勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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150 地獄の九所封じその八!! 零の悲劇~~~~!!!

 

 

「マスター!! ひどいですよ裏切りですよー!? 私にあんなに愛を囁いてその気にして赤ちゃんまで作ったのにNTRなんてー!? 私の事愛してるんじゃなかったんですかー!? おっぱいか!? やっぱおっぱいのデカさなんかー!?」

「違う」

「浮気して許してやるのはせいぜいミルさんまでくらいですよ!? 15年寝てたって聞いてあっこれミルさんとくっついてるよね……って不安になってたんですよ実は私!? でもミルさんに直接聞いてもそういうのなかったって聞いてよかったーってなってたのに!! まさかまさかの魔族!! こんなメス犬を選ぶとはこのワンちゃん激おこですよー!?」

「落ち着け」

 

 先程の話……今アイムへの命令権を所有している俺からトゥレスおじさんが引き継いで、アイムの管理を任されるという件を受けて、ワンさんが発狂してしまった。

 ぴょーいとアイムの背中から飛び降りて物凄いぷんすこ顔でトゥレスおじさんに詰め寄っている。

 独占欲強いタイプだったんだなワンさん。いやそうでもないか?

 シンプルに自分の感情をぶつけてるというか。まぁそりゃ蘇った翌日に15年間別離の時を過ごしてきた夫の浮気に不安な所もあったのかもしれない。

 

 だが流石はイケメン若奥様殺しのトゥレスおじさんであった。

 

「やっぱり私のマスターは裏切るんだよなぁ最後になー!! あーあーワンちゃん怒っちゃいましたー浮気されて怒っちゃいましたー!! 15年の時の流れは残酷にもマスターの愛を失わせるに十分なじかんむっ…………!!」

「─────────」

「……ン───っ……♡」

 

 有無を言わさず。

 ンモーって喚くワンさんの肩を引き寄せて、唇を奪い言葉を止めた。

 ヤダもうカッコよ!! こういうの異世界転生チートさんの本で見たことあるわ!!

 そんでキスされたワンさんも一瞬びっくりしたようだが受け入れるようにそっとトゥレスおじさんの胸に手を添えて、瞳を閉じて愛する夫の唇を味わい始めて。

 

 ……何を見せつけられてるんだ俺たちは??

 

「───っふぅ。……ワン」

「ぷはぁ……♡ ……んっ。はい、マスター♡」

「この15年、ひと時たりともお前の事を忘れたことはなかった。俺がこの世界に生きる意味である愛するお前を俺が裏切ることはない」

「────っ♡」

「だから……そんな悲しい事は言わないでくれ。誤解させたのは悪かった」

「……しっかたねぇなー!! まったくもー!! マスターったら私の事好きすぎるんですからー!! じゃあ許してやっかー!! 私も言いすぎてごめんね!! マスター大好き!!」

「ああ。俺も愛している」

「やだもー!! んじゃお返し♡! んー♡ ちゅっちゅ♡」

「ん」

 

 何を見せつけられてるんだよ俺たちはよォ!!!(呆れ)

 なんだよこの二人バカップルじゃん……完全にお互いの事しか目に入ってねぇよ……。

 ワンさんがとにかくなんて言うかテンション高くてすごいわこの人。

 常に明るくて前向きで可愛くて子供みたいに笑うのに、嫉妬深くて愛も深くて人妻で一児の母かぁ。

 こんな人どこにもいないでしょ他に。すげー人だマジで。トゥレスおじさんの女を見る目があり過ぎてすごい。

 

「……アリ、ですね」

「私もロックくんにキスで黙らされてみたいな~」

 

 俺の嫁さんたちが羨ましいもの見る目でワンさんを眺め出したからそろそろ話題戻そ?

 シーン切り替えだシーン切り替え! ※印3つ持ってきてー!

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

 さて話は戻して。

 

「アイムの命令権を渡すってのは全然構わないんスけど……トゥレスおじさんの方は大丈夫なの?」

「負担は気にするな。お前は常に自由に動けるようにしておかないと十分に勘のスペックが発揮されないだろう。ロックの勘による最終セーフティラインに現状では負担をかけるわけにはいかない。俺の方で管理した方が万が一が無くなるし、ヤバければそれを勘で察知してくれればいい」

「お心遣い無限にあったけぇ……じゃあそれはそれで。でもアレっす、命令権の譲渡っつっても俺やり方全然わからなくてェ……」

「そこも任せろ。やり方についても目途が立っている」

 

