勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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212 ガキンチョ特攻レベル100

 

 そんなわけで会食ですわよ!

 会議に参加したメンバー+αでの会食になるわけだけど、人数も多いし冒険者が多くてテーブルマナーとかってんじゃないので、立食パーティの形式だね。

 テーブルに料理がこれでもかと並べられて、ドラゴニュート3人とメルセデスさんがこれでもかと食べてるね。いつものやつ。

 

「……あれ? トゥレスおじさんいなくね? ワンさんもアイムも……」

「ああ、親父はまた調査に向かったよ。魔王の城の位置の把握を漏らしたくないってことでさ」

「魔王との決着がつくまでは働き続けるって意気込みのようですね~。有難い話ですが、無理はしてほしくないですね~」

「でもトゥレスおじさんもワンさんもどこか楽しそうにしてたねぇ」

「二人で何かしてるのが一番楽しい事なんだろうさ、親父たちにとってはよ」

 

 そんなわけで俺も高級感あふれるメシを食べつつも、しかし会場を見渡せばトゥレスおじさん達がいない。

 一緒に飯を食べてたカトルとノインさんとティオに聞けば、既に調査に向かっているという事で。忙しいなトゥレスおじさん!

 あんまり無理はしてほしくないけど、でもまぁワンさんと一緒に動いてるのが楽しそうって話なら……まぁいいかぁ。自己管理できない人じゃないやろし。

 働きには応えたいところですね。ダブレスちゃんは任せろ。

 

「……おん?」

『みゃ?』

 

 さて、そんな世間話をしながら改めて会食会場内を眺めていると……今度は全く見知らぬ顔もいることに気付いた。

 っていうか見知らぬ顔どころか見知らぬ年齢の子どもがいた。

 着てる服はいかにもいい所のおぼっちゃん! って感じだな。10歳くらいの男の子と、7~8歳くらいの女の子が二人。

 一緒にご飯を食べているが、そばには第一王子のウィリアム様と第二王女のメアリー様がおる。

 

「……ウィリアム様とメアリー様の傍にいるあのガキンチョ誰です? 二人に似てるけど……」

「ガキンチョて」

「あれはウィリアム兄様のお子様二人と、メアリー姉様のお子様一人、ですね。男の子がウィリアム様の長男でハルトくん、女の子の金髪の方がハルトくんの妹のアビーちゃん、藍色の髪のほうがメアリー様の長女でリリーちゃんです」

「ほえー。ウィリアム様とメアリー様お子様おったんか……まぁでもどこにでもいるガキンチョだな」

「お兄ちゃんギリ王族の家族だからセーフだけど、一般市民がそれ口に出したら不敬罪だよ」

『みゃぁ』

 

 ノインさんが説明してくれた内容を聞いてほえーっとなった。

 そっか……ウィリアム様もメアリー様も30代だもんな。子供の一人や二人いるわなそりゃ。王族なんだし。

 これまで俺がその存在を知らなかったのもまぁわかる。戦争やらなんやらで家族へのしっかりとしたご挨拶なんてしてなかったし。

 最終決戦前の会食で、俺ら以外にも有力なる冒険者が集まる場なんでウィリアム様たちが呼んだって所なんかな。奥様方も参加してるようだしなこの会食。

 もう少し周りを見渡せば、ケンタウリスを代表してメルセデスさんやマルカートさんがそういう王族の皆さまへあいさつ回りしてるようだし。ヴァリスタさんも同様で。

 ふーん。大変そうだなガキ共も。よし。

 

「ほんじゃガキンチョの相手でもしてきてやっかな!」

『みゃ』

「お兄ちゃんの孤児院のリーダーの血が騒ぎ始めちゃった」

「なんだかんだ言って面倒見よすぎるからなコイツ」

 

 ガキの相手は任せてもらおうか!

