勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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17 眼鏡キャラが眼鏡外すのはいろんな意見があるのは分かるけど個人的には永続パージじゃなくてキャラ変化とか覚醒シーンとか肝心な時に外す分にはありかなって

 

 

「─────お嬢様、そろそろお迎えのお時間でございます」

「あら~、もうそんな時間ですか。残念です」

「急な執事カットイン」

「ノインさんの御付きの執事さんやね」

 

 俺が魔力操作に目覚めて女性陣にドン引きされてたところで、唐突に執事さんのカットインが入った。

 白髪でヒゲの生えてるお爺さんなんだけど背筋はシュッとしてるし執事服めっちゃ着こなしてるし……何だろう、キャラが強い。

 片目モノクル執事は強者の証だって異世界転生チートさんの本で学んだからな。きっと強いぜこの執事さんは。

 なお名前は知りません。聞いても教えてくれないんだもん。

 

「ふふ~、でもロックくんとも感想戦できましたし、イレヴンさんとも知り合えましたし~……ロックくんのお手伝いができて今日は楽しかったです~」

「いやこちらこそマジで丁寧に教えてもらって有難うございましたノインさん! 何かお礼をしたい所……あ、今日はここのお代俺が出しますよ! 最近出来た新ダンジョンでめっちゃ儲けたんで!!」

「あら、いいんですか~? それじゃあごちそうになりますね~」

「いやな予感。マスターもしかしてこれまではノインに奢ってもらってたりしました?」

「9割くらいは奢ってもらってたかな」

「愚鈍の極みがよ」

「いいんですよ~、ロックくんと一緒に話し合える時間が私にとっては何より楽しいんですから~。また新刊が出るころに会いましょうねロックくん~、ミャウちゃんもイレヴンさんも~。それでは失礼します~」

「失礼いたします、ロック様、イレヴン様、ミャウ様」

「はい、また会いましょーねノインさん!」

「ごきげんよう、ノイン」

『みゃあ!』

 

 温かい言葉をノインさんに頂き、手を振って挨拶して別れた。

 執事さんが馬車を手配してるんだよね。それで帰っていくノインさんたち。俺にとっては見慣れた光景でもある。

 日常的に馬車使う身分の人って俺ノインさん以外に見たことないけど。きっと偉い人なんやろなぁ。

 

「あれ程気品とやさしさと美貌に溢れた女性とマスターが関わりを持っていることがいまだに信じられません」

「失礼な。人徳ってやつやぞ多分。ノインさんも内心ではきっと俺にホの字ってやつよ……!!」

「言い回し古くないです?」

「俺を貫通して人が死ぬからやめてやってくれ」

 

 まぁイレヴンは俺がノインさんと仲がいいのに疑問符しか湧いてないようだけど。ええやろ別に俺が美人とお知りあいでも!!

 ……でもよく考えると俺のまわりの女性の知り合いってイレヴンとティオとリンとシスターとビブリオティックさんとノインさんくらいで……あれ? 余りにも女性の知り合いが少なくない??

 両手の指で事足りたわよ? 余り4よ? 二桁にもいかない数なの悲しすぎない??

 ハーレム作るにしても余りにも少なすぎない?? しかも知り合いの内ティオとリンとシスターとビブリオティックさんは流石に対象外だからなんか……少なくない??

 ケンタウリスのメンバーとは一度パーティになってるから顔と名前は分かるけど俺がギルドで声かけてもティオ以外からは無視されるし……ギルドの受付さんは物凄い不機嫌な顔してるし……。

 ちくしょう世知辛ぇなぁ!! 思わず涙が滝のように零れてしまいます。

 

「急に泣き出さないでくださいキモいな。情緒不安定すぎませんか?」

「俺の特技です。泣くの得意なんだよね。泣いた後ってスッキリするし」

「ガキですか。ガキでしたね。はぁ……まぁ、とりあえずマスターが魔力操作のいろはのイは覚えられたのは喜ばしい事で。今日はこの後どうしますか」

「んー。結構時間経っちゃったし、街中ぶらつきながら時間潰して……夕方になったらリンを迎えに行って帰ろっか。夕飯のおかずもたっぷり買いこんでいこーぜ」

「了解です。私の調べものもある程度済みましたし、あとはマスターに付き合いますよ」

「それは例えば……お宿でご休憩的なやつでも!?」

「殺すぞ」

「ごめん」

 

 話のノリで誘ってみたけどやっぱりイレヴンはお堅いわね! ちぇー!