 アイムの命令権をトゥレスおじさんに譲渡し、トゥレスおじさんの方でアイムの命令等を今後管理していくということで決定。

 まぁ事は魔王軍の将軍の身柄の管理だからな。

 俺なんていう毎日適当に生きてる男に任せるよりはトゥレスおじさんの方が間違いないだろう。ウィリアム様もその方向で王族の了解とした。

 しかしそのやり方ってのが俺には全く分からん! 魔法関係未だに何にも分かってないマンだからな。

 ワンさん生き返らせるときは勘が全部答えを教えてくれたが今は特段勘が響いてたりってのはないし。トゥレスおじさんに任せるしかない。

 しかしそこは流石トゥレスおじさん。命令権の移管についてもアテがあるようで。

 

「俺とお前だけに共通する特殊な魔力回路がある。それを使うつもりだ」

「ん。トゥレスおじさんと俺の共通点……てゆーと、まさか?」

「そうだ。俺もお前も、()()()()()()()()()()()()()()()()。彼女たちの魔力回路と繋がるマスター特有の経路(パス)を持っているはずだ。アンドロイドの世代を跨いでも回路の仕組みは大きく変わらないだろう。それを同調させて命令権の譲渡を行う」

「おお! なるほどなぁ! ……いや具体的にどうやればいいかは分かんないすけどなんかできそうな気がしてきた!」

「譲渡にかかる術式は俺が編む。お前の勘にヤバそうな何かが響いてなければ問題ないはずだ。始めるぞ」

 

 お互いにアンドロイドのマスターやってるわけで、繋げてる魔力経路(パス)が体内にあって、それが似てるだろうからそれを繋いで譲り渡せる……ってことか。

 なるほどなー。ぶっちゃけ俺自身は経路がどんな感じなのかとかさっぱりわかってないけど、確かになんか上手く行きそうな気がするな。

 勘も特に危機を訴えてないし……いけるやろトゥレスおじさんなら。

 

「手を出してくれ。お互いの手を重ねて、俺の方でお前の経路(パス)を精査して同調させ、命令権を俺に譲渡させる」

「うぃっす」

『……みゃ……』

 

 言われた通りにトゥレスおじさんに手を差し出す。

 あれかな、イレヴンとやる新スキル解放する時の変な線が手に浮かぶ感じになるのかな。

 相手がトゥレスおじさんじゃないオッサンだったら握手とかマジでノーサンキューだけど、今回はトゥレスおじさんだ。王都でもお世話になってますランキング上位の人だし無礼は働かない。

 はい、と手を差し出して、その手をトゥレスおじさんがそっと握ってくれて。

 

 

「────魔力経路精査(パスプローブ)同調(チューニング)──────」

 

 

 トゥレスおじさんがなにやら魔法を操作したところ、やっぱり無数の光の帯がお互いの手から生まれ、全身を走る。

 別に痛みとかないのよねこれ。異世界転生チートさんの作品に出てくるようなカッコいいエモーションなんで実はちょっと気に入ってるところあります。

 駄目なんだ……特に味覚がね……。(例のシーン)

 

「…………?」

「……んー」

 

 しかし光の走査が長いな。

 やっぱり命令権を移すのって結構面倒なんかな? まぁトゥレスおじさんが失敗するとは思わないし俺は待つだけなんだけど。

 ちょっとトゥレスおじさんの表情が集中する感じになって……驚いた、のかな? 僅かに表情が動いたけど。

 でも元々マジで仏頂面のトゥレスおじさんだから表情の動きが小さすぎてわかんないわ!

 なに? 上手く行ってなかったりする?

 

「…………」

『みゃあ……』

 

 そのままなんかイレヴンのほうを向いたり、ミャウのほうを向いたりするトゥレスおじさん。

 なんか……何か不安になってきましたけど! 大丈夫なんですかねおじさん!!

 

 ……なんてちょっと心配したけど、しかしやはりというか、結局はさすトゥレ! で落ち着く話だった。

 

「……見つけた。────刻印回収、権利譲渡───対象、『絶対服従魔法(シュミテッド・ラヴァーズ)』」

「おー……!」

 

 トゥレスおじさんがさらに魔法を唱え、二人の握手から生まれる光の筋がぎゅんぎゅんって俺からトゥレスおじさんに流れるように走り……そして光の筋が消えていった。

 何か受け渡したっぽい感じの光り方だったな。

 でも俺の体はまったくもって何の不調も違和感もない。

 トゥレスおじさんも俺の手を離して、自分の方に引き継いだらしいアイムの命令権を確かめる様だ。

 

「……アイム、命令する。俺の問いに嘘偽りなく答えろ」

「はい、トゥレス様……!」

「ロック=イーリーアウスが所有していた『絶対服従魔法(シュミテッド・ラヴァーズ)』の命令権は俺に譲渡させた。俺が命令権を現在持っていることで間違いないな?」

「はい、間違いありません!」

「命令権の移管に欠損や瑕疵はないな?」

「ありません!」

「よし。ならば重ねて命令する。これから先、俺が貴様に命令する全てに対し、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「畏まりました……!!」

「続いて命令する──────」

 

