勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
どうしてこうなったのかよくわかんにゃい。
「あら……結構品揃えいいわね、この店。王都にも負けてないわ」
「かなり質がいいですよね。この剣なんかすっごい斬れそうです」
「そらぁそうよ。今王都でやってる『バトルオーダー』っつぅ店はワシの元弟子が経営してんだ。冒険者なら知ってっか? 繁盛してるって自慢してたからなぁアイツ」
「え、あの優良店の!? へぇ、じゃあこっちが本家なんだ! 納得かも!」
「…………店主。そこの棚にあるツインダガー、性能を教えてくれ。もしよければ、今のダガーを下取りに出して、買い換えたい」
「おぅ、ありゃ獣特攻と敏捷増加のエンチャントついてる業モンだぜ。鑑定証明はこれだ」
「…………ふむ。よし、買い替えで頼む」
「へいよ。嬢ちゃんの元のダガーも中々どうしてよくここまで使い込んだモンだぜ。研げばまだまだ使えるが、本当に下取りでいいんだな?」
「…………構わん。それは投擲用にするにはデカすぎる、二振り持っていても意味がない」
「ほぉ、アサシンかい嬢ちゃんは。ならスローイング用のナイフも取り扱ってるぜ。それなりに切れ味にゃあ自信がある奴だ」
「…………見せてくれ。良ければ買う」
「ほいほいっと。んじゃそれぞれの装備の研磨修復で1時間って所だからその間に見繕ってくんな。あっちの棚だ」
「アタシも腰当て更新しようかしらねー……最近キツくなった感じするし」
「あら、また? 前もアルトは腰回り大きくなってましたよね? 太ったんじゃないですか?」
「違うわよ! まだ成長期終わってないだけよ……多分」
この街一番って話の鍛冶屋兼武器防具屋に4人で訪れて、それぞれの武器防具を研磨修復しながらショッピングで盛り上がっている。
厳つい顔のドワーフの店主がみんなの装備をもって奥に引っ込み、店内には俺たちだけが遺された。
まずこのシチュエーションが分からん……ッ!
今は装備関係の話をしてるから俺は混ざれてないけど、特段3人とも俺のこと邪険に扱ったりしてない。なんでや。
「ねぇロック、アンタは装備更新しないの? ……っていうかホントに今更なんだけどアンタなんで装備つけてないの??」
「俺は素早さが命みたいなところあるんで。冒険者なりたての頃に色々装備試してみたんスけど全部しっくり来なかったんで普段着なんすよ。装備すると敏捷落ちるし」
「あー……でも確かに、ロックくん基本は後衛ですし、魔族相手とかってなったらそもそも下手な装備だと貫いてくるし……意外と理にかなってるのかも?」
「…………オレも敏捷は意識してるが、それでも急所を守る装備くらいは、しておいて損はないぞ」
「御忠告感謝なんスけどやっぱりこれが一番性に合ってるというか。武器くらいは考えてもいいのかなって今回の冒険で思いましたけどね……」
『みゃあ』
すっごいくすぐったいのよ!!
なんだこれは……これまで女性と二人きりとかになっても大抵思いっきり距離取られたりゴキブリを見るような眼で見られていたのに今なんか……なんかすっごいいい感じじゃないですか!? 俺が何したって言うんですか!?(錯乱)
絶対これ最後になんかオチが待ってる奴じゃん。戦々恐々だよいつもの小粋なトークも出てこないよ……怖……。
何故みんなの態度が柔らかくなったかの原因が分からん。なので聞いてみよう。そういう所は躊躇わない。
「ところでその。話は変わるんすけど」
「何よ?」
「なんで皆さん急に俺のこと避けないようになったんスかね? ここに来るまではだいぶアレだったのにこうしてついてくるの許されるくらいになって……俺なんかしましたっけ? いや普段の言動が避けられてた原因ではあるんですけど」
「遠慮ない質問ですね」
「…………普段の言動がカスだって自覚はあったのか」
『みゃあ……』
それぞれが展示されてる装備などを眺めているところで質問をぶつけてみる。
するとそれぞれが目を合わせてきょとんとした後に、意外なものを見る目で俺の方を見つめてきて……なんや。なんやその顔!
こっちは逆にドキドキしてるんすよ美人3人連れて街中散策なんてしてるから!!
