勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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162 俺には聞こえる……デカパイ三種の声……!!

 

 ここはローティリッチが誇る総合リゾート施設『エーリュシオン』にある、世界最高峰のカジノ遊技場。

 

「でっっっか……」

「おっきいねー」

 

 入場前に現金をチップに換金し、嫁さんたちそれぞれに均等に渡して、一先ず何か起きるまでそれぞれのんびり遊んで楽しんできましょ、ってことで各々解散していって。

 しかしヒルデガルドさんがいの一番にポーカーの台に突撃してしまって、お姉ちゃんが不在になりリンがしょんもりしてたので付き添って歩いてるのが今の俺である。

 

 しっかしカジノでっっっか。デーーッカ。マジで広いわコレ。

 さっきのプール施設もそうっとうデカかったけど……建物の中だってのに同じくらいの広さがある。

 見渡せば、そこかしこにカジノの遊技台……っていうのかな? ルーレットやらサイコロ振る所やらトランプで遊ぶところやらスロットマシーンやら。それが何セットもずらっと並んでる感じで。

 施設全体に渡ってかなりオープンな造りになっており、ソファとテーブルが並ぶ休憩スペースや、食事休憩が出来るスペース、喫煙フロアや仮眠室なんてのもあって。

 飲み物や軽食なども道行くバニーガールさんにお願いすれば持ってきてくれるみたいで……いやー。すごいわコレ。セレブになった気分。

 

 変な話だけど、多分ここはカジノのゲームで遊ばなくても、他にも楽しみ方や使い道がいっぱいありそうな感じだ。

 実際に商談にここを使っている人もいるようだ。遠い所のソファを見れば、明らかにお偉いさんな感じの老紳士が対面に座りながら、お付きの人たち連れてなんか話してたりするし。

 

 戦闘もスキルも介入の余地が一切ない、ありのままの自分でいられる空間。

 そこにはいろんな人の欲望と夢が混ざり合う、享楽的なパラダイスの様相を見せていた。

 

「とりあえず……リン、何か遊んでみるか?」

「ごはん!」

「知ってた」

 

 さっきあんなに昼飯でバイキングを滅ぼしていたというのにこの小さくてかわいい俺の嫁さんはすっかりお腹を減らしているらしい。

 お腹周りはいつもすっきりしてて今もドレスがピッタリサイズなんだけどな。食ったもんどこに入ってんのやろマジで。体重も変わってないみたいだし……ドラゴニュートの生態ってふしぎねー。

 まぁ俺もすぐに一勝負! ってテンションでもない。

 まずはゆっくりカジノの空気に慣れていきましょうかね。

 

「スパークリングオレンジで」

「ごはん!! メニューのうえからしたまでぜんぶ!!」

 

 そんなわけで色々あるスペースの中から食事処みたいなところに一度腰を落ち着けて、リンが怒濤の注文を果たしているのを横目にスパークリングオレンジ飲みながら周辺の様子を探ってみることにした。

 先程はそれ以外の部分を見ていたが、実際にギャンブルが行われているゲームフロアを眺めてみる。

 どの卓にもそれなりに人が集まり、歓声と悲鳴が混ざり合った音が聞こえてくるが……しかしよく観察してみると、テーブルごとに遊戯している客の熱量に違いが感じられた。

 ふむ。この辺どうなってんやろ?

