勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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35 信じて送り出した幼馴染♂が金級冒険者の変態調教にドハマりして

 

 

 その後、のんびりと時は流れて王都に帰る日になった。

 

 ……ん? あっさりしすぎ?

 仕方ねぇだろエッチな事なーんも起きなかったんだから! 未だに童貞だよ俺はよ!!

 メンタル回復したティオと一緒にリンもイレヴンも連れてまたカフェに行ったり、魔装具に頼るだけじゃなくて実力も鍛えないとってことで湖畔にある冒険者訓練用広場でケンタウリスの皆さんと組手して命を狙われたり、メルセデスさんの背中に乗せてもらったり、夜の湖畔でみんなで花火して楽しんだり、マルカートさんがガチレズだと判明したり、メルセデスさんとイレヴンバイクで競走して結果引き分けだったくらいだよ。

 女性陣との距離は殆ど変化なかったよ俺視点では。特に新しい情報もなかったし。平和でいい事だけとちょっと暇でしたね。まぁ療養目的だからそれでいいんだけど。

 温泉は毎日入ってたけど飽きなかった。ミャウもかなり気に入ったらしい。

 この街にまた来ることがあればあの宿にしよう。金貯めとかないとな。

 

「ねぇロック、アタシもイレヴンに乗ってみたいわ。帰りは後ろ乗せてくれる?」

「む、アルトだけずるいです。私も狙ってたんですよ!」

「あ、私もー! またイレヴンさんのバイクに乗りたい!」

「…………交代交代でどうだ。オレも乗せろ」

「えぇー……まぁ構わないすけど。長時間乗ってると幌馬車よりは疲れるんでシミレさんが言う通り交代交代にしましょっか。マジで落ちるとアレなんでちゃんと背中には捕まっててくださいよ」

「やった! じゃあアタシが一番ね!」

「………………」

「そんなしかめっ面なさらないでください団長。わたくしはいつでも団長の背中が一番ですよ」

「わたしはとんでついてけるからもんだいない。でもほろばしゃものってみたい!」

「人気があるのは嬉しいですね。ふふん」

「すごいドヤ顔」

 

 そんなわけでネレイスタウンを後にして王都へ向けて出発。

 イレヴンバイクには行きの時点で結構みんな興味津々だったこともあり、帰りはリンだけではなくみんながそれぞれ俺の後ろに乗ってスピードを体感して楽しんでいった。

 俺も全神経を背中に集中しましたよ。ソプラノさんとティオを乗せてる時以外は。

 なぜかソプラノさんがそれに気づいて首を絞められた。あとなんでアルトさんもシミレさんも戦闘でもないってのにブレストプレート装着して乗って来たんすかね?

 まぁ体温はしっとり感じられたから許したろ!

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 んでもって帰って来たわよ王都!

 

「ふむ、予想より早く着いたな」

「何事も無くてよかったっすね」

 

 道中もしかするとあるかも、と危惧していた魔族からの襲撃などもなく、平和に王都までの道のりを走り切る事が出来た。

 片道10時間を見込んで出発したが、王都に到着したのは予想時間よりだいぶ前だった。無事に到着して何よりである。

 俺もずっとバイク運転してて疲れたけど一番疲れてんのはメルセデスさんやろな。お疲れ様です。

 

「さて……一応ケンタウリスが戻ったことをギルド本部に報告したうえで解散としたい。ネレイスタウンでの魔族との交戦についても聞かれるかもしれないからロック少年もついてきてくれるか?」

「もちっす。そんくらい全然オッケーっすよ」

 

 王都に入り、しかしここで解散ではなく一度ギルド本部に立ち寄るらしい。

 まぁそらそうよな。ただダンジョン攻略して戻って来ましたってんだったら特段報告も無くていいだろうけど、俺たちはまさしく話題沸騰の魔族、しかも幹部とやりあってるんだ。その辺はギルドにも情報共有が必要だとは思ってた。

 やるなら早い方がいいし旅の手間は今日のうちに終わらせときましょ。問題なく俺とイレヴンはみんなについていく。

 リンは途中でおねむになったのでイレヴンが背負ってくれてる。尻尾と羽根が地味に重いんで助かるわ。

 

