勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
なんだか色々あった一日も終えて、夜。
自宅にてさらに慌ただしく働いているのが我らロック一家です。
「ステーキ50人前を今から一挙に焼き果たしまする! ノイン殿、アイテムボックスの準備を!」
「合点承知~! ソース作りと肉のスジ切りはバッチリやりましたよ~!」
「イレヴン、次はこっちもみ込みよろしく! 下味はつけて袋に入れてるから浅漬けにするために全体をよく馴染ませて!」
「了解です、マスター」
「俺は続いて中華のほう下拵えに入るねサザンカさん! 中華スープの味も作っとく! チャーハンの食材切るのお願い! ほいっと!」
「
「っと! ナイスゥ!! これで最強のチャーハンを作ってやるぜー! カカカカー!!」
腕が十本くらい増えたかのようなテキパキとした動きで、フルコース50人前をノインさんの建築魔法で拡張した調理場で作っているのが俺たちです。
具体的には俺とサザンカさんとノインさんとイレヴンで頑張って役割分担してめちゃんこ手際よく次から次へと料理を作っている。
全員が全員、効率よく次の料理へ、と動線なども考えながら働く様子はなんだかそういうゲームでもやってるみたいだ。
今も俺がステーキを焼いているサザンカさんにチャーハンの具材をぽぽぽーいっと投げて、ステーキを焼きながら片手に握った包丁をヒュパっと閃かせたサザンカさんが具材を完璧なサイズに一瞬で切り果たした。50人前が一瞬である。スゴーイ。
ノインさんもお姫様暮らしが長い割には家事もしっかり覚えており、サザンカさんや俺には及ばぬまでも十分に活躍してくれている。素早く丁寧に下拵えをしてくれる。
イレヴンは包丁持たせたり焼いたり煮たりが全て雑だから、仕方なく誰でもできる作業を振っている。袋に入れた大量の野菜を浅漬けにするために揉みこんでもらったりね。
適材適所。イレヴンが料理にて真の力を見せるのはまだだから。
「……
「おぅらい~! いそがし~! たのし~!」
「こっち鍋用意したんでサザンカさん中華スープ煮込むのお願い! その次チャーハンね! 俺は食後のデザート作りに入るわ!」
「承知いたした! 片手間に揚げ物を作りながらスープと炒飯を担当いたしまする!」
「マスター、漬物は揉みこめましたよ……多分」
「……まぁこんなもんでもいいかぁ!」
「微妙な顔辞めて下さいマスター」
「んじゃイレヴンは次、コーヒーゼリーの材料とカスタードプリンの材料を……分量計ってデカボウルにどばーっと……ハイ両手に泡だて器を握る!」
「はい」
「そしてツインドリルブラスター!」
「知ってた。まさかミキサー代わりにされるとは……」
サザンカさんとノインさんが阿吽の呼吸でステーキを完成させ、完成品は即座にアイテムボックスに収納する。
こうすることで温かさとか出来立てのそれとかがキープできるんだよね。食べる時にはアイテムボックスから出せば焼きたてが提供できる。大量の料理する時に料理人が良く使う手段だ。
もっとも完成品の料理は何故か食材仕舞うよりもアイテムボックスの容量を大きく消費するから限度はあるけど、俺らの持ってるアイテムボックスの容量なら50人前くらいちょろいちょろい。
そして俺は相棒であるイレヴンにまさしく適材適所を果たしてもらうことにした。
両手に泡だて器を持ってドリルブラスターをすることで最速最強の泡立てミキサーへと進化するのだ。
死んだ目でボウルの中の生地をかき混ぜるイレヴン。輝いてやがるぜ。
この後卵白から大量にクリームも作ってもらうから頑張ってくれよな。
まぁそんなこんなで頑張って大量のご馳走を作っている理由はただ一つ。
