勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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197 聞けば名うての曰く付きロマン特盛まな板ビームサーベルであった

 

 さぁネクストデカパイヒントでござる。

 

「イルゼを貸せカトルッ!! お前の相棒を俺がこの世に顕現させてやるわ!! ホントにまな板じゃないか確かめてやるわい!!」

「今のお前にイルゼを貸すという行為に対して恐ろしいブ厚さの心理的障壁が在るんだよな」

 

 ノワールさんのビッグママデカパイを堪能し終えて、次の標的としてイルゼを顕現化させたるわ! とカトルに借用をお願いしたところ謎の難色を示された。

 なんや。今俺がやってることは限りなく人類のためになる事なんやぞ。

 少なくとも元ブラックドラゴンのノワールさんが顕現化出来たからこれだけでもサザンカさんの戦力増強は間違いないやろし。

 イルゼも顕現化出来たらカトルも戦いやすくなるかもしれんし。

 そしてデカパイが増えることで俺が無敵になるのでやはり人類の勝利はゆるぎないものになるのだ。

 

「はぁ。まぁ……やれるだけやってみろよ。マジで俺が本気で魔力注いでもダメだったからお前でも無理だと思うんだけどな」

「ホントにそう思ってる?」

「……半分くらいお前ならやりかねないかなとも思ってる。それじゃ……」

『────カトル。止めなさい』

「ん」

「おや」

 

 とはいえ試さない理由もないので、カトルも最終的には折れてくれて俺にイルゼの持ち手を差し出してきたんだけど、それが俺の手に渡る前にイルゼ本人から拒否のセリフが零れた。

 えっなんで。別に俺に魔力注がれるくらいよくない?

 割と長い付き合いじゃん俺達? それなりに信頼してくれてたよねイルゼも?

 

『ロックにだけは私を持たせてはいけません。魔力を注ぐなど言語道断……絶対に渡さないように』

「なんでそんな事言うの……?」

「お兄ちゃんの目から滝のように涙が」

『みゃ』

「や……どうしたイルゼ? まぁ確かにこの変態に魔力注がれるの嫌かもしんねーけどさ。そこまで言うか? 長い付き合いのロックだぞ?」

『……事情があります。説明もしますから、渡すのだけはいけません』

 

 なんでやねん! って聞いてみると、何やら事情があるという事で。

 仕方ない。事情があるなら聞いてやろう。

 俺が納得できる理由なら無理強いはしないしさ。

 

『まず、顕現化というスキルは、インテリジェンスソードに代表される意志を持つ魔装具に封じられている存在を召喚するスキルです。これは分かりますね、ロック』

「うん」

『よろしい。続いて、顕現化の利点ですが、そこに顕現しているセントクレアやノワールのように、精霊体や肉体を再生させ、彼女たち自身が戦闘に参加できます。元となる双剣や刀も武器として性能が変わらず扱えますので、純粋に戦力が増えるという事です』

「ほんほん」

『さらに、顕現化した存在それぞれに副次効果がある。先ほどセントクレアは常時の体力回復能力が付与されると言っていましたね。水の精霊ならではと言ったところでしょうか』

『うふーん♪ いちおー生命を司る精霊ですから♡ もし仮に水の魔素を管理するブルードラゴンがインテリジェンスになったら近い効果になると思うわよー』

「ほえー」

 

 とりあえず顕現化についての説明をしてくれた。

 顕現化しても魔装具はそのまま使えて、手数が増える。んで特殊な効能もある。

 ふんふん。なるほど理解が及ぶ話だ。続けて続けて。

 

『ノワールはブラックドラゴン……闇の魔素を起源とする存在です。であれば、魔力吸収が権能ではないですか?』

『その見解で正しいです、イルゼ。もっとも、私は闇の魔素を司る中でも至高の存在。普通の人類が生身で顕現させれば、自然の魔素を吸い過ぎて魔力酔いしてしまうほどです』

「え……じゃあサザンカさんヤバくない!?」

『生身で、と言ったでしょうロック=イーリーアウス。サザンカは赤備えとネックレスの魔装具の権能で状態異常無効になっていますから無事ですね。正直に言えばサザンカは魔力を使う戦い方ではないので、少々噛み合っていませんが』

「うむ、拙者は無事でござるよ主殿。魔力は拙者の限度まで補填されているのでもうこれ以上は受け止めきれぬがな……限界まで溜まれば超過して溜まり続ける様なものではないようで。それが出来てしまえば魔力酔いになるのでござるが」

『……まぁ、顕現化した際にはそのような、特殊な権能も付与効果として存在する。それをまず前提知識として説明しました。大丈夫ですか、ロック?』

「はいほー」

 

 ノワールさんもすごい権能をお持ちだ。

 魔力って実はものっすごい枯渇しやすい物だからね。

 俺のまわりにカトルやティオ、イレヴンやノインさん、リンやヴァリスタさんやメルセデスさんと規格外な人たちしかいないから印象薄いかもしれないけど、一般的な魔法使いとかだと、一軒家に設置されてる魔導タンクを2~3回満タンにすれば魔力が枯渇するのだ。

