勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
「まんぞく……!!!」
『みゃ』
お昼を食べ終えて闘技場に向かう俺たち。
その中でもリンが自分のお腹を幸せそうになでなでしながら歩いている。
いや別に俺が昨晩仕込んだSEEDが覚醒したとかそういうアレでなくてね?
普通にお昼めちゃくちゃ食べちゃってね??
「……店の人たち泣いてましたね」
「俺は悪くない」
「戦勝記念の大食いチャレンジ……という謳い文句でござったか。リン殿に見つかってしまったのが運のツキというか」
「俺は悪くない」
「まぁ~、一応正規の代金は御支払いして来ましたし、お店も箔がついたでしょうから~。伝説のブラックドラゴンも満足したごはんって看板でも立てるんじゃないですか~?」
「俺は悪くない……!!」
『みゃ』
今日のお昼はたまたま歩いてたら見つけた今まで入ったことないお店でとったんだけど、店の前の看板に『大食いチャレンジ!!!』ってでかでかと書かれててさ。
それをリンが見てやる気出しちゃってさ。
店の食材空っぽにしちゃったんだぜ☆。
まぁ店は盛り上がりまくったからよかろ。(他人事)
俺の嫁さんたちがもうアイドルかってくらい顔も名前も売れてるし姫様もいたし、リンが何より美味しそうに食べてたからお店の人も涙のほかに笑顔も零れてたし。
平和なお昼でしたね。こういう平和を永遠に勝ち取るために午後は頑張りましょ。俺以外のみんながね。
今日は俺働いたら負けかなと思ってるから……見守る役目だから……。
※ ※ ※
そんな話をしてたら到着しましたわよ闘技場。
お昼はゆっくりたっぷり食べたから既に午後の時間だ。
入口の番兵さんに顔パスで通してもらいつつ、通路を進み舞台のある方へ進めばすでに剣戟の音が響いている。
やってんなー。今日の面子はどうなってるかねっと。
「おっじゃまー……おお!」
通路を抜けて人の集まる舞台を見れば、そこには。
「ん……ロックか」
「どへぇー……疲れェ……って、おおー? あれー! 昨日の子じゃないですかー!! 他にもいっぱい来てますねぇ!! こんにちはーっ!! 昨日はどうもありがとー!!」
「トゥレスおじさん! ワンさんも!?」
昨日と同じ面子であるヒルデガルドさんとティオ含むケンタウリスメンバーとヴァリスタさん、の他に……昨日初めて家族の時間を過ごしたはずの3人、カトルとトゥレスおじさんとワンさんがいたのだ。
トゥレスおじさんは見たことがない装備を身に纏っていて。ワンさんは俺が見慣れた服……イレヴンが借り受けていた例の装備を身に着けて。
あ、ルドルフさんもいるね。一緒に合流したってことなんだろうか。
なんやどしたん? トゥレスおじさんもレベリングに来たんか??
「どしたんです? トゥレスおじさんはもう昨日サザンカさん相手にした時点で限界突破してたんじゃなかったっけ? あとワンさんはお体大丈夫です? 昨日の今日で……」
「限界は超えてもまだ強くなる余地はある。……ヴァリスタ、一旦休憩だ」
「私はすっごい元気ですよー! 前より炉心の性能上がってる感じありますし体調バッチリ!! 11号機のサブの炉心の方が1号機のメイン炉心より出力が上なんてよくある話ですよねぇ」
舞台の方に近づいて話を聞こうとしたら……トゥレスおじさんが組手していた相手のヴァリスタさんから離れ、笑顔を浮かべて俺の方に近づいてきた。
ところで現王都最強のヴァリスタさんがすっごい汗だく疲労困憊なんですがそれは。
「改めて礼を言わなければと思ってな。────ロック。お前のお陰で、俺は最愛の妻と再び会う事が出来た。本当に……有難う」
「あはは、ンな事……」
「あーらやだもーマスターったらー!! 最愛の妻なんてンモー!! 照れちゃうなー15年ぶりにマスターのデレ聞いちゃうとなーっ!! あ、私からもありがとねロックくん!! なんだか息子ともすっごい仲良くしてもらってたみたいで!! ミルさんの教えが良かったんですねーきっとねー!! 誇らしいなぁなんだかなー!! ミルさん流石だなー!!」
「いや随分テンション軽いスね奥さん」
「だろう? 自慢の嫁だ」
「トゥレスはうそついてない。ほんきでじまんしてる」
「ギャップぅ~!」
「イレヴン殿、其方らの一号機は皆ああなのでござるか?」
「いえ、アンドロイドは個体ごとに性格が違いますから……」
で、トゥレスさんがここに来てたのは改めて俺にお礼を言いたかったからだってことで……なんやそんなのいいのにー! 別に恩に着せるつもりもないしさぁ!
