勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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178 たいていの悩みはシコって寝れば解決する!!

 

【side ヒルデガルド】

 

 

 大した話でもないんだ。

 仲のよかった3姉妹が仲違いした。そんな一言で終わるような話でな。

 

 前にどこかで話したと思うが……私達3姉妹はレッドドラゴンの次代を継ぐ三つ子として生まれた。

 長姉のニーズヘッグ、次女のサラマンダー、三女の私、ヒルデガルド。

 父は1200年の永い時を生きた火のマナの管理人で、ギーターと言った。

 多産だったのは火のマナの影響だろうな。火や水、光のマナは生命力を表す。水のマナを護るブルードラゴンや、光のマナを護るホワイトドラゴンも多産だと聞く。

 ノワールが己の寿命を悟りリンを産み落としたように、父もまた己が寿命が近いことを悟り我ら三姉妹を産み落とした。

 生まれた順番で姉妹の順番が決まった。私は一番最後に卵の殻を破ったから、赤子の頃は三姉妹の中でも一番力が無かったな。

 

 物心がついてからも……我ら三姉妹は、仲良く過ごしていた。

 しっかり者のニーズヘッグ、のんびり屋のサラマンダーに比べて、私は実に不真面目だった。

 火のマナを管理するという使命をいずれ誰かが継承するということは分かっていたが……その鍛錬も大して真面目に取り組みもせず、人里に降りて遊んでいたような、そんな子供だった。

 子供、と表現してよいかは分からぬがな。10年ほどで物心はついて、体は今と大して変わらぬ体躯であったが……私は当時は、人里に降りて人間を驚かせたりして遊んでいたのだ。

 よく父とニーズヘッグには怒られたよ。サラマンダーには庇ってもらってな。

 

 ……ん? 今を知っているとそうは見えない、か?

 ふふ。私も歳を取ったという事だ。

 そんな穏やかな日々は、もう160年近く前の事だからな。

 

 ……そうだ。

 人魔大戦が起きたのが150年前。その20年ほど前に私は生まれた。

 物心が10年ほどでついて、そこから5年ほど経ち、人魔大戦が起きるまであと5年といった頃に……その事件は起きた。

 

 ニーズヘッグが裏切ったのだ。

 

 ……あの時の私は、そう感じた。

 今日のフォルクルスの話で多少揺れてはいるが……それでも、あの時の衝撃と恨みを忘れる事は無いのだろうな。

 

 何でもない日だった。

 私はあの日、レッドドラゴンが拠点としており火のマナの火口がある爛焰(らんも)山脈から離れて、遠くの人里に遊びに出かけていた。

 強い冒険者がいると聞いて、見に行こうと思って……遊びまわっていた。

 ……どうなのだろうな。

 あの日、私が爛焰(らんも)山脈にいたならば、何か変わったのだろうか。

 分からない事なのに、それを分かりたくなることがたまにあるよ。

 お前の勘なら、そういうのにも答えを出せるのか?

 

 …………そうか。それはそうだろうな。

 いいんだ。なんでもない。

 

 人里に降りて、その冒険者を探していた時だ。

 唐突に、世界に満ちる火のマナが荒れたのを私は感じ取った。

 腐ってもレッドドラゴンの血を引いているからな。火のマナの機微には敏感だった。

 これまで生きていた中でも感じたことがないほどの荒れ方。

 父が管理していたらこんなことにはならないはずでな。

 

 驚いて、当然すぐに私は爛焰(らんも)山脈に飛んで戻った。

 万が一だが、父が死んだのではないかと思ってな。

 寿命は近づいてはいたが、しかし本人もあと10年は生きられると言っていた。

 次代を継ぐのはニーズヘッグだろうと私もサラマンダーも思っていたし、ニーズヘッグ自身もそれを理解してよく力を磨いていた。

 荒れる要素はないはずだったのだ。だからこそ私は何が起きたのか知れぬ恐怖と共に、マナの火口へ……家族がいるはずのそこへ大至急戻っていったのだ。

 

 ついてみれば、父が斃れていた。

 

 ドラゴンの最大の弱点である、喉元の逆鱗を綺麗に()()かれていた。

 件のノワールを見た時に、あの時の光景がフラッシュバックしたよ。

 火口の傍で、血が蒸発するほどの高温の中で、父が呼吸もせず倒れていた。

 

 その傍には、血まみれになったニーズヘッグと、震えて腰が抜けた様子のサラマンダーがいた。

 私は余りにも混乱して、そこで何が起きているのか理解が出来なかったのだ。

 下手人は間違いなくニーズヘッグで、サラマンダーがそれを止めようとしたのだろうか?

