勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
朝風呂を堪能し終えて、牛乳をバッチリキメてからカトルとも別れて自分の部屋に戻る。
「さっぱりした後の牛乳最高やな……!!」
いいよね……風呂上がりの牛乳がいっちゃん好きなのよ。
孤児院にいた頃はお風呂上がりのタイミングで歯を磨くようシスターが厳しく躾けてくれたから水以外飲めなかったし、じーさんの山小屋で暮らしてた時はそもそも風呂が無くて裏の滝で水浴びしてたからまずゆっくり風呂に浸かるっていうのが今暮らしてる家からの習慣なんだけどさ。
でも昔っから憧れてたんだよね風呂上がりの牛乳。具体的には異世界転生チートさんの作品でそういう描写を読んだ頃から。
好きな作品で主人公とかが好きでやってる習慣ってやりたくならない? メロンパン食べたりギター弾いたりキャンプしたり筋トレしたりさ。わかる? ありがとう。
「昨晩の運動と朝風呂で腹も減って来たし……朝飯も楽しみだなぁ」
ホテルの廊下を歩けば、僅かに香る朝食の匂い。
このホテルは朝はバイキング形式らしくて、それをみんなで食べて王都に戻るプランで考えていた。
朝風呂をじっくり堪能したこともあって時間もいい頃だ。一度部屋に戻って身嗜みを整え、ミャウを毛づくろいでもして少し時間を潰して、イレヴンとテレパシーで時間を合わせてみんなと合流して朝食会場に向かえばちょうどよいだろう。
「まぁ整える様な身嗜みは俺にはないのだが……」
髪の長いカトルや、大人で偉い立場なのでそれなりに外見に気を遣ってるヴァリスタさんと比べて、まぁ俺は楽なもんだ。着替えるだけだし。
当然にして女性陣は各々身嗜みを整えるのはお忙しいやろし……女性はその辺頑張ってるよな。
今は嫁さんたちと同居している俺だが、女性の身嗜み関係の大変さは多少は分かっている。
孤児院でもシスターが女の子たちの身嗜みについてはしっかり教えてあげてるしね。オシャレは美人の義務なのよ。
俺も出来る限りの所で配慮したいと思っています。実は化粧台を新たに購入して設置してたりね。
「さて」
部屋についた。
オートロックの鍵を開けて中に入れば……そこには俺の想像と違う光景が広がっていて。
「なんでや」
「すぅ……すぅ……」
『ピャルルルゥー……フミュミョモモナァー……』
俺のベッドの上、ミャウだけではなくなぜかティオも横になっていたのだ。
部屋を間違えるはずもなく、なぜ俺の部屋にティオが眠っているのか。さっぱり分からん。
お兄ちゃんの腕枕が恋しくて夜中に忍び込んだんか?
いやでもオートロックで普通に鍵はかかってたしな……開錠技術をティオは持ってないし、持ってても流石に無断で人の部屋には入らんだろうし。
部屋を訪ねに来たのは間違いないんだろうけど……そん時内側からミャウが開けたか? それしか考えられん。
まぁでも……あり得るか。ミャウは頭いい猫だからな。
我が家で過ごしてる時も結構平気で猫の癖にドアノブとか器用に前足使って開けることもするし……ノックしてティオの声が聞こえてきたら開けるかもしれんコイツなら。
そのままミャウを抱いて寝たのか。それはまぁ分かるが、しかしそもそも俺の部屋に来た理由がわからんのよ。
なので聞いてみる。
「ティオー、起きろー」
「すぅ……ん……っ、あ……? お兄ちゃん……?」
「おはよ。寝ぐせすげーぞお前」
「んぁ。んー……ふわぁ……おはよ、お兄ちゃん……」
「はい」
『ミョモナァー……フピュルルミャー……フニャッ、っみゃ?』
肩のあたりをゆさゆさして、揺れない事を視認して哀しみを胸の内に抱えて、そもそも抱えるほど胸がないやんけガハハ!! とその辺まで俺の脳内では茶化しを終えて、ティオが目覚めた。
寝ぼけ眼で此方の顔を見てきて、ミャウそっくりの猫みたいな仕草でくにゃりとあくびをして、ぽやんとした感じで体を起こしたティオ。
昔から朝弱めなのよなコイツ。だからこそネレイスタウンでは朝早くに起きてたティオにビックリしたってのもあるのだが。
「……で? なんでお前俺の部屋にいんのよ」
「んー……? …………あ゛っ」
「何その顔」
「あ、いや!? その、えっと、違くて! えっと、ほら、昨日お兄ちゃん頑張ってたから労わってあげようと思って夜に来たんだけど……!!」
「ふーん。鍵かけてたと思うんだけどどーやって入ったん?」
「あ、それはミャウが開けてくれて……あっ、ちがっ……」
「あー……やっぱミャウが開けてたか。頭いいからなコイツ。うりうり」
『ふにゃ……んみゃ! みゃっ!』
「信じるんだ」
さて理由を聞いてみれば、なんとこの愛らしい妹は昨日の俺の活躍を労わるために部屋を訪れていたのだという。
そんな別に大したこともしてないわよ俺。フォルクルスはザコだったし実際に人類の危機を救ったのはトゥレスおじさんなわけでさ。疲れてもいなかったし。
で、まぁ部屋に来たらミャウがカギを開けてくれて、そのままミャウと遊んでたらベッドで寝てたって感じか。なるほどね。
「ほんならええわ。労わられるほど大した事もしてないし……ある意味では存分に昨晩労わってもらったからむしろ元気ビンビン丸だしな! ガハハ!!」
「むー。……ヒルデガルドさんの所行ってたんでしょお兄ちゃん」
「お、よくわかったな……え、なんでわかった? 風呂入って来たんだけど……匂いとか残してないと思うんだけど?」