昨日も言ったけどガキのころによくアイス貰ってたお礼なんだし! 気にしなくていいっすよンモー!!
って言おうとしたら唐突にワンさんの方がトゥレスおじさんの言葉にめっちゃ元気に照れ始めてちょっと面白くて思わずツッコんじまった。
両頬に手を当てていやんいやんってくねくねしてから俺にお礼を言ってきたが……なんやこの人可愛いな!!
トゥレスおじさんも仏頂面のままノロけ始めるし。なんやお似合いかこの二人?
夫婦だったわ。お似合いだったわ。
ワンさん。
昨日はバタバタしすぎててよくお姿を観察してなかったが……見れば、カトルの金髪と同じ色の、ふわりとした長めのふんわりボブカットの金髪だ。まんまるだ。
そして何よりも、表情が随分くりくりしててよく動く。
シスターが『あの子に心が洗われた』って言ってたのがなんか……わかるな。天真爛漫っていうか。
周りの人を自然と笑顔にさせる雰囲気ある。ほっとするっていうか。
スタイルはイレヴンに比べるとちょっと身長低くて胸も腰も控えめって感じだけど……なんだろな。可愛いって表現が一番似合うと思う。
こんなのが人妻なんだぜ……??(畏怖)
とんでもねぇよドスケベの塊じゃねぇかよぉ!!
トゥレスおじさんパねェよ……女の趣味最の高かよ……!!(敬意)
「……今朝、ミルが家に来てな」
「あ、行きました? 俺がワンさんに会いに行くように伝えたんですよね孤児院で」
「会いに来てくれましたよー!! ミルさんホンットに変わってなくて安心しちゃった!! いやーロックくんにも見せたかったなー!! ミルさん私の顔見るなり大泣きしちゃって、がばーって私を抱きしめてくれたんだけどね? その後に振り向きざまにマスターブン殴って! キレながら号泣しつつ馬乗りパンチですよ!? あのミルさんが!! いやぁ珍しいモノ見れましたねぇ!!」
「ほっほっほ。ここ最近はミル殿も随分と情緒がジェットコースターでしたからな。それにワン殿もしっかりもらい泣きしておりましたでしょう」
「うわールドルフさんがつついてくるぅー。いいじゃないですかーミルさんに心配かけちゃって申し訳ないなーって私も思ってたんですよー! あ、そうだ!! ロックくんもアンドロイドの相棒がいるんですよね! 新型の!! 先輩として挨拶したいです挨拶!! 炉心分けてくれたお礼も!!」
「…………俺の話を先にさせてくれ」
「いやこっちも挨拶くらいは全然いいっすけどね? おーい、イレヴン! ワンさんが話したいってー!」
「了解ですマスター。私も彼女と話したいと思っていました。改めて……初めまして、ワン。ロックをマスターに持つ11号機、イレヴンです」
「どーも!! トゥレスをマスター兼旦那として持つ一番星のワンちゃんですっ!!」
そしてシスターもちゃんとミルさんと再会して、トゥレスおじさんにも怒りの拳をブチ込んだことを聞けたのだが……ワンさん騒がしいな!!
