勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
突入についてのミーティングの後は倒すべき敵の検討ですわよ。
「討伐するべき残りの魔族……予想される面子のリストがこれになる」
モニターに新たに映された、魔王城に現在いるであろう魔族の名前がリストアップされる。
ざっと目を通して、大体以下の通り。
【魔王】
・ダブレス
【将軍クラス】
・第三席 竜帝ニーズヘッグ
・第五席 獣皇フォルクルス
【幹部クラス】
・バアル
・ヴィネア
・ジェミニ
・ボルックス
・カリーナ
【その他ザコ】
・上級魔族が50~100体程度城内に存在してる見込み
・中級以下は500体程度
【※存在するか不明 未討伐の将軍※】
・第四席 吸血姫ベルベッド
・第六席 全知万将アブソリュート
はい。
「実は意外と残ってんすね魔王軍って」
「確かに……これまでマスターと共に短期間で幾度となく戦ってきましたが、思えばしっかり討伐、勝利した回数は少なかったかもしれませんね」
それ見た俺とイレヴンの感想がこれね。
多分人類で一番多く魔族の幹部級以上と戦闘回数をこなしてきた俺だが、なんだかんだ言ってしっかりと討伐したヤツって少ないんだよな。
バアルとかヴィネアなんて複数回バトってるけど逃がしてるし。あとは第一席のベルゼなんちゃらってのを戦場で捌き斬りの一撃で殺したけど、あっさり殺せてしまった分印象が薄い。
アイムはこうして洗脳し返して味方側に引き込んでトゥレスおじさんが完堕ちさせたけど……まだ倒してない将軍が4人もおるんか。
めんど。マジで総力戦になるな魔王城突入組は。
「なお、このうち未だ人類側で遭遇していないベルベッドとアブソリュートだが……」
トゥレスおじさんの解説が始まり、まず未遭遇のベルベッドとアブソリュートについて説明してくれるようだ。
なんかトゥレスおじさんが俺の顔の方じーっと見てくるの何? なんでそんなに俺の方に熱視線を向けてるの??
『みゃ……』
「……このうち、ベルベッドについては、魔王城内で敵として遭遇する確率は極めて低い物と見ていい。アイムも、他の将軍格とも150年前からあまり反りが合っておらず、仮に復活していたとしても魔王軍に合流する可能性は極めて薄い。万が一遭遇したとしても、人類側に寝返ってもおかしくない、だろう」
「ふーん? ……でもさ、トゥレスおじさん」
「なんだ、ロック」
まずベルベッドの話になって、トゥレスおじさんの話にほえーってなったけど。
しかし、俺の中でベルベッドの件については一つだけ、引っかかってるところがあるのだ。
「ベルベッドってさ。カリーナの証言じゃ、ほら、150年前にエルフを
「む……」
「そのへんアイムも知ってたりしない? どうだったん当時は?」
「あ……ええと、はい。確かに当時は、ベルベッドがエルフ族への反間を担当しておりましたが……その……」
「お、お兄ちゃん?」
「ロック……い、いいのよ? 過去は過去、今は魔王を討伐することが目的なのだから……」
『みゃ……みゃ……』
ベルベッドは、かつてエルフを洗脳して人類に離反させた。
その事実を、エルフの嫁とエルフの母を持つ俺が放っておけるはずがないのだ。
俺の中に確かな義憤がある。
……なんかトゥレスおじさんもアイムもティオもシスターも、イレヴンもリンもミャウも俺の方を微妙な目で見てくるのよくわからないんだけどね!!
「いやまぁティオとシスターがそう言ってくれてもね。俺は俺でやっぱりベルベッドには思う所があるからね。まだ会ったことも無いヤツだけど……会えば、容赦はしない────」
「お兄ちゃん……」
「ロック……」
「────絶対ドスケベだろうからなベルベッドってヤツはな!! なんてったって吸血姫! あれだろヴァンパイアってやつだろ! 他人の血を吸うタイプの女は総じてドスケベなんだ! 俺は詳しいんだ!! 手籠めにしてあへあへさせて反省させたら俺の女にしちゃるわい!!」
「あっ大丈夫そう」
「大丈夫そうね」
ヴァンパイアの姫様なんてドスケベに決まってるんだ!!(暴論)
そういうの異世界転生チートさんの作品で学んでるんだから。将軍格の残る二人の女性を見ろよ。ドスケベデカパイしかいないじゃないか。
つまりベルベッドもドスケベなのだ。これはもし出会ったら何としてもアイムみたいに堕としてやるのだ。ニーズヘッグだって堕とすつもりだからな俺は。
勿論反省は促す。ダブレスちゃんの命令であってもやる事はやっちまってるんでそこはいい落としどころで反省させてやる。
けどトゥレスおじさんが多分アイムから聞いた情報だとわりと反魔王軍派らしいじゃん。事情があってダブレスちゃんの命令に逆らえなかったとしたら情状酌量の余地あるじゃん。
せっかく望んでもいないのにこんなに魔王軍の皆さまと結びたくもない縁を結んじまってるわけだしさ。ここまで来たら全員から話聞いてみたい所はあるよね。
「……まぁ、仮にベルベッドと接触することになったとしたら、判断は突入組に任せる。ロックがいれば万が一はなかろう。なのでもう一人、アブソリュートのほうについても説明する」
「ん。そっちは女じゃないんですよね?」
「アブソリュートは少年のような外見の魔族でございます。性別も男で……」
「じゃあどうでもええわ」
「マスターお前」
