勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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159 どうして受付嬢は指名できないのですか? どうして……

 

 

「予算を勝ち取って来たぞロック=イーリーアウス! 全員分の宿泊費を国が出してくれることになった!!」

「活き活きしてますねヒルデガルドさん」

『みゃ』

 

 カジノに行くという予定を伝えた時点でヒルデガルドさんが王城に予算交渉に向かい、そして帰ってきて満面の笑みで報告されたのが今です。

 闘技場の舞台にはヒルデガルドさんが予算交渉している間に事情を説明して、一緒にローティリッチに向かうことになったメンバーが集まっていた。

 

「確かあの国の最高級のホテルはネレイスタウンでよく私達が使っているホテルの10倍の値段だったと記憶している……予算が出るのはありがたいな」

「そうですね。ここ最近のロック様のお傍で起きた騒動の解決でそれなりにクランの資金はまとまっていたとはいえ……全員分の宿泊費の負担がないのは大変に助かります」

「でもカジノで遊ぶ分は自分の財布かぁ……うーん、深入りしないようにしないと! 特に私は他のみんなに比べて稼げてないし……」

「ソプラノだったらアタシが無利子で貸してもいいけど? 闘技大会の賞金まだ余ってるしね」

「…………オレも、新しい魔装具を整えた時に、金を使ったからな。稼ぐチャンスだ、な」

「シミレさん勝てる前提なんだね!? いやまぁ負けたくはないけど!! 私はお兄ちゃんがカジノに行くって時点でやらかす不安しかないんですよね」

 

 まずケンタウリスの皆さま。ソプラノさんもマルカートさんも入れてフルメンバー(産休のテノールさん除く)での参加だ。

 戦争前の時点で既にメンバー全員に魔装具も行き渡っており、最近は特段の仕事もなくレベリングに従事していたが、いい機会として息抜きに参加してくれることになった。宿泊までセットである。

 

「ローティリッチのリゾートホテルは大変にサービスが良いと聞いている! のんびりできるとよいな、カプチーノ!!」

「ええ、そうねお兄様。他国のカジノなんて行けると思ってなかったからとっても楽しみ! ロックくんにもお礼を言わないといけないわね」

「カプチーノ様の付添はお任せください。わたくしも温泉が楽しみでございます」

「ロックの勘が響いてるって言う点を除けば気兼ねなく遊びに行けるんすけどね俺も。油断は出来ねぇなぁ……」

「ふむ。確かにカトルの言う通り、何かあるかもしれぬとは心掛けてはおこう。しかし気を張り詰めながら遊ぶなどと器用な真似は誰にもできない! ほどほどに緩めつつも、有事には働けるようにしておこう!!」

 

 そしてヴァリスタさん一家とカトル。

 ヴァリスタさんにもご家族連れてどうですかとお誘いしたところ、カプチーノさんを呼ぶことで万が一がないか、そういう勘は響いていないかを念入りに確認してきて。

 しかし今回のこのカジノ遠征の中で誰かがヤバくなるって感じの勘は特にしてないので大丈夫ではないかと伝えたところ、それならばと言う事でカプチーノさんとカノンさんを呼んで来て一緒に行くことになったのだ。

 カプチーノさんにとっては初めての王都の外への旅行のようだ。楽しんでくれるとええですね。

 

 これらの面子に加えて我らロック一家とヒルデガルドさん。

 えーと……俺、イレヴン、リン、サザンカさん、ノインさん、ヒルデガルドさん、ケンタウリス6人、ヴァリスタ一家+カトルの4人か。

 総勢16人+1キャッツ。このメンバーでローティリッチに向かい、カジノで遊んでくることになった。

 なんか異世界転生チートさんの作品の中であった修学旅行みたいだね。

 魔族との戦争がまだ本格化していない今だからこそ贅沢にのんびりしてきましょ。

 

「そんじゃ向かいますか。ヒルデガルドさんは過去に遊びに行ったことがあるんですよね?」

「ああ。なんならカジノのメンバーズカードも持っているぞ」

「ガチ勢。じゃあ案内お願いしていいですか?」

「うむ。あの街は竜人の翼で飛んでも王都から2日かかる距離にあってここ数年は中々足を向けていなかったが……変わってはおるまい。世界で一番享楽的で、治安もよく安全な国だ。存分に息抜きしてこようじゃないか」

 

 そんなわけでローティリッチに向けて出発!!