 どうすればいいのかわからなくてな。

 ただただ、言葉にならぬ竜叫(おたけ)びを挙げて、父を何とか介抱しようと近づいた。

 回復魔法など覚えていないというのにな。

 もっとしっかり魔法の勉強をしておけば、と思わなくもなかったよ。

 

 しかし、降り立とうとする私にニーズヘッグが魔力砲を放ってきた。

 殺意のある一撃だった……と、思う。

 あの頃は私は出来損ないで、ニーズヘッグの方が強かったからな。

 私の羽根に掠めて、飛行が出来なくなり墜落して……そこで、ニーズヘッグは確かに言ったのだ。

 

 私が父を手にかけた、と。

 マナの管理などという悠長な仕事などしていられないと。

 ずっと裏切りの機会を考えていた、と。

 落ちこぼれの貴女たちは、そこで何も出来ずに泣いていろ、と。

 

 ……涙が零れていたことに気付かなかったよ。

 火口付近の熱さでは、涙はすぐに蒸発してしまうからな。

 

 唐突なニーズヘッグの裏切りを受けて、私は何も出来なかったんだ。

 羽根を毟られ、圧倒的な実力の差を見せつけられ、本気の殺意を姉からぶつけられて……胸が、張り裂けそうになってな……っ。

 

 …………ん。

 ……すまん。

 

 ……ありがとう。

 もう大丈夫だ。恥ずかしい所を見せたな。

 ふふ、繋がり合いながら語るような話ではなかったか。

 極めてまれに紳士的な所を見せるな、お前は。

 そういう所だぞ。

 

 ……まぁ、そういうことだ。

 その後、ニーズヘッグは飛び立っていき……魔王に合流したのだろうな、フォルクルスの言葉の通りであれば。

 しかし父は命の火を絶やしてはいなかった。

 死ぬ寸前に意識を取り戻し、サラマンダーに管理権を継承した。

 そうして下姉上はレッドドラゴンとしての権能を受け取り、火のマナを護る使命を今も続けている。

 

 姉に裏切られて何も果たせず、泣くことしかできず、管理人としての使命も継承できず……私は、何物にもなれなかった落ちこぼれのドラゴニュートなのだ。

 リンは姉のように慕ってくれているが……親を死の淵から救う事を諦めずに、無事に継承を果たし、何をするべきなのか、何をしたいのかはっきりと自分で理解しているリンと比べても、随分と恥ずかしい女なんだ。

 裏切り者としてニーズヘッグに恨みを……復讐を果たそうと誓い、そこでようやく真剣に己を鍛え直して……それでも大した力を得る事も出来ずに、150年前の戦争でもニーズヘッグとの因縁の始末をつける事も出来ずに他の冒険者にニーズヘッグの討伐は果たされて、その後は何の目的も得られずに世界を漫然と渡り歩き、ただ生きていただけで……150年の時が流れて魔族が復活した今も、ニーズヘッグに一矢を報いる事すらできず、その上フォルクルスの言葉を受けて揺れているようなそんなくだらな──────んひゃぁんっ♡♡!?!?

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

【side ロック】

 

 

 

「──────んひゃぁんッ♡!?!?」

 

 弱い所思いっきり突き刺したった。

 

 いやぁね。(冷静)

 ヒルデガルドさんがクソ重い身の上話を語り続けて、さらに自分をどんどん卑下する方向に話が向かって言って、ますます表情が暗くなっていったもんだからね。

 我慢できなくってちょっと分からせピストンしてやりますわ。

 

「お゛っ!? ろっ、ロック=イーリーアうはぁっ♡!? なっ、にをお゛ぉ゛っ゛♡!?」

「ナニって……そりゃナニしてるわけですけど」

「こっ、っらぁっ♡! やめ゛ぇ゛っ♡!? こん、なっ、急に、い゛ぃ゛ぃぃっ!?」

 

