勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
絶賛シンキングタイム中。
「んー……」
「……オイオイ。いいコトワザ教えてやろうかァ? バカの考え休むに似たりって言葉があってなァ。お前さんそんな頭よくねェんだからスパッと質問して来いよなァ」
「うるさいわねー」
結構真面目に首をひねって悩んだのだが、良い質問が思いつかない。勘も全くのノーリアクションで閃くような答えは出てこなくて。
絶対に聞かなきゃならない事……ってのがないんだろうな。
聞きたいことはそりゃあるんだが、俺が切れる質問の札は残り4枚。
この先の三戦に全部勝利するのは確定しててあと4回は質問できるんだけど、それでフォルクルスから致命的な情報である何かを引き出すというのは……ううん。全然思いつかない。
王都で王族がどんな作戦立ててるのかとかちゃんと聞いておけばよかったなって後悔をし始めて……しかしそれで思いついたのでふと聞いてみる。
「……これは質問じゃなくて、ルール確認って意味で聞くんだけど」
「ン。なんだァ?」
「後ろのみんなに質問の内容を相談するのってアリ?」
「ハァ?」
それは、後ろでスタンバってくれてる嫁さんたち(広義的解釈)にどんな質問するべきか聞くというもの。
これまでは俺たちの勝負を見守ってくれてたみんなだけど……おバカな俺なんかよりもずっと核心を突いた質問を考えてくれるはずだ。
メルセデスさんやイレヴンとか、頭のいい人いっぱいいるしな。
ノインさんにはやってもらってることがあるから流石に聞けないけど、少なくとも俺がここでパっと思いつく様な質問なんかよりも底の深い問いかけを考えてくれるはずだ。
そう思ってフォルクルスに確認したところ、しかし。
「ンー……────ダメだね」
「ダメかね」
「ダメだ。これはオイラとお前さんの勝負だろうがよ、エエッ? お前さんにオイラが負けて、お前さんからの質問に答える。これがルールだ。オイラは後ろの女共からの質問に答えるためにこの勝負をしてんじゃねェ。オイラはお前さんからの質問に答えてェんだよ、ロックよォ」
「えっキモい」
「ケケケ。……オイラが嘘ついてるかどうかは確認していいとは言ったがよォ、そりゃどうあがいても後で確認できちまうから許可を出しただけだ。野暮な横入りはいらねんだよ……テメェが無い頭回して質問を考えな、ロックよォ」
「ちぇー」
ダメだって言われちまった。
みみっちいわねー! こんなツラして細っ腹なんだからー!!
あくまで俺とのタイマン勝負にこだわるって事か。
執着……なのだろうか。
以前グランガッチでコイツは俺たちパーティにフルボッコにされて敗北した。
その恨みで、という事なのだろうか。
……いやでも前の戦いで活躍したの主に俺以外のみんなじゃね?(素の疑問)
フォルクルスにダメージを与えたのってイレヴンとかカトルとか、その後合流したサザンカさんやヴァリスタさんやリンだったよな?
守護結界を反転させたのはコイツは知らないだろうがノインさんのお陰だし、カリーナだってほぼルドルフさん一人で鎮圧したようなもんだし。
俺は最後の自爆に見せかけた閃光魔法を捌き斬りしたくらいで……お前にダメージ与えてなくね? 周りでぎゃーぎゃー騒いでただけじゃね??