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

 つきました。

 闘技場舞台の転移陣使ったんで10秒の旅路でしたね。ハヤーイ。

 

「おお、ここがローティリッチか! 噂に聞いた通りの賑やかな街だな!」

「ふむ。確かに……人が多い。そして身なりが皆一様に整っている。金持ちが多いようだな」

「観光客向けの歓楽街ですからね~。物価もそれなりに高いですし、この街に旅行に来たり、暮らしていたりと言う人たちはやはり富裕層が多くなります~。安全も保障されている街ですからね~」

 

 ヴァリスタさん、メルセデスさん、ノインさんがそれぞれ所感を零し、他のメンバーも物珍しさに建物や景色を眺めている。

 ノインさんが零した通り……この街はとにかく安全の保障がすごいのだ。

 カジノの街、歓楽街と言う事もあれば、イメージするのはギャンブルの闇とか、裏のそれとかマフィアとか……みたいな想像も出来るかもしれないが、しかしこの街は違う。徹底的なクリーンを謳っている。

 具体的に言うと、()()()()()はできないようになっている。

 

「ローティリッチの全域にわたって一つ注意をしておこう。この街では────()()()()()()()()()。戦闘とみなされるような敵対行動、スキルの使用は街の守護結界を流用した構築術式でそもそもができないようにされているからな。襲われることはないし、襲う事も無論ないとは思うが……気にかけておいてくれ」

 

 ヒルデガルドさんが説明してくれた通りだ。

 俺も昨日この街に飛翔したときに街の入り口で説明を受けたが、このローティリッチという街では戦闘行動は許可されていない。

 街全体にそういう術式が組まれており、戦闘行動そのものができない。

 例えばここで俺がカトルとティオと喧嘩になり、いつものようにカトルたちがじゃれつき半分で俺に剣を振るおうとしても、()()()()

 その行動そのものができないようになっている。

 とんでもねぇ仕組みだと思う。よっぽど頭のいい魔術師がこの術式組んでるんだろうな。150年以上前からずっとこうなんだってさこの街は。

 

 まぁ逆に言えば悪いこと企んでも頭と金で何とかするしかないわけで、それはある意味健全な経済活動とも言えるし。

 暴力で全てを解決するような脳筋はこの街にはそぐわないという事だ。知恵と運で一攫千金も目指せる、大人の社交場ローティリッチ。

 なんでいっぱい遊んでいかねぇとなぁカジノでなァ!!

 俺の勘に頼ればカジノをパンクさせてやるのも夢じゃないぜェ!! 目指せ一攫千金!! 王都中の孤児院に金を寄付してやるのさァ!!

 

「では早速向かうか。この街で最も権威があり、最も格式高く、最も多くの人が集まる……統合型リゾート施設『エーリュシオン』へ」

 

 ローティリッチの入り口付近にある転移陣からでも見渡せる、高い建物が集まる街の中心部。

 そこが今回向かうカジノだ。近くにホテルや観光客向け施設も集まる、世界一有名な遊技場。

 みんなでそちらに足を運ぶのだった。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

「──ようこそ、『エーリュシオン』へ。団体でのお客様のご来訪、心より歓迎申し上げます」

 

「むッ! ドスケベ受付嬢……ッ!!!」

「マスター落ち着いてくださいマジで」

「お前嫁さんこんなにできたのにまだ満たされてねぇのか欲がよ」

「お兄ちゃんはさぁ……」

 

 リゾート施設の入り口、受付の施設があってそこで入館の手続きを行うらしい。

 ものっすごい美人でスタイルのいい受付嬢さんが大変ご丁寧な仕草で出迎えてくれた。やだ腰つきえっち! すっごいエッチですよそのパンツスタイルのスーツ!!

 だがイレヴンとカトルとティオに釘を刺されて俺は己の中の可能性の獣を封じ込めた。いかんいかん。可能性の獣は今夜まで取っておかなければなるまい。

 昨日サザンカさんにあんだけ絞られはしたけどカジノと言えばバニーガールだからな。すぐに俺の煩悩は満タンまで回復してしまうだろう。俺が世界最強だ。待ってろよヒルデガルドさん。

 

「ヒルデガルド様は久方ぶりのご来訪となりますが、初めてこの施設をご利用になられる方々が多いようですので、施設利用に際しましてのご注意点をご説明をさせていただきます」

 

 全員分の宿泊費用を先払いで支払い、受付嬢さんからの説明を聞く。

 

「『エーリュシオン』では、この街全体と同様に、戦闘行為は禁止されております。また、お客様同士での諍いも無いようにお努め下さい。万が一そのようなクレームが入った場合には、即座に退去いただき、以降は無期限の出禁の扱いとなります」

「マスターは本当に女性客や従業員への態度気を付けてくださいね」

「努力目標」

「宿泊費を頂いておりますので、明日のチェックアウトまで、この先のリゾート施設の全ての飲食、設備利用の費用は無料となります。ドレスや礼服、プールで利用する水着などのレンタルもございますので、心征くまで当施設をお楽しみいただけますと幸いです」

