勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
だからフライトプラン甦れ甦れ……(叶わぬ願い)
一番好きなフライトプランのゲームはBLACK/MATRIX OOです。
夜、宿屋の一人用の部屋の中で天井を見上げる。
これで見上げるのは二日目になるが、高級そうな板張りが理路整然と並べられたそれを眺めつつ、考えることはさっきの事。
「エルフねぇ……」
『みゃあ……』
ティオがエルフ種であったという驚愕の事実だ。
驚いた。それはもう驚いたさ。だって俺なんかマジで赤ん坊のころから一緒に育ってきたわけで、そんな俺も全然知らなかったもん。本人も知らなかったし。
そもそもティオの耳は普通の人間と同じ耳の形をしている。それがなぜなのかはセントクレアちゃんにも分からないみたいだったけど、そりゃ外見で判断しろってのは無理な話よ。
あの話があった後、壊れた祭壇近くにようやく街の警護隊や冒険者やらが集まってきて一度話は中断され、何があったかをメルセデスさんやマルカートさんが街の人に説明して引継ぎを行い、湖の精霊としての威厳の皮を被ったセントクレアちゃんが湖から出てきて嘘偽りないことを説明して……その場は解散となった。
祭壇の復旧工事とか街を守ってる守護結界を強化したりとかいろいろやってくらしいけど、その辺はまぁこの街の人とギルドに任せよう。俺らは魔族を退けて街の危機を守ったって事になって、特になんか言われるようなことはなかった。
まぁもうその辺はどうでもよくて、話はティオの事だ。
あいつ、自分がエルフだってことをかなり気にしてたみたいだ。帰りも言葉少なだったし。
……そりゃそうだよな。
だって、エルフって言ったら────
「───金髪爆乳であるべきなのによォ!! 何でアイツまな板なんだよ!! そう思うだろミャウ!!」
『みゃ……』
どう考えてもデカパイであるべきだろエルフっつったら!! そういうの俺『異世界転生チート』さんの本でいっぱい読んでるから知ってるんだ!! 俺は詳しいんだ!!
それなのにアイツはあんなにまな板で……!!!(落涙)
って本人の前で茶化したら思いっきり膝を股間に叩き込まれてももんがッてなったけど。
まぁでも半分は空気緩めるための茶化しである。落ち込みそうだったしなアイツ。
……エルフ。
長寿種。男性も女性もおしなべて美形であり、永い時を歩む者であり、自然を愛し魔法の扱いに長けるのが特徴……だって歴史には書かれてる。
ティオが湖の精霊の魔力を万全に使えたのもこのためだ。自然由来の魔力だからなおの事だったんだって。あの後に魔装具になったダガーをマルカートさんが手にしたらあのマルカートさんでさえ魔力酔いしかけるほどの濃密な魔力が籠ってたらしい。
そして、そんなエルフだが……150年前の魔王軍と人類との騒乱の中で、
曰く、魔王側に寝返ったエルフはダークエルフと呼ばれて、その髪も肌も黒く闇の色に染まってしまっていたとか。
魔法の扱いに優れた種族だけあり、ダークエルフが扱う闇の魔力で人類側も相当被害が出た……って話だ。
黒髪褐色デカパイエルフの群れとか天国じゃんってこっそり思ったのは秘密な。
でもまぁそういう歴史があって……古い知識を持ってる老人とかはエルフを目の敵にしている人もいるらしい。
そもそもエルフなんて殆ど伝記や物語の中でしか語られない存在だ。今も生き残ってるっていうだけでもびっくりなうえにそれが俺の妹分だったわけで。
俺もその時内心では本気で驚いたのはそう。
だけど。
「まぁぶっちゃけどうでもいいな」
色々考えたけど俺の結論はこれや!
ティオが人間だろうとエルフだろうとまな板だって事実は変わらんし! 俺の妹分だって過去も変わらんし! 今後の付き合いも変わらんし!
万が一にもエルフバレしてその事で迫害しようとするやつがいれば許さんし!!
