勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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34 報酬はおっぱいで。受領印はボインでお願いします。

 

 散策も終えて夕飯前に宿に帰ってきた。

 

「おや、お帰りなさいマスター。皆さまも」

「ただいまイレヴン。ティオとリンはなんもなかったか?」

「はい。ティオはお昼ごろまで眠っていましたが今は起きて体調も回復されています。リンは朝のバイキングと昼のバイキングで食堂を絶滅させていましたね。午後は3人で軽く街を回ったりもしました。今はお二人とも温泉に入られていますね」

「バイキングの件だけ不安凄い。追加請求とか来ないかな?」

「ダンジョンでも結構ロックがファーストボックス見つけてたし、その分の活躍で補填できるんじゃない?」

「相談してくれていいですからね、ロックくん」

「あったけぇ……」

 

 ロビーで本を読んでたイレヴンと合流する。話を聞けばリンもティオも元気そうだということで何よりである。

 いやリンがこの宿の食堂を制覇したというのは聞き捨てならんが。この高級宿で十数人前の食事代を請求されたらまた財布が軽くなっちまう。

 お心遣いを頂いた通りもし請求来たらソプラノさんに相談しよう。この人が今ケンタウリスの会計庶務担当してるからな。

 

「ところでイレヴンはその本どったの」

「ああ、こちらは立ち寄った本屋で見つけた小説です。最近女性に人気の作家だとティオがおすすめしてくれたので……」

「異世界転生チートさんの作品??」

「違います」

「あら、この本ならアタシも読んでるわ。新刊まで全巻揃えてるから後で貸したげるわよイレヴン」

「そうなのですね? 私もまだ1巻の半分くらいまでしか読んでいませんが中々興味深いので……有難うございますアルト」

「アンドロイドってそういう本まで楽しめるんですねー」

「…………本当に人間と変わらんな」

「異世界転生チートさんの作品も読んでほしいなぁ! エロハーレム展開多めなところ差し引いても面白い話もいっぱいあるんやで!」

「そちらは気が向いたら読みますね」

「絶対読まない奴じゃんそれ」

『みゃあ』

 

 ついでに気になったのでイレヴンの持ってた本を聞いてみたら最近女性向けに流行ってる小説なんだって。

 だいたい女性向けってなるとしっかりとした恋愛描写のある主人公が女性の作品が多い。

 流行ってんのは没落貴族に生まれたー、とか冒険者なり立てー、とかからのシンデレラストーリーらしい。そんな事ノインさんが言ってた。

 

 圧倒的閃き─────!!(唐突)

 

 つまり俺も没落貴族をいい感じに救ったり冒険者になりたての女の子に優しくすればワンチャンあるって事じゃねぇか!?

 何故俺はこの発想にもっと早く至れなかったのか!? 

 

「これからは初心者支援をモットーに冒険者活動をしていこうと思います」

「またろくでもない事思いついたわねコイツ」

「相変らず脈絡ないですね」

「…………決して悪い事ではないが、歯止め役が必要、だな」

「私の負担が無限に増える。……というよりもマスター、私の望みとしては一刻も早く私のレベルを上げて魔族に対抗する力を増やしてもらえるのが嬉しいのですが」

「初心者と一緒にムズ目のダンジョン潜れって事? そこまで俺も鬼じゃないが??」

「スケベ心を出すなって話だよカスがよ」

「ンーンン。……まぁ魔族関係の話もマジで今後出てくるやろしな。その辺は意識しておくよ」

「よろしくお願いしますね。私もマスターが頑張ってくれればそれに応えるよう努力しますから」

「……それはつまりご褒美えっちっちタイムがあると思ってよろしくてよ!?」

「よろしくなくてよ」

「ンーンン」

「アンタたち割とツーカーよねやり取りが」

「噛み合ってますねぇ」

「…………お似合いか?」

『みゃあ』

 