「え、全部無料なんだ! すごーい!」

「…………流石に、宿泊料がバカ高いだけはある、な」

「ごはんが……タダでむげんにたべられる……!?」

「そうだぞリン。私がこの施設を愛用する理由の一つだ」

「そして最後に、カジノのご利用にかかるご注意点でございますが……」

 

 まず当然ながら戦闘行為はNG。無論の事客同士で諍いとか起こしてもNG。

 えっちな女性にえっちって言っても駄目なのかな。エッチなほうが悪いと思うんだけど。どこまでOKかセーフなラインを見極めなければ。努力目標。

 そして施設内の飲食や利用は全部タダということで。これは太っ腹だ。

 まぁそんだけ宿泊費用がバカ高いからそれも当然っちゃ当然か。寝泊まりする部屋を借りるにせよあんだけの金額は払わないし……豪遊したとしても元が取れるって計算なのかもね。

 ただ我々のパーティにはリンとヒルデガルドさんがいる。ドラゴニュート二人の胃袋がどれだけ満たせるか楽しみにしておきましょう。

 

 そして受付嬢さんが最後に説明するカジノの利用方法について、それを聞いた俺たちに衝撃が走る。

 

「カジノにある各種遊戯方法についてはテーブル傍にいる従業員にお問い合わせください。そして何よりも重要な一点。カジノ施設内では────()()()()()()()使()()()()()()()()()

「ほほう!! それは何とも面白い縛りだな!!」

「スキルの使用禁止か……いわゆる直感スキルや魔法類を使ってしまえばイカサマなども考えられる。それを防ぐための措置と言う事だな。しかし使っているかどうかをどのように判断するのだ? ディーラーが見抜くのか?」

「いいえ、この街全体が戦闘行為を禁止されるような術式を編まれているように、当カジノ施設においては国営の協力でスキルの使用についても制限がされるようになっているのです。スキルを発動することすらできません。その点を何卒ご留意いただきますようお願いいたします」

 

 カジノ施設内じゃスキル使えないんだって。

 わーお。こりゃスゲーわ。あくまで平等に運と実力で勝てって事ねカジノでは。

 まぁ看破魔法やら自白魔法やら映写魔法やら、ちょっと考えるだけでもいくらでもイカサマできそうだもんね。やろうと思えば。

 

「……ひとつ質問だ。悪いが私は見ての通り、馬体があるため体重が極めて重い。普段から重力操作系の魔法を利用して重さを軽減しているが、それが無ければ普通の床では穴が開くこともある。勿論魔法無しでも体は支えられるのだが……この場合はどうしたものか?」

「ご安心ください。全てのお客様にご満足いただける様な空間を当施設は目指しております。たとえ施設内に伝説のドラゴンが現れたとしても床は抜けないよう、強靭に建設させていただいております。勿論ドアの広さやお部屋の広さなども、ご満足いただける作りになっているかと。もしもご不満な点がおありでしたら、ホテルやカジノのフロントサービスに申し伝えください」

「なるほどな。大したものだな」

 

 んでその内容に普段から重さを軽減する魔法を使ってるメルセデスさんが色々質問してたが、普段からスキル使ってる人なんかがいたらちょっと大変かもな。

 しかし俺らの面子の中に普段からスキル使ってる人なんて……いないよな?

 サザンカさんの呼吸法はあれただの呼吸だからスキル扱いじゃないって前に言ってた気がするし。流石にドラゴニュートの二人もドラゴン形態から変身することをスキルとは言わないだろうし。カジノに入った途端にドラゴン形態になったらヤバいけどヒルデガルドさんが普段使ってるなら大丈夫だろうし。

 俺なんて捌き斬りしかスキル持ってないし、護りの指輪は出番ないだろうし。

 

 しいて言えば……イレヴンか?

 アンドロイドと言う人外の存在。もしかしたら稼働してること自体をスキル扱いされたり……するのか?

 いやしないか。しないだろ。受付嬢さんも確認しなかったし多分大丈夫やろ。

 宿泊者名簿にはイレヴン=イーリーアウスで名前書いて別にどこにもアンドロイドって記載しなかったけど……言われてないってことは何とかなるやろ!!

 

「今申し上げました各種注意事項をお守りいただけるならば、たとえ()()()()でも、(わたくし)共は完璧なサービスをご提供いたします。それでは改めまして、『エーリュシオン』へようこそ。お客様方を心より歓迎し、素敵な体験を得られることを御祈念申し上げます」

 

 最後に恭しく受付嬢さんが頭を下げて、俺たちはリゾート施設『エーリュシオン』にお邪魔することになった。

 

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