もちろんメルセデスさんたちケンタウリスのみんなは「全く気にしない、ティオはティオだ」って言ってくれてたし。あったけぇ。
だから後は本人の呑み込み次第だな。その辺今後も悩んでるようだったらいっくらでも話聞くわ。お兄ちゃんだからな俺は。兄の務めである。
ただまぁ……後で改めて俺たちの育ての親、シスターミルには話を聞いておくべきだろう。
王都に戻ったらティオについてって一緒に話を聞いてやろっと。
「よし。じゃああとは……」
他になんか考えておくべきことは……ああ、リンの事だな。
リンを魔族との戦いに巻き込んじゃった件はめちゃくちゃ反省した。宿に戻ってきてからリンにも謝ったしな。
アイツ自身は気にしてなかったしピンと来てないようだったけど。むしろ魔族に手も足も出なかったから強さを求め始めてたけど。でも身元引受人として申し訳ない気持ちは強かったんよ。
せめて勘が響いた後でリンだけでも逃がしておけばよかったよな……って今更ながら思ってる。最終的に生き延びたからよかったけど、マジで全滅してもおかしくなかった。
俺の勘も何に響いてるか分からない時は危険もある。これは俺も今後気を付けておくべきところだ。危機に反応して、そこから逃げるという判断もしていかないと、なのかもな。
まぁしかしリン本人が今回の件で冒険に意欲的になっちまったところもあって。もうちょっと言葉を覚えて頭よくなって体もでっかくなったら冒険者への道を指し示してもいいのかもなぁ……なんて思ったり。でも心配だよなぁ……んむむむ。
とにかくしばらくは冒険に連れて行かんぞリンは。王都に戻ったらいっぱい孤児院で勉強してもらいましょう。でもしたらまた何か言われそう。子育てって大変ですわ。
「…………駄目だ。なんか一人で考えても上手くいかんわ」
『みゃあ』
他にも色々……なんであの魔族のヴィネアってやつあんなデカパイだったのかとかもしかして魔族に俺の名前広まってんのかとかメルセデスさん心臓貫かれてたけどなんで無事だったのかとか俺の呪いの指輪にランクアップしたコレはどうなってんだとかイレヴンとキスした件とか色々考えることがあるはずなんだけど!
一人で考えてもどうにもならんわ! 頭よくねーのよ俺!!
毎日のんびり楽しくエッチな感じで楽しく過ごしてハーレムにならねぇかなぁ。無理かなぁ。
クソー! バアルに出会ってからなんかケチが付き始めた気がする!! 全部バアルが悪い!! そういう事にしとこう!!
アイツ次会ったら許さんからな!! ぶっ殺してやるからな三日後100倍だかんな!!
「…………とりあえずシコるか」
『みゃあ……ふみゃ……』
考えるのに疲れて俺は一先ず日課を済ませることにした。
今日もまた新たなオカズが供給されたから……セントクレアちゃんのウォーターボディおっぱいとヴィネアの生意気デカパイが脳裏に刻まれてるから……2発は放たねば無作法というものだから……。
ミャウ、お前はベッドから離れていてくれ。万が一フィニッシュのタイミングでカットインされたら困る。そうそう。そうだ。よし。流石の忠猫。自ら距離を取りよった。
「ふふふ……個室の最大の利点を生かさねば損ってやつ……!!」
ティッシュを枕元に置いて、ベッドに横になってズボンをのそのそと降ろそうとしたところで、しかし。
「────マスター。今、宜しいですか」
「ッヒョおい!? ちょっと待ってねェ!?」
部屋に控えめに響くノック音。それと共にかけられた声はイレヴンのものだった。
なんじゃいンモー! これからシコるためにムラムラモードになってたのによー!!
よかったシコるのに夢中で音聞き逃さなくて! 流石に見せつけプレイはまだちょっと恥ずかしさが勝るわ!! そこに興奮し始めたら終わりだわ!!
慌ててズボンを上げて、扉を開けに玄関へ向かう。
扉を開ければ、そこにはイレヴンが何やら神妙な顔で突っ立っていた。
「キスしに来たの?」
「殴るぞ」
『みゃあ』
小粋な挨拶を交わしてから彼女を部屋に招く。あっなんか甘い香り広がる。温泉入ってきたのかなイレヴン。
……あれ!? これもしかして俺を抱きに来たやつか!? マスター登録し直して(仮)じゃなくなったって言ってたもんな!? とうとう童貞喪失の時来たる!?
