勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
「……まず、昔話を聞いてちょうだい」
己の素性を明かし、痛々しい長耳をぴくりと動かしてシスターが俺たちそれぞれの顔を見る。
それを受けるティオの表情は過去に見たことがないほど目を見開いていた。
そりゃそうだろうな……そうだろうよ。自分にあったかもしれない耳をシスターが持ってて、んでそれがあんな傷跡だらけじゃあな。
シスターの耳を見て、俺も思い出したことがある。
以前にシスターが涙を見せた時。俺が風呂場の覗きを成功させてしまったときの事だ。
そうか……あん時は裸を見られて泣いちゃったのかと思ってたけど、シスターが気にしてたのは自分の耳だったんだな。
いや俺はおっぱいとお尻にしか目が行ってなかったから耳なんて全く見てなかったんだけど。そりゃ怒るし泣くわな。
……この話が終わったら改めてあん時の事は詫びることにしよう。
「私はエルフです。今年で151歳……エルフの母と、人間の父より生まれました」
「……ハーフエルフって事すか」
「いえ、それともまた違うわ。人とエルフの血が混ざっても、
シスターが、結論に言葉を結ぶために一つずつ情報を積み上げる。
その最初の話は、エルフの歴史から。
「エルフ……今はもう滅びたとされる種族ですが、150年以上前は希少種としてその存在を人間にも知られていました。耳以外は人間そっくりですし、見た目も整った者が多く、決して気性が荒い種族ではなかったため……人間とも友好的な関係を築いていました」
「そりゃシスターくらい綺麗でデカパイならいくらでも友好結びたい所でしょうけど」
「ロック今そういう話じゃないよね?」
「ごめん」
「ふ……貴方はいつでも変わらないわね、ロック。……先ほど話した、人と血が混ざるとエルフ種になってしまうという性質もあって……人里で暮らすと人間の血を薄めてしまう。それを危惧した旧世代のエルフは、種族全体で森に集落を作り、そこで細々と生きることにしたのです。エルフはエルフで、人は人でそれぞれの文化を築くようにと。寿命の問題もありますしね」
空気が重くなりすぎないように細心の注意を払って本音を零すスタンスで行こうと決意しつつも、シスターの話をしっかりと聞く。
今話した内容は俺も雰囲気では知っていた。図書館でそんな感じの本を読んだことがある。デカパイエルフが出てくる異世界転生チートさんの作品を読んで、エルフの文化や存在を調べたことがあるからだ。
それで、迫害の歴史がある事も知った。
「……事態が動いたのは、私が生まれる少し前……冒険者飽和時代と呼ばれ、魔王との決戦である『人魔大戦』があった頃です。その頃の歴史は授業でも教えましたね」
「…………集落に住むエルフは魔族の手先になり、人間に牙を剥いて……そして滅びた、と。そう教わりました」
「ダークエルフって呼ばれる人たちですよね。褐色デカパイ相手によく勝てたな当時の冒険者は」
「常に胸に言及しないと死ぬ人なのロックは?」
「本当に変わらないわね。……そう、あの時代に、エルフは魔族が使う闇の魔力を受け入れてダークエルフへと姿を変え、人類に牙をむきました。そこにどんな理由があったかはわかりません。もとより自然の魔力に適応力があり、魔法や弓の扱いに長ける種族です。人類側にも相当の被害を与えて……しかし、当時の冒険者の活躍により滅ぼされた。そして人類には、エルフに対する恐怖と、偏見……いえ、偏見とは言えないわね、事実人類に牙をむいたのだから。そうしてエルフ種に対する敵意が人々の心に残ったのです」
歴史の復習だ。
エルフは魔族側についた。闇の魔力を受け入れてダークエルフになり人類に牙を剥き、そして滅びた。その後、エルフという種族に対しての偏見が人類に残った、というそれ。
「っでも!! 私も、シスターもエルフなのは……どういうことなんですか!? 私たちはどうして生まれたの……!?」
「落ち着いてティオ。……先ほどエルフは滅びたという話をしましたが、それは闇に身を堕としたダークエルフのことです。当時、冒険者が活発に世界中を巡り歩きまわっていた時期に……何人かのエルフが冒険者に恋をして、集落から出ていった者たちがいたの。ごく少数だけれども……人間と禁断の恋に走り、そして生き延びた者たち。このエルフたちは魔族側ではなく、冒険者の側に立って魔族と戦った。私や貴方は、そういったエルフの子孫なのでしょう」
ティオの疑問にシスターが答える。
その話を聞いて、俺は─────
「デカパイエルフと愛を交わして集落から寝取った冒険者がいたって……? クッソ羨ましい奴らだなァオイ!? うわーいいなぁー!! 150年前に俺もエルフの集落に行きたかったわクソッ!! 時間を巻き戻す魔法とかねぇかなぁ!?」
「ロックはもう喋るなぁー!?」
「言うと思ったわ。はぁ……」
素直な感想を口に出したら物凄い冷たい目で見てくるエルフ二人。
なんじゃい。どう考えても羨ましいの極みやろがいそんなの!! イレヴンがいる俺が言うのもアレかもしれんけどエルフですよエルフ!!
