勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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188 自分の育った小学校に大人になってから来るとすごい謎の感動ない?

 

 その後、ティオも手伝って作った朝食をみんなで食べ終えて、朝の支度をする時間。

 俺の支度は歯を磨いてミャウを毛づくろいするだけで終わるのだが、嫁さんはみんな髪が長いし年頃の女性。朝の準備もそりゃ時間がかかるってもんで。それを何を言わずに待つのもデキる男の条件である。

 前も言ったけど俺んち座って整えられるでっかい化粧台が2台あるからね。元から1台あったけど嫁さん増えてから新しく増設してます。

 

「ね、お兄ちゃん。ちょっとミャウ借りていい?」

「んぉ? ええよ」

『みゃ……みゃっ』

 

 リビングのソファに背をもたれかけて、片目を閉じながら両手でそれぞれつまんだペン先をちょんちょんさせる遊びをしてたところで、嫁さんたちと一緒に髪を整えに行ってたティオから声を掛けられ、俺は快諾した。

 なんか知らんがミャウに用事があるらしい。別にNOという理由もないので貸し出した。

 ミャウもティオに呼ばれて、てとてと歩いてティオの肩に飛び乗る。この愛猫は時々人の言葉を理解している節があります。

 肩に乗せたミャウを連れてどっか行くティオ。なんやろ。

 

「ふわ~。お待たせしました~」

「朝はいつも時間がかかって申し訳ありませぬ、主殿」

「なーんも謝られることない。女性は着飾る義務がありますからね……って、おお。ノインさんこないだ買った服着てくれてる! 可愛い!!」

「えへへ~、折角買った服だし着飾らないとですよね~。サザンカさんもたまには赤カブト脱いで私服で出歩いてもいいんじゃないですか~?」

「拙者が落ち着かぬのでござるよ。カフェのような場ならともかく、外を出歩くには何があってもおかしくありませぬ。備えたい……ただ、主殿の目を潤せぬのは少々寂しい想いはあり申すが」

「いやいやサザンカさんの鎧姿は俺も大好きだからそのままでええですよ! ちゃんとデートする時とかに洋服着て見せてもらうことでプレミア感も出ますし! そういう時にはよろしくね!」

「ふふ、承知いたしました。拙者の意向を尊重いただきまして有難うございまする」

 

 その後、先にまずノインさんとサザンカさんがリビングに合流。

 今日はこの二人で化粧台共有してたっぽいね。いつものふわふわボディに俺がこないだ呉服屋『リーゼ』で購入した外行き用の腰回りきゅっとするタイプの洋服着てくれてる。美。

 サザンカさんは普段と変わらない赤カブト姿だけど、サザンカさんはこれがいいんだから。デカいしカッコいいし、そんな血腥い赤に染まる佇まいの中に純白のお美しい顔が見えてるのがいいんだから。

 そんな二人がリビングで装備をチェックしていると、普段よりも少々時間がかかって残る3人もリビングにやって来た。

 

「お待たせしました、マスター」

『みゃ!』

「おー。全然気にしてないです……ん。リンの髪がなんかいつもより艶が4割増しな気がする」

「ん! きづいた! こないだヒルデに、ドラゴニュートのかみにあうシャンプーおしえてもらったの!」

「ほほーん。綺麗でええやん」

「えへん!」

「前よりずいぶんと髪が梳きやすくなってたねーリンちゃん。私もそのシャンプー使ってみよっかな」

「みんな髪が長いから大変よな」

『みゃ』

 

 なんか前よりリンの黒髪に艶が出てる気がして褒めてやる。

 ヒルデガルドさんも紅い髪がいつもつやつやだがドラゴニュートに合うシャンプーなんてあったんだなぁ。知らんかった。

 イレヴンはいつも完璧な髪ツヤ勢だしティオもいつも髪はすごく丁寧に扱ってるけどリンはたまにボサってたこともあったからな。俺の嫁さんが更なる美に目覚めてくれるならば俺は何も言う事は無いです。

 

 さて。

 そんじゃ今日の予定を共有しますか。

 

「今日はとりあえず午前中は孤児院行きます。ティオが寂しくてまた顔出したいようなので」

「寂しいとまでは言ってないよぉ!? でも子どもたちもシスターもお兄ちゃんのこと心配してるんだから……できるだけ定期的に顔は出してあげてほしいの! 私も付き合うから!」

「そんなに気にしてるかなぁ……」

「気にしてるでしょうね間違いなく」

「ぜったいきにしてる」

「子供たちに心配かけてないと自分で言うにはあんまりにも色々やりすぎでは~?」

「主殿が何度死にかけて、何度王都を救ったと思っておられるのか」

『みゃあ』

「そうかなぁ……」

 

 とりあえず孤児院行きます。

 ティオの希望だし、まぁ俺も別に行きたくないなんてこともねぇからいいんだけど……しかし話の中でどう足掻いても俺は心配される存在だという認識が何故かみんなの中にあって。

 心配かけないために、一人で生きて行けるように冒険者になったんだけどなぁ。

 勿論カッコいいしモテたいしっていう想いもあるんだけどさ。早く独り立ちして孤児院に寄付してシスターの心配を無くしてやりたいって気持ちは間違いなくいつも俺の中にある。

 それなのに余計に心配をかけるようになっちまってたら……なんか……申し訳ないってのも違うけどなんか……なんかなぁ!!

