勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
さて到着したわよ闘技場。
リンが体をずもももーっと大きなドラゴンに変形させて、これからの西の遠征に俺とノインさんが向かうのだが、しかしその前に。
「それではマスター。出発する前に私の機能解放をお願いします」
「おっけ」
相棒のスキル解放をしてやらないとね。
昨日ベッドの上で愛を交わしながら誓い合った互いの命の結紐。
レベル200超まで育ったイレヴンがこれまでに獲得してきたスキルポイントを再び獲得したことで、相当なポイントの余分が出来てるからな。
これを適切に振り分けなければならない。魔王を倒すためとエッチな事に使いたいところあります。
ま、つっても今の時点で全部使い切るぞってのはしないけどな。
これまでと同じだ。いつでも使えるように余分なポイントは確保しておいた方がいい。
今必要なのは先日移植して喪った魔力炉心の増設。ここまでは戻しておきたい。
今後の事も見越して二つ増設して、メイン1つとサブ2つにすることでイレヴンとは話していた。
「では……
「んむむ」
指と指を絡めて手を握り、実の親の顔より見た回路の線がお互いの体に走る。
機能解放に伴う魔力のなんちゃらがどうたらして、イレヴンの体に新たなるサブ炉心が2つ生み出される。
駆動音とかも変わんのかな。1つの時と3つの時でイレヴンの体から流れる音がデカくなってたりしたらちょっと面白いんだけどな。
まぁ当然にしてそんなことはなく、イレヴンの外見には特に変化はないのだけれど。
今日の夜に届く予定の新装備が届くまでのつなぎの装備としてノインさんから貸してもらってる簡易な軽装のままで音も特に変化はないんだけれど。
「───機能解放、完了いたしました。……確かにサブ炉心が二つ増設されて問題なく稼働しています」
「おーよかった。どう? 強くなった感じある?」
「ええ、それは勿論。エクスカスタムによるツインドライヴがさらに乗算できますので、最大出力にすれば100分間は性能を10倍まで引き上げることができるようになりました」
「スゴーイ」
「あとは魔力貯蔵量や時間単位の生成量なども増えて……簡単に言えばタフになりましたね。マックスの出力部分はメイン炉心の強化で為されるので、それはそれでまた後で強化しましょう。それをすれば、もう将軍格でも触れるだけで即座に塵に出来ると思います」
「コワーイ」
『みゃぁぁ……』
聞けばタフさが増したという事で。
怒らないで聞いて下さいね。10分でも最強だったのにその10倍ってバカみたいな数字じゃないですか。
こ……こんなことが許されていいのか!? まぁ事実だからしょうがないけど。
このパワーアップに一番戸惑ってるのは俺なんだよね。
「タフって言葉はイレヴンさんのためにありますね~」
「アンドロイドはルール無用だろ」
「どうして急にノインとマスターは分かりみの深い顔で頷き始めたのか」
突如脳裏に溢れる異世界転生チートさんの作品語録。ノインさんも付き合ってくれてすごい数の信者が集まってきている!
