勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
その後、会議は一度休憩を取る事となった。
会議の議題である、
『①・現在の魔王城の位置と今後の見通し』
『②・世界各地で発生している
の検討が終わったので、残る議題である、
『③・魔王城突入にかかる攻略と対策』
『④・魔王城攻略中の王都の防衛戦線』
……に入る前に一度休憩を取ったというわけですね。
「それにしてもシスターが防衛線に参戦することになるとはなぁ……」
『みゃ』
会議室を出て、最近は間取りも覚え始めてしまった王城の中を移動して、例の中庭に移動して芝生でのんびり横になってるのが今の俺です。
30分くらい休憩が取られてるので会議室の中にいても何だし、一番リラックスできる所にやってきたのだ。
やっぱりこの中庭はいいよね。すっごい手入れされててお洒落だし。オーガニックな感じがします。
なお、勿論の如く俺の単独行動はたとえ王城内だとしても許されていないので、イレヴンが傍についてきてくれている。
「ミルはミルなりに、マスターへの恩を返そうとしているのでしょう。トゥレスが太鼓判を押すほどですから、そこまで心配するほどの事ではないと思いますが……」
「いやまぁ心配ってのは確かにそんなでもないのよ。俺の勘もシスターがヤバいって警鐘は鳴らしてないからさ。純粋に……なんて言うか、俺の知ってるシスターって戦うイメージが無くて、いつも孤児院のガキ共の面倒を見てくれてたからさ。そのギャップが埋まり切らないって言うか……そんな感じ」
『みゃあ……』
「成程。マスターの言いたいことも分かりますよ」
先程のシスターショックについては驚きがあったが、しかし改めて思えば、確かにシスターほど防衛線に特化した実力を持つ存在はいないのかもしれない。
回復魔法を万全に備え、結界や障壁を張るタイプの魔法にも精通している。
あの人が強いのは俺もティオもよーく知っている。俺達がガキの頃に受けた指導でも、全力を出していない事は分かるのだ。
だから戦闘面での心配はない。
ないのだが……やっぱりガキ共が心配だなぁ。
ローティリッチにはカプチーノさんとカノンさんとエイシスさんがついてくれているから、まぁガキ共だけでなんか暴走するようなことにはならないとは思うのだが。
むしろカノンさんが暴走しないかのほうが若干心配ではあるが。(迫真)
とはいえ、万が一にもガキ共の元にシスターをお返しできない、なんてことになったら絶対トラウマになっちまうし。
やっぱり俺たち突入組が頑張って速攻で魔王城を攻略するしかないな! 結論はそこや!
「……イレヴン、膝枕して」
「はい。……どうぞ」
『んみゃ』
芝生に寝っ転がっていたが頭の座りが悪かったので、膝枕をそれとなく相棒にお願いして見たら素直に応じてくれました。
イレヴンの太ももに頭を乗せる。こんなことが出来る存在は王都に俺だけで在ろう。つまり最強の雄と言っても過言ではない。
満足感と優越感。やはり魔王に勝っちまうな俺。
明日の勝利を確信していると、しかしそこで、中庭に別の誰かがやって来た。
「……あら。お邪魔だったかしら」
「んお」
「おや、アルトにシミレ。どうされましたか? マスターに何か?」
「…………用件があるわけじゃない。オレたちも、少し外の空気を吸いに来た、だけだ」
「あの会議室、息が詰まるのよね。隣、失礼するわね」
アルトさんとシミレさんだ。
ケンタウリスの前衛二人。既に明日に備えて装備も最終決戦仕様のものを着用しており、気品のある装飾がされた最高級の防具を身に纏っている。
その為に露出が多くて俺にヨシ。
イレヴンの太ももの上で首を横に向ければ、俺の隣に体育座りしたアルトさんの純白の太ももが、重装甲の鎧の隙間からバッチリ見えた。眼福祭始まったな。
「……分かってたけど。アンタ、イレヴンに膝枕されててもアタシのそこ見るのね……」
「アルトさんの腰回りから太ももに至るラインは早急な国宝登録が必要だと常に考えてますからね」
「ふふっ、相変らずバカね、アンタは。決戦前日になっても全然変わらなくて安心するわ」
そんな俺の視線に気づいたアルトさんがため息をついてあきれ顔で此方を見てくるが、太ももを隠すようなことはせず、むしろ微笑みを見せてくれた。
……うん? あれ、なんかアルトさんの態度がしおらしくないか?
シミレさんの方に目を向けても、こちらも至近距離から下乳を見上げる姿勢だというのに全く気にした様子がない。
やはり心の距離が縮まっているという事なのだろうか。
ローティリッチのプールで水着を見せたり、カジノでドレスを見せたり、呑み会でわいわいしたことで、いつの間にかケンタウリスの女傑たち全員を俺の魅力に落としてしまったのだろうか。
何という事だ。知らぬ間に嫁がまた増えてしまったか。
「別にアンタに落とされたワケじゃないからね」
「なぜ心が読まれたのか」
「…………お前の顔は、分かりやすすぎる。流石にこれだけ長い付き合いになれば、何を考えているかは、わかるぞ」
「まぁマスターの顔は他の誰よりも分かりやすいですね」
『みゃ』
「心の距離縮まった弊害出てるな……」
なんか俺の周りの女が全員俺の心を読んでくるんだけど!!