「……まず、昨日の件でアンタの実力を認めざるを得なかったってのがあるわ。アタシなんて命助けてもらっちゃってるし」
「そうですね。冒険中の勘の良さも……魔族との戦いでも、ロックくんは怯まずに自分の出来ることをやっていました。団長がやられて動揺して泣いてた私なんかとは大違いで……」
「…………口先だけのガキだと思ってたが。お前は命のかかった大一番で、臆さずに前に踏み出せるヤツだと知った。それが出来るヤツは少ない。オレが見直す動機には十分だ」
「褒められ慣れてなさ過ぎて心臓が痛いッ!!!」
『みゃあ!』
「相変らずそういう所はアホね」
聞けた話は、どうやら俺の実力や魔族に立ち向かったあたりで見直してくれたという話で。
え、ごめん心臓も痛いけどそれ以上にめっちゃ嬉しいわ。見返してやるよォ!! とか言ってたけどマジで認めてもらえると逆に恐縮までするというか。
大したことはしてませんわよ!? 精霊探索RTAしてダンジョン探索RTAしてボス攻略RTAしただけで!? その内ダンジョンとボス攻略は皆さまの実力あってのもんだし!?
結局のところ俺はザコ戦では力にならんしボス戦でも力にならんし魔族戦でもワンチャン狙うしかできない男なのだ。誰かとパーティを組めて初めて勘が有効に使えるところある。
なんでイレヴンがいてくれるのがマジで有難いの極みなんだけど、そんな俺をこれまでツンツンの極みだったケンタウリスの皆さまが認めてくれたってのは……なんか……こそばゆッ!
「それと……アンタの性根が仲間想いだってのもわかったから」
「普段の女性への言動は相変らずマイナスなんですが、プラスの面が見えましたね」
「え。俺なんかしましたっけ」
「…………ティオと、イレヴンの件だ」
そしてさらに仲間想いだという評価まで頂いてしまった。何それ知らん。
なのでみんなが続ける話を聞く。
「……ティオ、例の件ですっごく思い悩んでたみたいで……昨日殆ど眠れなかったみたいなのよね。アタシたちも心配してたんだけど、なんて声かけたらいいかわからなくて」
「ずっと寝返りうってましたもんね……いえ、疲れもあって私たちは結局眠ってしまったのが恥ずかしいですが」
「…………イレヴンも、ティオの事情とは別だろうが、何かしら抱えていたようだった……が、お前の部屋に行った後に、随分と表情が変わっていた。聞けば、お前が優しい話をしてくれた、とやらで……ティオも今朝、随分眠そうだったが、お前と話したことで肩の荷が下りた、とな……」
「……アンタ、真剣に思い悩んでる相手にはちゃんと話聞けるヤツなんだなーって分かったから。アタシたちも一度色眼鏡外してみよっかって話したのよ。悪かったわ、これまでの態度。ごめん」
「初対面の印象だけで結構来ちゃってましたから……年上なのに。ごめんなさいね、ロックくん」
「…………お前はすごいヤツだ」
「ンーンン!! テレすぎて今俺の顔真っ赤じゃないすか!? 褒め殺す作戦かクソー!! そうはさせんぞ!! おっぱい平均サイズ88女子メンがよ!!」
「無理矢理下品トークにシフトしようとするんじゃないわよ」
「キレますよ??」
「…………ムダに正確だな」
俺の事褒め殺してくるぅ!! 動揺が凄い!!
ティオもイレヴンもただ話聞いただけなのに! 大した事してへんやろがい……!!
もっとこう……エッチな話題とか外見を褒めると女の子って喜ぶもんなんじゃないの!? わからないわ俺みんなの気持ちが!!
まぁ評価が上がったのは嬉しい事だし細かいことはええか(柔軟)。
これは即ち俺のハーレムの夢に大きく一歩前進したってことだもんなぁグヘヘ!! 3人ともねんごろ(死語)にしてやるぜェ!!
「そんなに俺のこと好きになっちまったなら仕方ないスねー!! みんなまとめて愛しますよウヘヘのヘ!! いつでも俺は部屋で待ってますからねワンナイトラブでも許しますよ!!」
「すぐ調子乗るわねコイツ」
「でもまぁ、ロックくんらしいというか。子供の戯言だと分かるとこれも愛嬌ですかね」
「…………手を出す勇気もないヘタレ」
「スルースキルがいつの間にか磨かれてる」
『みゃあ』
俺の渾身の口説き文句は華麗にスルーされた。
全く仕方ないわね、くらいの顔で鼻で笑われると俺ちょっとどうしたらいいかわからなくなります。
嘘……俺の女子へのコミュニケーション能力、低すぎ……!?