 聞いてみるか。

 

「……もしもーし。そこのお綺麗なバニーガールのお姉さーん」

「はーい♡ 何か御用でございますか、お客様♡」

「ヤダ可愛いお声。ちょっとここ来るの初めてで、聞きたいことがあるんですけど……」

 

 道行くデカパイバニーガールに声をかけると、猫なで声を出しつつも気品と妖艶さの溢れる所作で近寄ってきて、俺の話を聞いてくれる。

 デカパイに感謝を込めつつ聞いてみるのは、今ギャンブルしてる人たちの熱量の差だ。

 

「なんか……この施設全域の、こう、外周側? っていうんですかね。その辺りで遊んでる人たちの雰囲気は緩い感じなのに、中心部に行けば行くほど……熱くなってるって言うか、そんな感じがするんですけど。なんかゲーム台ごとに違いってあるんですかね?」

「はい。当カジノでは、台ごとに賭けるチップの下限と上限が設定されておりますわ。恐らくはその違いで、入れ込み具合も変わっているのかと思います」

「ほほーん? ……具体的にいくらな感じで?」

「外周側ではミニマム1万G、マックス10万G。中心部に行けば行くほどレートは上がりまして、最中央の台を除けば、最もレートが高い台はミニマム500万G、マックス5000万Gとなっております」

「おっほぉ……!!」

 

 聞けばなるほどすっげぇ話が零れてきましたわ。

 なるほどなぁ……台ごとに遊べるレートが決まってて、外周部はセレブ層にとってはいわゆる()()()の範疇で済むレートなわけだ。だから喜怒哀楽も熱が薄い。

 しかし中心部に向かえば向かうほど鉄火場になっているというわけね。すげーわ。一番高いレートだと俺の手持ちの金だと2回遊んだら終わるね。手持ちの5000万Gを5分割して俺、イレヴン、ノインさん、サザンカさん、リンに分けたからね。

 まぁ王都の金庫に繋がってるからここで素寒貧になっても生きてく分には問題ないんだけど。素寒貧になるつもりもないんだけど。

 

 ところで、バニーガールさんのお話の中で気になる点が零れていた。

 

「ちなみに……最中央の台ってのは、あの……あれ、上の映写魔法投影板に客の映像が流れてるヤツだよね?」

「はい。あちらは当店の目玉であり、世界最高のギャンブルをお楽しみいただけるルーレットゲームとなっております。ミニマム1000万Gとなり、マックスの設定はございません」

「青天井ってわけね……」

その通りでございます(E x a c t l y)

 

 聞けばあの建物の中央にあるルーレットは青天井台と言う事で。いくら賭けてもいいけれどいくらでも負けちまうという凄まじい台のようだ。

 ヤダ怖い。でもミニマム1000万Gなら一回は挑戦できるな……。

 

「……差し出がましいお言葉かもしれませんが、慣れるまでは身の丈に合ったレートの台を選ぶのがよろしいかと思いますよ、お客様」

「ンーンン」

 

 バニーガールさんが耳元に顔を近づけて、囁くように忠告してくれた。やだえっち。

 くすぐったくなって首をふるふるすると、くすっと微笑んで離れていくバニーガールさん。やだもー! ガキじゃないんですよこちとらー!!

 でもまぁ今の格好アレだもんな俺。貴族の次男坊みたいな浮いた礼服だもんな。

 そんな場にそぐわぬガキを見て年上のお姉さんらしく忠告してくれたって所か。幸薄い顔してるもんな俺なぁ。

 

「他に聞きたいことはございますか?」

「あ、いや聞きたいことは一先ずOKっす。ありがとね綺麗なおねーさん。ついでに俺と今度デートして見ません?」

「あら、うふふ。ときめいてしまいますね。お仕事でここにいなければ頷いていたところです。それではお客様、どうぞ心征くまで当カジノをお楽しみくださいませ」

「逃げられた……」

 

 聞きたいことも聞けたので最後にナンパを試みてみたところ、大人な微笑みを見せて優雅に逃げていった。

 なんやクソー。世界を救った英雄やぞこちとら!! 

 ……なんて張れる胸もねぇもんなぁ。胸張れるほど大したことした覚えがねぇもん。

 まぁこの街では俺の顔も大して売れてねぇんだろうな。名を名乗ってるでも無し。傍目にはただのガキだもんね俺。カトルとは大違い。

 

「……さっきのおんな、()()()()()()()

「知ってるゥー」

 

 デリシャスでボリューミーなハンバーガーをもっちもっちしているリンが、話を終えて去っていくバニーガールを眺めながら忠告してくれるが、そんなことは俺もわかってる。

 あれはね、お世辞って言うの。大人のやりとりなのよ。

 分かってるから俺もノーダメージだし! ししし!!

