勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
【side フォルクルス】
まず、オイラたち魔王軍ってなァどんな集まりなんだよって話だよなァ。
オイラたちはよ、魔王サマ直々にスカウトされた、実力を認められたヤツらの集まりなんだよ。
オイラ自身も若いころにヒマつぶしに魔族領で暴れまわってたら魔王サマに声かけられてよ。
退屈が潰せんならまァ……って思って誘いに乗ったわけだがよ。オイラがこの立場についたのはそんなに深い理由はねェ。
……ん? オイラたちの目的?
これまでも何度も言ってんだろォが。人類の殲滅だよ。
……なんで人類を狙うのか、って?
ケケケ。そりゃ4つ目の質問ってやつだぜロック。
……ただまァ、正直な所魔王サマのお考えってのはオイラには分からねェ所も多くてよ。
確かにとんでもねェ強さを持っててよ。その強さに惹かれてベルゼビュートやアイムはついてきたってェ話だが……まぁあいつらはオイラが魔王軍に合流する前からいたからよ。真意は知らねェや。
将軍になった順番としちゃまずその二人、そしてオイラ、んで次にアブソリュートが入って……その次だったかなァ、ニーズヘッグが来たのは。最後がベルベッドでよォ。
6人揃ったのがだいたい160年くれェ前の話だ。
……アン?
うるせェな。オイラそんなに歳食ってねェよ。まだ30歳くらいじゃねェか?
オイラたちは以前の人魔大戦で死んで150年眠ってから復活してるからよォ。
実際に生きてる時間ってのは実は短ェんだ。
第一次人魔大戦が起きたのは六大将軍が揃ってから数年後の事だからな。
……オット!
ケケ、話がだんだん逸れてきちまった。
いけねェいけねェ。ついついお前さんと話してるとベロがくるくるしちまうぜ。
話さなくてもいい事まで話しちまっちゃあ今後の勝負がつまんなくなっちまうよなァ。
他の事はどうでもいいんだ。お口にチャックっとォ。
さて。
ニーズヘッグの事だな。
アイツはよォ、まぁご存じの通り元々は人類領に存在する各属性のドラゴンの拠点、そのうち火の属性に位置するそこに存在する次世代のドラゴンだったわけだ。
魔族領にいるヤツらじゃねェ。
なんで魔王サマがわざわざそんなところからスカウトしようとしたのかは……ま、オイラにはさっぱりわからねェけどな。
ただ、単純に力を求められたオイラやベルゼビュートと違って……魔王サマは、ドラゴンっていう種族そのものに拘りがあったように見えたなァ。
種族特有の権能や、その血筋……それを求めていたのかなァ。
わっかんねぇけど。
ま、とりあえずドラゴンだ。魔王サマはそれを求めてスカウトに出かけたってわけだ。
オイラはスカウトについてったわけじゃねェからそこから先の詳細は知らねェ。
数日したらニーズヘッグ連れて魔王サマが拠点に戻ってきてたから、スカウトは成功したってわけだ。
スカウトどんな感じだったんスかって魔王サマに聞いても、まぁ無口な魔王サマの事だからよ。大した事は教えちゃくれなかったなァ。
むしろその時の事情はそっちのドラゴニュートの方が詳しいんじゃねェか?
……まぁ、これでハイ終わり、ってのもアレだな。
もうちっとだけオイラの推測を話してやるか。
普通に考えてよ。
ドラゴンが魔王サマに靡く理由が欠片もねェよな、どう考えても。
だってよ、ドラゴンってのは世界の理を守護する存在だ。
争いの火種である魔王サマに力を貸す……ってのはしねェだろ、普通。
でもニーズヘッグはそれに力を貸した。
生真面目なアイツがよ。理に適ってねぇと思わねェか?
……ん?
いや、魔王軍に入ってからもアイツはかなり魔王軍の活動に精力的だったぜェ?
己の部下としてガキ二人も産んでよ。それを幹部に据えて……ア?
ああ、そうソイツら。ジェミニとボルックスの二人だ。
アイツら双子はニーズヘッグのガキだぜ。いつの間にか産んでて……オイ落ち着け興奮すんな!