「まぁその辺座って。なんか飲む?」
「いえ、大丈夫です」
「そか。んで……あー、どした? 真面目な顔してるけど」
「ええ……その、マスターに話しておかなければならないことがありまして」
中に招いて、一人用の部屋なんでベッドしか座るところないからベッドに座らせて。
隙を見て押し倒してやるかなーなんて考えもちょっぴり頭に浮かんだけど顔がマジだったんでそういう雰囲気じゃなかったわ。俺もシコりモードから努めて真面目モードに頭を切り替える。
どうやら二人きりで俺に話したいことがあるということで。なんでしょ。
「……魔族の一撃でやられて、湖に叩き落されてからの事です」
「ふむ」
「知っての通り、私はマスターと仮のマスター登録しか交わしていませんでした。その場合、私の能力は大きく制限されます。なのであの場で魔族を撃退するために、マスターと改めて本登録をし直して、私の機能を解放する必要がありました」
「へぇ」
「そして、水中で……マスターの、ロックの意志を確認せずに私は本マスター登録を交わしたのです。私は魔族を滅ぼすために造られたというのは前にも語ったと思いますが、そのために貴方の意志を確認せずに契約しました……私の判断で、貴方を巻き込んだのです」
「ほーん?」
「私というアンドロイドが活動し、魔族を二度も退けている……この件は6大将軍や魔王の耳にも入る事でしょう。私やマスターが今後、魔族に狙われる可能性は高くなります」
「……うん? そんで?」
「その件を謝罪に来ました。貴方が意識を失っていたため……ロック、貴方の意志を確認せずに私は貴方を本当のマスターとして契約を交わしました。本来は貴方に私をアンドロイドとして認めるか選ぶ権利があった。その選択肢を与えず、私の事情に貴方を巻き込んでしまった。そのことを……心より、お詫び申し上げます」
「なんで?」
「えっ」
イレヴンの話を聞けばなんか勝手に俺を本マスターにしたことを謝りたかったらしい。
なんで?? 別に謝られることなくない???
「真面目に聞いてたけどさ。謝られる所なんもなくない?」
「えっえっ。いえ……ですが、私はどうしても魔族と戦う宿命にあります。ロック、貴方をその戦いに巻き込まれてもよいかという判断を貴方にさせなかったのですよ?」
「いやそれ別にお前がいてもいなくても変わらなくない? バアルに目をつけられたのイレヴンじゃなくて俺だったしさ。あのヴィネアってのも俺の事バアルに聞いて知ってたわけで……つまり狙われるのはイレヴンではなくて俺なのでは?」
「……それは、そうかもしれませんが……」
「むしろ俺程度の冒険者に魔族界隈の知名度で現状負けてるポンコツアンドロイドっていう現状を恥じるべきでは?」
「キレるぞ」
「ごめん。……でもさ、前にイレヴン話してくれてたけど、魔族とか魔王ってのは結局人類全部狙ってんだろ? 遅かれ早かれ戦うことになるわけじゃん。そん時に俺一人で戦うのと、お前がいてくれるのとじゃ全然勝率も生き延びられる確率も違いそうだしさ。お前がいてくれてよかったって……お前を見つけられてマジで幸運だったなーって俺思ってんのよ。お前を手放すつもり欠片もないし。多分仮じゃないマスター登録しますか? って言われたら絶対イエスで応えてたし俺。だからなんも気にすることないわ」
「……っ。……でも」
「でももなーんもない話だからこれでこの話おしまい!! 謝罪不要!! これからもそのエッチな体で俺の目の保養になって、ついでに魔族とかから守ってくれりゃそれでええの!!」
「私の本懐をついでにしないでくれますか?」
真面目に聞いて損したわ! どうでもいい話だったわ!!
ホントに魔族が本格的に復活してたら冒険者と戦いになるんだろ? そういう流れ異世界転生チートさんの本で読んだから知ってる知ってる。
そん時にイレヴンがいてくれた方が楽だしそもそも手放す気は欠片もないし。むしろ俺からお願いしたい所だったわカッコカリ解除は! 名実ともに俺の女になったって事なら最の高って感想しかないわ!
ハイハイどうでもいい話おしまい!! エッチな話しようぜエッチな話!!