一児の母の姿か? これが……。
おもしれー人妻。
なんか心の距離感縮まるなー自然と。たぶん誰に対してもこんな感じなんだろうな。人たらしの才能ありそう。
とりあえずイレヴン呼んでワンさんに挨拶させる。アンドロイド同士で色々話すこともあるやろからな。装備借りてたお礼もしないとだし。
で、その間に俺はトゥレスおじさんとマスター同士でお話だ。
「……ミルには、随分と殴られたよ」
「あはは。……そんな
「そうか? ……そうかもな」
どうやらシスターは怒りのままにトゥレスおじさんをボコボコにしたらしい。
昨日ルドルフさんが殴ったのと同じ理由だろうなぁ。シスターキレると怖いからなぁ。
でも殴られた、と呟いたトゥレスおじさんの顔が笑顔なので色々元鞘に収まったと思いたいね。
「……ロック。お礼のほかにもう一つ、お前に伝えたかった事がある」
「ん。なんすか」
「お前のお陰でワンとまた出会えて……俺が真剣に生きる理由を再び得ることができた。今更か、と呆れられても仕方ない話だが────これからは、俺たちも魔族の討伐に力を貸す。冒険者稼業の再開だ」
「おお! マジすか!」
更に伝えたかったことがあると言うので聞いてみれば、なんとトゥレスおじさんが本格的に冒険者として復帰するという事で。
さらに魔族討伐の一助となってくれるという事で。
オイオイここまで嬉しい戦力増加があっていいのかよ! 勝ったわ!!
「ワンと共に過ごす王都を魔族に荒らされてたまるか。俺の出来る全力を以て魔族を滅ぼす。お前に負担が行き過ぎないように、僅かでも力にならせてくれ」
「何言ってんすかトゥレスおじさん伝説の冒険者だったんでしょ? これほど心強いもんはないッスよ!! ……あ、でも無茶は駄目っすからね無茶は。せっかくワンさんと
「勿論だ。俺たちが……ここにいる皆が、王都の人々が笑って迎えられるような平和を、きっと掴もう。そのために俺の力を使ってくれ。お前の頼みであれば何でもこなすぞ、俺は」
「んなこと言ってー! 頼っちゃいますよトゥレスおじさんの事! 遠慮しないっすよ?」
「望むところだ」
ニヒルな笑みなんか浮かべちゃってンモー!! 若奥様殺しー!!
しかしまぁ冷静に考えて……こりゃマジで最強の援軍だぞ。
トゥレスおじさんはこの場にいる人のうち、俺の嫁達という常識を超えた枠以外のメンバーの中で言えば、恐らく最も冒険者としての才能があると言えるだろう。
なにせサザンカさんと一戦やり合っただけで限界突破を果たしてるんだ。
カトルやティオがイレヴンと何度も模擬戦してようやく超えて、他ヴァリスタさんやメルセデスさんが昨日だけでは超えられなかった壁をたった一戦で超えてしまうほどの才能。
知識も魔法もすべて極めた『万極』の称号を持ってる人なんだ。
ディストール王に太鼓判を押された強さの人が本格的に魔族との戦争に尽力してくれるならこれほど心強い事はない。
頼りにさせてもらいましょ。
他の人と比べて付き合いも長いから気安くお願いできるのマジで助かるわー。
「お前たちが来るまで組手の相手を務めさせてもらったが……改めて礼は言えたからな。この後王城に行き、ディストールと話してくる予定だ。ウォーレンとも打ち合わせて今後の策を練って来なければな」
「助かります! 俺もアンドレ様とかから指示貰って動いてるけど……正直なところ作戦立案とか全然分からなくてェ……勘が響いたらそりゃもちろん伝えるんですけど。能動的なの苦手なんすよね。俺頭悪いし」
「ふ。お前の勘が響き出したら無論のこと周りがそれに全力で応えなければいけないという大前提は変わらないが……そこに至る前に盤面でケリをつけられれば言う事はない。俺の過去を抉ったアイムにも落とし前はつけなければな」