『……料理とは、こんなにも激しい物なのですね』
「ごはん……ごはん……!!!」
『みゃ……』
本日の来賓であり主役である、ノワールさんに食事の楽しさを味わってもらうためだ。
訓練の中で俺がサザンカさんの持つ黒刀に宿るノワールさんを顕現化させ、そのドラゴニュートなドスケベボディを実体化させた。
俺の魔力だと一日は顕現し続けられるということで、すなわちそれは夕食と朝食と昼食を食べられるという事で。
となれば当然、ドラゴニュート体で人間界の料理を初めて食べるであろうノワールさんに最高の体験をさせてあげたいと思うのがロック家というもので。
闘技場からの帰り道で質の良い食材を買い込めるだけ買い込んで、主賓とそのお嬢様以外のみんなで総出で料理を作っているというわけである。
なおティオも誘ったのだが遠慮された。むしろ料理手伝ってほしいくらいだったんだがなぁ。
『夜までいると我慢できなくなっちゃいそうだから』なんて言ってた。俺の妹がサキュバスになった件について。(タイトルコール)
「────ごはんよしッ パンよしッ 漬物煮物中心の和風料理よしッ ステーキ中心の洋風料理よしッ スープと各種包みの中華料理よしッ」
「フレッシュ・ウォーターよしッ 各種飲料・酒類よし~ッ」
「……ええと、冷蔵魔導器にデザート
「ナプキン、食器、アイテムボックスもよし。テーブルへの配膳よし」
「ぜんぶよしッッ!!」
「バイキングだー! わーい!」
『おお、これが全て料理なのですね……!』
そうして調理場で二時間ほどの激闘を終えて、満漢全席がとうとう完成した。
全ての料理にサザンカさんが関わってるから味は超一流。どの国に行ってもこれ以上のフルコースは存在しないだろう。
何故なら俺たちの愛が存分に籠められているからな。
家族の為に作られた料理が一番美味しいってそれ一番言われてるから。
「さ、そんじゃ皆さん手を合わせて!」
『手を……?』
「おとーさん、ごはんをたべるまえにはてをあわせておじぎをしてかんしゃをするんだよ。しょくざいにはけいいをはらうの。とてもたいせつなぎしきだってシスターにおそわったよ」
『そうなのですね……それでは、こう、でしょうか』
「オッケっす。それではいただきますッ!!」
家長である俺の挨拶でみんなでいただきますをして、早速味わっていただきましょう。
ンまっ!! みんなで作った料理マジでンまっ!!
『────ッ……!!!』
「おいしー! うまーい!! おかわり!!」
「食卓の中央からいくらでも取るでござるよリン殿。ノワール殿にもよそってさしあげてくだされ。……うむ、今日は一段と会心の出来でござる」
「うわ~美味しい~! みんなでワイワイ食べる料理最の高~♪」
「ロック家の夕食はこうでなければですね。うん……うん? この漬物、微妙に水気が切れてないような……」
「それはお前が揉んだヤツだよイレヴンくん。揉み込みが足りなかったと思われる」
「成程。袋の防御力が想像以上に高かったようですね」
「ただのビニ袋だよ」
『みゃ! みゃっ!』
「おーミャウもこのステーキの美味さがわかるかー? 高い肉だったんやぞーこれ」
ワイワイと絶品料理に舌包みを打ちながら夕食を楽しむ嫁さん達。
リンが自分の分の料理を取りながらノワールさんにもよそってあげたり、ノインさんサザンカさんの大人勢が軽くお酒などをくゆらせたり、各々楽しんでいる。
俺もミャウにも胡椒を洗い落としたステーキの切れ端を上げたりする。尻尾がブンブン揺れてるからミャウもご満悦のようだ。胡椒を落とすのは猫には刺激物NGだからである。
しかしまぁ、それにしても。
『……! こ、れは……止まりません、なんなのですかこれは!? どのような感情なのですか、このっ、無限にも思われる己が内より生まれる欲望は……!?』