 うん……大丈夫そうだね。

 命令権の譲渡自体は上手く行ったみたいで、トゥレスおじさんの命令にアイムが従ってるみたいだし。

 もしこれで俺に命令権がまだ残ってて、トゥレスおじさんの命令にアイムが嘘ついて答えてて……ってなっててもトゥレスおじさんは今や嘘を見抜けるし。そうでないってことは問題ないってことだ。

 助かるわー。肩が軽くなった気分である。

 そのままトゥレスおじさんが重ねてアイムに色々命令して、さらに拘束を完全なものとしている様だ。頭いいなぁ。

 

 ……いや、アイムのご主人様っていう立場ではなくなったのはちょっぴり惜しいなーとは思っちゃうけどね。

 デカパイクール美人だし。ドスケベ衣装だし嫌いじゃないし。ハーレムの一員になってほしかったところは無きにしも非ず。

 でもまぁ俺は今やイレヴンのマスターであって嫁さんたちみんなの旦那様だ。

 敵として俺らの仲間を襲おうとしたコイツに鼻の下伸ばし続けててもあんまりよくないもんね。

 戦争が終わって完全な平和が戻ってからトゥレスおじさんにお願いしてアイムのおっぱい揉ませてもらえればいいから……。(真顔)

 

「……うむ、トゥレス殿に任せられればこれほど心配の要らないことはないな。すまないねロックくん、急に色々お願いさせてもらって」

「いえいえそんな、いいんスよウィリアム様そんな頭下げなくてー! 俺の負担を慮ってトゥレスおじさんが受け持ってくれたのは逆に有難いですし! 俺なーんもしてないのでむしろ恐縮しちゃうって言うかァ……!」

「はは、君の働きで何もしてないと言われてしまうと、それ以上に何も出来ていない我ら王族の立つ瀬が無くなってしまうな。せめてこれから先の国同士の折衝や国民の守護には尽力させてもらうようにしよう」

 

 ウィリアム様からもお礼を言われたけどこの件については俺マジでなんもしてないからね! 呼び出されて命令権渡しただけで。むしろこの危機に迅速に気付いたトゥレスおじさんすごい! えらい! って話だから!

 恐縮してへへぇ……ってなりつつも、まぁでもここで俺のやれることはもうないかな。

 この後アイムからさらに魔王軍の情報を聞いてこれからの事を打合せたりするんだろうけど……そこに俺がいてもなぁ。

 ……いやでもあれか? 魔族に狙われてるイケメン男子一位の俺が人類側どうなってるのか知らないままってのもまずいのか?

 でも会議なんか参加しても今度こそ絶対寝落ちするし……そもそも今日は絶対休むマンだしなぁ……とか考えていたところで。

 

「……よし、ウィリアム。打ち合わせを再開しよう。アイムの束縛はほぼ完成させた。魔王軍の現状をさらに引き出して、人類側の動きを整理するぞ」

「承知した、トゥレス殿。……ロックくんはどうする?」

「いやぁ俺は──」

「───ロックはこういう会議には向いてない。参加させても眠くなるだけだ。後でまとめてルドルフに報告させる。ロックが自ら参加したいというなら別だが……どうする?」

「その方向で全く問題ないです!!」

 

 トゥレスおじさん無限に分かり手~!!

 俺が申し訳ないけど参加したくない、って言う前に俺の求める答えを導いてくれるの感激すらあるよ……やっぱ俺の事分かってくれてんなぁトゥレスおじさん!

 俺なんぞが会議に参加しても何にもならんし。俺らの内情はルドルフさんが伝えてくれてるだろうし、王族側がどんなこと出来て国同士の交渉で何すればいいとかそういうのさっぱり分からんし!

 適材適所。頭いい人たちの話は頭いい人たちに任せればええ!!

 

「マスターがこう言っていますし、私も今はレベリングに参加した方がいいでしょう。最も経験値効率が良いのが私なので、今は鍛えられるだけ鍛えておきたい」

「私は~……ホントは会議に参加するべきなのかもですけど~……」

「いや、ノルンも気にしなくていい。ノルンが今するべき最も重要な仕事は、愛する夫の身辺を警護し、護る事だ。ロックくんの傍にいて彼に危機が迫っていないかよく注意してやるんだぞ」

「あっ……はい、ありがとうございます、ウィリアム兄様~!」

 

 イレヴンもノインさんも今日は会議に参加せず。

 ウィリアム様もノインさんの事気にかけてくれてるなぁ。王族みんな家族思いだよなーってのはすごく感じますね。あったけぇ。

 

「じゃ、俺らは闘技場に戻ってレベリング再開してますんで。何かあったらまた呼び出してください。アイムの事よろしくお願いしますね」

「ああ。面倒な部分は全部こちらに任せて、お前たちは今は実力を積み上げておいてくれ」

 

 トゥレスおじさんに挨拶をして、俺たちは闘技場に戻っていった。

 

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