 さっきまでの一回戦は下拵えのようなもんだったからね。

 どの辺が弱いのかとか、どこまで耐えられそうかとか、どうすればヒルデガルドさんが一番気持ちよくなれるのかとかを探りながらの第1ラウンドだったわけで。

 なんかヒルデガルドさんも随分満足そうな雰囲気ではあったけどこっからが本番だったからね。

 もう遠慮しませんわ。

 確かに話聞きたいって言ったのは俺の方だけど、そんな悲しい話をセックスの最中に聞いた俺の気持ちもわかってもらえます??(正論)

 ロックバスターの臨戦態勢を解かないようにするのが大変だったわマジで。

 こんにゃろこんにゃろ。哀しい過去慰めちゃるわ。

 

「……気持ちは分かる、とは言えませんけどね」

「ひっ、ひぎぃ゛ぃ゛っ♡!? まっ、ロッ、クぅあ゛ぁ゛ぁっっ♡♡!?!? かっ、かんじずぎでる゛!!! ぎもぢよすぎる゛がらぁ゛ぁ゛~っっ♡♡!!!」

「でもさ。自分を責める様な方向に話が行くってのは、そりゃ懺悔なんですよ。孤児院でシスターにその辺色々聞いてたから俺もちょっとは造詣があって。多分ヒルデガルドさん、自分の本音分かってないんじゃないかなって……」

「お゛っ゛♡!! お゛ほぉぉ゛っ゛♡♡!!!」

 

 何も考えられないようにとにかく弱い所を執拗にぐりぐりと押し潰して、マトモな思考に戻れないようにヒルデガルドさんに快楽の波を叩き込みながら、俺の冷静な部分で言葉を紡ぐ。

 今の話を聞いて、フォルクルスの話を受けて……ヒルデガルドさんは、()()()()()()

 間違いない。何故なら、ニーズヘッグを恨む気持ちに向かわずに、己の至らなさに感情が向かっていたのだ。

 単純にニーズヘッグが裏切ったと感じ続けていたのならば、フォルクルスの話を聞いても姉への恨みを不満として俺にぶつけていただろう。

 だが、話の中でニーズヘッグへの恨みがあると述べた時の顔が、あまりにも泣きそうな顔で。

 その先、自分が至らないという話になればなるほど舌が廻った。

 

 叱られたかったのか。慰められたかったのか。

 少なくとも、懺悔室に在ることが相応しい心境にヒルデガルドさんがいることを俺は感じて。

 

 なのでこうしてまず頭を快楽で空っぽにしてもらうことで余計な考えをぶっ飛ばしてもらうわけですね。(懺悔ピストン)

 

「色んな想いがあるとは思うんですよ。ニーズヘッグを恨む気持ちも、サラマンダーさんに申し訳ないと思う気持ちも、自分が何とか出来たんじゃないかって気持ちもあるんだな……って俺はさっきの話聞いて感じられまして」

「……ッ♡!! ~~~~~ッッッ♡ オ゛ッ………ッッッ♡♡♡!!!」

「だから一旦リセットしましょ。頭真っ白にして、空っぽにして……その後、一番最初に頭に浮かんだ感情(おもい)が、多分ヒルデガルドさんの本音だと思うんで」

「~~~~ッッ♡♡ イ゛ッ゛………ッ゛ッ゛♡!! か、はっ……あぁぁ゛ぁ゛ぁ゛っ゛っ゛♡♡♡!!!」

「なんでそれを自覚して……そこから先、それに向かって頑張ればいいじゃないスか。俺も微力ながら手伝いますから」

「────ッ……♡♡? あ、あ、あっ……♡♡」

 

 そんな考えで、ヒルデガルドさんをとにかく真っ白にするために俺は本気で腰を使い始める。

 ここまでも実はまだ調理の段階です。

 こっから本番だからね。

 俺も気持ちよくなるし、ヒルデガルドさんは朝までに5回は気絶させてやるので。

 そんで目覚めたら俺の話を思い出して、自分の素直な気持ちと向き合えるといいですね。

 

「そんじゃ本気でいきますから。イキまくってくださいね」

「ふぇぇ……? うそ……いやぁ……」

「ベッドの上の女の『嫌』は『恥ずかしい』って意味なんですよね。知ってる知ってる……しょっと!」

「ぎゃあぁ゛ぁ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛~~~ッッ♡♡♡!!!!」

 