孤児院にいたガキの頃から、ディセットじーさんの所で過ごした時も、その後冒険者になってギルドにいた頃も、ずーっと俺は感情が顔に出てるって言われ続ける人生を送ってきてはいるんだけど。そんなにわかりやすいのかね?
分からない……自分の顔を鏡で見てもそこには調子のよさそうな丸顔のガキがいるだけなのだ。
逆に俺の他人の顔から感情を感じる能力が低い可能性ワンチャンあるかな。
まぁいいんだけどさ。顔に感情丸出しで読まれても困らない人生を送ってるからさ。
「……落ちたわけじゃ、ないけど」
「ん?」
さてそんなもやもやした気持ちを抱えていると、アルトさんがぎゅっと自分の膝を抱えるように体を丸めて、頬を僅かに染めて俺の顔を見下ろしてきた。
俺は今イレヴンに膝枕されているので、それを斜め上から見下ろす形だ。
アルトさんのツインテールが顔に少しかかってなんか……なんか色気ありますね今のアルトさんね! その顔エッチですよ!
「……アンタはさ。スケベじゃない」
「それはそう」
「イレヴンも、ティオも……他にもお嫁さんいっぱい作って。ハーレム作ってるじゃない」
「それもそう」
「……まだハーレムを広げるつもりって、ある……の?」
「……? ……え、どんな? なんでそんな問いかけを??」
「ッ……アンタねぇ!」
なんか謎の問いかけをされたと思ったら急にキレられたでござる。
えっわからない。俺がスケベなことは事実で、ハーレムを作っていることも有難い事に事実で……んで、更にハーレムを広げるつもりが、なんだって?
問いかけの理由が分からな過ぎて首をひねるんだけど? 捻り過ぎてイレヴンの太ももから落ちそうなんだけど??
「アルト。マスターにそっちの方面で想いを伝えるならば、まっすぐ言わないと伝わりませんよ」
「…………コイツは、どこまでもスットボケだからな」
「分かってるわよっ! もうっ!」
なんかイレヴンが謎の助言を果たしてるけどなんなん??
なんなんだと思うミャウ? 俺の腹の上で昼寝しようとしてないお前?
「……負けたくないのよ」
「ん……」
「明日の決戦。アンタの勘がアタシ達突入組にとっての切り札だわ。何をどこまで準備しても、結局はアンタがどこまで活躍するかで勝敗は決する。アタシはそう考えてる」
「プレッシャーかけてきますね。まぁ俺もそこは自覚してますけど」
「……そんなアンタが、やる気を出せるようにしてやろう、と思ってるのよ……」
「はぁ。……えっと? 要領を得ないんすけど?」
「…………往生際が悪いぞ、アルト。事前に考えていた事、はっきり伝えたらどうだ」
「うー、分かったわよ!」
アルトさんがなにやら俺に伝えようとしてくれている様だ。
隣に座るシミレさんに促されて、アルトさんが意を決した顔でそれを口にした。
「……アンタの活躍で、誰もやられることなく決戦に勝利出来たら……その……」
「……」
「……アタシの体、一晩なら好きにしていいわよ……」
「ホエッ」
なんかこのシチュ見たことある!(履修済み)
ホエール山脈の頂上でヒルデガルドさんが出してくれた条件だこれ!
でもあの時は俺の方から半分冗談で言ったらマジで約束してくれたヤツだったからな。お相手のほうから言われるなんて新鮮ですわ。
そっかぁ。アルトさんとうとう俺に惚れちゃったかぁ……!
「…………」
「……何か言いなさいよ」
「ええ。あー……いやなんか、可愛いなって」
「なっ、ちょっと! 勘違いしないでよね! 別にアンタに惚れたとかそういう話じゃなくて! その、ヒルデガルドさんに話聞いて、アンタはご褒美を用意した方が底力を発揮すると思って!」
「つまり自分の体がご褒美になると思ってたと」
「ッ、ああもう! 一言も二言も余計なのよ! イヤだって言うなら取り下げてもいいのよ!?」
「取り下げられたら俺は明日決戦に参加しませんよ!? 一度口に出した約束を取り下げる様な女じゃないですよねアルトさんは!?」
「コイツはこれだから……!」
アルトさんの新鮮なツンデレを補給させてもらいつつ、しかし当然ながら約束は履行させてもらうからねェ!!
体を許してもいいと思える仲になったところで最終決戦で活躍する俺の姿を見せればアルトさんも心から俺に惚れて更なるハーレム拡大となれば当然ながら本気を出しますよ!!
更に負けられない理由がもう一つ増えちまったなァ!!
「まぁ、マスターにご褒美をチラつかせるのは有効な手段ですか。これでアルトもハーレム入りですね」
「体を許すのは一度だけだから! ハーレム入りとかはなんか……違うから! そこまでは考えてないからねアタシは!?」
「…………どこまでお前はフラグを建てるんだ」
『みゃ』
アルトさんが体を餌に俺のやる気をブチあげてくれたところで、休憩時間も終わりそうになったので会議室に戻る事になった。
なおその際、みんなで中庭を後にするときに、シミレさんが音も立てず俺の耳元に顔を寄せてきて。
「…………オレも抱いていいぞ。勝てたらな」
「おっふ」
更に負けられない理由がもう一つ増えちまったなァ!!(10秒ぶり二回目)