 孤児院のガキ共の兄貴であり、リンを言葉は通じずとも心を交わしたガキンチョに最強のお兄ちゃんが俺なのです。

 大人でデカパイな奥様方に鼻の下伸ばしてるよりは健全やろしな! 子供の相手って親御さんはいろいろ苦労されるみたいだし、一応親戚みたいなもんだし!

 ガキと仲良くしといて損はないやろ! 突撃ッ!

 

「どもー! ウィリアム様、メアリー様。お子さんすよね? 挨拶させてもらっていいスか!」

『みゃ!』

「おや、ロックくん。ちょうど君の話をしていたところだよ。救国の英雄で、ノルンと結婚していて、親戚になったと……ハルト、アビー。ご挨拶しなさい」

「はい。はじめてお目にかかります、ハルト=オーディンです。ロック叔父様の事は父よりお伺いしておりました」

「アビー=オーディンです。初めまして、ロックおじ様」

「リリーもご挨拶なさぁい。きっと良い出会いになると思いますわぁ~」

「は~い。リリー=オーディンですぅ。初めまして~」

「みんな素直でいい子ですねェ! ロック=イーリーアウスです! あんまり大した事してないのでそんな期待しないでね! そしてこちらは愛猫のミャウである」

『みゃ!』

「わぁ……フードの中に猫さんが。大人しいんですね」

「かわいい……!」

「さ、触ってもいいですかぁ~?」

「ええよええよ。存分にモフりたまえ」

『みゃぁ!』

 

 そうして勢いのまま突撃してガキンチョたちとあいさつを交わし、まずはミャウを使ってアイスブレーキングから入る。

 ネコはガキンチョと女性には特攻だからな。まずは存分に和んでもらいましょう。

 生贄に捧げられたミャウが三人のガキンチョの手でモフり果たされている。

 そんなガキンチョたちの頭を勢いでなでなでしてやりながら、ウィリアム様とメアリー様と話す。

 

「これまでの会議とかじゃこの子達見ませんでしたけど……今日は会食だから誘ったんですか?」

「ああ、いずれはこの国の将来を任せる事になるかもしれない子達だからね。せっかく高名な冒険者たちが集まる場だから、ご挨拶だけでもと考えたのだ」

「でも、貴族のパーティとかとも違って、冒険者の人たちって普段はお付き合いのない方々でしょう~? 挨拶に行くように言っても、なかなか行ってくれなくて~。緊張しちゃってるのねえ」

「だからロックくんから挨拶に来てくれたのは助かったよ……この場にいる冒険者の方々は皆、とても理性的な方ばかりと説明もしたのだが、まだ子供だからね。いずれは彼らやギルドとも付き合いが生まれるのだから、早めに慣れておくようにも話したんだが……」

 

 ウィリアム様たちに聞けば、この場にいる金級以上の冒険者たちに挨拶をさせたかったらしく、だが緊張や初対面の冒険者というのもあって、中々親御さんの傍を離れられなかったと。

 成程分かった。そんじゃ一肌脱いでやるかな!

 

「なるほどなー……ヨシ! んじゃ俺と一緒に挨拶回りしてくるかねガキンチョども!」

「えっ?」

「ああ、それは実に助かるな。子供たちを頼んでいいかな、ロックくん」

「任せて下さいよォ! よっしゃんじゃハルトは俺について来いっ! アビーちゃんとリリーちゃんは出荷よー!」

「ほわーっ?」

「んわーっ?」

「えっ、えっ? ろ、ロック叔父様!?」

『みゃ! みゃっ!』

 

 俺はシュババっと動いて両脇にアビーちゃんとリリーちゃんの腰を掴んで抱え上げて、よくばり王族! と言わんばかりに走り出す。

 出荷よー! 王族のガキンチョデリバリーよー!

 

 走り始めた俺の後ろを物凄い慌てた様子でハルトくんがついてきて、当然ミャウはフードに戻り、そんな俺たちの後姿を笑って見送るウィリアム様たち。信頼されてんね。

 こういうのは勢いが大切よ勢いが!