「…………む」

「ん? どうしたのシミレ?」

「…………いや。ギルドの方が随分騒がしい」

「ほぇー。俺の勘には響いてないから危機的な何かではないでしょうけどね」

「なにかあったのかしら? 気になるわね」

 

 しかしギルド本部までもう少しと言ったところで、シミレさんの耳になんか騒いでるのが聞こえたらしい。

 ダンジョンでは俺の勘と並んで索敵班だったシミレさん。音と嗅覚はすごい鋭いからなこの人。俺の勘と違っていつでも使えるのは便利ですね。

 

 さてそうしてギルドに到着し、足を踏み入れた所……なんかめっちゃ冒険者たちが騒いでた。

 

「なんだこれ」

「宴会のような雰囲気ですね……実際にお酒を飲まれている方も多いようで」

「ふむ。すまない、何かあったのか?」

「おん? ……おお、ケンタウリスじゃねーか!! お前ら帰って来たのか!! いや聞けよすげーぞ!! 魔族の幹部の討伐報告が上がったんだよ!!」

「えっ!?」

「幹部討伐……!?」

「私達が戦ったヴィネアも幹部級だって言ってましたよね? ……けど私達は逃がしちゃったから私達のことじゃないですよね……?」

「あれクラスの魔族を倒した人がいるんだ? すごーい!!」

 

 メルセデスさんが話を聞けば、なんと魔族の幹部級の奴を倒したやつがいるということで。

 なんやすげーな。ティオが湖の魔力全開状態で戦ってイレヴンとメルセデスさんがいてようやく優勢に立てて、それでも逃がしちまった相手だってのにまさか倒したやつらがいるなんて。

 誰だそんな偉いことした冒険者は……と騒ぎの中心の方に目をやる。

 するとそこには。

 

「今回の討伐報酬は全て今夜の代金に回そう! 私の奢りだ!! みんな、遠慮なく騒いでくれたまえっ!!」

「「「ウオオオオオ!!! 太っ腹ーーーッ!!!」」」

 

 金色の鎧に金色の髪、そして育ちのよさそうなイケメン顔で全員おごりを宣言する男。

 彼は知っている。ヴァリスタさんだ。

 金級冒険者で王都でも最上位の実力を持つと言われる有名な冒険者で。

 そして、その隣には。

 

「あ、俺はお酒ちょっと遠慮してるんで……いやマジなんですって。こないだそれで痛い目見たんで……ごめんねお姉さん」

「「「キャー!! 断る顔も可愛いーーーっ!!」」」

 

 冒険者や受付の女性陣(狼予備軍)に囲まれて困り顔で酒を勧められてるのを断ってる金髪の三つ編みおさげの女顔の幼馴染、カトルがいた。

 ヴァリスタさんが指導担当だもんな。お前ら魔族討伐したんかい!! やるじゃねぇかコノー!!

 よし俺も早速お零れにあずかろう。シュバババ。

 

「カトルはお酒駄目らしいんで俺なんかどうっすか!? 晩酌付き合いますよお姉さん方!!」

「マスターの動きが私の目で追えませんでしたよ??」

「すぐ首突っ込むー……ロックはほんっとロックなんだから」

「……いま……おごりってきこえた……!!!」

「リンちゃんが目覚めたわよ」

「ダメみたいですねヴァリスタさんの御財布」

 

 速攻でカトルとの距離を詰めて女性陣のお酌をかっさらおうとする俺。

 しかし俺が間に挟まる事でゴミみたいな目で見られてチッ!! と綺麗に舌打ちされてみんなカトルから離れて行ってしまった。なんでや。

 カトルじゃなくて俺だっていいじゃねぇかクソー!! 顔か!? やっぱり顔なのか!? 泣くぞこんちくしょー!!

 今日はイレヴンたちもいるから美人局される心配もないし多少のお酒なら俺も我慢して呑むってのによォ!!

