勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
さて到着しました湖畔の街ネレイスタウン。
日はすっかり落ち切ったけどまだ夜中というには早いくらいの時間。PM7時くらいですかね。
そして俺たちは夕飯を食べていない。つまりどうなるかというと。
「おなかへった……!! ごはん!!」
「よだれをフードの中に零すんじゃありません。ミャウが泣くぞ」
俺の後ろに乗るリンのお腹がさっきから物凄い音を立てている。訴え過ぎだろ空腹。裁判も辞さない構えじゃん。
宿に着いたらいっぱい食べられるからもうちょっとの辛抱だぞリン!
街に到着してイレヴンもバイクから変形して元の姿に戻り、幌馬車を馬屋に預けたケンタウリスメンバーと合流する。
ティオから抱えてたミャウを返してもらう。早速フードに潜り込もうとするミャウだがすまんなそこは湿地帯だ。
『みゃっ……みゃあ!?』
「リンのせいでしばらくはフード使えないので俺の頭の上にいたまえ我が猫。あとで着替えるから」
「ミャウごめんね……」
『みゃあ』
「……マスターの頭上で微動だにしていませんね。慣れていますね本当にこの子は」
「頭のいい猫だよねー。さて……それじゃあまずは宿をとらないと。ですよね団長?」
「ああ。何度かこの街には来たことがあって、いい宿を知っているんだ。セントールの私にも部屋を準備してくれるところがあってな、そこに行くぞ」
「団長はセントールだから行き慣れない町に行くと宿探しが大変ですよね、いつも。ネレイスタウンはまだ近場だし普段から使う宿があっていいけど」
「小さい町だとなかなか団長の体躯に備えられるお宿はありませんよねぇ。重さは魔法で何とかしていますけれども、純粋にサイズが……」
「出来る限り宿を取れるよう我々も尽力しておりますが、見つからないことも多々。私たちメンバーは宿で、団長のみ馬屋に……などということは出来る限り減らしたいものです」
「…………大変」
「すまんな、苦労を掛ける。少年達もついてきてくれ。おすすめの宿なんだ」
「りょっす」
頭の上にミャウを乗せて、俺たちはメルセデスさんについて行って宿に向かう。
少し歩いて着いた先はなんとも作りの大きなお宿で。裏庭まである。馬車貸し出しサービスとかもやってそうな高級お宿ですわこれ。
こういう所ちょっとしり込みしてしまいます。一人で来てたら絶対選択肢に上がらないタイプの宿だなぁ。
「いらっしゃいませ……おや、メルセデス様! 久方ぶりのご来訪でございますな。いつも御贔屓を頂きまして」
「なに、こちらこそとても助かっている。1週間程度の滞在の予定だ。私用の一部屋、女性陣に大部屋を一つ、少年用に小部屋を一つ……準備出来るか?」
「俺も一緒の大部屋で一向に構わないんスよ??」
「黙れマスター」
「……はい、空きを確認しました。ここ最近は新ダンジョンが出来てからというもの客足が増えておりましたが、魔族の噂が流れてからはまた落ち着きましてな。三部屋のご利用で……宿の利用にかかるご案内は必要ですかな?」
「この宿を使うのが初めてのメンバーもいるからな、よろしく頼む」
宿にお邪魔したらメルセデスさんが完全に常連客の扱いだった。
まぁそりゃそうか。セントール種は極めて珍しいし、その中でも王都でも名前が売れてる金級冒険者ともなれば宿側だって懇意にするわな。
おかげさまで部屋の手配もスムーズに。なんで俺だけ個室なんや……とは言えないわな。そりゃな。俺だけ男子だし。
一人で過ごす夜は寂しいぜ。ミャウを抱き枕にして寝るしかあるまい。
そして宿の利用にかかる説明を素直に聞く俺とイレヴンとリンとティオ。俺らはここ使うの初めてです。
「客間と食事用の大広間の他に、施設には大浴場も準備されております」
「混浴ですか??」
「男女別です。それぞれ浴場がありますので」
「そっかぁ……ちぇっ」
「恥を知れマスター」
「私達が……私達がしっかり見張らないと……!」
「ロックははじ……」
いやちょっと聞いてみただけじゃんねー!
