勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
187 胸猫胸胸猫胸猫!! 胸猫胸胸猫胸猫!!
朝。
「……ん。……ふわぁ……」
『ゴゴフガッ……ピュー……ミョゴゴゴミュスピー……』
いつもの時間、早朝に目が覚める。
そして今日は胸の上に異音を放つ我が愛猫ミャウ。
今日はだいぶ激しいイビキだな。眠りが深いようですね。
ホントに毎晩イビキかくよなぁコイツ。魔王倒して暇になったら動物病院に一度連れて行くことにしよう。
猫にそういうのがあるのかは知らないけどひどすぎるイビキは無呼吸なんたらっていって病気の可能性もあるらしいからな。一応ね。
「うりうり。おらー起きろー」
『ミャピー……ふがっ!? みゃ、ふみゃ、くなぁぁぁ…………んみゃ!』
頭を両手で優しくもふもふとしてやれば、惰眠から目覚めたミャウがあくびを一つ零してから元気そうに鳴いて返した。
可愛い奴め。俺はベッドに横になったままで、起きる前に少しだけミャウを抱きしめて左右に体を揺らす。
昨日までは嫁さんたちとベッドの上でモーニングトークを繰り広げたわけだが、コイツもまた俺の嫁候補(叶わぬ願い)だからな。全力で愛してやりますよ。
ちっちゃい子供とかミャウみたいな猫はこうやって抱きしめながら体を揺らすと喜んでくれるものなのだ。
私がこうすることで喜ばぬ孤児院のガキはいなかった……。(例のシーン)
『みゃあみゃあ! みゃっ!』
「ぬはは。抵抗しても無駄なのだ」
寝起きにいきなりごろごろされて抵抗してじゃれついてくるミャウだがねこぱんちなど効くはずが無かろう馬鹿め!
俺のまわりの存在でお前だけが唯一俺が腕力で勝てる相手なんだからな!! 他は嫁さんたちからケンタウリスのみんなから孤児院のガキどもまで含めて全員俺より腕っぷし強いんだから!! 力での勝負でお前以外に勝てないんだから俺!!
なのでほっぺにねこぱんちを受けて無限にぷにぷにされても俺は許そう。肉球の柔らかさを受け止めることで何か不思議な力が生まれつつあるからな俺の中に。和みパワー。
「んー」
『みゃうー……みゃぅ! みゃみゃっ!』
そのまま腕の中でミャウを弄繰り回しつつ、しかし改めて俺の胸の内に広がる一つの想い。
それは、人としてとても大切な、生物学上の正しさを証明する感情。
────デカパイが恋しい。(最低)
いやさぁ……昨日まではミャウのモフモフが恋しいとか言ってて何だこのクソ野郎って自分でも思うんだけどさぁ!?
でもこうしてミャウと一緒に寝て起きてモフり倒してモフり欲が満たされた結果、次に来る感情が昨日までの寝起きにデカパイ感謝できる幸せなんだよね。
アフターピロートークしてさぁ……女の柔肌と体温を感じながら存分にデカパイを揉める朝ってどんだけの贅沢だったのか改めて思っちゃってさぁ!!
なので決めました。
今日の夜から再び嫁さんたちとのコミュニケーションを再開します。
二人とか三人とか複数プレイとかもやってみてさ! 嫁さんたちが嫌がらなければみんなのもっとエッチな姿見させてもらってさ!!
