一か所で魔族が確認されたと……お前らか?」

「するどい。そーなんすよ聞いてくださいよトゥレスおじさん!! 俺らめちゃくちゃ大変で!! でもその分めちゃんこ宝箱開けてきましたよ!! ファーストボックス祭りでした!!」

「イレヴンさんとカトルの『イルゼ』があったから何とかなりましたよー! ロックも頑張ってくれて……私なんにも出来なくて、悔しかったです」

「ティオ嬢……そう自分を卑下するな。君の魔法の腕前は類まれなる才だ」

「ティオの回復が無けりゃ俺もロックもイレヴンさんもボロッボロだったしな。むしろ一番頑張ってくれたんだぜティオは?」

「そうですよ。みんなあの場で頑張って乗り切ったのだから言いっこなしですよティオ」

「んなことよりお宝換金お願いしますよお宝グヘヘ!! ウッヒヒ!! トゥレスおじさんまたぶちまけていいっすか!! めっちゃ多いっすよ今回はヌホ!!」

「マスター最低です」

「お前は変わらんな。ああ……鑑定台だと場所が足りないだろう、ちょっと待て」

 

 俺がアイテムボックスを取り出して思わず笑いを零しながらアイテムを取り出そうとすると、トゥレスおじさんが一旦鑑定台の傍に別の机を組み立てて置き場を拡張してくれた。

 その上にどばーーーーっと今回の冒険で獲得した装備やら金貨やらアイテムやらを並べていく。

 一階層から十二階層までのファーストボックス祭りだからなァ!! スゲェ儲けになるぜこれは!!

 

「改めてだけどロックのお宝への嗅覚キモいね」

「これだけアイテム獲得するのはマジで多人数で長期の冒険やって見れるかどうかだな……知らねぇうちに宝箱開けて拾ってくるもんなロック」

「パーティに一人いると便利な存在でしょうね。シーフの面目躍如といったところでしょうか」

「……二時間は見てくれ。俺もここまで大量だと時間がかかる。かなりレアな物も混ざっている様だしな」

 

 なぜか取得物を並べるだけでドン引きされた。

 なんでや。俺はただ新ダンジョンで初見の道で宝箱を見つけて全部罠解除して片っ端から奪っていっただけなのに……。

 しかしトゥレスおじさんもこの量は流石に時間がかかるみたいだ。未鑑定の装備ってのはそれがレアものなのか、どんな性能なのか、呪いとかかかってないかが分からないんでしっかり鑑定する前に装備するやつは愚かというやつである。なのでしっかり見てもらう事が必要になる。

 さらに言えば今回は装備に興味ない俺のほかに、カトルもティオもイレヴンもいる。いい感じの装備があれば誰が貰っていくかとかも相談だな。

 特に今回の冒険でティオはツインダガーの片方を失っている。いい武器があったら優先して譲ったろ。ダガーもいくつか拾ってたしな。

 

「……その、トゥレスおじさん」

「なにか、ティオ嬢」

「えっと……相談なんですが。魔族と戦ってる時のことなんですけど、私のダガーの攻撃が効かなかったんです。結構魔力籠めて投擲したつもりでも全然傷つかなくて」

「あー、そーいやそうだったな。あれ、イレヴン言ってたよなあの時? 魔族には普通の武器の攻撃が通じないんだっけ?」

「ええ……そうですね、それを説明していませんでした。魔族には様々な種族がおりますが……階級の高い魔族は特殊な魔力障壁を展開しています。それを貫けるのは、それ専用に特化した兵器である私か……カトルの持つ『イルゼ』のような、『魔装具』と呼ばれる装備を使う必要があるのです」

「あ、そういやイルゼもんなこと言ってたな。アイテムボックスから取り出すか」

「その知識は俺も知っている。ここ最近は魔族の出現報告がなかったため知らない冒険者も多いが……『魔装具』。レア武器の中でも特段希少なものだ。俺もあまり見たことはない……また、武器だけではなく防具などでも魔装具はあるようだな、記録によると」

 

 魔族と相対したときの話でティオが話を広げた。

 ティオのスローイングダガーがまったく通じず、しかしカトルのイルゼによる一撃やイレヴンの貫手はバッチリ効いてたやつ。

 話を纏めると、魔族を傷つけるには『魔装具』っていう武器が必要なんだって。へー。

 

 ……ん?

 

「え、俺普通にあのバアルとかいう魔族にダメージ与えてたよね? なんなら割と致命傷与えたまであるよね??」

「そう、そうなのですよマスター。なぜマスターが魔族に傷をつけられたのか……それが私には分からなかったんです。いずれ聞かねばと思っていました。マスターは既に魔装具をお持ちなのですか?」

「俺の装備は銀級試験で拾ったこの指輪以外はただの普段着だが……?」

「逆に今更だけどなんで普段着なんだお前」

「え、その指輪が魔装具だったって事?」

「いや、それはただのありふれた護りの指輪だ。俺が保証する。だからそれが原因ではないだろう……俺も聞いたことはないが、魔族の障壁すら貫くロックの技量ということなのか。何したお前」

「何したって言われても……カウンター叩き込んだだけですが」

「イルゼ、知ってる?」

『いえ、私も聞いたことはないですね。かつて150年以上前に起きた戦争、人魔大戦でもそのような技を使っていた冒険者の話は聞いたことがないです。あの頃は優秀な冒険者がそれぞれ魔装具を使っていたという状態でしたし……』

「その時代怖っ。……いや待て!? まさか俺には隠された英雄の血とかなんかすごい才能とかがあってそれが目覚めたみたいなそういうアレかもしかして!? モテちゃうなー!! かーっ英雄ロックがモテすぎてつれぇわー!!!」

「一瞬で調子に乗れるのは最早才能ですねクソマスター」

「調子乗り出すとすぐゲスが溢れてきやがる」

「詰まった排水溝みたい」

「ひどない?」

 

 なんだよー! 魔装具なしでも魔族に一撃入れてんのになんか扱い悪くね!?