いいなぁ。俺もエルフの嫁欲しいなぁ。
「話を戻しまして……そんな歴史があって、人々のエルフへの目が厳しくなっていたころに、私は生まれました。母親が集落から出奔したエルフだったの。魔王を滅ぼした後は、エルフは人々の街には住めなかったから……母は山奥の小屋に隠れ住んでいたわ。父はいなかった。冒険者だったと聞いていたから、魔王軍との戦いで死んでしまったのかはわからないけれども……。……母は、私と2人で暮らしていられれば……生きていられれば、それでよかった。そう想っていたのでしょうね。…………けれど、まだ子供だった私はそのことがわかっていなかった」
「…………」
「……なるほど」
俺はその時点で、その先の話が何となく理解できてしまった。
山の中、母親しかいない小屋で生まれ育ったミルというエルフの少女。
物心がついても他の人と交流がなければ……そこに興味を持ってしまうのは人の性だろう。子供ってのはそういうもんだ。
「15歳の頃だったかしらね。夜、眠る母親に見つからないように家を出て山を下りた。人里に……人間の街がどんなところか見るために。危ない所だとは聞いていたけど、母以外の人っていうのがどんなものなのか知りたかった。ただ、世界を見てみたかった……」
シスターの独白を紡ぐ声に震えが混ざる。
ティオが息を呑み……俺はその後の話に備えて、静かに目を閉じた。
「街の警備に、見つかっちゃってね……私の耳が尖ってたのを見咎められて、
「シスター……っ」
「……処刑されそうになったところで、母が助けに来てくれた。魔法を使って、私の周りにいた人間を攻撃して……私を逃がしてくれたわ。ズタズタにされた両耳から血を流しながら私は逃げた。痛みに泣きながら、逃げて、逃げて……住んでいた小屋まで逃げて。……そしてその後、母が戻ってくることはなかったわ」
「……そんなっ……!!」
「当時、それほどエルフへの迫害は酷いものでした。その後すぐに、山にある小屋にまで人間の手が伸びたため……私はそこから逃げて、耳を隠して世界を放浪した。人間が住んでいないようなところを、追われる恐怖におびえて一か所に長居しないようにして……ね。その時にできた心の傷は、100年経ってもなかなか癒えなかったわ。耳の傷跡もね」
起きてしまったのだ。最悪の事態が。
人の咎とは、何かを恐れる心が生む悪意なのかもしれない。
そんなマトモなことを俺が考えてしまうほどの悲劇譚を、彼女は経験していた。
……だが、しかし。
その恐怖を味わったエルフの少女と、今のシスターがまだ結びつかない。
人間に恐怖を覚えたミルというエルフが、なぜ今こうしてシスターという聖職についているのか?