 

「おお、ロックじゃねぇか! 悪ぃな、助かったわ。ってかお前いつ戻ってきたんだ? ケンタウリスと一緒に遠征してたって聞いたけど……」

「ついさっき。そっちこそなに……鍛錬の成果ずいぶんじゃん? 倒した魔族の幹部ってどんな奴だったん?」

「べリムとかって名乗ってたよ。獣皇フォルクルスの家臣だって言ってたけど……ヴァリスタ師匠と一緒に戦ってなんとかなった。攻撃が大振りで見切りやすかったわ」

「むー! くやしー! カトルに魔族討伐先に越されるなんてー!! 油断しなければ私だってやっつけてたかもしれないのに……!」

「お、ティオも帰ってきてたのか! その様子だと魔装具は手に入れられたみたいだな? どんなのなんだ? 見せてみ?」

「うん、これ! この間トゥレスおじさんに鑑定してもらったツインダガーに魔装具属性? 付与してもらったの! 色々あってえげつない魔力量になったけど……」

『やほー……あら美形。これが二人が話してたカトルくんね? やだ可愛いー! おねーさんファンになりそう! 私は水の双剣『セントクレア』。精霊の意志の分体ね』

「早速ツラの良さでセントクレアちゃん落としてやがる」

「そっちのも喋るのかよ!? へぇー……やっぱ魔装具ってインテリジェンス多いんかな。どれ挨拶させるか……おーいイルゼー」

『……初めまして、セントクレア。炎の暁剣『イルゼ』です。私とはまた生まれた条件が異なる魔剣ですか。ティオも流石、持っていますね』

『どうもー♡ ……へぇ。物凄い潜在能力ね。貴方がどうやって生まれたのか私気になるわ、イルゼ』

『長生きなだけですよ。200年以上前からこの世界におりますから』

「あ、そっか。イルゼはずっと生きてるんだよね……。ね、ね、カトル。後でイルゼとちょっとお話させてもらっていい?」

「おー、いいよ? つっても何話すんだ?」

「ん、えっと……」

「まな板の悩みを相談するんだろうさ。どっちもまな板だからな」

「ふんッ!!」

「オゴゴボーッッ!!!」

『斬り捨てなさいカトル』

「やめとく」

『仲いいわねー貴方たち』

 

 んでもって幼馴染3人で久しぶりに揃ったらまぁ騒がしくなるってもんで。

 カトルが倒したのは俺らの知らない魔族だった。まぁ6人の将軍にそれぞれ2人ずつ幹部がいる……んだっけ? だから18人くらいはやべーやつらがいるわけだからそうそう被ることもないだろうしな。べリムってやつがどんな強さだったか知らんけど倒せたなら全部オッケー。

 んでインテリジェンスソード同士で挨拶して、そこでティオが思い出したかのように寿命問題を気にしてたのであえて茶化して下らない流れに切り替えたところで股間に膝が叩き込まれた。

 俺死んでしまうかもしれん。助けてイレヴン。

 

「ふむ……ヴァリスタとカトル少年の二人で討伐したのか。見事なものだな」

「おや、メルセデス殿ではないかっ! そちらも魔族と会敵したとギルドの報告にあったが……何はともあれ無事の帰還、何よりだ! アレの強さ、恐ろしさは私も身に染みて味わったからな、よくぞ生還なされた!」

「ご心配どうも。私の油断でメンバー全員を危機に陥らせたうえに結局魔族を逃がしてしまったのだから恥ずかしい限りだがね」

「なに、生還して情報を持って帰ってこそだろうさ! 我々こそ相手に随分と油断があっての勝利だ、次も上手くいくとは限らぬさ」

 

 向こうではメルセデスさんがヴァリスタさんに声かけてる。あの二人金級でもめっちゃ名前売れてるアイドル冒険者だからな。元々交友もあったようだ。

 二人が監督役したティオとカトルがそれぞれ魔族撃退してるわけで……なんかこの二人が時の人って感じじゃない? 周りの冒険者もざわついてその様子を眺めているようだ。

 これからさらに魔族が活発的に動いてくるようだと二人に討伐依頼とか掛かってくるのかもなー。ティオもカトルも大忙しだなこりゃ。

 