「あー……、その、エルフは魔素の感知に敏感なの。ドラゴニュートの魔素がお兄ちゃんに残ってるの、分かるんだから」
「便利だなオイ。……え、でもリンと区別できるもんなのかそれ?」
「できるのー! 細かい事はいいよもー! お兄ちゃん思ったより驚いてくれないし! 労わり甲斐がないよお兄ちゃんがそんなんだと!!」
「最近お前理不尽な怒りを俺にぶつけるよな」
『みゃあ……ふみゃ……』
なんで部屋に入ってたのかもわかったし特に労わられるほど頑張ってないし既に労わってもらってるわよーって話をしたらティオの機嫌が急に悪くなった。
なんじゃい。ええやろ俺が美女の誘いを断らないことくらい分かるやろ妹なら。
ヒルデガルドさんともわりかし知的な会話をして痴的な痴態を晒させて結構実りのある夜にした感じもするし。
朝風呂もキメて今日も俺は絶好調だ! 怯えろ魔族!!
「……ホントは色々話したいことがあったんだけどね、お兄ちゃんに」
「ん。そうなんか……なんなら今からでも聞くぞ?」
『みゃ……』
「いいの! その前にやることが出来たから! ね、ミャウ」
『みゃ』
「そうなんか……」
「うん。でも……それが終わったら、お兄ちゃんと色々……いっぱい話したいな。その時には時間貰える?」
「おお……なんかよくわかんないけど俺は全然かまへんよ。いつでも言えな」
「うん! ありがと。言質取ったからね」
最近はティオの事がよくわかんなくなってきたよお兄ちゃんは。
こないだの朝はめっちゃなんか動揺してたし……シスターとなんか色々話してるようでシスターも変な顔してたし……今朝もなんか急に元気で前向きな感じになったし……。
……ま、そりゃそうか。いつまでも俺の庇護下ってわけでもないんだ。むしろ俺の方が妹離れできてないのかもな。
とはいえ俺はいつだってティオのお兄ちゃんだ。永遠に死ぬまでティオのお兄ちゃんを遂行し続ける義務があるのだ。
勿論お願いには気安くOKの返事をして、それを受けてティオも笑顔になった。可愛い顔しよって。
「それじゃ私も部屋に戻るね……って、結構時間やばいー!? うわー朝風呂ギリギリかも!」
「お寝坊さんめ。ちょっとくらい遅刻してもバイキングだし大丈夫やろ。風呂場ですっ転ぶんじゃねぇぞ」
「わかってる! それじゃまた、朝食会場でね! ミャウも!」
「おー」
『みゃあ!』
ぱたぱたと慌ててベッドから降りて、髪を手櫛で整えながらティオが部屋を出て行った。
朝食会場は自由集合だからね。多少遅刻しても問題なかろ。他の女性陣も朝風呂入ってる人もいるだろうし。
逆に俺は早めに行って席を確保しておいてもいいのかもしれないな。従業員さんにお願いすればまた大テーブル3席くらい開けておいてくれるやろ。
部屋で他にやることもないし……いいか。先に行くか。
「うし、んじゃ俺らは朝食会場に向かうぞい」
『みゃ!!』
いつものパーカーに着替えてフードにミャウをinしてから、俺も部屋を後にした。
※ ※ ※
最高級のバイキングを存分にみんなで味わって、とうとう王都に帰る時だ。
忘れ物が無いか確認ヨシ! とミャウと共にポーズを取って部屋を後にして、エーリュシオンのホテルのフロントでみんなでチェックアウトを果たし、色々お世話になった施設を眺めながら入場口まで歩いていた。
「フォルクルスとの遭遇はありましたが……それでも、上質な息抜きが出来ましたね」
「せやね。プールも楽しかったし温泉も……カジノも大人の雰囲気でよくて……あれ、そういや結局我らロック一家のカジノでの稼ぎってどうなったんだ?」
「あ~……ごめんなさい、私はほぼほぼスりました~」
「私は最終的に倍増させました。おおよそ私とノインでトントンですね」
「わたしはけっきょくあそばなかった。ごはんしかたべてないや」
「カジノ内を彷徨いながら時折遊んでおり申したが、一先ずは1000万Gほど稼いでおり申す。花札ならば少々覚えがありましたので」
「おー。俺が1000万G全部エイシスさんに負けたから……手数料考えなけりゃトントンか」
イレヴンたちと歩きつつ、ちょっと気になったのでみんなの収支を確認したらイレヴンとサザンカさんが勝ち頭。俺とノインさんが見事に負けてリンが遊ばずでほぼプラマイゼロだったらしい。
うーん不甲斐ないぜ。エイシスさんとのルーレット勝負は途中から楽しくなって俺もいくらくらい勝ってたのか全く分かってなかったが……やっぱり途中で1億Gくらい手元に置いておけばよかったな。それくらいはあっただろ多分。
なんもかんもエッチな仕草で俺を誘ったエイシスさんが悪いんや……などと思いながらドスケベデカパイ受付嬢がいる入場口に歩いていると、ふと入場口前で見おぼえるのある褐色デカパイ美女が俺らを待っていた。
「あれ。エイシスさん?」
「……! ……おはようございます、ロック様」
「おはよーさんです! どしたんすかこんなところで……カジノのディーラーさんって受付業務もやってるの?」
「いいえ。そういった業務はございません。
「ホエッ」
なもんで声を掛けたらエイシスさんも俺に気づいて、すごい嬉しそうな表情を浮かべてぱたぱたと近寄ってきて、聞いたら俺を見送りに来てくれたらしくて。
えっやだすっごい嬉しい。そういえばエイシスさん俺にワンナイトラブ誘って来てくれてたんやったな!!