 しかも回復がかなり遅い。枯渇させたら一日は経過しないと満タンにならないのだ。

 何度も言うがすぐに回復するティオとかカトルとか、さっき名前上げた人たちがおかしいだけだからね。

 一番おかしいのは俺ではないか?(名推理)

 

『では、私の権能と、顕現化の効能について説明します。まず私は……顕現化まで至ったとしても、意識が表出されません。剣の姿のままなのです』

「えっ」

「え、そうなのか? イルゼお前……どっかの精霊とかが元じゃないの?」

『違います。私は……暁剣(しゃっけん)とも呼ばれ、炎の魔剣と謳われてはいますが……その本質は、全てを滅ぼす剣として1000年以上前に生み出された存在なのです。剣そのものに意志が込められている。私を鋳造した当時の鍛冶師が溢れんばかりの執念を籠めて鍛えた剣。その執念に意志が宿った存在が私、イルゼなのです』

「え……」

『真の名を────虹剣(こうけん)イルゼ。光の属性と闇の属性を併せ持つ特殊な剣です』

 

 驚愕の真実が語られた。

 今まであんなにカトルが炎ドバーッ業火ズボーッってしてたイルゼが、実は炎属性ではなく光と闇の属性を持っていると。

 

 そう……。(無関心)

 

 属性の事なんてどうでもいいわ!! そんなにデカパイボイスだったのに肉体なかったのかよイルゼお前!!

 なんだよ……俺のデカパイの夢が一つ消えちまったじゃねぇか……!!(落涙)

 それに事情は分かったけどそれで顕現化NGって言われる理由が分からないわ!

 

「まぁ名前はどうでもいいんだけど。なんでそれで顕現化ダメなん?」

『ロックのそういうサバサバとした所は嫌いではないですよ。そうですね、何故顕現化がダメかという話ですが……まず、私は顕現化させるとどうなるかというと、刀身が現在の太身の両刃ではなく、光の奔流に変わりまして……』

「えっ光!? レーザーブレードになんのお前!? マジで!? 超カッコいいじゃんうっわぁ! 見たい!! ヤらせろ!! 顕現化させろオラーッ!!」

「ごめんイルゼ、俺も話聞いたらちょっと見たくなってきた」

「私も見たいなー! イルゼってそんな光の剣になるんだー!」

「わたしもみたーい!! ロック、やっちゃえやっちゃえ!」

「年少組のテンションが上がっておられるぞ」

『どうしてうちの子達ってこう可愛いのかしらね、ノワール?』

『我が子が可愛いのは当然ですが、やはりロック=イーリーアウスの影響なのでしょうか』

『私の話を最後まで聞いてくれますか?』

 

 事情は置いといてレーザーブレードになるなら超見たいじゃん!!

 デカパイが無くなってもレーザーブレード生えてくるならやるよ俺は!! 遠慮しなくていいよ永遠のゼロでまな板確定してもイルゼの事は愛してるから! いくらでも魔力注げるよレーザーブレード見るためなら!!

 そんな風に興奮する患者になっていると、イルゼからさらに説明が続く。

 

『顕現化した姿が問題なのではなく、顕現化させた後の権能が問題なのです。先ほど顕現化のスキルの説明をしましたが、もう一つだけ仕組みについての説明が漏れておりました』

「ん。それはどんな?」

『顕現化を解除した場合の性質です。現在ここに顕現しているセントクレアやノワールは、術者が顕現化を解除する、もしくは一定時間が経過すると自動的に顕現化が解除されます』

『そうね、私は注がれた魔力量の感覚だと、あと1~2時間もすれば自動で解除されるかしらね』

『私は…………たぶん、一日くらいは保ちそうですが……』

「まってお兄ちゃんにそんなに魔力負けてたの私? ホントに? 結構ショックなんだけどぉ!!」

「はーっはっはっは!! 兄より優れた妹など存在しないのだぁ!!」

「ショックなんだけど???」

「ごめん冗談。異世界転生チートさんの名言零れただけだから本心じゃないから泣かないでくれティオ。その涙は俺に効く」

『どうしてもロックと話していると話が漫才に逸れていく。……改めて、顕現化の解除に伴う性質を説明します。顕現化が解かれますと、顕現化に使った魔力は術者に還元されます。顕現中に顕現した存在が別途魔力を使ったりすれば目減りはしますけれどね』

「ほほぉ……?」

 

 なるほど。顕現化に使った莫大な魔力は、顕現化がキープされている時は顕現してる体が魔力持ってて、顕現化が解除されると体が消えてその分魔力が戻ってくる……という理解か。

 そこまでも話は分かった。じゃあイルゼの懸念点とは?