 

 ……さて。

 実はリンの嘘を見抜く能力が生きてるんだよね、カジノ内でも。

 これについてはヒルデガルドさんにカジノに入る前に教えてもらったことだ。

 カジノ内では戦闘行動、及び()()()()使()()はできないが……スキルではない能力ならば有効なのだ、と聞いている。

 いわゆる権能、と呼ばれる力だ。

 リンやヒルデガルドさんなどのドラゴニュート原種(オリジン)に共通する、嘘を見抜く能力。これはカジノ内でも有効なのだ。

 他にも今この中にいる面子で言うと、メルセデスさんやティオといった人間ではない種族が持つ魔力回復の権能や、カトルの魔力炉心なんかも問題なく稼働している。

 抜け穴があるという事で。だからこそヒルデガルドさんはこのカジノを愛用しているわけだ。

 嘘を見抜ける。それだけでどんだけギャンブルで有効になるかって話ね。ポーカーで負けなさそう。

 

 そう。

 すなわち俺の勘も、問題なく働くというわけだ。

 

「────むっ!!」

 

 そして響き始める俺の勘。

 いやごめん嘘。勘ではなくて性欲。

 前々から響き続けてる勘はまだ何がどうヤバいっていう答えを返しておらずフラットなラインをキープしているが、今俺が反応したのは何気なく見ていた中央のルーレット台、そのゲーム風景を移す映写魔法投影板だ。

 異世界転生チートさんの作中に出てくる大型ビジョンのようなそれで映し出されているルーレット台……そこにいるディーラーの女性が余りにもドスケベだったので目を奪われてしまったのだ。

 

「いい……褐色デカパイディーラーとは……ッ!! やりよるッ!!」

「またロックがほかのおんなにめうつりしてる」

 

 見ろよあの性癖の坩堝のようなドスケベディーラーさんをよォ!!

 褐色ッ!! スラッとツリ目気味でアイシャドウのかかった瞳ッ!! 妖艶さを醸し出す口紅ッ!! 丁寧に切りそろえられたぱっつんボブカットの黒髪ッ!! ディーラー衣装から零れ落ちそうなデカパイッ!! ほっそいウエストッ!! でっかいケツッッ!!!

 ありゃ凄まじいごっくんボディですばい……!!(震撼)

 

 なるほど。

 あんなドスケベクイーンがディーラーしてりゃあ人気も出るわ。誘蛾灯という言葉そのものだ。

 実際に座ってるのは富裕層っぽいオッサンばっかりだ。負けるのもステイタスになる、ということだろうか。

 まったく金の使い方間違えてますよオッサン共。

 

 だが俺の前であれ程のドスケベをお出しされてはこちらも抜かねば無作法というもの。

 ちょっくら楽しんできちゃおっかなー!! ギリ一回は遊べるからなー!!

 

「よし……リン、俺ちょっと一勝負してくるわ」

「いうとおもった。わたしはここでごはんたべてるね」

「カジノの楽しみ方間違えてんぞお前」

「いいの。あとでヒルデガルドみつけてちょっとはあそんでみるつもり」

「そか。渡した金は全部使っちまってもいいからな」

「うん」

「俺が使った金ぜーんぶ稼いで来ちまうからなァ!!」

「ほどほどにね」

 

 そんじゃ早速向かいますかねグヘヘ。

 俺の勘は絶好調だ!! 怯えろ!!

 ミニマム1000万Gマックス青天井に設定したのを後悔するんだなァ!!

 このカジノの金全部がっぽり俺のモンにしてやるからよォ!!!

 

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