「……では、その。マスター」
「なんじゃい。えっちな話?」
「違います。……私のレベルが先のボス戦と魔族との戦いでまた上がりましたので、解放する機能を選んでいただきたいのです」
しかし続いて振られた話はエッチな話ではなく成長の方向性の話だった。
そんなん決まってるやんけ。
「えっちな機能解放できる?」
「できねぇよカス」
「ちぇー! んじゃ移動関係はもうバイクで困ってないから……イレヴンが伸ばしたい方向に伸ばしていいよ」
「……いいのですか?」
「ええねん。イレヴンが強くなって俺とリンを守ってくれるんでしょ。えっちな面も期待してるけど戦闘面でも遠慮なく頼るからなこれからも俺は。強くなってくれよ」
「……かしこまりました。では、内臓魔力炉の機能上昇を選ばれるのがいいかと思います。戦闘時の速度、攻撃力、防御力全てが底上げされますので」
「じゃあそれで。はい」
俺はイレヴンに手を差し出す。よかったシコる前で。
確か前は握手することで魔力通してバイク機能が解放されたもんな。えっちな機能も諦めがたいけどまぁイレヴンが強くなってくれるのは大賛成だ。これから先俺が魔族に狙われる可能性も高いとわかりゃ躊躇いはない。
そして俺の差し出した手に、イレヴンがそっと手を近づけて……そのまま俺の手をスルーしてさらに近づけてきた。
えっ。
「えっ?」
「マスター。……本登録したマスターに権能を解放してもらうには、特殊な接触回線を開く必要があります」
「ひょえっ?」
イレヴンのしっとりとした手が俺の腕をそっとさすり、そのまま肩、首、頬と上がってきて……いつの間にかイレヴンが俺に体を摺り寄せるように至近距離に来ていて。
えっ。……えっ? なんか顔近いんですけど???
あれ? えっコレもしかしてそういうやつ??
「……マスター。……目を、閉じてくれますか……?」
「えっちょっと待っおっへぇ!? 心の準備ィ!? 準備ができてないちょっ待ってェ!?」
急速にDTソウルが荒ぶり出してテンパってしまいます。
これ絶対キスの流れだよね!? えっガチの奴!? 俺セカンドキスも奪われちゃうの!? やだもードキドキが止まらないんだけどぉ!?
顔真っ赤になってる自信あるわ!! でもイレヴンが必要だって言うなら俺受け止めるから!!
頬に添えられたイレヴンの手が妙に熱く感じられて、慌てて目を閉じる俺。
そして────
「───まぁ冗談なのですが」
「お前よォ!?!?」
いきなり梯子外されてブチ切れるわクソがよぉ!!
ふんがーッと目を開ける。ずいぶん遠くなったイレヴンの顔がしてやったりと微笑んでやがった。クソァ!! 可愛いなもう!!
「ふふっ、マスターは意外と初心なのですね? 新しい一面を見れました」
「イレヴンお前さぁー……こんなの本気にしちゃうでしょ童貞なんだからァ!? 俺以外にはやんなよな絶対!!」
「しませんよ、マスターだけです。では……」
改めてイレヴンが俺の手を取り、指と指を絡めるようにして手を繋いだ。
ねぇ……この手のつなぎ方エッチじゃない?? 前の時普通の握手だったよね???
そして前に見た時と同じように、お互いの体に魔力回路が励起するような光の筋が入り……イレヴンの戦力更新がされたようだ。俺の方にはあんまり実感ないけどな。
「……機能解放、完了いたしました。20%の魔力炉心出力上昇を確認。仮登録していた時期と比べれば240%ほどの出力上昇となっております」
「一気にめっちゃ強くなったじゃんすげーな! いいね、そんじゃこれからも俺を守ってくれよな、イレヴン」
「はい。マスター、これからもどうか私をよろしくお願いいたします」
「もちのロンってやつ」
なんか……いい雰囲気でイレヴンが笑顔を見せてくれたから俺も自然と笑顔になった。
この部屋に入ってきた時はなんか罪悪感みたいなもん抱えてた風だったけど、その辺もすっきりしてくれたかな。それなら嬉しいな。
よし。
「じゃあイレヴンも悩みもスッキリしたところで!! 俺とさらにスッキリできる夜の運動でも」
「死ね!」
「あ゛がぁ゛ッ゛ッ゛!!!」
『みゃあ……』
エロ茶化ししたらキレたイレヴンにちんちんパンチされて泡噴いてぶっ倒れる俺。
いい雰囲気っぽかったからワンチャンあると思ったんだけどなぁ! 身持ちが相変らず硬いわねンモー!!
その後は特にえっちなイベントも起きずにイレヴンは部屋を後にしていって。
寝る前にイレヴンのおてての柔かさを思い出してシコったらめっちゃ出た。えがった。
誤字報告いつもありがとうございます。