実際デカい宿で大浴場併設してるようなところでも時間を分けて一つの大浴場使いまわすようなところもあるし。そういう意味じゃこの宿マジで規模大きいわ。
貴族とかお偉い人の御用達のお宿だったりするんかね? 高そう。
まぁ今回の宿泊費用とかはケンタウリス持ちなので何も言わんけどね。俺が負担するのはリンの食費だけですよ。
俺だってお縄に着く様な事はしないし。覗きしてバレるようなヘマはしないけどそれはそれとしてシスターに誓ったので人の道に外れる様な犯罪はしません。
「では……部屋に荷物を置いたらまずは食事にしようか。リンも随分とお腹が空いただろう」
「はらぺこです!! ごはん!!」
「ふふ、私もだ。夕飯は豪勢に行こうか……今回の遠征は息抜きも兼ねているからな。今日はゆっくりしよう」
「それじゃイレヴンさん、お部屋いこっ! リンちゃんも!」
「ええ。ではマスター、一旦失礼しますね」
「またね、ロック」
「おーよ。皆さまに粗相がないようにね」
「アンタの口からそんな言葉が漏れるとは思わなかったわ」
「イレヴンさんとリンちゃんは私達にお任せくださいね、ロックくん」
「…………ミャウもこっちの部屋でもいい」
「ミャウがいなくなったら俺が孤独死するのでこいつは俺と一緒でーす! な、ミャウ!」
『みゃ……みゃ……』
「ミャウ様だいぶ揺らいでいませんか?」
俺たちは一旦分かれて、部屋に案内されていった。
その後、一人部屋なのにムダに広い俺の部屋に驚いて、ルームサービスで飲み物とかも注文できるのでさらに驚いて、ベッドがめっちゃふわっふわだったのにも驚いて、どんだけ高いんだここって逆に恐怖すら覚えつつ。
まぁすぐ夕飯なので荷物だけ置いて大広間に向かい、美女を侍らせながらお高い夕食をごちそうになった(主観視点)。
実際? メルセデスさんとリンが大食い対決しかけて流石の高級宿のウエイトレスも冷や汗かいてたよ。
※ ※ ※
宿に備え付けの大浴場。
その女湯に、複数人の女冒険者たちが一糸纏わぬ姿で入ってきた。
「わぁー、すっごい広い! こんな広いお風呂初めて見たー! 露天だし!!」
「おー! すごい!」
「いい所だろう。浴槽も広いぞ。ただし走らずに、そして風呂に入る前にしっかり身体を洗うんだぞ、リン」
「よいですね、一日の疲れを癒せそうです」
「……アタシとしてはイレヴンがちゃんと人肌っぽい素材で出来てるのに驚きなんだけど」
「あのインナーみたいなの脱げたんですね」
クラン『ケンタウリス』に、アンドロイドのイレヴンと竜人のリンが加わったメンバーだ。
その全員が目を見張る美貌に美しい肢体。それらを隠すには余りにも頼りない手布一枚を携え、一日の疲れを癒しにやってきていた。
それぞれが思い思いに髪を洗い、肌を洗い、しっとりとした艶のある髪が月夜に靡く。
各々のタイミングで洗い終えた者から湯船に向かう。
長髪を持つ者はそれを結い上げ、白いうなじを晒しながらも源泉かけ流しの湯に身を浸した。
「ぶわはぁー……!!」
「おー……あったかー……! すごい、なんか沁みる感じぃ~……」
「沁みますね……マスターの家にあるお風呂も作りはしっかりとしていますが、解放感に溢れるこのお風呂もまた乙なものです」
「マルカートさん、ホントに団長の体を洗うの一人で大丈夫ですか? アタシも手伝いますよ?」
「…………オレも手伝う」
「大丈夫です。副団長たる私の仕事でございますから、むしろ奪われてはたまりません。皆さまはゆっくりなさってください」
「すまんなマルカート、いつも有難う」
身体の都合で馬体を洗う手間のかかるメルセデスにはマルカートが従者のように付き添い、丁寧にその白毛の馬体を洗い流していた。
泉質もよいものを使っているらしい温泉に首まで浸す若年組のリンとティオ。子供らしい柔らかい笑顔を共に浮かべるが、しかしその胸元に浮かぶ質量は余りにも格差があった。
イレヴンは説明不要として、リンもまた恵まれし民。ケンタウリスのメンバーの中でもそこには格差があり、恵まれた側がシミレとマルカートとメルセデスとアルト、恵まれぬ側がソプラノとティオである。
「……スタイルいいわよねイレヴンは」
「おや、アルトに褒めて頂けるのは光栄ですね。まぁ私の体に美しくないところはないように設計されていますからね」
「意外と自信満々ですねイレヴンさん。……いえ、何も言い返せないのですけれど。綺麗で羨ましいです」
「アタシは尻が大きくなっちゃって動くのに邪魔なのよね……ホント、イレヴンは黄金比って感じでいいわね」
イレヴンの体に羨まし気な視線を向けるアルト。彼女の体も決して貧層ではない。21歳なのに子供のような体型と揶揄されてしまうソプラノに比べれば胸は十分に実っているし、お尻のボリュームはクラン内ではメルセデスに次いで恵まれていると言えるだろう。
しかしそんな彼女であってもイレヴンの体は眼に毒過ぎた。どこまでも理想的なサイズでまとまっており、完璧すぎる美が彼女が人間でないことを示すかのようだ。