 ナイスアイディア! と思って宣言したらイレヴンに窘められてしまった。

 んー。でも確かに、イレヴンが魔族を滅ぼすために造られた存在だとすれば魔族に後れを取らないくらい鍛えるってのもわりと急ぎのタスクだよなぁ。

 イレヴンがもう魔族なんてちょろいわ! 無敵! ってくらい強くなってくれたら俺も無理しなくていいし。リンも守ってもらえるし。

 俺自身は冒険者になる前からずーっとレベル上がってる気がしねぇから強さって意味じゃ変わる感じしないし。

 真面目にイレヴンのレベリングを考えてもいいのかもね。強い敵と戦えばレベルが上がるらしいからなんかそういういい感じの機会がないかな。

 カトルが今鍛錬頑張ってるって話だしそっちに混ぜてもらったりするか。でもカトルとヴァリスタさんが相手だと女っ気なさそう。やる気がキープできるかが問題ですね。

 

「……あ、みんな帰ってきてたんだ! おかえりー!」

「おかえり、ロック」

「おーただいま。ゆっくりできたか?」

「うん! バッチリお昼寝も出来てスッキリ! もう大丈夫!」

「おなかいっぱいでおふろ……すごくよい! あせだくすっきり!」

「そか。よかったな」

 

 するとそこにティオとリンも合流する。二人とも風呂上がりだから髪に艶がありますね。

 ティオも元気そうだ。朝の様子からだいぶ回復したのが見える。よかったな。

 身体がほてって少し頬の赤いティオの、その髪をぐしぐしぐしと雑に撫でてやった。むふーって顔でそれを受け止めるコイツ可愛いな。

 

「ん……皆揃っているな」

「あ、団長! おかえりなさい! マルカートさんも!」

「お疲れさまでした、お二人とも」

「ただいま戻りました。報告をしますので、一度大部屋に集まりましょう」

 

 そしてさらにメルセデスさんとマルカートさんも戻ってきた。

 この二人は朝からギルドに行って今回の事件の報告、およびダンジョンボス討伐の報告をしてきてくれてた。

 特に魔族に絡んだ湖の祭壇関係はこの街の根幹にもかかわる話だからな。頭が下がる思いだ。

 全員で女子部屋の大部屋に移動して話を聞くことになった。

 

 で、聞いた話は以下の通り。

 ・魔族関係の話は王都にも連携してどちらの街でも警備を増やすことになった

 ・精霊様も無事だったので祭壇は街の方で直す

 ・俺たちパーティは特におとがめなし、というか精霊様と街を守ったということでギルドから特別報奨が出た

 ・ダンジョン攻略についてもショートカットルート開拓とかファーストボックスオープンとか最深部ボス初討伐とかで相当稼げた

 

「……というわけで、遠征費用を含めても黒字だ。その分危険はくぐったがな」

「魔族撃退でボーナスが出たのもありますが、急ぎのダンジョン攻略であれほどファーストボックスを開けられてマップ開拓が出来たのは偉業と言えるでしょう。ロック様のご活躍あってこそですね」

「でへへ」

「マスターが調子に乗るからそれくらいで……」

 

 とりあえず今回の遠征は全部含めても黒字だったということで。何よりですわね。

 ダンジョン攻略はそもそも最下層ボス攻略RTAでもあったんだけど、深くなればなるほどそこまで探索した人も少ないわけで、開けられてない宝箱も相当あったからな。ゴチでございました。

 

「というわけで報酬分配だが……当初、ロック少年は1.5人前でいいと言っていたが、彼の活躍、イレヴンの活躍、そしてリンもダンジョンではよく戦ってくれていた。報酬割合を増やしたいと思っている」

「え。そこは俺別に気にしてないすけど……皆さんの懐を潤してもろて構わないっすよ?」

「そこはアンタ欲かかないのね」

「あんなに宝箱求めてゲヘるのに金銭欲自体は少ないんでしょうか」

「それで俺に恩を感じてもらって後で体で返してもらった方が有難いッスからね!! 俺はいつでも個室で待ってますからねグヘヒホ!!」

「マスターのダメなところが出てきてしまいました」

「…………本当に下半身と直結してるな、お前は」

「今朝あんなに優しかったロックはどこにいったの……?」

「ロックははじ……」

『みゃあ……』

 

 んでなんか俺に分配増やすよなんて提案をメルセデスさんがしてくれたけど別にそこはいらねぇかなぁ!!