で、それを続けてたらその内またミャウのモフモフが恋しくなってきてミャウと一緒に寝るんだろうな。何となくわかって来たわ俺も。マンネリ解消のピースなのかもしれないなミャウは。
つまりミャウは逆説的にガリ。
『みゃ? ……みゃー!!』
「なぜ怒る」
言葉には出してないのにミャウがなんでか怒り出した。手の中でめっちゃ暴れておる。
なんでや……嫁さんたちもだけど俺結構な頻度で口に出さないでも考えが読まれる事多いよな。顔か。顔によく出るって言われてたもんな。
まぁ下らない思考遊びにこれ以上ふけってもなんだな。今日もいつも通りのいい一日にするために、いつも通りの事をしますか。
「ふぇーい」
『みゃあ』
ベッドから降りてパーカーを羽織り、フードの中にミャウを仕舞って部屋を出る。
朝食は何にしましょうかね。ガリの事考えてたからショウガ食べたいな。レンコンが余ってたからショウガとレンコンと鳥そぼろで一品作るか。
※ ※ ※
「────ん?」
キッチンに立って朝食の仕込みを始めて、ミャウには朝のミルクを与えて、庭で素振りをしているサザンカさんが刀を規則正しく振る音をメトロノームに作業をしてたところで、しかし急に俺はそれを察した。
人の気配。
俺ら家族の誰かではなく、隣人のルドルフさんでもなく……しかし、その気配は余りにも覚えがあり過ぎる足音で。
「……ティオか? なんでこんな朝早く……?」
ティオだ。間違いない。
まだ朝食前だっていうこんな時間に、ティオが何故か俺んちにやって来た。
普段なら早朝マシンガンノックを扉に叩き込んでくるが、今日はそれはなかったようだ。
まだリンやノインさんは寝てる時間だってのもあるけど、多分庭でサザンカさん見つけて声かけたんかもな。
なんやろこんな時間に。早起きして俺んちに来る何か理由があったのかな?
材料を一人前追加しつつも料理の下拵えをキリの良い所で止めて、庭に回って様子を見に行く。
すると、そこで。
「スゥ────」
「ふぅ────」
蜻蛉の構えを取るサザンカさんと、両手にセントクレアちゃんの宿る双剣を構えるティオが一足一刀の間合いで相対していた。
ピリッと空気が引き締まっているようだ。
ただ、二人の顔に浮かぶ表情は好戦的なそれも交えつつも、真剣の
ティオが俺んちに遊びに来て、そこでデカパイを晒すサザンカさんを見つけて、嫉妬から一手御指南をお願いしたとかそういう流れなのかな。
毎朝サザンカさんが素振りしてる時は普段の赤カブトは着てないもんな。揺れまくるサラシに包まれた純白のビッゲストデカパイに脳が焼かれてしまったのかもしれないな。
「…………」
「…………」
お互いにお互いの隙を探る時間が流れていく。
まぁこの二人だ。万が一が起きる様な技量ではもはやなく、俺も特に心配せずに気配を消しながら眺めているが……さて、どっちが勝つかな。
サザンカさんは普段赤カブトを身に纏っているが、それを脱いだ状態。すなわち敏捷に相当なバフがかかっていることだろう。
ティオは元から素早いが、ここ最近限界突破を果たしたことでさらに速度は上乗せされているし、装備もそれに合わせてさらに敏捷性を求めたものに変わっている。胸当てと手甲以外はほぼ布製のものに変わってる。見た目も可愛い衣装になってる。
サザンカさんは呼吸法で、ティオは加速魔法で速度を上乗せしてるだろうし……うーん。
「────!!」
「ッ!!」
なんてくだらない事を考えていたら、先にティオが動いた。
蜻蛉の構えは待ちの型。そのためサザンカさんが先手を譲ったって所かな。
ティオの斬り上げ斬り払い薙ぎ下ろしサザンカさん小手と峰で受け押し返しティオ衝撃いなして小回転バックブローカット二連にサザンカさん上体ずらしで回避もティオが連撃で押し込みサザンカさん全て刀で受けて────駄目だな。ティオの勝ちだ。
止めよう。
「────ハイ終わり!! おしまーい!! ハイハイ!! 庭であんまりバチバチキンキンしちゃだめですよ!!」
「っ、と……主殿。これは失礼を……いや、気配を消して近寄るのはよしてくだされ、巻き込んでしまいまする。主殿なら難なく避けましょうが……」
「んわっ!? お兄ちゃん!? いつの間に……!?」
「お互いに構えたあたりから見てたわい! まったくもー。模擬戦なら闘技場で腐るほどやれるだろうに……なに、ティオから誘ったん?」