「ロック様……ロック様は真に
「アッホアッ。そ、それはその……アレですよね? もらった名刺の裏のサインが……」
「ああ、ご存じであられましたのですね。それなのにお越しいただけなかったのは……
「いやエイシスさんが魅力的じゃないなんてことはねぇですよ!? そんな事言う男がいたら多分目ん玉交換した方がいいってレベルで絶世の美女じゃないすかエイシスさん!! これには色々ワケがあってェ……!!」
「まぁ、嬉しい。ロック様にそのように見て頂けていたことが
なんかすっごい距離詰めてくるぅ!!
夜のお誘いを受けて、でも俺は結局ヒルデガルドさんとの熱い一晩を交わしたわけで……なんかホントに大変申し訳ないけど待ちぼうけみたいになっちゃったんだなエイシスさんが!
目の下に少しクマの色があるもん! 化粧とかアイシャドウで誤魔化してるけどそういうの最近の俺察しちゃうから!! 美人の顔見過ぎてることで逆に些細な変化に気付けるようになってるから!!
後ろの嫁さんたちからの視線もなんか徐々に痛くなってきたし!! エイシスさんは流し目で誘惑してくるし!! どうすりゃええねん!!
って気持ちになってきたところで、しかし俺にも援軍が来てくれた。
「……エイシス、往生際が悪いぞ。英雄であるロック=イーリーアウスはお前ではなく私を選んだのだ。昨日は実に熱い夜だったぞ……存分に雌としての悦びを味わわせてもらった」
「あ、ヒルデガルドさん」
ヒルデガルドさんだ。
急に雑に俺の肩首に腕を廻してしなだれかかってきて……いやエイシスさんを挑発しに来ただけだなこの人?
なんや可愛いな? 今回のカジノでなんかヒルデガルドさんとの距離縮まったわ。
三姉妹の末っ子感がとうとう感じられるようになったというか。甘えられる相手に無茶振りして甘えてくるタイプだこの人。
「まぁ……なんてずるい。伝説のドラゴニュートは人から男を寝取るのが趣味でございましたか?」
「くくく、お前も人の事が言えぬだろうよエイシス! 既に嫁を幾人も侍らせている少年相手にここまで本気になるとはな。
「心に決めました。次にヒルデガルド様と勝負をする際にはきれいさっぱり巻き上げさせていただきます」
「はははは、やってみろやってみろ! 私も……ロック=イーリーアウスも、必ず近いうちにまた遊びに来るさ。そうだろう、ロック=イーリーアウス」
「え、あ、そっすね。とりあえず魔王軍倒して平和になったらっすけど、昨日負けた1000万G返してもらわにゃならないっすからね! また遊びに来るのは間違いないっす!」
「まぁ……では、その時には改めて、今一度の勝負と、契りのお約束を果たさせていただければ、
「そりゃもう是非!! またゲームしましょ!」
俺だってもちろんエイシスさんとはもっと遊びたいし夜の約束も果たしたいことは間違いない。
なので平和を取り戻した後にまた遊びに来ることを伝えたところ、エイシスさんも咲き誇る様な綺麗な笑顔を見せて頷いてくれた。
次は一泊じゃなくって2~3日とかのんびりしてもいいかもしれないね。孤児院のガキたちやシスターも連れてきたりしてさ。回れなかった遊べる施設まだまだいっぱいあるし。
そんなのんびりした平和を掴むためにこれからも頑張ろう。
エイシスさんや受付嬢さんに挨拶して、俺たちは改めて王都に帰って行った。