「……他人事のように見ていますが。マスター、私の目的は忘れていませんよね?」

「忘れてないが? 魔族討伐の大型依頼とかありゃついてくし、そもそも直近ではお前のレベリングをしようと思ってたところだが?」

「っ。……そうでしたか。いえ、失礼しました。どうもマスターは己の性欲を優先しそうで」

「失礼な。俺は女に嘘つかねぇの。あん時ちゃんと伝えたじゃねぇか。ティオの件でシスターんところ行くのと図書館に新刊読みに行くのは優先するけど、その後はいい感じの難易度の依頼探してバリバリ戦ってもらうつもりだかんね。期待してるからな」

「……はい。これからもマスターの期待に沿えるよう頑張りますね」

「イレヴンが魔族バリバリ倒して俺たちの名前が売れれば女の子にモテるかもしれねぇしな!! ガハハ!!」

「どうして自分から上がった株を暴落させるのです?」

(つね)。ところでリンは?」

「ケンタウリスの皆さまと一緒に早速食事に入りましたよ。おごりと聞いて駆け付けメニュー10週のようですね」

「ヴァリスタさんおいたわしや……」

 

 したらイレヴンまで魔族殺したいアピールしてきたので安心させるように今後の方針を改めて伝える。

 エルフの件をシスターに確認するのと日課である図書館での読書は欠かせないけど、それ以外はイレヴンのレベル上げをまず第一に考えて動くことにしたんだ。

 いつ魔族に襲われるかわからない以上、やっぱイレヴンが強くなるのは急務だしな。頑張ろうぜ。

 

 そして背中にいたはずのリンの姿が見えなくなってどしたんやろ……と探してみればいつの間にやら大テーブルにケンタウリスの皆さまと一緒に座ってめちゃくちゃ料理注文してた。

 マルカートさんはギルドに報告してて、それ以外のメンバーで勢いのままに宴会に混ざるようだ。

 カトルとティオもそれぞれ世話役の二人に声かけてから改めて宴会に加わったみたい。

 

 よし!! 俺らも混ざって飯食うかァ!!

 

「とりま宴会に混ざるぞイレヴン!! 奢りなら黙ってられねぇよなぁ!! おねーさんスパークリングオレンジちょーだい!! あと肉ね!! ステーキ大盛りで!!」

「ふふ……そうですね。旅の最後はぱーっと盛り上がってしまいましょうか」

「イレヴンー、アンタもこっち来て呑みなさいよー!! アンドロイドってお酒もいけるんでしょー!? リンちゃんもいるわよー!! っぷはー!!」

「アルトは呑むの早すぎですー! 私もおかわりー!!」

「…………リン、零してるぞ。ほら、拭ってやる」

「むむむ。ありがとシミレ! おねーさん、もういちどぜんぶ、おかわり……!! みずもだ!! ぜんぶだ!!」

『みゃあみゃあ……はぐはぐ……!!』

「もう、すっかり出来上がってしまって。淑女たるものきちんと限界は見極めなさいね」

「あー! 私も食べるー!! ポークソテーおねがいしまーす!!」

「ふふ……騒がしくなってしまったな。今夜は馳走になるぞ、ヴァリスタ」

「存分に味わってくれたまえっ! 勝利の美酒は皆で呑むのが一番美味なのさ!」

「おかわり!! だぶるおかわり!! とりぷるくろすかうんたーおかわり……!!」

「……まぁ? 竜人の少女はもう少しお淑やかさを身に着けてもよいかもしれないな? 保護者はどこかな?」

「呼ばれてんぞカトル」

「お前だよ!?」

 

 その後はすっかり宴会モードに。

 ヴァリスタさんとカトルの勝利を祝い、俺らケンタウリスメンバーの無事の生還を祝い、ギルド全体でそれはもう随分と盛り上がって夜は更けていった。

 冒険者ってのはやっぱこうじゃなくっちゃな。ノリと勢いが全てよ。

 

 





~登場人物紹介~

■ヴァリスタ
金級冒険者。25歳。すべてにおいて才覚溢れる天才。
育ちが良くて顔もいい。金髪イケメン。カトルと組み合わせて御腐れ様方に嗜まれている。
貴族の奥様方からすごい勢いで縁談の話が来てるのが最近の悩み。
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