「怖。……あ、でもアイムはデカパイ美女なんでこう、あんまり傷とかはつけてやってほしくなくてェ……どうしても殺さなきゃならなくなったら俺もンーンン……ってなりますけど拷問するならエッチな感じで留めておいて欲しくてェ……!!」
「安心しろ。その辺はわきまえている……吐き出させる情報をすべて吐き出させて、その上で魔王軍に対してどのように人類が立ち向かうか詰めていくさ」
色々とトゥレスおじさんと打ち合わせる中で……なんか、なんだろ。
トゥレスおじさんも随分と喋るようになったなーって感想がちょこっと胸の内に浮かぶ。
いやまぁこれまでも俺やティオに対してはかなり喋ってくれる方だとは思ったんだけどね。それにもまして無口だったからねこの人。
やっぱ奥さんと会えたからなんやろな。愛の力ってすげー。やる気に満ち溢れてるぜトゥレスおじさん。
こりゃさらに俺の仕事が減って助かりますわね。本格的な侵攻作戦とかそういうのが決まるまでのんびりできそうだわ。
その間に嫁さんたち全員抱きたいしヒルデガルドさんも抱きたいしあわよくばアイムのデカパイもこの手に抱きてぇなぁ!!
ご褒美えっちいっぱいしてぇなぁ!!(欲望)
「……では、俺たちは行く。カトルはまたヴァリスタに預けてレベリングに努めてもらうが……アイツも母譲りの魔力炉心が起動したことで随分と力を増したようだ。お前の力になれるだろう」
「っすよねー。今のカトルならトゥレスおじさんでも不覚取るんじゃない?」
「ふ、かもな。……これからもカトルの事をよろしく頼む」
「そりゃもう言われんでも、ってやつっす!」
「ああ、ありがとう」
最後に珍しく父親らしいことを話して、イレヴンと話してたワンさんを呼んで二人で転移陣を使って王城にワープしていった。
ううむ。物凄くこう……何とかなりそうな気がしてきた!
後は全部トゥレスおじさんに丸投げでもいいのではないか???(素の疑問)
「……マスター」
「ん。どーよイレヴン、ワンさんと色々話せた?」
「ええ。彼女は随分と……元気な感じと言うか。私とは違う性格でしたね。私も別個体のアンドロイドと話すのは初めてだったのですが……」
「まぁなー。俺もトゥレスおじさんの奥さんがあんなに元気系だとは思わなかったよ。……仲良くなれそう?」
「ええ、それは間違いなく。誰にも愛されるような子ですね、彼女は」
「子とか言うけどあれでも一児の母なのすごくない? 正直俺かなりグッときたところ無きにしも非ず」
「人妻に欲情するなクソマスター」
「痛ァい!」
イレヴンも俺の所に戻ってきて、僅かに話しただけも好感触だったという感想を受け取った。
あれで人妻だもんなぁ……すごいよなぁ。
なんだろ。こうさぁ……元気なんだけどその中に……なんつーの? 『ロックくん』って呼んでくれるところとか……私の息子と仲良くしてくれて~とかいうところのさ……時々ぽろっと零れる年上人妻感? っていうの? すごくない??
いやもちろん他人の女に手を出すクソ野郎になるつもりはないので全くそういう方向で口説こうとかそういうのはないけどさ。カトルのママだしさ。
でもそれはそれとして……すごかった。存在がえっちだった。
新たな性癖の扉が開いたかもしれん。シスターもママなんだけどあれは純粋に実母的な意味でのママだったからなぁ。
子犬系元気いっぱい人妻一児の母。アリだと思います。
なんてくだらない事考えてたらイレヴンにひっぱたかれた。
最近こういうツッコミ受けてなかったからなんかちょっと嬉しい。イレヴンすき。