まぁ改めて考えても、アンドロイドってのはとにかく成長の自由度が高い、って事なんだろうな。
ちょっと前にイレヴンと、あと150年前のアンドロイド事情にも詳しいノインさんとスキル解放について話したことがある。
ノインさん曰く『昔の冒険者は自分ができないことをアンドロイドに任せる形でスキル解放させることが多かったらしい』んだって。
例えばダンジョン探索で罠探知とかさせたり、魔法使いなら魔力タンクとしての役割を担ったり、鑑定スキル持たせてダンジョンで拾う未鑑定装備を鑑定させたり……みたいな。
そっちにスキルポイントを振って万能性を高めるか、俺みたいに移動以外は戦闘特化にするか……ってところで、戦闘特化にするにせよ対人特化にするか魔獣・魔族特化にするかとかもあるんだろうな、考えるに。
しかし俺らの場合はダンジョン探索系は俺の勘で何とでもなるし、鑑定だってトゥレスおじさんにお願いすれば何とでもなってたからな。
なんでイレヴンにはイレヴンが求める機能を彼女の願いに応えて解放させていた結果、魔族絶対殺すウーマンマシーンになったわけだ。
まぁイレヴン自身も喜んでるんで今後も何を解放したいのかはイレヴンの願いにこたえる形でよかろ。
「うっし。そんじゃイレヴンの機能解放もひと段落したし……そろそろ出発しますかね!」
「そうですね~。まだ午前中で、今から出発してリンちゃんの速度で回ればお昼の時間を考えても14時頃には帰ってこられると思います~」
「了解です。ではミャウはお預かりして……私たちは引き続きレベリングを」
「御三方に万が一はない物とは信じており申すが、どうかお気をつけて」
『みゃ!』
『それじゃあ、いってきまーす』
ミャウをイレヴンに預け、リンの背中に乗り、イレヴンたちや闘技場にいるみんなにも挨拶をして転移陣解放の旅に向かうのだった。
※ ※ ※
そして空を飛び回って2時間程度。
お昼まであと30分くらいの所で、およそ王都西側の近隣にある闇の魔素を回収し終えて街の転移陣を起動させ、極僅かに生き残っている魔族を見つけて塵に変えたりしつつ、次の街に向かう所であった。
「ノインさん、次はどこ行けばいいかな?」
「そうですね~、小さい村とかはトゥレスさんが廻ってくれるということですから~……大都市で言うと、南西に300キロくらいのところにある、歓楽都市『ローティリッチ』ですかね~」
『そろそろおなかがへってきた』
「だよな。300キロなら20分とかからず着けるだろうし……そこでお昼と行きますか。ローティリッチ、だっけ? なんか名産とかある所なんですかね?」
「それはもう、あそこは世界中の美味しい食べ物がいっぱいですよ~」
『たべものいっぱい!? いそいでむかおう!!』
「俺らを振り落とさんでくれよな」
「あは~」
ここまでの空の旅は順調そのもの。
東側よりも海や川が多いがその辺全くリンなら苦慮しないしな。距離的には東側よりも遠い町も少ないらしいから、本当に後数時間も飛び回れば大都市に転移陣を設置できそうだ。
そうしたらトゥレスおじさんや王都の魔導組合の偉い魔法使いとかが小さな町の転移陣はやってくれるってことだから、世界中を飛び回るのは今日が最後だね。
なんでリンにも美味しい物を食べさせてやりましょうね。ローティリッチという都市がどんなところなのかは世界地理の知識のない俺には全く分からんのだが、その辺はノインさんに聞けば答えてくれる。
「とにかくアミューズメントな施設がいっぱいあるんですよね~。美食のお店がいっぱいあったり、レジャーなテーマパークがあったり、大きなカジノもあって……そういう観光業が盛んな都市なんです~。だからリンちゃんも色んな国の料理いっぱい食べられるんじゃないかな~」
『びしょく!! なんかおいしそう!!』
「まぁ美味しい事には間違いないだろうけど」
「150年前はコラボイベントと言ったらローティリッチのテーマパークだったんですよね~。フルダイブVRで味わう各作品の世界をテーマとしたアトラクションがすごい人気があって~。ああいうの上手くVR使ってたなーって思いますね~」
「ノインさんがまたしても意味不明言語を」
「えへへ~。あの街は私も嫌いじゃないから久しぶりに行くの楽しみですね~。今も十分に栄えているはずですよ~。交通の便も海路と陸路がどちらも発達してますしね~」
「ほほーん……」
聞けばなるほど、観光業に力を入れている国だという事で。
王都もまぁ流石に世界で一番栄えている都市と言う事もあって住民は多く観光名所なども多いが、しかし観光オンリーで国が栄えているわけではない。ギルド本部があるから冒険者稼業とかでも稼いでる国だ。
しかしローティリッチは観光業一本。観光客向けの店や施設で稼ぎまくって栄えている国、と言うわけか。
そうなるとこの魔族騒動はローティリッチにとってもノーサンキューな事態だろうな。いやどの国だって魔族に襲われるのはNOだろうけど、戦争となれば当然にして最初に削減される出費は娯楽関係だ。
観光客が減ることで街自体が大変になっちまうかもしれん。やっぱ早い事魔族滅ぼしてやらんとな。
しかし。
それはそれとして、唐突に
唐突に叫び出すタイプのそれでもなく、しかし答えを求めて返ってくるタイプの勘でもなく……穏やかに囁き始めるタイプのやつだ。
いずれ、いつか、しかし必須の何かがある気がする勘の内容、それは。
「……カジノっての興味ありますね。行ってみたいな。ってか行った方がよさそう」
「ん~?」
『カジノ? ……ギャンブルするところ?』
「そう。なんか……行った方がいい気がするって勘が囁いてる……気がする。今すぐに! ってんじゃないけど……」
「おっとぉ~?」
そのカジノとやらに、いずれ俺が向かった方がいいという確信。
いや別にね? 行きたくないってのもないけどね? ってか行きたいなーとは思ってた時期はあったけどね?