 ティオはそんなに心配されてないっぽいのに。この違いは何なのだろうか。分からん。

 

「まぁいいや。孤児院行って……んで午後は闘技場でレベリングして、っていう普段通りの一日に戻るわけだけど。みんなはなんか予定とかやりたい事とかある?」

「私はマスターに従うのみです」

「右に同じです~」

「うむ。主殿の意に沿いまする」

「わたしもー……あ、いや! わたしからある!」

「おん? どしたリン? なんかあったっけ?」

「おようふく! まえにごふくやさんがおうちにきたとき、わたしのあたらしいふくをつくってもらうのおねがいした!」

「おー……おお! そういや依頼してたなリンの新装備。おっけ、そんじゃ……昼飯食べてから闘技場行く前に一回リーゼ寄って仕上がってるか聞いてみるか」

「うん!」

 

 んでいつも通りの流れで今日の一日を過ごすか……って所で、みんなに他に何かあるか聞いてみたところ、リンからそういえばな話が出て来た。

 お願いしたの2~3日前だったけど、その間にカジノイベントがあったからすっかり忘れてたわ。支配人さんにリンの新しい服お願いしてたっけ。

 あの人の事だからしばらくしたら家に持ってきてくれたかもだけど、明確に約束はしていない。進捗どんなもんか見に行くのはいい案ですね。

 ついでにまた嫁さんたちの服を見繕って来てもいいだろう。またエッチな服が見つかるかもしれないし。

 

「あー……カジノで言ってた、みんなのドレス仕立てたお店だよね? なんかお兄ちゃんがそういう高級店行くのぜんっぜんイメージ湧かないなぁー……」

「なんじゃい! 俺だってちょっとは成り上がってるんじゃい! 支配人さんとはもうだいぶ仲良くなったぞお店行ったらお茶出してくれるんやぞ!」

「それは誰にでもやるサービスじゃないの?」

「するどい」

「おばか。でもリーゼかぁ……団のみんなも気になってはいたんだよね。……私もついてっていい?」

「そりゃ構わんが。どーせケンタウリスのみんなと闘技場で合流するんだし……今日はそこまでついて来いよ。お兄ちゃんが昼飯も奢ってやらぁ」

「……いいの?」

「ダメな理由ある?」

「ん……それじゃお昼までもらっちゃうね! ありがと!」

 

 ティオも呉服屋に来ることが確定しました。

 喜んでるようだけど多分あの支配人さんの事だ。闘技大会で2位だったティオの事も当然覚えてるだろうしこれをいい機会だと見てケンタウリスへのパイプを通すためにめちゃくちゃサービスを提供してくる予感しかしない。

 まぁ我が妹が可愛い服を身に纏うのは全方位嬉しい事なので俺はそれも見守ってやりましょう。胸のサイズに合う服があるといいですね。

 

「じゃ……行きますか。ガキ共にカジノ行って来たって自慢してやろうぜ」

「絶対またみんな怒りますよそれやると」

 

 そんじゃ孤児院に向かって出発!!

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

 ついたわよ孤児院!!

 

「しかし今日は平日である」

「授業中だねぇ、この時間だと」

「じゅぎょうはとてもたいせつだけど、ねむくなるしおなかもへる」

「あれだけ個性的な子どもたちをミル一人で取りまとめるのは大変でしょうね……」

 

 ギルドの方が孤児院は近いので自宅からギルドに転移して、そこから空飛んで孤児院へ。

 しかし今日はまだガキ共は外に出て来ておらず。中で座学の授業してるみたいやね。

 俺がいつも昼寝するか脱走してた授業の時間だ。みんな真面目に座って話聞いてて偉いよな。

 

「まぁ……遠慮することもなかろ。後ろでガキ共が勉強してるの眺めて突発の授業参観と行きますかァ! 問題間違えたら笑ってやるぜグヘヘ!!」

「楽しそうだねお兄ちゃん」

「長兄がこうだから孤児院の子達は立派に育っておられるのだろうか」

「ザ・反面教師ぃ~」

 

 だが俺はここで授業が終わるまで待つなんて言う器用なことはできないので。遠慮なく突撃してそのまま授業参観と行こう。ガキ共が急にデカパイ嫁さんたちに押しかけられて集中が保てるかこの俺が試してやろうというのだ!