「……130歳になったころだったかしらね。私が当時住んでいた山岳に、冒険者のパーティが訪れました。そのパーティのリーダーはトゥレスと名乗りました」
「……え!?」
「ここでトゥレスおじさん出てくるんだ!?」
「私は不愛想な彼を相当警戒したけれど……その時に、まぁ、本当に色々あってね。人間すべてが悪ではないことを知りました。エルフへの偏見も、ここ100年は殆どエルフが見られなくなったのもあって、若い世代にはピンとこない話だと。その他にも色々……私も、ずっと一人だったから。会話に飢えていたんでしょうね……少しずつだけれど、私は彼らに心を解してもらえました。人間の偏見に害された私が、人間に偏見の目を向けていたのに気づかされてね。……恨みでは、人は前に進めないことをその時に私は学びました」
「シスター……」
そしてだいぶ時間は飛んで、20年前。
俺もティオもカトルも生まれていない時代に、どうやらトゥレスおじさんとシスターは出会っていたという話で。
トゥレスおじさん無口だもんな。あの人がシスターの警戒心を解けたとは思えない。パーティメンバーの中によっぽど人格者がいたんだろうな。その人がシスターの心を解したという事か。
「私はその後、トゥレスのパーティにお邪魔して、耳を隠して冒険して……今の王都を、世界を見ました。そこには悪意のない日々を生きる人々の営みがあった。母が殺された時の、エルフを迫害していた時の恐怖はそこには無くて……それを見た私は、ここで生きたいと。そう考えたのです。己の愚かさで起きた事件で人間を恨むのではなく、私という存在が、エルフという種が危険なものではないと人間に理解してもらえるように努力できれば、と。私はただの一人の女なのだと分かってもらえる日まで……光に向けて歩もうと。そう思えたのです」
「…………」
「……だから孤児院を、ってわけっすか。自分が親を亡くした境遇から……」
「その通りです。冒険者稼業である程度お金の蓄えも出来て……修道女の在り方というのもとても私には興味深い文化だったから。そっちの勉強もして、孤児院を建てて……それで、ロックやティオみたいな、きっと将来立派になる子どもたちをいっぱい育てて。そのうち寿命の問題で怪しまれるかもしれないけど、その時に私の育てた子どもたちが偉くなって、世間のみんなに認められてれば……なんてね。早速一人は育て方を間違えてしまいましたが」
「反省しろよティオ」
「お前だよぉ!?」
「ふふっ、冗談よ。二人とも私が胸を張って誇れる私の子どもよ。他人を思い遣れる人に育てあげたつもりです」
俺は自分に恥じるところないから。胸を張ってこの孤児院で育ったんやぞ!! って言えるから。
つまりティオが悪いのかと思ったけど冗談でした。まぁ分かってたけど。
今も外で遊んでるガキたちみんな元気に前向きに育っているのは、この人の教えが温かいからだ。心の底から尊敬している。
「…………おおよそ、私の過去については語らせてもらいました。では、ティオの件について話します」
「……お願いします」
さて、ここまでエルフの迫害に至るまでの歴史と、シスターの過去を聞かせてもらった。
そして最後、今日俺たちがシスターに聞きたかったティオの件を教えてくれることになった。
「孤児院を建てて、屋号を取って王都に経営を許可されたその日でした。私は二人の子どもに出会った。それがあなた達です。ロック、ティオ」
「俺もか。当日だったんすね」
「……私もロックも、孤児院の門の前に捨てられてた、って前に聞きましたけど……」
「ええ、ですが少しだけ嘘があります。孤児院の前に捨てられていたのは……ティオ、貴女だけでした」
「えっ!?」
「え、俺は?」
「ロックはゴミ捨て場に捨てられてました」
「衝撃の真実!!」
「逆にロックが憐れになるなぁそれ聞くと!?」
「それを子どもの頃の貴方に伝えるのは偲びなくて……」
生まれた瞬間から俺ってばゴミみたいな育ちだったんかい!! 泣くぞクソー!!
まぁシスターに見つけてもらえたわけでそこは幸運だったしよしとしよう。今の俺があるからどうでもええ!
