勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
「では会議を再開する」
アルトさんとシミレさんと婚約(解釈の余地有)を果たしてから、改めて会議室に集まって、会議の後半が始まった。
次の議題は『③・魔王城突入にかかる攻略と対策』である。
「魔王城に挑むにあたっては、元将軍格のアイムの知識と、150年前に魔王を討伐したワンの記憶から情報を整えている。以前も説明した内容だが、復習も兼ねて再度説明する。……アイム」
「はい」
アイムがまたぽちぽち操作してモニターに魔王城の情報を色々映し出す。
そういえば確かに、今人類軍側にアイムとワンさんがいるから魔王城の情報ってめっちゃ判明してるんだよな。
俺は初見だけどみんなは以前の会議である程度は確認していたって話で。
まぁそりゃ魔王の直属の部下である将軍と、かつて魔王を討伐した冒険者の相棒アンドロイドがいれば詳しい部分も分かってくるわよね。
俺も流石に決戦前日なので居眠りするつもりもなくて、興味を持ってモニターを眺める事にした。
「……まず、魔王城の全容からだ。ワンが150年前に突入した魔王城の大きさと、現在浮遊している魔王城のサイズはほぼ一致している。建物の全長は1kmほど。全周は3.5kmほどだ。巨大な建造物である魔王城の外周には、掘り起こされた地面が500mほどくっついて空を飛んでいると思われる」
「でっけ。よくこんなでかいのが空飛んでますね」
とりあえずだいたい正方形って感じの敷地面積で1辺が1kmくらいのお城があって、その周りに500mくらいの地面がくっついてると。
んでそんなもんが空を飛んで王都目指して向かって来てると。
1km以上の建造物が空を飛んできてるのってファンタジーだよなぁ。
異世界転生チートさんの作品中では全長1km以上の戦艦が空飛んでたりするけど、リアルにそれを目撃するとは思わないじゃんね。
そんな気持ちを込めて感想を零したところ、トゥレスおじさんも頷いて補足を加えた。
「ロックが疑問に思うのも無理はない。未だに魔王城が浮上し、空を飛んでいる原理は解明できていない。これまでも話したが、仮に浮遊魔法でそれほどの質量の物質を浮かせて運ばせようと考えた場合、この世界中にある魔素を使ったとしても、一瞬で枯渇するだろう。浮かせることすら不可能だ。魔王しか使えない独自の魔法があるのか、それとも別の何かなのか……しかし、事実として魔王城はこの王都に向かってきている。事実を事実として受け止め、対策を練っていくしかない」
「トゥレス殿ほどの叡智の持ち主が理解できないとなれば、どんな学者も解明できぬ謎であろうな。魔王の為すことは未知の部分が多すぎる……」
「うんうん」
『みゃ』
ウィリアム様がトゥレスおじさんの言葉に深く頷いた。俺も頷く。ミャウも頷く。
魔王城が浮いてる理由が分からないって話。トゥレスおじさんでも分からないんじゃ誰も分かるはずがない。なので理解するのは諦めるしかないですね。
今大切なのは、そんな魔王城に乗り込んでダブレスちゃんをポコスカしてくる俺たちが、確実な勝利を掴むためにどうすりゃいいのかって話なわけよ。
「話を戻す。まず、不可視の魔王城の発見はロックに一任するとして」
「初手が極めて責任重大」
「無事に魔王城敷地に上陸出来た後の話だ。魔王城には、外部からの侵入を防ぐための機構が各所に存在する。そうだな、アイム」
「はい。モニターに映します……こちらをご覧ください」
そんな流れで続いては魔王城への潜入について。
アイムがモニターに魔王城の正面図みたいなのを表示して、白のとんがった屋根の各場所に、外敵を自動攻撃するタイプの魔導防衛装置が組み込まれていることが示された。
「これが外敵を狙う防衛装置。城に近づく者を迎撃する雷撃魔法を放ちます」
「雷属性の魔法か……術の速度が最速の、希少な属性。回避は難しそうだ」
「一度狙われてしまうと無限にも思われる雷撃が放たれます。しかし、いくつか装置の防衛範囲の外となるセーフティエリアがありまして、それを辿りながら魔王城の正門まで迎えるルートがございます」
「私が150年前に魔王城に当時のマスターと攻め込んだときはマスターがセーフティエリアをスルスルーって抜けてったんですよねー。私はその後ろを急いでついていくだけでしたが」
「ほんほん。……つまり俺の勘でそのセーフティエリアを探せればベストってわけっすね」
「そうだな。負担は掛けるがロックの勘には期待している。無論、アイムから聞いた情報でセーフティエリアである可能性の高いルートは俺の方でピックアップしていたので、他のメンバーもそれを頭に入れて行動してほしい」
「了解です」
魔王城に潜入しようとする外敵を排除する雷魔法がまず飛んでくるという話だが、ちゃんとセーフティエリアみたいなのが設定されているらしい。
それを俺の勘で探しながら魔王城の入り口まで迎えって話ね。それくらいはよゆーよゆー。
アイムの続く説明では、セーフティエリアが150年前の状態とは変わっているようで、魔王の意志で色々設定できるとのことで。
たまに変更したことを失念して魔王城に戻ろうとする魔族が雷に打たれてぐえーってなってたりしたらしい。かわいそ。
なんでそんなめんどくさいセキュリティになってるんやろ……ってちょっと思ったけどね。まぁラスボスである魔王の城なんだからそういうものなんだろう。
異世界転生チートさんの作品でもめんどくせぇラスボスの本拠地の潜入とか書いてあったからね。そういうのは詳しいんだ。
異世界転生チートさんの作品には世界の全てが記載されているからな。予習済みという厚い信頼。
はい。
防衛装置を潜り抜けて、さらにその先の説明が続きます。
モニターの表示が切り替わり、魔王城の正門のような場所が映された。
「ここが魔王城の正門だ。ここが唯一の城内への進入ルートとなっている」
「……窓からの侵入を試みたり、裏口のようなルートは存在しないのか?」
「そうした所からは侵入されないよう、防衛装置の防衛範囲に常に設定されています。雷撃に見舞われるかと」
「おしろにブレスであなをあけてはいるのはだめなの?」
「ノワール様のブラックドラゴンのブレスにも、容易に耐えうる強度で外壁は設計されております。リン様はノワール様以上にレベルを上げてはいらっしゃいますが……あの魔王様が組み上げた要塞です。壁の破壊はあまり期待は出来ないものと思います」
「そっか」
「結局のところ、正門からの侵入が一番確率が高い。ここからしか魔族も出入りをしていないため、鍵などもかけられておらず、はた目にも目立つ場所にあるからな」
「150年前もそこから入ったんですよねー。近づくと勝手に扉が開くんですよ! でっけぇ扉が! ゴゴゴゴゴーってすげぇ音立てて!! びっくりしましたよ私は!!」
『あの時はワンが騒いでそっちのほうが五月蠅かったですね』
「ほーん……」
城内への突入は、城の真正面にある正門からしか入れないという事で。
まぁ……そこに分かりやすく入り口があるってんなら使わない理由は確かにないんだけれども。
でもどう考えても罠があるよねそこね。俺がダブレスちゃんならそこに罠を仕掛けますわよ?