 ガキンチョが一人ひとり息苦しく挨拶周りなんてさせても疲れるだけだかんね!

 人数も多いし長引いても大変だろうし!

 俺が女の子二人両脇に抱えてダッシュしてとっとと挨拶なんて終わらせるのがええ! 両脇ダッシュから挨拶されれば冒険者のみんなも印象深く覚えるだろうしガキンチョたちも忘れられない経験になるだろうしね!

 俺はいつでも子供の味方です。ちゃっちゃと挨拶して廻ろうねェ!

 

 

「ってなわけでまずここら辺にいるのが俺の家族です。ノインさんは知ってるね」

「わぁ~……王族のお子さん拉致って来ちゃったんですね~ロックくん。流石だぁ……」

「初めまして。ロックのアンドロイドのイレヴンです。勢いに身を任せると楽ですよ」

「ロック殿に仕えているサザンカと申す」

「ブラックドラゴンのリンです! どーも!」

「は、はい! 初めまして! 第一王子ウィリアムの長男、ハルトです!」

「アビーです! なんかたのしいですー!」

「リリーです~! ロックおじ様って面白い御方なんですね~!」

「ハルトくんは将来苦労人になりそうだな~」

 

「次! こちらは王都最強とかつて噂されてたヴァリスタさん! とその弟子で俺の幼馴染のカトル!」

「今やすっかり外れた肩書だがね。ヴァリスタと申します……しかしまぁ、ロックくんらしい。両脇に女児を抱えて挨拶に来て納得されるのは君だけだろうな!」

「カトルです。ウチのバカがゴメンな……」

「ハルトです。今、ロック叔父様が誰よりも特別な男であるという父の言葉が真実だったなと深く噛み締めています」

「ロックおじ様ー! もっともっとー!」

「ぐるぐる~ってして~!」

「がははー!」

 

「次! こちらはケンタウリスの皆さまです! 美女揃いだぞ! メルセデスさんは馬体がカッコいいぞ!」

「……ロック少年は相変らずだな、安心するよ。初めまして、クラン『ケンタウリス』を率いるメルセデスだ」

「とうとう幼女誘拐にロック様が手を出されましたね。初めまして、副長のマルカートです」

「アルトよ」

「…………シミレだ。楽しそうだな、お前はいつも」

「子供のお世話得意そうですよねロックくん。初めまして、ソプラノです」

「ロックと同じ孤児院で育ったティオです! お兄ちゃんがなんかごめんね、いっつもこうなの……」

「いえ……きっと、王城では味わえない経験をさせていただいているのだと思います! ハルトと申します!」

「アビーです! こんなところからごめんなさい!」

「リリーです~! ロックおじ様に抱えられてるの楽しいです!」

「お兄ちゃんはいつまで王族のご子息様方を脇に抱えてるの……?」

「ずっとだが??」

 

 

 はい。

 俺が両脇に女の子二人抱えて突撃挨拶周りをしたことで、それを見ている周囲の人からも、挨拶を受けるいつメンのみんなからも、苦笑という名の笑顔を零しながらの挨拶周りとなりました。

 これだよこれ。挨拶周りなんて面倒な事は微笑ましく笑顔になりながらササっと終わらせちまうのがええ!

 ハルトくんもアビーちゃんもリリーちゃんもなんか楽しくなってきたようで、勢いに巻き込まれながらも自然な笑顔が存分に零れる挨拶になったようだし。

 こういう勢いってどんなことでも大事だと思いますね! ガキは健全に笑顔を浮かべてるのがいっちゃんええ!

 

「……ロックくんは、なんというか……実にいいな。彼がいると、常に場を和ませる」

「面白い子よね~。ノルンと結婚してくれてよかったわ~」

 

 遠目にお子様たちを眺めてるウィリアム様とメアリー様もニッコニコですわよ!

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