今聞いてるのはティオの件です。そこを聞きたい。
「国に申請書類を出した帰り道に、ゴミ捨て場の方から大きな泣き声が聞こえて来たからなんだと思って見に行ったらロックが捨てられていたのよ。びっくりしちゃったわ、本当に。警備隊に調べてもらったのですが親も名乗り出なくて……ちょうど一歳くらいの大きさだった貴方をまず拾ったんです。すごい汚れてたから洗うのに苦労したわ」
「どうしよう今俺泣いてる」
「色々憐れすぎて何も言えないよ私」
「育児放棄は王都でもまだ問題になってるからね……まぁロックの件は置いておいて」
「置いてかれた」
「……それで、その日の夜ね。孤児院でロックに食事を与えていたところで、外から物音がしたような気がして、行ってみたらそこにティオが捨てられていました」
奇妙なタイミングの良さだとは思うが、しかし孤児院に子供を捨てる親がいる……というのは、今の時代でもまれにある事だ。
この孤児院でも、他にいくつか王都内にある孤児院でもそういうケースは発生する。親が子を捨てる事。
孤児院同士の横のつながりも広くて、余裕のある孤児院がそうした子供たちを分配して受け入れるケースは多い。このミル孤児院は敷地の広さの割にはかなり受け入れが多い方だ。
「産着にくるまれて、本当に……産んですぐ、っていう感じだったの。慌てて地面に置いて行かれていた貴方を取り上げたのだけれど……その時に、
「ッ!!」
「
ティオが拾われた時の話をシスターが紡ぎ、そして何度目かわからぬ驚愕を俺たちは覚えた。
この王都に……シスター以外にもエルフがいて、隠れ住んでいたという事なのだろうか。
今もいるのか。産んだばかりの自分の赤子の耳を千切って捨てるような女が……いや、それは今気にするべき話ではない。
気にするべきは、ティオの耳の件。
なぜティオの耳が今、人間と同じ形をしているのか、だ。
「───
「……シスター」
「捨てられていた女の子が、エルフだった……私と同じ種族で。でも、まだ赤ちゃんで何も知らない。私みたいに隠し通せるかもしれない。でもこれから先、育っていく中で……孤児院でエルフを育てていると知られたら? 周囲の人々全員が悪意を持っているとは言いません。けれど悪意の根はまだ残っている。私が味わったような恐怖を、この子に味わってほしくない。健やかに育ってほしくて…………いえ、いいえ。ただの言い訳です。私は恐れた……このエルフの子から、私までエルフだと知られてしまう可能性を恐れた。怖かったんです」
「…………」
「だから、私はまだ生まれたばかりのティオの耳を作り変えました。外科手術を……形成手術を得意とする知人に依頼して、耳の形を変えた。人の耳に近い形にしてもらいました。この子が自分のことを受け止めきれるくらい大きくなったら……いつか、大人になったら。私の罪を打ち明けようと、思って……でも、子どもは親が知らないうちに大人になってしまっているものなのですね」
そしてすべての事情を聞いた。
ティオの耳の形は生まれつきではなかった。耳を千切られて孤児院に捨てられてたとなると……どうなんだろうな。エルフの母から生まれたらそうはならない気もする。
もしかすれば、エルフの父が人間の母を孕ませたうえで姿をくらまして、んで生んだ母親が子供の耳にビックリして……みたいなことってあるのか? でも子どもってそんな簡単に捨てちまうもんなのか? いや捨てられた俺が言えた義理じゃないしまだ自分の子どもって持ったことないから分からんけど。
しかしまぁ……やっぱ事前に想定してた通りだ。
この件についてはシスターに悪意はなかった。
自分が怖くて、なんて言ってたけど─────
この人に育ててもらった俺とティオからすればそれは違う。
だから言ってやれ、ティオ。
「────
「ッ───!!」
「全部聞かせてもらって……シスターが、幼い私を想って耳の形を変えてくれたって事が分かったから。だから、ありがとう。今、私がシスターに伝えたいのはこの言葉です」