ベルベッドの話は終わり、続いてもう一人の初見組、アブソリュートについて。
アイムの口から男だって語られた瞬間に俺の興味は失せた。失せろ(例のシーン)。
「ロックらしいな。……さて、このアブソリュートだが、未来を見通す権能を持つ魔族だ。その力は150年前、的確に人類軍の動きを読んでいた。そうだな、アイム」
「は。かの者は人類に命在る者が生まれる事、人魔大戦が二度発生する事、魔王軍への人類軍の侵攻タイミング……それらすべてを読んでおりました。小さな事象ではなく、大きな事象を事前に察知し、魔王軍側の対処を適切なものにしていたのです」
「150年前はローティリッチを拠点にしていたとも聞く。しかし……どうやらこの将軍も、復活していないのではないか、と考えられる。実際にフォルクルスがローティリッチに出向いたのも、アブソリュートの探索が一つの要因だったからな」
トゥレスおじさんの解説によると、アブソリュートってのもなんだかいなさそうって話。
その理由を聞けば。
「コイツがいて、万全に未来を見る力が魔王軍側にあったとすれば、少なくとも魔王軍の人類軍への侵攻はもっと適切に、万全に行われ……人類はさらに苦戦していただろう」
「魔王軍のやる事なす事全部裏目っすもんね今」
「その通りだ。復活していない理由までは定かではないが、あまり遭遇を考えずともよい相手だな。それよりも、間違いなく存在する他の魔族共への対策を凝らす方が先だ。話を進めるぞ」
ってなわけでアブソリュートくんについてはまぁスルーって結論になって。
改めて、これから戦う魔族の情報について精査する。
「先程リスト化した、魔王城に現存する魔族……ほとんどはロックを中心に戦闘経験があるものばかりだが。アイムの持つ情報などから戦力を分析したモノを表示する」
モニターに魔族一人一人の能力、特性、性格などが表示された。
「ほえー内容多い」
「気になる個所があれば言って下さいマスター。私の方で覚えておきますので」
まず目に留まったのがニーズヘッグとその双子の娘、ジェミニとボルックス。
こいつらはドラゴニュートの肉体による膨大な魔力と耐久性がウリ。
ニーズヘッグは将軍格のため、特殊な『権能』を有している。
将軍格は魔王より下賜された『権能』を有するのが特徴なんだって。アイムの『絶対服従魔法』なんかも『権能』によるものらしい。
んで肝心のニーズヘッグの権能は……『ドラゴン化』だって。
え?
「……ドラゴニュートってみんなドラゴンになれるもんなんじゃないの?」
「なにをいってるのロック」
『あなた様。ドラゴンは皆ドラゴニュートの形態になれますが、ドラゴニュートからドラゴンになれるのは、闇のマナを司る使命を継承したリンや……』
「……火のマナを司る下姉上、サラマンダーなどだ。ドラゴンという種族と、ドラゴニュートという種族は厳密に言えば別種だ。私はドラゴンから単性生殖で産み落とされたドラゴニュートで、ニーズヘッグが別種と交わり生んでいるジェミニやボルックスとも厳密には違うが、『ドラゴン』というモノは基本的にマナを管理する存在しか成り得ない」
「……なるほど?」
ドラゴニュートなんだしみんなドラゴンになれるんじゃないの!? っていうツッコミを思わずしたが、俺の嫁さんドラゴニュート達が丁寧に教えてくれた。
そういえばリンも、ノワールさんから管理権? ってのを引き継ぐまではドラゴンになったりしてなかったしな。知らなかった。
ってことは、ニーズヘッグはドラゴンになる権利を有していないのに、魔王から貰った『権能』ってやつでドラゴンになれるってわけか。
「強くない?」
「強い。ドラゴンの強さはそこのリンが第三次人魔大戦で見せた一撃で皆理解していると思うが……闇のマナに適合した魔族となったニーズヘッグが、さらにドラゴンに変異し力を振るうとなれば、それは相当な脅威となるだろう。無論、ジェミニとボルックスの二人もドラゴニュートというだけで肉体の強靭さは折り紙付きだ。この三人と戦うならば、やはり同種で対抗するのが定石となるだろうな」
「選べるならば、私とリンとノワールでニーズヘッグらと接敵、対抗したいな。……その上で、出来れば、ニーズヘッグは説得したい、というのが私の望みだ」
「うん。だいじょうぶ、わかってるよヒルデ」
『ニーズヘッグの真意を聞きたいと思うのは私も同じ。貴女の意志を尊重します』
「俺も頑張るぞい」
結論としてドラゴンになれるニーズヘッグは強い、けどこっちもドラゴニュートいっぱいいるからドラゴンバトルして頑張って説得してニーズヘッグも俺の嫁にしようね、っていう話でまとまった。
相手がドラゴンだろうと俺にとっての危険度はあんまり変わらないしね。相手がスライムでもドラゴンでも一撃もらったら終わりという部分は変わらないし。
デカパイ×3で攻めてくるのだけが心配だが既に煩悩は昨日の時点で祓った。後一日くらいなら我慢できるやろ多分……。
「どこでどう接敵するかまでは現地に行かないと判断できん……そこはロックの勘に一任する」
「いつもの」
「では続いて、残る魔族……将軍格のフォルクルスについてだ」
「興味が一瞬にして失せた」
「マスターを一番狙ってくる相手ですよ間違いなく」
続いて男の話になったので俺のやる気は一気にゼロになった。
フォルクルスとバアルだけ速攻でブッ殺すことにしない? 俺のモチベがヤバくなるから。