筋違いで逆恨みじゃん。なんでコイツ俺に執着してんだよ。
ま、いいけどな。
こんなバカライオン一匹に執着されてもなんもならんし。そもそも大した事できねぇ俺を狙うなんて非効率の極みだろ。
俺以外の誰かに執着されてそっちに被害が向くようなことにならないならそれは全然ウェルカムよ。俺はデコイでええ。
そんくらいは受け止めてやるくらいには懐深いから俺。
童貞卒業したから。人としてのランクを数段上げてるからこっちも。
さて、しかしまぁみんなに質問できないとなると結局俺が自分で質問を考えなきゃならなくなった。
もうそうなれば仕方ない、なんかいい感じで俺の勘がそれ聞いちゃ駄目って叫ばないような質問ならなんかいい感じになるだろ最終的に。
今ここで質問をする内容がなんであっても、俺にとって最も重要なタスクというわけではないんだ。
楽に考えよう。
「じゃあ…………フォルクルス。質問だ」
「オウ。ようやく決まったかァ?」
「ああ。……
「ンー? ……ククク。いいのかよそんな質問でよォ」
「お前だって最初の質問どうでもいい内容だったやろがい!!」
直近で気になっていた事を問いかけた。
今やってるこのカードゲーム。シンプルなゲームだが……持ち掛けてきたのはフォルクルスだ。
勿論、前提としてお互いに相手に色々聞きたかった、ってのはあるけど……じゃあお互い一つずつ質問して答えていこう、なんて提案も出来たはずだ。
それなら俺への質問もかなりできたはずだ。フォルクルスだってこっちの状況を、俺に対して聞きたいことは多かったはず。
最初にクソどうでもいい性癖の質問をしてきたのは余裕なのかバカなのか、そこは分からないが……なぜこの質問の機会を勝負に混ぜて提案してきたのか。
気にはなっていたんだ。
このゲームをすること、それ自体に何か意味があるのか。
「ヘッ……深い意味はねェよ。テメェだってこのゲームに乗っただろうが。勝ち越してるのに今更このゲームがヤだとは言わせねェぜ」
「ズレてるぜフォルクルス。俺はお前がなんでゲームを俺に持ち掛けて来たのか聞いてるんだぜ? 答えろよ。煙に巻こうとするんじゃねぇよ」
「クク……そうだなァー。……この国じゃあ
「…………」
「でもそんじゃ仲良くお茶して
「いらねぇよ俺はヒリつきなんて」
「ケケケ! つれねェなァテメェはよォ!! だがそれでいい……これがいい。お互いに無いアタマ使いながら必死こいて裏かいて、してやったり! ってやりたかったんだよ。だから勝負を持ちかけたってワケだ」
「そして現状ほぼ一方的に負けて無様晒してると」
「うるせェなァ!!」
ソファに深く背を預けて大仰しく胸を張るフォルクルスのツラを見上げて、その答えを聞いた。
これでほぼ確定したな。コイツは間違いなく俺という個人に並々ならぬ執着を持っている。
そんな、どうしてもブチ殺したい気の合う仲の俺と、ただただスパークリングオレンジを飲みながら仲良く
だからあえて勝負を持ちかけた。
どんな形であっても、俺と真剣を向け合うような勝負の場に在りたかったと。
キッモ!!!(全力)
えっやだぁ……なんで魔王軍の男共ってバアルといいフォルクルスといい俺にクソ重感情になるのぉ……??
同性愛を否定はしないけど俺を巻き込まないでよぉ……俺はデカパイを求めるノーマルだからさぁ! 嫁さんいっぱいいるからさぁ!!
同意と理解の無いそういうアレはノーサンキューなんよねぇ! バアルとお前でくっついてろよクソが!!
なんならこないだの戦争で俺が一撃で殺したベルゼビュートとやらがマシに思えてくるよ……アイツ全然しつこくなかったし俺に執着しないですぐ死んだし……復活してないっぽいし……。
アレくらいさっぱり死んでろよお前ら。なんで実際に殺してない俺に変な欲望向けてくるんだよマジで。
もしかして俺そういう
「いまのはなし、うそはついてなかった」
「そっか。嘘が混ざっててほしかったなぁ……」
「ケケ」
「……でも、まだなにかかくしてる……かんじもした。……ヒルデ?」
「ああ……喋っていない事は間違いなくあるな。この男、回る舌の裏にどれだけ含みがあるのか……己が確信の上で嘘と真と、述べぬ真実を操ると見た。ギャンブルで最も相手にしたくないタイプだ」
「っすか。まぁこんなザコが何考えてても俺には勝てないんで安心してくださいよ」
