勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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43 まさにデス☆ゲーム!!

 

 

「闘技大会で俺とイレヴンが大活躍しちまったら女性ファンの視線が突き刺さって痛いなーっ!! かーっ!! モテすぎて辛ぇわーっ!!」

「いやロックには特に突き刺さらないと思うな私」

「どちらかというと女性ファンの視線が突き刺さるのはカトルではないでしょうか」

「自分のことながら否定はできないのがなんかね。別に女性受けとか狙ってねぇんだけどな俺……あ、コーヒーお代わりくれ」

「カトルを呪い殺したい気持ちでいっぱいだぜ今の俺はよ!! お代わり喰らえオラッ!!」

「さんきゅ」

『みゃあ』

「とうぎたいかい……たいかい? たたかい? わたしもやる!!」

 

 二人も食卓に着いて朝食後のコーヒーをしばきつつもくっだらない会話を交わす。

 改めて闘技大会の開催が公表されたとなれば王都は活気づくことだろう。今度こそ本格的にイレヴンのレベリングしなきゃならんな。

 とそんなことを考えてたらリンもなんか参加したがってるじゃん。ンモー。

 

「リンは冒険者じゃないから参加できません」

「えー!? やだー!!」

「うーん……こればっかりはしょうがないよリンちゃん。もっと大きくなったらだね!」

「その分いっぱいロックを応援してやりなよ。観戦は許されてんだし盛り上がるのは間違いないさ。屋台も出るだろうし……美味しいものいっぱい食べられるぜリンちゃん」

「おいしいもの!? いっぱいたべていいの!?」

「……どうするのですマスター?」

「大会始まったらお小遣い渡してやるさ。屋台を食べ歩いてよし! ただしその分いっぱい俺とイレヴンを応援するんやぞ!」

「やったー!! じゃあおうえんする!!」

 

 リンがわがまま言いそうになったけどいい感じにカトルがパス出してくれたのでお小遣いでトラップしてシュート。無事ゴールを決めてリンは観戦に回ってくれました。

 当日になったら俺とイレヴンが本戦参加してたら面倒見続けられないかもだから、シスターかケンタウリスの誰かに付き添いお願いしよっと。ノックスさんでもいいな。ノインさんがいればノインさんでも。

 

「で……どんな日程でやるんだ? 闘技大会ってのはさ」

「あ、それも聞いてきたよー。っていうかパンフレットがもうできてたから持ってきたんだけど」

「すっげぇ力入れてるぜ国王様もさ。かなり遠くの国まで周知して、観光客も参加者もめいっぱい募ってるみたいだ」

「……もしかすると、ここ最近現れた魔族の脅威が現実的になり始めているので、魔王軍に対抗するための力を持つ強い冒険者を見つけて……という目的もあるかもしれませんね。このタイミングですと」

「あ、それもありそうだね。上位入賞者には賞金のほかに報酬に魔装具もあるって書かれてるし」

「ほーん。どれどれ……」

 

 ティオが持ってきたパンフレットを手に取り、詳細に読み込む。

 闘技大会の詳細はだいたい以下の通りだ。

 

 

 ・受付期間は今日から2週間。それまでに王都のギルド本部で参加申請をすることでエントリーされる。

 ・登録資格は銅級冒険者以上であること。また他国の冒険者、名のある強者は出身地の地主の公式推薦状があれば参加可能。

 ・2週間後の開会式から5日間大会は行われる。

 ・最初の二日では大人数のバトルロイヤルで本選出場者を決める。闘技場に多数の冒険者をぶち込んで戦わせて、勝ち残った者が本選出場。

 ・本選出場者は16名。

 ・本選はトーナメント形式で行われる。4回の勝利で優勝。

 ・本選出場時点で賞金300万G、ベスト8でさらに賞金500万G、ベスト4で魔装具贈呈、準優勝者は5000万G、優勝者は王様直々のお褒めの言葉と1億G。

 ・試合の勝敗はどちらか片方の気絶、場外、またはレフェリーの戦闘続行不能の判断をもって決定する。

 ・※治癒術士や回復薬の備えはあるが、試合の結果死亡してもその責はすべて敗北した本人が背負う。

 

 

「……賞金もケタが違うし魔装具もあるし。力入ってんなぁマジで」

「ねー。でも最後の注釈がなんていうか……すごいよね」

「な。まぁ冒険者やっててこれに怯えるやつはいねぇと思うけどよ」

 