だって負けないもん多分。
勘をフル活用すればまぁ……負けへんやろ。ギャンブルってたった2分の1を当て続ければいいんだろ? 余裕余裕。じーさんで慣れてるから。
ただまぁリンとイレヴンに会うまではこんなに速く移動できる手段なんて当然なかったし。冒険者始めるまでは金もなかったし始めてからもつい最近までは金がなかったし。ってか忙しくて行く機会なかったんだけど。
でも、今は金に余裕がある。
稼がなくても生きていける身分に何故かなっちまってる。
移動も転移陣が広がれば……それこそローティリッチにとっては渡りに船の話だろう。観光業に力を入れている国に、他の国からいつでも移動できるようになるのだ。
関税とか来訪にかかる料金とかその辺は王都の偉い人とかと色々打ち合わせるのだろうけれど……でもまぁ、転移陣が開けば俺らもいつでも行くことができる。
今日は図書館に行くことを心に誓ってるし、夜はサザンカさんと愛を交わしたいから行かないが……明日以降、いつかのタイミングでカジノには行こう。
遊ぶってのも悪い事じゃないしな。俺はともかく嫁さんたちはいつも訓練やこうした遠征で頑張ってる。息抜きも兼ねてってことで遊びの範囲で遊ぶ分には何も言われんやろ。
「ヒルデガルドさんとの約束の件もあるし、いつごろって話はまた決めますけど、いつかカジノ行きましょ、みんなで。息抜きがてら一晩くらい遊んでも怒られないでしょ」
「おお~……面白そうですね~! 勿論私はOKですよ~。カジノも楽しみだし~、ロックくんがカジノでどんなことをやらかすのかもかなり楽しみ~」
『おいしいものたべられるならいきたいなー』
「カジノは入場料を払えばいくらでも食べ放題ですよ~リンちゃん」
『いきたいっ!!!!』
「例のシーン」
「行きたいと言えェ!! ……ってそれは『生きたい』やろが~い」
カジノの予定も立てて、しかし今日は転移陣の起動とお昼を食べに行くのみで。
下見も兼ねて改めてリンが歓楽都市ローティリッチに向けて加速したのだった。
なおその後。
「メニューの、ここから……ここまで!! ぜんぶ!!」
「全世界制覇の瞬間だ」
「世界の料理を扱ってる店でまさかメニュー全部注文されるとは思いませんよね~」
観光客向けの高級店にお邪魔して、メニューに載ってた世界各国の料理をリンが全て注文し、俺らもたまに分けてもらったりして世界の料理に舌鼓を打つのであった。
店員さんが注文受けても全く動揺せず素早く料理を提供してくれたのは流石は高級店と言ったところか。味も上手かったです。
これはカジノも楽しみになってきたな。デカパイ美女のバニースーツとかいたら勘が最高潮になっちまうぜ。ぬへへ。