そして、だからこそいたずら心も芽生えてくる。ティオやリンに比べれば年上だが、アルトはまだ18歳。やんちゃ心も十分に備えていた。
「……えいっ」
「んっ……!? アルト、余りふざけないで……っひゃん!?」
「おー……すっごい、触った感じもホントに本物みたい。温かいし、しっとり吸い付く様なきめ細かな肌で……」
「ちょっ……そ、ソプラノ! アルトを止めてください!」
「え~? 私もちょっと興味ありますね~……えいっ」
「きゃあ!?」
同性であるという利を生かし、躊躇い無くイレヴンの胸に手を伸ばすアルト。
その手つきは余りにも手馴れており、イレヴンの弱弱しい抵抗ものらりと交わしてその双丘をたっぷりと味わう。
声を上げそうになるイレヴンが隣にいるソプラノに助けを求めるが、なんとそちらからも魔手が伸び、ちゃぷ、と水音を立てて両方の膨らみを弄ばれる結果となった。
「やっ……! な、慣れていませんか二人とも……んふぅっ!? これ以上はっ、あンっ、怒りますよ……!?」
「えぇ~? イレヴンだって期待してるじゃない? この辺とか……ふふっ?」
「こういうの、ケンタウリスではいつもの事ですから……郷に入りては郷に従え、というやつですよ? うふふ……ちゅっ♡」
「ゃんっ!? 首筋、は……ぁっ……!!」
「…………オレも混ぜろ」
「シミレ!? 貴女まで……あっ、ダメぇ……ま、スター……っ!」
そこにシミレも混ざり、イレヴンの背後から摺り寄せるように抱きしめ、豊かな双丘をぐにゃりと歪ませて体温を混ぜ合わせる。
首筋に鼻を埋めるようにくすぐるソプラノの前髪が耳にかかり、甘い吐息をイレヴンが零した。
アルトは既にイレヴンの弱点を見つけたらしい。随分と指先の動きが淫靡に変化し、動かすたびにイレヴンの口から嬌声が漏れる。
「おや……イレヴンが随分とイジメられているな」
「まったく、この子たちは……」
「っ、メルセデス……マルカートも、みんなを止めてくださいっ……ひっ!」
「ふむ、すまんなイレヴン。むしろ私は美味しく頂く方だ……早速混ぜてもらおうか」
「うふふ……ケンタウリスのメンバーが仲のいい理由を、イレヴン様にも
「っ、二人も……ひあぁっ♡」
最後に合流したメルセデスとマルカート。この二人に救いを求めたイレヴンは、しかしこの二人こそが欲望の園の管理人であったことを知り、絶望の色が胸に広がって……しかし、その顔はどこかこれ以上の感覚を求める様なはしたないそれを浮かべていた。
その表情を見たケンタウリスの雌たちは一様にして同じような淫靡な笑みを浮かべ、集団で囲うようにしてイレヴンを追い詰める。
人非ざるアンドロイドも欲望に堕ちるのか。それを確かめる時間はたっぷりと残されていて。
百合の花が星降る夜空の湯気の中でひそかに咲き誇ったのだった。
─────みたいなことになってねぇかなぁ!!!(願望)
「ま、ないか」
なんせここは大浴場。他の客もふつーに入ってるしな。男湯もまぁ繁盛していますわよ。イモ洗いってほどじゃないけど冒険者やら金持ちっぽい感じの人やらいっぱいおりますわ。
頭の上にミャウを乗せて、ぶへーっと湯船に首まで浸かりながら下らない妄想にふけっているのが今の俺です。一人だとでっけぇ風呂入ってても寂しいところあるよね。
今頃は女性陣も風呂に入っている時間だろう。女湯の方がどうなってるかは知らんけど。リンが走って転んでないかだけがちょっと心配だわ。
因みに俺は百合は尊いものだと思っているところがあります。ケンタウリスでそういう感じの関係ないかなぁ?
マルカートさんはメルセデスさんに心酔してる感じでワンチャンあると思っている。あとシミレさんはなんかタチっぽい雰囲気あるよね。そう思わん?
「シミレさんがタチ、アルトさんがネコ……どう思うミャウ」
『みゃあ』
ミャウはどうやらお気に召さないカップリングだったらしい。アリだと思ったんだがなぁ。
因みに俺の頭上にいるミャウだがこいつはお風呂大好きな猫である。泳げるし。俺んちでもよく風呂に入れてるのでいつでも清潔キャッツ。
まぁこの温泉はちょっと温度が高いんで入れないけどな。他の客もいるし。
「おー……? あんちゃん、その猫なんだい? 使い魔? 温泉で猫は初めて見たなぁ」
「そんな感じっすー。洗ってるんで汚くないすよ。コイツお風呂好きなんで連れて来てます」
「へぇ、お風呂好きな猫ってのは珍しいな。どれ、よ~しよしよし」
『みゃあ!』
「ははっ、メスなんで照れてますよ。触るなーって」
「おお、こいつぁ悪かったな、紳士的じゃなかったか」
品のよさそうな知らないオッサンにミャウについて怪訝な目で見られつつ、でも話題は広がってその後そのオッサンと猫いいよね……なトークで盛り上がって。
その後はしばらくお風呂を堪能し、のぼせる前に上がることにした。
風呂上がりに冷たい牛乳のもーっと。