分かるけどよォ! オイラもいつの間にガキ仕込んだんだよ相手は誰だよって聞こうとしたけどよォ!!
でもそういう話アイツ大嫌いだから迂闊に聞けなくてよォ!! カリーナに遠回しに誰が父親でどんな初体験だったか聞いて来いよって命令したらアイツにもキレられてよォ!!
あのでっけェケツを好きにしたオスが魔族領のどこかにいるってことだもんなァ!! 分かるぜロック、その気持ちはよォ……!!
おう……ああ……そうだなァ、そうだよなァ!! OKェ!!
じゃあここからはニーズヘッグの相手をしたオスがどんな相手で、どんなセックスしたかの妄想公開トークと行こうぜェ!!!
────アッ、ハイ。
すんません。
調子乗りました。
そういう話じゃありませんでした。ハイ。
実の姉のそういう話聞きたくない気持ちは分かります。
ハイ。真面目に話します。すんません。
…………ふぅ。
さて。
どこまで話したっけ……ああ、そうそう。ドラゴンが魔王軍に加入する理由がないって話な。
ニーズヘッグが魔王軍に入る前にどんな奴だったのかは知らねェけどな。本心から魔王軍に加入したいと思ってきた……の、かも知れねェし。
でもよ。
魔王サマ言ってたんだよな。
当代のレッドドラゴンは殺した、ってよ。
でも火のマナは溢れてねェ。
次代の……そう、お前さんの姉貴でニーズヘッグの妹にあたるドラゴンが次代を継いだって話だよな。
おかしな話じゃあねェか?
ニーズヘッグが素直に魔王軍に加入したとして……レッドドラゴンが殺される理由があるか?
闇のマナ守ってるそっちのブラックドラゴンとは違って、殺す理由がないじゃねェか。
確かに殺さない理由もねェけどよ。
なんかしら一悶着があったのは間違いねェんだろうな、ニーズヘッグがスカウトされるまでによ。
……ア?
あー……まァそりゃな。オイラの中じゃあアタリはついてるよ。
なんてったって魔王サマだからな。どんなことしても己の目的を満たすことを求める人だからなァ。
ただ、それはオイラが勝手に想像した事象であって事実でも何でもねェ。話すのはやめておくぜ。
言っただろ? 勝手にそっちで想像しろってなァ。
……あとは、まぁ。
これくらいは言ってやってもいいか。
ケケ、サービスだぜ。感謝しろよ。
ニーズヘッグの奴が魔王様に連れられて、魔王軍の拠点に連れてこられた時だ。
オイラはよーく観察したさ。でっけェケツの美人だったからよ。
で、その時に気付いたことが一つあってよォ。
────アイツ、涙を拭った跡があったなァ。
泣きながら連れられてきた、んかね?
その顔が随分とイジめたくなるような顔だったからよーく覚えてんだよなァ。
ま、その次に会った時にゃあ気の強い女になってたし、強ェ女ですぐにオイラの上の席に認められちまったからな。何もしてねェけど。
けど、ニーズヘッグが唯一弱みを見せた顔はあん時だったかなァ。
あの涙の跡にどんな意味があったのかは……ケケ。その通りさ。
そっちで勝手に考えな。
※ ※ ※
【side ロック】
「これで話は終わりだ。十分すぎるほど答えてやっただろォ? 感謝してもらいたいもんだなァ!」
「肝心な部分何も説明してねぇくせによくそんな自信満々な顔できんなお前」
ケケケ、と下品な笑い顔を見せて、フォルクルスが俺の質問に対する回答を終えた。
口では反論したが、しかしそれなりに情報が零れて来たのは間違いない。
正直な所、第一次人魔大戦と呼ばれる戦争から150年以上経過している現在では、魔王軍に関する資料が古い。
魔王軍の目的や、その成り立ちなどが……当の本人である将軍から語られたというのはかなりデカい情報を取れたように思える。
リンとヒルデガルドさんがいてくれたから、嘘が無かったことも確認してるしな。
長話も出来たし、時間も稼げて、魔王軍の情報も新鮮なものがそこそこ零れて、そしてニーズヘッグの事も聞けた。