「……っ、で、も……! 私は、ずっと隠してた……!! 貴女に知られるのが怖くて、私がエルフだと知られるのが、怖くて……!!」
「ううん、それって優しさだと思う! むしろ私にそれを黙ってることの辛さをシスターが抱え続けてたのが申し訳ないくらい!! きっと不安になるだろうなって、そう思ってくれたんでしょ? それに、私がエルフだったとしても……こうして大きくなるまで、しっかり育ててくれたんだから!! 私、シスターに拾ってもらえて本当によかった!! この耳の形も、事情を聞けば頷ける所しかなかったし!! 大切に想ってくれてたのが分かったから……だから、ありがとう!!」
「ティオ……っ!!」
そう、感謝しかないんだ。
シスターに拾ってもらってなかったら俺もティオもここにはいない。野垂れ死んでいただろう。
それだけだって一生頭が上がらないレベルなのに、ティオなんかは自分のような迫害を受けまいとして対処してもらって。そして今日に至るまで、隠し通してきたのだ。
己の罪を吐き出さずに抱え続けながらも、俺たちを立派に育ててくれたシスターに敬意しかない。
だから、俺達がシスターに伝える気持ちは感謝であるべきだ。
「俺も貴女に有難うって言いたいよ、シスター」
「ロック……」
「俺さ……今、毎日すっごい楽しいんだ。イレヴンとリンとミャウがいて、カトルとティオがいて、他にもいっぱい知り合いできてさ。孤児院のみんなが元気してんの見て嬉しいなって思えるし、ケンタウリスの綺麗なお姉さんたちとも仲良くなれたり、ノインさんと一緒に好きな本とかも読めたり……毎日ホントに楽しくてさ。……ゴミ捨て場に捨てられちまうようなガキでもさ……シスターに見つけてもらえたから、こうして楽しめて生きてられるんだよな。それも全部シスターのお陰なんだよ。だから、俺もありがとう」
「……ロック……あなたからそんな殊勝な言葉を、聞けるなんて……ふふ、思って、なかったわ……っ……!!」
「────それにデカパイエルフの法則をその身で証明してくれたしな!!! サンプルがティオだけだと完全否定だったけどシスターがいてくれるから五分五分ッ! 俺は希望を持てた! シスタァ!! 貴女は俺にとっての新たな光だ!!」
「目だァーッ!!!!」
「があああああッッ!!」
「バカー!! 最初の一言で終わってればよかったのにほんっとバカ!! どこまでバカなのロックは!? 連れてこなけりゃよかったよー!!」
というわけで俺も俺なりにシスターへのデカパイ感謝を述べて新たな光を目にしたところ、ティオがシミレさんから教わったVサインを俺に繰り出してきて目に突き刺さり光を失った。
ええ……だってお前ひとりだと完全にエルフ=まな板の公式になるところをこのデカパイエルフシスターはエルフはデカパイ説を補強してくれたんやぞ!!
むしろティオこそ謝れ!! 全国のデカパイエルフに謝れ!!
「……ふっ、ふふっ。本当に、ロックは変わらないわね……バカで、心根は優しくて……湿っぽい話が苦手で、気遣いが、へたっぴで。……ティオも、っ、私の話を聞いて……それでも、赦してくれて……っ! ごめんね、今まで黙ってて……ごめんね……!! うっ……ううぅっ……!!」
「っ……シスターっ、わた、私……私はっ、ぐすっ、シスターに育ててもらえて、幸せだったよ……!! う、わぁぁ……っ!! わぁぁん……!!」
俺のバカさ加減でとうとうシスターが涙腺を決壊させて、それにつられてティオも泣き出してしまったようだ。ティオは昔から泣き虫だな。
シスターのデカパイに飛び込むティオと、それをぎゅっと抱きしめるシスター。エルフ同士の絡みは絵になりますね。
流石に俺もここでは自重する。口を開いても茶化しが出てきそうにないしな。
ぐしぐしとミャウの真似して鼻の当たりを拭うだけだよ。目頭がなんか知らんが熱くなってるしよ。
……二人きりにしてやるか。
そう考え、エルフの親子が抱きしめあって涙を零す姿を背にして、俺は聖堂を後にした。