「あ、うん。ごめん、鎧脱いだサザンカさんがどれくらい速いのか試してみたくって……えへへ……」
「拙者も装備を新たにしたティオ殿の速さを見たかったがために応じてしまいました。叱るならばそれぞれに。申し訳ありませぬ主殿」
「いや別に怒ってるわけではないけどね?」
俺が止めの合図を叫べば、二人とも動きを止めて刃を収めた。
多分だけど鎧があればサザンカさんが勝っただろうな。速度はティオが上回るだろうけどあの赤カブトは防御性能が特に優れている。敵の攻撃を小手や胴で受けて反撃するっていうのもサザンカさんの得意とする戦術だし。
ただ今の鎧を装備してない状態だとそれが出来なくて、刀の大きさで振る速度で上回られるサザンカさんの分が悪かったって所か。いや分かり切ってたやろその辺。
いつの間に俺の妹はこんな誰にでもすぐに腕試しするバーサーカーになっちまったのか。昔からか。いつだってそう言えば俺に喧嘩しかけて来てたな。今更だわ。
んで。
「まぁ模擬戦はいいとして……ティオはどしたの。こんな朝早くから」
「うん。ちょっとね、お兄ちゃんに相談で……午前中、一緒に孤児院行かないかなーってお願いしたかったの」
「おん? いやまぁいいけど……今日は特に急ぎの予定とかなかったし。朝飯の後にみんなに確認するよ」
「ありがとー!」
「でも急になんで?」
「急にってほどでもないでしょ? リンちゃん来たころから結構な頻度で私達孤児院には顔出してたじゃない。シスターも最近色々あったし、お兄ちゃんは特に心配かけてるんだから……行ける時には顔出させてあげたいの」
「そうかな……そうかも……?」
ティオが我が家に来た理由を聞けば別に珍しいもんではなくて、孤児院に行こうという話で。
そりゃまあ行こうぜと言われりゃ全然行くんだけど。それだって普通に朝食後くらいの時間に来るのがいつもの流れだったと思うんだが。
ケンタウリスのクランハウスで朝食を食べてから来るのがいつものコイツのムーブだと思っていたのだが。今日はそうじゃない。
ふむ。
つまり朝飯をタカりにきたわけですね我が妹は。(天地明察)
「ま……とりま朝飯食べてけよ。まだ食べてないだろ?」
「えへ。いい? ありがと! 最近なんか美味しい物ばっかり食べちゃって舌が肥えちゃったかも。サザンカさんの作るごはん美味しくって……」
「しかしそんなお前が味わった我が家の飯の三分の一は俺が作っていることをまだご存じではないようだな! 俺の料理の腕も成長しているのだ!!」
「どうして急に自慢してきたの。……しかもだいぶ盛ってるでしょお兄ちゃん? 昔のお兄ちゃんの料理の味知ってる身としては味が違いすぎるもん!」
「いやいや、最近は下拵えは主殿も相当に腕を上げ申したぞティオ殿。味付けについては分量の調整で整えられる部分でござるし……拙者がやるのは食材を切るのと火を入れるのが主にて」
「ええ!?」
「まぁサザンカさんの仕上げの腕前は流石に天地の差なので真似はできないのだが。でも味付けだけでもやっぱりだいぶ違うなって理解しただけ成長よ。既に一人前追加して下拵えしてあるからそろそろご飯作りに行きましょっかサザンカさん」
「承知しました。ティオ殿も料理を手伝ってみるでござるか?」
「あ、はーい! 手伝います! タダでごはん頂くのも申し訳ないし! 最近は魔導タンクの補給もしなくてよくなっちゃったもんねー」
「ノインさんが魔法万能なんで掃除とかも含めて色々助けてもらってるわ。んじゃキッチン戻るか」
話を広げればやっぱり朝飯目的だったな。仕方ねぇ腕を振るってやりますか。
サザンカさんと並んで料理してると料理スキルの高さにいつも驚かされるけど味付けとか技術関係ない米の炊き方とかパンの焼き方とかは磨かれてるからな俺も。
魔王倒してハーレム完成したらレストランでも開こうかな。みんなにデカパイ強調したメイド服なんて着せてさ。
いやダメだなそれ目的でやってくる穢れたオス共に嫁さんたちが見られるの許せねぇわ。男子禁制にすればワンチャンか……!? 俺目的にやってくる女性客が来るはず!!
「ふとした瞬間にお兄ちゃんがアホなこと考えてこんな顔になる事についてサザンカさんはどう思ってる?」
「主殿らしくて可愛らしいなぁと」
「大人だぁ」
更なるハーレム拡大に想いを馳せつつ、3人で家の中に戻っていった。