「罠があるんじゃないか、という顔だな、ロック」
「俺の顔もしかして思考が文字になって浮かび上がってます??」
「誰もが考える事だ。俺も魔王の立場なら、間違いなく正門に罠を仕掛ける。150年前は単独でワンの元マスターが潜入特攻していた……恐らくそいつは魔王の対策の隙を縫ったが為に無事に魔王城に潜入できたが、今回は向こうから城ごと攻め込んできており、当然にして俺たち人類軍が反撃として乗り込んでくることを予想するはずだ」
「でしょうね」
「正門からの侵入……を可能性の高いプランとして掲げたが、もし危険な罠などが設置されていれば、そこは現場判断で臨機応変に対応してくれ。防衛装置を凌いで窓から侵入するでもよいし、リンが述べたように外壁を砕くか、ドラゴン形態での
「俺の勘が世界の命運握り過ぎ問題」
なもんでトゥレスおじさんの全幅の信頼によるなんとかしてくれの回答を得てしまったよね!
まぁ俺が全部の判断を委ねられるわけでもなく、みんなで気付いたことを共有しあってベストな方法を探っていくことにはなるんだろうけど。
城に入るだけでもめんどくさいわねー! このうえどうせ城の中は大迷宮が広がってたりするんでしょ!!
「さて、では正門から侵入できたと想定して、話を進める。正門を抜けた後はある程度広い一本道が続くが、そこから先、魔王が存在するとされる王の間に向かうまでは、迷宮が広がっている」
「私ども将軍格の所有、管理する部屋も、道中に配置されています。迷宮は地上にあるダンジョンと同様、自動で罠なども張られる仕組みです。攻略のルートは私が知る限り、150年前の時から変更はありませんでした。私が魔王軍と袂を別ってから変更されている可能性は……十分に考えられます」
「フォルクルスあたりが人類軍の侵攻に備えて迷宮を組み替えている可能性は十分考えられる。ワンが突入した際の最短経路と、アイムが覚えている限りで迷宮を再現したマップは今配布するが、迷宮の内部が変わっている可能性は考慮しておいてほしい」
「昔突入した時はマジで最短最速で駆け抜けましたからねぇ。魔王城の中にいたアイムとニーズヘッグは不意打ちで一撃で討伐してそのまま回復せず魔王にまで襲い掛かって討伐しましたからね前のマスターは。キ○○イですよキ○○イ!!」
『コンプライアンスを考慮して発言しなさい、ワン』
ほらやっぱり迷宮広がってるじゃん!
アイムとワンさんの記憶から作られたマップは紙に書かれてこの場で配られたけど……うーん。ダメですね。
俺の勘が『現地じゃ使えねェ』と察している。
フォルクルスのせいやろな。こっちにアイムが来てることを察してりゃ迷宮をそのままにはしておかないだろう。
「トゥレスおじさん。勘なんだけど、多分このマップ使えないわ」
『みゃ!?』
「ん、そうか。では、先ほど渡したマップは基本的にアテにならないので破棄してくれ」
「マスターの勘がそういうのならそうなのでしょうね。一応私が覚えておきましたし……先入観を持たずに、現地で攻略を始める所からスタートするものと考えておきましょう」
「ロック少年の勘が言うのであれば間違いないな」
「覚悟を早めに持てるのはよいことだな!」
「誰も疑問を口にしない」
「だってアンタ、勘が絡んだら絶対嘘つかないでしょ」
「お兄ちゃんの勘ありきで私達みんな魔王城に突入するんだからね。信頼するのは前提条件でしょ?」
「むしろもっと勘を働かせて、今の時点で勝利を確約してほしいくらいだぜ」
「無茶を言うなよカトル」
知ってはいたけどみんなが俺の勘を頼りにしすぎている。(畏怖)
もしかしてこれアレか? いつも『俺いる??』って思ってたけど、逆にみんなは『ロックがいればいいや』くらいに考えてたりします??(素の疑問)
「魔王城の内部構造の検討はこれくらいか。続いて、魔王城で戦う事になる魔族どもの情報に進む」
会議は続いて、次は俺らが戦う魔族の将軍と幹部の話になるってさ。