「その自信はマジでどっから出て来てんだお前さん」
リンにも嘘じゃないって証明されちゃったし。
やだー。早くこのライオン頭殺そ? バアルと並んで大至急殺したい指名手配魔族ランキングトップ2だよお前ら。
他のメンバーならデカパイが俺に無限の力を与えてくれるけどコイツらはマジで相対するだけでもめんどくささ満点だからな。絶対俺を狙ってくるし。
後でトゥレスおじさんに相談しよ。
※ ※ ※
さて、それじゃあ5回戦に入ろう。
次はフォルクルスが先行だ。
お互いの残りのカードは3枚。
この3枚でどのように勝負を仕掛けていくか、という話なのだが。
「お互いに絵札はほぼ使い切ったな。簡単な勝負になったなフォルクルスさんよ」
「……何で言い切れンだよ。オイラがまだJ持ってるかもしれねェだろォ?」
「アホがよ。3枚持ってりゃ途中で切るよりラスト3戦に全部並べたほうが間違いなく勝率上がるだろうが。最初にK切ってんなら当然そうするだろ。そうしてねぇってことはお前の手札にもう絵札はねぇよ。数字だけだ」
「フン。そりゃあお前さんの理屈だろうがァ」
「さらに言ってやろうか? 途中でお前が出したこの6……ほどほどの数字を選んだ、って言ってたよな? ってことは少なくともこれがお前の手の中で最小でも最大でもねぇ。で、そん時はJがまだお前の手札に2枚残ってた」
「…………」
「そこからお前の手に残ってる数を想像した時、下手するともう6より大きな数持ってねぇんじゃねぇか? J・J・6とその他に3枚ある状況で、その3枚の中に6より大きい数字があったら、出すのはそのカードじゃね? 8とか9とかだよな、ほどほどの数字ってお前自身が言ってたんならよ」
「妄想が過ぎるぜロックよォ」
「声震えてるぜ。ビブラートの練習かな? 墓穴堀りが得意なんだね魔王軍の将軍って」
「
もう俺の勝利は余裕で決まってるから煽りに煽るよね。
むすーっとした顔しやがってこのライオン頭が。そんな顔しても可愛くねぇぞ。そういう顔して可愛いのはリンとかミャウとかそういう小動物タイプだぞ。
結局今俺が口にしたのは今まで出されたカードから勝手に想像した妄想であり何の根拠もないこじ付けなのは間違いないんだけど、事実俺はコイツに勝ってるしな。もう負けもないしな。
いくら煽っても既に起きた結果とこれから起きる結果が仮説を補完してくれるの熱いよね。
負けてるフォルクルスは俺の煽りに強く煽り返せない。好きに煽ってもいいってヤリ得でいいよな。思わずニコニコしちゃう。
「そんじゃ俺はこれ」
「チッ……今度は悩まなかったじゃねェか。エエッ?」
「悩む理由がないから。俺の勝ちは確定してるんでね」
「ほざいてなァ。じゃあ行くぜェ────オープン」
「ほい」
「────ッ……!!」
五回戦目のカードを捲る。
俺のカードは────4。
奴のカードは────2。
4対2。
俺の勝ちだ。
「…………」
「ワハハ!! もうキミに勝利は訪れないのだよフォルクルスくぅん!! 生まれついた勝者が俺!! 零れ落ちた敗者がお前じゃい!!」
「黙ってろ」
「急に機嫌悪くするじゃん」
またしても当然の勝利を果たしてガハハと高笑いをあげてフォルクルスを煽ろうとしたところで……何かコイツもここでようやくヤバいと思ったのか、ガチっぽい顔で俺の出したカードを見ていた。
今回出したカードと、それ以前の勝負で使用したカードも眺めて……傾向でも見てんのかね。
これまでに俺が出したカードは順番に2・8・K・Q・4。
フォルクルスが出したカードは順番にK・6・J・J・2。
別に何の変哲もないカードだ。
初戦がここまでの流れ全部決めてるところあるな。最小の札で最大の札使わせてるもん。
「────────ッハ。クッソ……やられてんなァオイラはよォ!! 大した奴だぜお前さんはァ!!」
「将軍様にお褒め頂き誠に光栄の極みでございますゥー。んじゃまたしても俺の質問タイムだな」
「こんな結果になるとはよォ……チッ、何でも聞きやがれ。もうあんま悩むなよォ」
「そうするよ」
少し黙って、暫くしてから機嫌を直したのか元の飄々とした雰囲気に戻るフォルクルス。
スネたらめんどくさかったからな。テンションが戻ったならよし。
そんじゃ次の質問行きますかね。もういいや後の質問は雑でも。
もう一つの俺の企みもほぼ完了してることだし。