「無垢なドラゴンが食欲を知っちまったな……」
「もしかするとマスターはとても罪深い事をしでかしたのでは?」
「これが『おいしさ』だよおとーさん! みんながつくってくれたから『あたたかみ』もある! ごはんをたべるとしあわせ! おいしいものをたべるともっとしあわせ!!」
「初めて食べたごはんがサザンカさんがメインコックを務めた料理だもんな~。忘れられない初体験になりますね~」
「見事な食べっぷり、リン殿の親御殿であると如実に感じさせるでござるな。うむ、ここまで美味しく頂いてくれれば作った側も甲斐があるというもの」
『みゃふ……ハグハグ』
ノワールさんがとっても美味しそうに食べておられる。
慣れぬ手つきでスプーンとフォークとナイフを使って、恐る恐ると言った様子でステーキを口に運んだ瞬間に全て決壊したらしい。
頭にビックリマーク作って目はハートマークを浮かべて、困惑しながらも本能が求めるままに次々と様々な料理を口に運び、その度に舌と脳が感動を覚えているらしい。
そして当然と言えば当然、ドラゴニュートなのでその胃袋は宇宙である。
リンと二人で四十人前以上は食べるだろう。ほっとけば無限に食い尽くしそうだが、俺達一般胃袋持ちがいい感じに満腹になる頃には二人とも20人前は食べるだろうから綺麗に料理は食べ尽くされるだろうな。
まぁ今日はご馳走の日だ。好きなだけ食べてもらいたい所ですね。デザートもあるよ。
『……すごい、すごいっ……! この、肉まん? という料理、そのまま食べてもこんなにも肉汁が滴り落ちて舌を蕩けさせるのに、調味料をつければ全く異なる味わいに……!! スープがこんなにも口内に調和を果たして……!!』
「それはすじょうゆで、こっちのカラシをつけてもおいしいよ、おとーさん! わたしはカラシのほうがすき!」
「肉まんに何つけるアンケート~」
「戦争か? ちな俺は素のままが好き」
「拙者は黒酢でござるかな……無論、どんな調味料にも合うように肉に味付けはしており申すが」
「私は辛子が好きですね」
「ちなみに私はソースだったり~」
「ソース派!? そんなんあるんだ!? ……やってみよ。……あっ美味っ」
『みゃみゃ!』
そんなこんなで騒がしくも実に有意義な晩餐は賑やかな時間が流れていった。
※ ※ ※
そして今日はここからが本番です。
「おとーさん、おふろはいろ! ごはんたべたらおふろであせをながす! からだをきれいにしないとね!」
『わかりました。沐浴ですね、文化としては勿論存じていますよ』
「髪の洗い方とかノワールさんによく教えたってくれな、リン」
「まかせて!」
夕飯を終えてデザートも食べて後片付け洗い物をテキパキと終えて、まず俺が一番風呂を頂き、その後に続いてドラゴニュート親子がお風呂に入るようだ。
三大欲求には含まれないがお風呂に入るのもまた人類が生み出した甘露の一つ。温かいお湯にドラゴニュート形態で入る事の楽しさをノワールさんが知る事だろう。
そしてその後ですよ。
今日はノワールさんに人類の三大欲求をすべて教えてやるわけですよ。
次は性欲だよなぁ!?(本能)
「ヌヘホヘヘ……ヌヘヒ……!」
「マスターのこの全方位に意志を伝える表情よ」
「本当に毎晩あれだけ激しく抱き潰してよく枯れませんよね~。夜の帝王の才能在りすぎ問題~」
「ノワール殿も毒牙にかけてしまえば、世界を統べるドラゴンの
『みゃ』
今夜を想像するだけで俺の中の眠れる獅子がガオーってもんですわよ!!
楽しみだなぁ親子丼。ノワールさんのドスケベボディ絶対食いでがあるよ。
最高の夜にしてあげないとね。優しく愛を育みましょう。ぐへへのへ。