 

『そして、私が顕現化したときの特性として、顕現化の解除に伴う魔力のフィードバックが存在しません。使いきりなのです』

「おお?」

「……え、嘘だろ? 俺が母さんから貰った魔力回路込みで全魔力籠めても顕現化しなかったのに? その上魔力使い切りなの?」

『ええ。私に注がれた魔力は、全て光の刀身を維持するために使われます。顕現化の有効時間は、長くても一分』

「え、それだけ!?」

『はい。その上、一分以上顕現化を維持させようとすれば、強制的に使用者……私を持っている者の魔力を吸い上げます。顕現化の解除魔法を正しく組み上げられなければ、死ぬまで吸い続けます』

「呪われし魔剣だよ話だけ聞いてるとぉ!!」

『そう言われても仕方がありません。こんな性質をしているからこそ、顕現化に必要な上限も高いわけですが……私がロックに絶対に使わせるな、と言った理由は分かりましたね?』

「なるほど……俺が持ったら仮に顕現化させちまった場合、解除魔法を組み上げられないから永遠に魔力提供して無駄に消費するマンになるわけだ」

『その通りです。だからロック、私の顕現化は諦めて下さい』

「しょうがねぇなぁ怖いからやめたるわ!! でもイルゼの顕現化したときの特殊性がコワイってだけでイルゼの事は大好きだからな!! そこはき違えないようにな!!」

『……そうですね。ロックらしい答えを、有難うございます』

「声だけ聞けばデカパイだから!! これからも俺に優しく囁いてくれればいいから!!」

『くたばれ』

 

 なるへそなー……イルゼが俺の事想って顕現化すんなって言ってくれたのは分かったわ。

 確かにノワールさん顕現化する時も結局顕現化の詠唱はノワールさん自身にしてもらってたし。解除魔法なんか俺が操作できるはずないし。

 万が一イルゼを顕現化させちまったら一生イルゼを離すことが出来ずに、光の剣に俺の魔力が垂れ流しになるという事か。

 怖。止めてくれたイルゼに感謝しとこ。デカパイ感謝。

 

「……ってか、肝心な部分説明してねぇぞイルゼ。顕現化のデメリットが極めてデカいのは分かったけど、その分メリットもデカいんだろ? 光の剣になった時にどんな能力があるんだ?」

『…………伝えると、もしもが脳裏によぎると思い、これまでも伝えていなかったのですが』

「聞くだけだよ。お前の主は今は俺だ。魔王軍との決戦でどんなシチュエーションになるか分からないんだ。知っておいて損はないだろ。判断するのは俺なんだからさ」

『……分かりました。では私の権能ですが……私が顕現化して光波剣になった状態で斬られた相手は、一時的に、()()()()()()()()()()()()。しかも斬れば斬るほど効果は重複します』

「え? …………え? それヤバくない?」

『破格すぎる性能だわ』

『成程……その権能で150年前に魔王を単独で討伐したのですね、当時の所有者は』

『その通りです。かつて私を扱っていた名も無き冒険者は、ありとあらゆる魔力回復薬を用いて私を顕現。一分以内に魔王の隙をついて三十六回ほど剣戟を入れて、極限まで魔王の体力を削り、トドメはワンが刺しました。変態的な動きと、狂人の気概がなければなしえない討伐方法です。くれぐれも真似をしないように』

「できるかっ!! そもそも顕現化も出来ないんだからよ俺は!!」

「コワー。150年前の英雄コワー」

 

 ちょろっと話が広がって、顕現化したときの性能について。

 クソ魔力消費が重い代わりに、破格の性能を誇っていた。体力上限の半減て。

 どんなに体力自慢でも三回斬るだけで体力八分の一になんの? ヤバくない?

 とんでもねぇロマン武器だったんだなイルゼお前……。

 

「まぁ話も聞いちまえばイルゼは顕現化できねぇわな。残念やなー」

『理解してもらえてよかったです。この話はどうか忘れてもらえると助かります、カトルも』

「いやまぁ忘れるまではいかないけど……選択肢にはそうそう挙げられないのは分かったよ。顕現化できてもその後に動く魔力がないと死ぬ選択しかねぇし……とんでもねぇ剣だったんだなお前」

『恐縮です』

「しかしそうなると今日のデカパイはノワールさんだけか……!! ンモー!! じゃあでもまぁ仕方ねぇな! 一日は顕現化がキープできるなら今夜はごちそうにしましょうかねサザンカさんね!! ノワールさんに美味しいもんいっぱい食べさせてやろうぜ!!」

「そうでござるな、拙者も考えていたでござる。ノワール殿も晩餐に混ざるなら50人前は作らねば」

『有難い話です。ぜひ食事という行為を堪能してみたいもので……ところでロック=イーリーアウス』

「何すか?」

 

 大体話はまとまって、じゃあ今夜は仕方ねぇノワールさんに食事の味を楽しんでもらって夜は親子丼を味わわせてもらうぜ! と誓いを果たしたところで、ノワールさんからふと聞かれる。

 

『貴方の所有する魔装具は、顕現化を試さないのですか?』

「は?」

『あー、そうよね。ロックもインテリジェンスの魔装具持ってるじゃない』

「は??」

「え? お前そんなモン持ってたのか?」

「お兄ちゃんインテリジェンスソード持ってたっけ?」

「初耳でござるな」

「あ。そっか、ロックはきづいてないんだ」

 

 

『──ロックがつけてるその指輪よ、指輪ー。それ、インテリジェンスリングの魔装具よ?』

「マジ?」

『マジです』

「マジで?」

 

 俺ってインテリジェンス魔装具持ってたのォ!?

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