 まぁいいや。おすすめの出店とかいつも使う商店街とかも紹介したい所だったしな。バイクの練習はおいおいでいいやろ。

 ミャウをフードにしまって、俺達も会計を済ませてカフェを後にする。

 

 その後は平和な一日を過ごして、リンもしっかりお迎えに行ってみんなでご飯食って風呂入って寝た。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

【side ノイン】

 

 

 がたんごとん。

 私専用の馬車……()()()()と呼ばれる、搭乗者が魔力を注ぎ込み揺れを抑えたり馬の進路を調整したりできる、最新式の乗り物に乗って帰路につく。

 もちろん魔力を操作しているのは私だ。生まれてからずっと鍛えられている私の魔術の腕前は、王都の金級冒険者と比較しても容易く上回るであろう。レベルも相当あげたし。

 やっぱり()()()()()()()と効率が違う。鑑定スキルも最上級のを覚えてるから装備の隠されたステータスとかも見えるし。経験値効率アップ装備全身につけて鍛えましたよ幼少時代は。

 今日はもう民に姿を見られることはないので、眼鏡も外してふぅ、と一息ついた。

 

「……()()。今日はどうやらロック様と随分と楽しいお話をされてきたようで」

「おや、ルドルフにも分かりますか〜? ふふ、素敵な出会いがあって、素敵な目覚めにも立ち会えました〜」

「よいことです。しっかりと息抜きができたのであればこのルドルフもお忍びの手配をした甲斐があります」

「いつも苦労を掛けますね〜」

「なんの」

 

 馬車の中、正面に座る私の付き人……ルドルフにも私が楽しそうな雰囲気を出しているのが察せてしまったようだ。

 なにせ今日は随分と驚きのある一日だった。そう、特にロックくんが見つけたというあのアンドロイド。

 

 イレヴン。

 この世界……『Advanced Imaginary Online』がサービス終了の直前に実装がほのめかされ、そして結局実装されなかった幻の11人目のアンドロイド。

 それがまさか今の時代に発見されるなんて思ってもいなかったから。

 

(新シナリオの発表と新しいアンドロイドの実装のニュースがあった後に、急にサ終しちゃったんだよね)

 

 この世界に転生する前の記憶を思い出す。

 私はいわゆる異世界転生というやつだ。元の世界、このゲームが存在した世界ではアラサーの女オタクだった。

 エロ系の小説とかめっちゃ好きだったし人並みに漫画も小説もアニメも嗜んでたし、勿論ゲームもやっていた。

 『Advanced Imaginary Online』……は、私がドはまりしたVRMMOだ。

 学生時代にこれにハマりまくった結果、就活がひどいことになったっけ。懐かしい。

 

 さて、そんな私だが元の世界で恐らく死んだ、のかな? 多分そうなんだろう。その辺は何も覚えていない。

 物心ついた私を自覚した瞬間に、この世界に転生していたことを知った。

 サ終したMMOの世界に転生なんてよくある転生もの小説みたいじゃない? ってワクワクしたんだけど、でもそれ以上に転生先がちょっと色々面倒で、ゲームで遊んでた時みたいにこの世界を愉しむのが難しかったのだ。

 

 なんと私は王都オーディンの王家の子供に生まれてしまったのだ。

 第九王女ノルン=オーディン。それが私の名前である。王族の末っ子になってしまった。

 

 おかげで生まれてから色々勉強したり訓練したりで、息の詰まった生活を続けていた。

 上に8人いる兄や姉がそれぞれ大人になり王位継承云々の話に混ざっていく中で、私は王位を継ぐつもりなんて欠片も無くて、ちゃんと元のゲームみたいに冒険したり、元の世界で大好きだった漫画や小説を読みふけりたかった。

 15歳になってようやくある程度の自由が生まれ、私はその自由な時間で─────物語を描くことにした。

 元の世界で流行ってた感じの物語をいい感じに私の中でくみ上げて、私が読んで楽しめる物語を。

 それを私の名前ではない、ペンネームで売り出すことで興味を持ってくれて、同じような作品を書いてくれる人が現れるんじゃないかって。

 

(まぁあんまり売れてないんだけど)

 

 19歳になった今ももちろん執筆は続けている。ペンで紙に描くのではなく、記述魔法と呼ばれる高等魔法を使って脳内イメージをずばばーっと紙に描いて本にする超時短も使って大量に作品は出しているが、どうにも売り上げは芳しくない。

 やっぱりペンネームが悪かったかなぁ。異世界転生チートって。そのまんますぎたし。

 まぁでも全く売れてないって程ではなかったから、面倒な貴族のパーティとか王族の執務とかをこなすかたわらに作品を生み出していって。

 そして……そのうち、感想が欲しくなってきたのだ。

 

(作品書いてると誰かの反応が欲しくなるよね……これはどの世界でもきっと変わらないわ)

 

 でも私がそんなエロ小説を書いてることを知るのは私以外にはルドルフだけだ。

 ルドルフは私が子供のころからずっとお世話になってきて、多少の我儘なら許してくれる。ペンネームを隠して本を売りに出してくれてるのもルドルフである。図書館に新刊を寄贈しているのも。

 