 まぁあの時は出来ると確信してやったんだけど。イーリーアウスの勘があの技は通じるって叫んでた感じある。

 その後もイルゼやイレヴンなども交えて検討したが、魔族の使う魔力障壁が己の攻撃力を返すことに対しては無防備なのでは、っていう結論に落ち着いた。

 なんだやっぱ俺に魔装具いらねぇな!! ってかそもそも戦う場に俺がいるのがおかしいんだわ。

 俺はシーフである。宝箱開けたり罠外したりするのが仕事です。

 

「……そーなると、やっぱり今後また魔族ともし相対したときに私が何もできないなぁ……トゥレスおじさん、今回の成果の中に魔装具ありませんか? あれば私が持っておきたいんです!」

「ティオ嬢、気持ちは分かるがこの中に魔装具はない。『鑑定』スキルで確認したから間違いはない……強力な装備もあったが、ここに在るのは全部通常の装備だ」

「そう、ですか……」

「もっと深い階層にならないと出てこないってことなのかなー魔装具。……ってかなに、魔装具って具体的にどんな武器なんだ? 全員イルゼみたいに喋るん?」

『いえ、全てが全てインテリジェンス武器というわけでは……』

「もしかして全員女の子だったりする!? 魔力を籠めれば女の子になってこう、ご主人様だいしゅき♥って感じになって武器ハーレムとかできちゃったり!? 武器が女の子になるって設定は使えるぞ!! そうなったら俺これから魔装具めっちゃ集めよっかなー!! ゲヒヒのヒ!!」

『頼むから話を聞いてくださいロック』

「一応、記録によれば魔装具とはすなわち『魔』の籠った装備だ。ただの魔力を帯びているのとはまた別格……イルゼのように『意志』を刻まれるほどの術式が編まれているものもあれば、怨恨の呪いを重ね掛けしたような闇の剣、精霊の祝福を受けたローブ……そういったものがあったという記録はあるな」

「精霊かー。そういう精霊がいるっていうダンジョンは他の国でいくつか聞いたことはあるけどな、そういうところなら魔装具もあるのかね?」

「私はイルゼたちの様な魔装具とはまた別枠の存在になりますが……例えば国宝として保管されるような性能の武器であれば魔装具である可能性も高いでしょうね」

「精霊…………」

 

 俺らメンバーの中で唯一魔族に対する対抗手段を持たないティオが魔装具を求めていた。

 今回の取得物の中には生憎魔装具はなくて、やっぱりクッソレアな武器だってことは話してる中でもわかったが……しかし今はぱっと魔装具がどこにあるかっていう情報は出てこない。

 まぁそもそも魔族になんてそうそう出会うはずもねぇんだけどな!! って楽観視してぇ~!!

 バアルに名前覚えられたのワンチャンノックスさん説を永遠に推していきたいマンです。俺んところに二度と来ないで。

 

「ここにはないが……欲しいものがあればそれを自分の力で手に入れるのが冒険者だろう。これから探していけばいい。そうだろ、ティオ嬢」

「あっ、はい! そうですね……私ちょっとこれから魔装具探ししてみます!!」

「その意気だ。……このツインダガーはかなり質がいい。軽くて切れ味もよし、魔力伝導率も相当なものだ。魔法を使うティオ嬢と相性がいいだろう」

 

 トゥレスおじさんが大人らしくティオの心情を慮って優しく諭し、その上で鑑定している武器の中からティオのダガーとして使えそうなものを見繕っていた。

 自然とそういうムーブするから若奥様殺しとか言われてんだよトゥレスおじさん!! このイケおじがよ!! カトルもバッチリ血を継いで女にモテてるし……顔は似てねぇのに。女にモテる男みんなちんちんもぎられろクソがよ(豹変)。

 という思考は置いといて。ダガー壊したのがそもそも俺なので無論の事その武器をティオが持っていくことに反対などあるはずもなかった。

 

「あ、んじゃそれティオが持ってっていいよ。俺はイレヴンいるしダガーの扱いとかわかんねーし」

「右に同じ。俺も親父から貰ったイルゼがいるしな」

「……いいの? それじゃ遠慮なく貰うね! うん…………良い感じかな。使いやすそう」

 

 俺らの言葉に頷いてツインダガーを手にしたティオがひゅんひゅんと軽く振って笑顔を見せる。手になじんだみたいだな。

 他にも鑑定が進む中でカトルが火属性のアミュレットをアクセサリとして選び、イレヴンが今装備してる衣装の足甲をよりよいものに更新したりと、それぞれ自分に合う装備を選んでいた。

 ん、俺? いらんわ。

 なんか身に着けるとその分動きが鈍くなるし。そもそも今付けてる指輪だって何の効果も発揮してねぇ気がするし。自前の勘と捌き斬りだけで俺は十分だよ。

 回復系のアイテム以外は全部金でええ金で!! シーフ用のピッキングツールも上質なもんは店で買うしかねぇから金!! 養育費と食費が大変なのよンモー!!

 

「……よし、これで終わりだ」

「「ありがとうございました!」」

「お疲れ親父」

「見事な手際、感服いたします」

『みゃあ』

 

 そうしてトゥレスおじさんがきっかり二時間で鑑定を終えて、俺たちは昨日決めたとおり1.5:1:1の割合で儲けを綺麗に分配し、みんな相当に懐が潤ったのだった。

 

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