かなりベターな質問だったのではないだろうか。
そうなれば、俺はゲームを再開してさらなる情報をこのライオン頭から引き出すだけだ。
次のゲームに向かう前に、先程の話を俺の後ろで聞いていたヒルデガルドさんに確認だけしておく。
「ヒルデガルドさん」
「……うむ」
「……色々あるとは思うんですけど。俺、次の勝負に進んでいいですか?」
「ああ……そう、だな。わかった。後は任せる」
「りょっす」
振り返ってヒルデガルドさんに声をかけるが、その顔は色んな感情が複雑に混ざったようなそれだった。
姉であるニーズヘッグに対して、これまでヒルデガルドさんは敵対していた。
父と共に死んだ存在として俺とリンに最初に説明したほどに……裏切者、と罵るほどの憤怒が彼女の中にはあった。
でも、その怒りは次女であるサラマンダーさんにはあまり見られなかった。
もう一度だけでも顔を見せてほしいと願うサラマンダーさんと、清算は果たすと誓うヒルデガルドさん。
その願いの違い……ニーズヘッグが魔王ダブレスに魔王軍加入を
俺にはまだまだ分からないことだらけだ。
でも女とした約束を反故にするのは俺の辞書にはないからな!
最終的にニーズヘッグは俺にやられてサラマンダーさんとこ持って行って再会を果たしてレッドドラゴン三姉妹のドスケベデカパイドラゴンハーレムを作らないといけないからな!!
なんでその辺りはまた落ち着いた時に考えましょ。
今はとりあえず目の前のこのバカライオンをコケにしてやる時なのだ。
「じゃあ続けるぜ。次のゲームは……あれ、俺が先行だったっけ?」
「覚えとけよそんくらい。次は4回戦でお前さんが先行だ。とっととカード選びなァ」
フォルクルスに先攻後攻を確認させて、4戦目を始める。
もう選ぶカードを悩むことはない。
時間だけはそれなりにかけてから、カードを選択する。
「……俺はこのカードを場に伏せてターンエンド!」
「なんだァ急に。んじゃオイラはどれにすっかねェ……さっきはオイラのとっておきをキングで殺されちまったからなァ……ンー…………これかァ」
それを受けてフォルクルスが残る4枚の手札を睨み、もにょもにょしながらカードを選んで対面に伏せた。
勝負。
「運命のカードオープン────ドロー!!」
「ほっ……ンなにィッ!?」
4回戦のカードを捲る。
俺のカードは────
奴のカードは────
12対11。
俺の勝ちだ。
「マジかよ……何でそれがここで出せんだァ!?」
「ガハハ! やーいバーカ!!」
フォルクルスが出したカードは、つい前の3回戦で出した数字と同じ11だった。
それに勝つための札を俺は手の内に残していたのだ。当然ながらこれにも理由が合る。
「わかってんだぜ? お前の企みはよ。さっきの3回戦でお前言ってたよな?『
「チッ……」
「つまり
「クッ……ック、ック。……ハハハハ!! 廻りやがるじゃねぇか軽い頭がよォ!! その通りだよこんちくしょォ!!」
ちょろいちょろい。
まぁ俺の勘が
見当はついていたけど案の上ひねたカードの切り方……。
人をハメることばかり考えてきた人間の発想……痩せた考え……っ!!(ドヤ顔)
「これで三連敗だねぇフォルクルスくぅん!! どんな気持ち? ねぇ今どんな気持ち?」
「それが質問って事でいいんだよなァ? 即答してやろうかエエッ?」
「あっそれズルだぞ! 違うからただの雑談だから!! 質問は考えるからちょっと待ってろ!!」
「はーァ。クソ……マジで全部裏目ってンなァー。バニーのねーちゃん! スパークリングオレンジお代わり頼まァ!」
満面のドヤ顔スマイルで煽ったらキレ気味になってんのウケるわ。
まったくアホがよ。俺にゲームを持ちかけた時点で貴様の敗北は確定していたのだ。
さて次は何を質問しますかね。ぜんっぜん思いつかねぇわどうしよ。