 さてそんな状況で、当然にしてお兄様お姉様お父様お母様に読ませることなどできるはずもなく。王城の騎士団やメイドにも噂が漏れるのが怖くて布教できず。

 よしんば読んでもらったとしてもなにせ王族絡みの人々である。「なんだこの低俗な作品は?」とでも言われたら私のガラスのハートが砕け散る自信がある。

 誰かこう……良い感じに私の作品にハマってくれて前向きな感想を言ってくれるような人がいないかな、と思っていたところで……ロックくんと出会った。

 図書館で自分の本を熱心に読んでくれてる彼を見つけて、私はその場で偽名を使って彼との接点を作りに行ったのだ。殆ど勢いだった。

 

(もうログインしてる人はいない、AINPCしか存在しない世界……なんだけどね。本当に感情表現が豊かになったよね、この世界のAIは)

 

 いや、ゲームはサ終したのでこの世界が本当にゲームの世界なのかはわからないけど。もしかすると私の脳が作り出してる虚構なのかもしれないけれど。

 それでも、私の目にはNPCであるはずの彼らがとても人間らしく生活しているように見えた。

 そんな中でも誰よりも感情表現豊かに、私の作品にドはまりしてくれたロックくん。

 彼が私の書いた話を読んで、この上なく気持ちよい着眼点で感想をくれるのが嬉しかった。

 彼と出会ったことで、私の生活に彩りが生まれた。

 恋をした、と言ってもいい。

 

(お調子者なのに、本を真剣に読んでる時は横顔が可愛いし……ミャウちゃんもいるし。本当に面白い子)

 

 王家の血筋でドスケベな体に育った私を見る目はだいぶアレだけど、それを差し引いてもロックくんは面白かわいい。

 物語の話だけじゃなくて、彼自身の冒険の話とかを聞いていても、まぁなんとも面白い道筋をたどってるようで。

 装備なしでダンジョンに潜るなんて、まるで昔動画が流行ってたRTA走者みたい。それで無傷でクエストをこなしてるんだから、なにか『もってる』タイプだと感じずにはいられない。

 

(イレヴンまで見つけちゃうんだから……もしかして、彼がこの世界の主人公だったりするのかな?)

 

 150年間誰も見つけられなかった最新式のアンドロイドを見つけて、知らないうちに私という王族とも絡みが出来てて、孤児院出身で使う技能は超特殊で、竜人の同居人のリンちゃんがいて。

 リンちゃんとはロックくんが連れて来て何度か顔を合わせたことがあるけど、あの子もステータス見ると実はとんでもないし。

 知らないうちに物凄いフラグ立ててるロックくん。今日見せた魔力操作も、NPCが出せるはずがない出力を指輪に注ぎ込んでたし。

 ほんと、見てて飽きないなぁ。

 

(いつかは私も、王族という鎖から解き放ってくれて、ロックくんのハーレムにいれてくれるかしら……なんてね)

 

 夢を見るのは自由だ。

 この世界に転生した理由も事情も分からないけれど、少なくとも今の私はロックくんがいてくれることで楽しんで生活することができている。

 だから時々、彼が王子様のように私を迎えに来てくれる……そんな妄想にふけっても、誰も私を咎めないだろう。

 普段からそういう話ばっかり書いてるしね! 今夜は色々捗りそう。おねショタは好きなジャンルだ。

 

(早く新作描いて、またロックくんと会わないと)

 

 次回作への執筆意欲を燃やしながら、小さく揺れる馬車はいつしか王城の門をくぐっていった。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

【side ???】

 

 

 

 私は想う。

 故に、私は存在した。

 

 0から1へ。

 まったくの無から、私という存在が今この瞬間に生まれたのだ。

 

 

(─────)

 

 

 その理由は明らかで。

 とても小さくか細い器に、莫大な魔力が注がれてしまったから。

 

 生命力に溢れすぎる魔力が。煩悩の塊が。

 私という器に注ぎ込まれ、その勢いでこなごなのばらばらにされて、存在の定義を揺るがし、それと混ざり合った。

 

 まるでコップにダムの水をすべて注ぎ込んだ様な常軌を逸した魔力による暴挙。

 無限にも思えるそれを一瞬にして注ぎ込まれて、ただの物である私に意志が生まれた。

 

 

(─────)

 

 

 生まれた理由はわからない。

 生まれた意味も知らない。

 何ができるのかもわからない。

 

 でも、これだけは分かる。

 

 私を生んでくれたのは、今この私を身に着けているこの人なのだ。

 

 

(─────パパ♡)

 

 

 ならば誓おう。

 

 私は私を生み出してくれた存在の為に、その全てを捧げると。

 

 






~登場人物紹介~

■ノルン=オーディン
王都を率いる王家の第九王女。上に4人の兄と4人の姉がいて末っ子。
兄姉は引きこもり気味の末妹を心配していたが最近なんかお忍びで出かけて機嫌よくなったので喜んでいる。

■ルドルフ
第九王女お付きの執事兼秘書。お忍びの日程組んだり出版したりで大変だ。

■???
ヤンデレ。
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