 そんなわけで勝手知ったる孤児院にお邪魔して廊下を歩きつつ、授業やってる部屋にみんなで向かう。

 

 しかしそこでふと気づく。

 

『…………』

「んー?」

 

 なんかミャウが元気ないわね。どうしたお前。

 普段から騒がしい方ではないが、本当に暇なときはフードの中で寝ているというのに今日は俺の頭の上にスタンバったままで、しかし鳴き声が普段よりも少ないような。

 なんだろ。今朝はご主人様と一緒に寝られてゴキゲンだったと思うのだが……ホントに体調とか崩してないよな?

 しかし俺の勘はなんも響いてない。俺の意志で探る様に勘を働かせても特に反応なし。

 という事は生命の危機とかガチで俺がなんかしないといけないって状態でもないんだろう。シンプルにテンションが低いだけかな。後で高級ジャーキーでも買ってハムらせてやるか。

 今はとにかくサプライズを果たす時。突撃となりの授業風景!!

 

「……おっじゃまー!! 真面目に勉強してるかガキ共ー!!」

「ああ、やっぱりロックだったわね……ティオも、皆さまもこんにちは。みんなもご挨拶なさい」

 

 教室にノックしてもしもーしと入室すれば、俺らの気配は察してたようでシスターから挨拶が返される。

 ガキ共はみんな驚いた顔をして、それでもちゃんとシスターの教えを守ってまずしっかり挨拶してきた。

 

「こんにちはー!! 今日はどしたのロックにーちゃん?」

「こんにちは! ミャウちょーだいロックお兄ちゃん!!」

「こんにちは。ティオお姉ちゃんも一緒なんだね」

「こんにちはー! ……あれ、姫様のおようふくかわいい! はじめて見る服だ!」

「は~い、こんにちは~。急にお邪魔してごめんなさいね~」

「マスターがみんなの授業を見たいと言い出しまして」

「絶対ロック兄ちゃん茶化しに来ただけだよね」

「やかまし」

「授業の邪魔は駄目ですよロック。急ぎの用件ではないのね?」

「そうね、顔出しに来たってくらい。授業参観のノリです」

「じゃあ騒がずに後ろの方で座っていなさい。皆さまもそれでいいですね?」

「ええ。お邪魔しているのは私達ですから。本当にいつもマスターがすみません、ミル」

「大丈夫です、昔からこの子はこうだから。変わってなくて安心したわ……ゼノ、ノッチ、皆さまに椅子を用意してあげて」

「はーい!」

「みなさん、こちらにどうぞ……」

「かたじけない……が、拙者は立ったままで大丈夫でござる。この装備で下手に座れば椅子を壊してしまいそうでな」

「懐かしいなぁ。今日は王都の歴史の授業かぁ」

「ミル、わたしもうけたい! れきしはまだきょうかしょぜんぶよみおわってないし!」

「あら、リンちゃんも受けていく? いいわよ、それじゃあリンちゃんの分の教科書も準備しましょうね」

「うん!!」

「……となれば。ノワール殿、本当の意味での授業参観になられますな」

『ふふ。我が子が学ぶ姿をこのような形で目にするとは思いませんでした』

 

 だいぶわちゃわちゃさせてしまったが、しかし最終的に落ち着いて俺らは教室の後ろでみんなの授業風景を眺めて、リンが久しぶりの勉強に一緒に参加して、それを魔装具になったノワールさんが刀の姿でじっと見守って……と、そんな風に再び授業が開始された。

 懐かしいなぁ……子どもたちの成長具合で指導範囲が違うから、そこをシスターがホントに上手に回して、それぞれの理解が及ぶように教えるのだ。

 10人ほどの人数だからできる総合的な授業って感じかな。一律に黒板に書いたそれをノートに取って……っていうのは無くて、それぞれの理解度に応じてシスターが指導していくような感じで。

 膝立ちになってガキたちの机の傍で指導するシスター。変わらない姿に心の内に温かい郷愁が生まれていく。

 

「……お見事なものですね」

「ですね~。すごいなぁ……大人になってからこういうの見ると感動があります~。子供たちの意識がしっかり授業に集中できるように、あらゆる配慮がなされているって言うか~」

「時には年長の子に年少の子の指導を任せたり……うむ、それによりお互いが真剣に学び合う。流石でござるな、主殿の育ての親は」

『人の子らが学ぶ場はこのようなものなのですね……』

 

 それを眺める嫁さんたちも感心しきりだ。まぁ俺たちのママなんでね。シスターは本当にすごい人です。

 

『…………みゃ』

「……」

 

 だが、そんな授業中でもミャウのテンションが戻る事は無かった。

 なんだか妙な予感がしている。なんだこれ。

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