※ ※ ※
さてその後。
「へぇ、本当に美味しいじゃないここのパンケーキ!」
「たんぽぽコーヒーって初めて飲みましたが……コーヒーって言うよりどちらかというとお茶? みたいな風味なんですね。甘くておいしいです」
「…………静かな店なのが、悪くない」
「ほっほ。若い子でこの店が賑わうのは珍しいですねぇおじいさん」
「じゃのう。どうだいぼうや、探し物は見つかったかな」
「ええ! セントクレア様めっちゃエッチで感無量でしたよマジで!!」
「かっかっか。そうじゃろそうじゃろ……儂も若い頃はファンでのぅ。まぁ当時のばあさんのほうが美人じゃったがな」
「なに言ってるのおじいさんったら、もぅ」
「うわー若い頃のおばあちゃん見てみたかったなぁ! 今もお綺麗ですしホントに美人だったんでしょうね!!」
『みゃあ!』
「意外とシニア勢に可愛がられるわねロック」
「面倒見たくなる孫みたいな感じなんですかね」
「…………パンケーキ、お代わり」
まずレリーフを貰った例のカフェにみんなを連れて行って、ふわとろ厚熱パンケーキとたんぽぽカフェオレで舌鼓を打った。
大変好評でしたね。女子を落とすならばまず甘味を与えろ。古事記にもそう書いてある。古事記ってなんやろな。
「団長やマルカートさんやティオにも何か買ってかないとね。何が喜ぶかしら……」
「あ、このお人形さん可愛くてよくないですか?」
「…………ふむ」
「シミレさんその剣にドラゴンが巻き付いた感じのアクセ気に入ったんすか? 俺がプレゼントしますよ??」
「…………いや、いい。オレが自分で買う」
「買うんだ……」
「ダサ……いえ、趣味は人それぞれですよね」
「…………暗い所で輝くらしい」
「え、カッコよ!! 俺も買おうかなー! カトルに一個お土産として買っといてやろー!!」
「アンタもなのね」
「カトルくん喜ぶかなぁ……? いやでもあの子喜びそうだなぁ……」
その後はお土産ショップでそれぞれお土産を買いあさった。
俺は孤児院のガキたちにくれてやる用にネレイスタウン名産の民芸品であるコマなどのおもちゃとお菓子、あとカトル用に件のアクセサリーをとりあえず購入。
「あとイレヴンになんか買ってってやるか。んー……すんません皆さん。イレヴンが喜びそうなアクセサリーってどんなだと思います?」
「あら殊勝。そうねー……イレヴンだとあまり飾りが多くない方が喜びそうじゃない? さっぱりしてるものね彼女」
「普段使いできるものだと頑丈さとかも考慮したいですね」
「…………この『ドラゴンナイトシャインソード』をさらに2つ買ってペアルックにすればいい」
「やっぱそれっすかねシミレさん!! カッコいいもんなぁこれなァ! よしじゃあ……」
「やめた方がいいと思うわ絶対」
「愛想つかされますよロックくん」
「ンーンン」
イレヴンになんか買ってったろ! と思いアクセサリーを女性陣のアドバイスを受けながら選んだり。
あとちょっと面白そうなものもいくつか選んで購入。ノインさん用にこの辺りで採れる花を圧して作られた栞なんかも買ってみて。
こんなかんじでケンタウリスメンバーとの散策は終わりを迎えた。
「今日一日で感じたけど……こっちから歩み寄るとロックのセクハラって頻度減るわね」
「関係が浅ければ浅いほどコミュニケーション取るためにああいう事言っちゃうんでしょうか」
「…………難儀なヤツだなお前」
「なんじゃい!! 今から皆さんのおっぱいやお尻に頭から突っ込んでもいいんスよ俺は!? 躊躇いませんよッ!? ではまずアルトさんのデカケツから吶喊!!」
「目だ」
「ぐわあああッッ!!」
「バカね」
『みゃあ……』
最後になんか俺のセクハラが足りないとみんなが所望し始めたので頭からアルトさんのケツに突っ込もうとしたらシミレさんのVサインで光を再び失った。かなしみ。
~シークレットナンバー紹介~
■104(爆)
■86(豊)
■74(貧)
ちなみに残るメンバーは100・94・69です。