 そんなわけで、頭が空っぽになるまで俺はヒルデガルドさんを味わい尽くしてやった。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

※    ※    ※

 

 

※    ※    ※

 

 

※    ※    ※

 

 

※    ※    ※

 

 

※    ※    ※

 

 

 

【side ヒルデガルド】

 

 

「ん…………」

 

 目を、明ける。

 余りにも気だるさが全身を包み……そして、己が意志とは全く別に、びくんっ、と腰が浮いた。

 許容量を超えた快楽を叩き込まれた体が、それを覚えて反芻するかのように動いたのだ。

 愛と呼ぶには余りにも暴力的なそれで満ちた液体が、どろりと己が内より零れ落ちて。

 

「くっ……ロック、貴様……」

「スヤァ( ˘ω˘ )……」

「…………はぁぁ……」

 

 色んな液体で濡れた高級なベッドの上、身を捩り横を向けば、いつの間にか私はロック=イーリーアウスの腕を枕に、その体を抱きしめるように気を失っていたらしい。

 そして今夜の下手人たるロックは、私を抱き果たして満足したのか、随分と幸せそうなあどけない寝顔を浮かべて爆睡していた。

 その顔を横目に見て……脳裏によぎる恨み言は、霧散してしまった。

 女殺しの二つ名が相応しい閨の技を持つ少年が、こんな顔をして寝ていいはずがあるか。

 

 本当に理不尽な存在だ。

 私がせっかく昔話をしてやったのに、急に全力で責めてきて……いや。

 その時に何かをロック=イーリーアウスは言っていた気がする。

 なんだったか……そうだ。

 

「…………私は」

 

 これまで……ただ永い時を目的もなく過ごしてきた日々。

 その中でずっと頭の中にあった葛藤。

 ごちゃ混ぜになった想い。

 

 でも、それは真っ白の状態から最初に想いつくそれが本心なんだ、という話をされて。

 私達三姉妹が──────そう、か。

 

「そうか………」

 

 ()()()、という想いから始まる、私の心は。

 三人でいた頃を、まず思いつく私の気持ちは。

 どうしようもなく、あの頃の……かつて、何の屈託もなく笑っていた姉上たちとの日々を、求めているという事なのか。

 

「…………」

 

 そう。

 今日、フォルクルスから聞いた話で、私の心は大いに揺れたのだ。

 ニーズヘッグが人類を、我ら妹たちを裏切り父を殺して魔王軍についた時に……涙を一筋、拭っていたという話。

 父を襲ったニーズヘッグは、しかしトドメをさしていなかった。サラマンダーに管理権を継承する力を父は残していた。

 喋る事も出来ず、管理権を果たした直後に命を失った父ではあったが……完璧主義であったニーズヘッグがしでかした裏切りにしては、矛盾がいくつもあって。

 ドラゴニュート同士では嘘を見抜く権能も通じないから、あの時のニーズヘッグが嘘をついていたのかもわからなくて。

 まるで、そうすることしかできなかったのではないかって。

 私達に説明することもできない事情があって、涙はその残り香だったんじゃないかって。

 

 そう、夢を見てしまう。

 そんな夢を、捨てたくなくなってしまう。

 

「……ロック=イーリーアウス」

 

 だから、私も信じてみたくなる。

 下姉上の、サラマンダーからの伝言を必ずニーズヘッグに伝えると言ってくれたこの少年を。

 三姉妹が再び顔を合わせて仲直りするのが一番綺麗なオチでしょ、と笑って零したこの少年を。

 

「ロック=イーリーアウス」

 

 気怠い体に力を籠めて、実に首座りのよい腕枕から頭を持ち上げる。

 そのまま、少年のあどけない寝顔を覚まさぬようにそっと頬に手を添えた。

 

 もしも。

 

「もしもお前が、英雄譚のように……ニーズヘッグを掬い上げてくれたなら」

 

 もしも。

 

「もしもお前が、私達三姉妹を、元の関係に戻してくれたならば」

 

 

 その時は。

 

 

「────この身も心も、お前に全て捧げよう」

 

 

 そっと、少年の頬に唇を重ねて。

 再び腕枕に頭を預け、細い体を握りつぶさぬように抱いて、夜の微睡みを堪能した。

 

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