 そもそも1.5人前だって割と貰ってるのに。俺自身が装備更新しないタイプだしイレヴンも武器は自分の体だしリンも竜人ボディで戦えるし。

 一般的な冒険者が頭を悩ませる装備の整備、更新関係の出費は俺にとって問題にならんのだ。

 リンの食費問題があるがいうて飯関係でそこまでマネー飛ぶわけでもないし。宿関係は自宅もってるし魔導タンクもティオとカトルという有能なサーバー保安員がいるし。

 つまり俺に報いてくれるなら金じゃなくて愛で報いてほしい所なんすよねぇ!! この部屋に今おっぱいがいくつあると思ってんだよ!?

 二つくらい俺を優しく包んでくれてもいいじゃねぇかよぉ!! だれか俺を癒してくれよぉ!!

 

「個人的に少年がうちの団員と仲を深める分には全く構わないのだが、団員の体を報酬として払うなんてことは当然できるはずもないのでな。面子割して3人分で報酬は計算するからそれで留飲を下げてくれるか」

「はーい。有難い限りっすわ」

「意外と素直に呑み込みましたねロック様」

「引き際はわきまえるんですよねこの子」

「まぁロックもイレヴンもリンちゃんも頑張ってくれてたからね……3人分でもなんか申し訳ないくらいだわ」

「…………オレと比べれば、十分に働いていた」

 

 まぁ半分以上冗談なので報酬いっぱいもらえる分には有難く頂きましょう。

 いうて俺個人の活躍っつったらみんながいてくれたからこそですし。みんなとの距離が縮まったのがこの遠征の一番の報酬でしたかね。

 それなりの額面をメルセデスさんから頂戴し、ついでにリンの食費の件も相談したらそれもクラン側で負担でOKを貰った。有難いの極みである。

 

「……さて、あと話しておくべきことだが。我々の今後のクランの活動についてだ」

「ん。……俺らは席外しましょうか?」

「いや、ロック少年にも聞いてもらいたい。冒険者全体の問題にいずれなるだろうからな」

 

 さて報酬の話は終わり、続くのは今後のクランケンタウリスの在り方。

 それじゃあ席外すかと思ったらなんか俺らにもかかわる話ということで。なんでしょ。

 

「この街のギルド本部で各国にあるギルドと通信魔法を交わして確認した情報だが……やはりここ数週間前から魔族の出現報告が次々と上がってきている。先日ティオとロック少年が出会ったバアルという魔族から始まり、今回は撃退したヴィネアの他にも……遠方や、王都に近いダンジョンの下層でも魔族と思われるものの姿が確認されている」

「っ。それはどれほどの件数なのですかメルセデス。魔族がもし本格的に侵攻を始めているのであれば……」

「いや、今はまだそこまで多くはない。軍隊と呼べるほど多数の魔族が見られたという報告もないから、今の時点では偵察行動中なのでは……というのがギルド組合の見解のようだ」

「どうやら幹部級の魔族はそこまで確認はされていないようですね。150年前の人魔大戦の記録を紐解きますと、魔力障壁の強度は幹部級以上から一気に跳ね上がる。低級の魔族ならば通常武器でもごり押せるという話です。そういった中で、まだ攻撃が効かない魔族が出て……という報告はないようですから」

「……確定の情報ではないわよね。強さを見るに、ヴィネアと同じレベルの魔族が相手になれば金級でも魔装具なしじゃ歯が立たないわ。全滅報告があればもしかすると……っていう可能性もありそう」

「アルトの言う通りだ。今、冒険者に求められるのは魔族に遭遇しても負けない強さ……すなわち魔装具の獲得となる。今回の遠征でティオ専用の魔装具を一つ入手し、私の神弓もあるのでこれでクランは二つの魔装具を有することになったが……最低でもこれをクランの人数分は整えておきたい。今後も引き続き魔装具の情報を集めることをクランの方針とするぞ」

 

 話を聞けば魔族の出現報告が各地で上がっているということで。

 怖。あんな化物どもが急に冒険中に出てきたら対策できてない冒険者なんかマジで逃げられないだろう。

 ……と思ったら幹部級に出会ってんのは俺だけかい! ンモーなんだよ! 俺の引き悪いな!!

 とはいえ油断なんて当然できるはずもなく。メルセデスさんは引き続き魔族と相対しても対抗できるように魔装具を求めるようだ。

 

「……ってか、それならティオのダガーに今宿ってるセントクレアちゃんにお願いして魔装具を増やしてもらえばいいんじゃないすか? 装備に付与できるタイプのそれなんすよね?」

「あ、それは私も今日確認したんだけど……」

『ごめんねー。勢い任せでティオちゃんの武器に魔力注ぎ込みまくっちゃって、今湖にある余剰魔力ちょっと減っちゃってるのよ。ダンジョンに吸われてる魔力もあるしもう一回魔装具造るまでにはちょっと時間がかかりそうなの。あんまり一部の冒険者グループに肩入れしすぎても精霊としてあれだしねー』

「成程。ではその分ティオの魔装具は性能が高くなっているわけですね」

『蓄えられる魔力上限量がパない事になってるわね。エルフのティオちゃんが毎日しっかり魔力注いでくれれば今後も有事に爆発的な出力が出せるようになると思うわ』

 

 しかしそれを聞いた俺がセントクレアちゃんに量産してもらえばいいやんけ! と案を出したらそれも駄目だったんだって。

 ティオの魔装具に注ぎ過ぎたとか。あんだけボコボコにされたらそりゃキレるよな。セントクレアちゃんわりと俗物感あって俺は好きです。

 

「まぁ、そう言ったわけで魔装具を今後も探していくのだが……ロック少年にお願いしたい所はそこだ。もしまた魔装具の情報を得て、しかし捜索が難航して……となった時に、ぜひまた君の力を借りたいと思っている」

「え。いやまぁお願いされりゃいっくらでもついていきますけど? こんな美女に囲まれて遠征なんて中々ねぇからなぁグヘヘ!! 頼ってもろていいですよォ!!」

「どうしようコイツの能力は信頼できるのに性欲に一切の信頼が置けないわ」

「ロックくんは本当にロックくんですね」

「…………まぁ、力が借りられるならそれに越したことはない」

 

 で、もしまた魔装具捜索とかすることになったら俺の力を借りたいということで。

 そんなんいっくらでも言ってくれていいですよォ!! みんなとさらに仲良くなれるかもしれないチャンスだもんなァ!?

 もしやこれは俺の壮大なハーレム計画の第一歩なのではないか!? ケンタウリス全抜きも夢ではないのでは……!?

 間違いなくそんなことしたら王都一のハーレムキングを名乗ってもいいと思いますね!! イレヴンもいるし! リンも大きくなったらその予定だし!!

 

「うへひひ……げひひのひ……!!」

「マスターが幸せな妄想に囚われてしまった。……ですが、魔装具を増やそうというのはとても良いと思いますし、マスターや私の経験にもなるのでその時はまた冒険を共にするのもよいでしょう」

「わたしもまたいきたい!! ごはんもたべたいしおとうさんおかあさんのじょうほーもしらべたい!!」

「あ、リンはちょっと様子見な。今回も危険にさらしちまったし……もっとおっきくなってからでもいいかなって。美味しいごはんなら王都でも食べられるしさ」

「むー!! やだー!!」

「少年の心配はごもっともだぞリン。それに……我々も今後調べものをしていく中で、君のご両親の情報も気にかけておくさ。もし有力な情報が入れば必ずロック少年に伝えると約束しよう」

「ほんと!? やったー!」

「リンちゃんも実力だけで言えば十分冒険者やれる力はあるものね。後はいっぱい勉強して大人になるだけね」

「美人さんになるでしょうね、リンちゃんは」

「ケンタウリスはいつでもリン様を受け入れる準備は整えておきますからね」

「うん!」

 

 ちょっと妄想キメてたところでリンも行きたいと言い出して、しかしそこはこの場でのイエスは止めといた。

 やっぱ魔族相手ってなると現状の俺とイレヴンだとリンを守り切れない恐れもあるし。もっとイレヴンが強くなって、リンも大人になってからでも遅くはないと思うねんな。

 ケンタウリスのみんなからは可愛がられてるけど一先ずそこは保留にしておきます。

 

「うむ。ではこれで打合せは終わりだ。この街にはあと3日ほど滞在予定だが、残りは当初予定していた観光になるな」

「ギルドからも、数日は万が一再び魔族が現れた時に備えてほしいと言われてこの街の滞在を希望されました。備えつつも、一先ずは羽を伸ばしてゆっくりしましょう」

 

 そして残りの滞在期間はゆっくりすることになった。

 この数日でもうちょっと女子組との距離縮めてぇなあ。目指せ童貞ロスト。

 

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