 最後の一文がまぁなんとも意味深だ。賑やかし目的の実力不足の冒険者をはじく意図もあるのかね。

 王都の冒険者は殺しを愉しむような血に飢えた荒くれ者はほぼいない。そういうやつはその内犯罪やらかして上位等級の冒険者にしょっ引かれるからだ。

 ギルドと冒険者の自浄作用ってやつですね。国からも依頼受けることがある冒険者が暗い犯罪に手を染めてたらそりゃしょっ引かれるってもんよ。俺も常日頃から気を付けています。

 

 しかし、今回の闘技大会では他国からも参加者を募っている。これがどんな気性の冒険者が集まるかわからない。もしかすると頭がおかしい感じの強キャラとかも出てくるかもしれねぇからな。

 俺らも気を引き締めようね。死ぬことほどつまらんことないからな。ハーレム作れなくなっちまうしよ死んじまったら。

 

「ってかさ。お前ら二人とも魔装具もってるけど大会参加できんの? イレヴンが言う通りでもし国が強い人に魔装具配る目的で開催してたら既に魔装具もってる冒険者は対象外……とかってならない?」

「……え? いやないだろー……流石にないだろ? ないよな?」

「それ言ったらロックだってアンドロイドのイレヴンさんがいるじゃん!! 対魔族専用の相棒がいるしそもそも自分の技術で魔族に対抗できるしでダメじゃない!? え、大丈夫ですよねセントクレア様!?」

『私に聞かれても困りますー。私が開く大会じゃないし。イルゼは知らないの?』

『今回の大会が同条件かまではわかりませんが……150年以上前に毎月のように開かれた大会でも、直近の20年前に開かれた大会でも、魔装具を所有する冒険者が参加していたので大丈夫だとは思いますよ。勿論アンドロイドも同様です。……というよりも、それを確認するためにもエントリーしてきてはどうですか?』

 

 ちょっと気になった所を聞いてみたけど長生きのイルゼ曰く、過去にも魔装具もってる冒険者やアンドロイド連れてる冒険者も大会に参加してたって話で。そういやノインさんもそんな事言ってたな。

 まぁそれもとりあえずエントリーしてくりゃ分かる話ってのもそれはそう。なので早速出発することにしよう。

 

「それじゃわたしはこじいんいくね」

「いってらっしゃい、リンちゃん!」

「前よりずいぶん話せるようになったよなーリンちゃん。勉強頑張れよー」

「他国から観光で見知らぬ人いっぱい増えるだろうから知らない人について行かないようにな」

「うん、いってきます!」

「いってらっしゃい、リン」

『みゃあ!』

 

 リンが孤児院に飛んでいくのを見送って、俺達もギルドに出向くことにした。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

 はい。ギルドに着いたわよ。

 めっっっちゃ冒険者がおる。こいつらどっから情報聞いて集まってくるんやろ。

 ティオとカトルが俺んちに来るみたいにすぐ話共有したがるヤツがどこにでもいるんやろな。

 

「おや……来たかロック少年」

「あ、おはよーさんです皆さん!」

『みゃあ! みゃっみゃ!』

「おはよ、ロック。イレヴンもミャウも……カトルも今日は一緒なのね」

「どうも、ケンタウリスの皆さん。こないだはロックが随分ご迷惑かけたようで」

「いえいえ、中々楽しい遠征でしたよ。ロックくんの事色々判りましたし」

「…………お前らもエントリーに来たのか」

「勿論です。シミレも……皆もエントリーされるのですか?」

「魔装具が獲得できるチャンスでございますから。我がクランからはティオも含めて3名がエントリーとなります。イレヴン様もカトル様もエントリーされるならばライバルとなってしまいますね」

「俺がカウントされてない」

「アンタは色仕掛けで何とでもなるでしょ」

「するどい」

 

 んでそんなギルドの隅、見知った面子が固まってたのでそちらに挨拶。ケンタウリスのフルメンバーだ。

 相変らずテノールさんは産休だがそれ以外はこないだの遠征で一緒したメンバー。早い再会でしたね。

 で、彼女らケンタウリスは前にメルセデスさんに聞いた通り魔装具を求めて今は活動している。この大会の景品になってるとなればそりゃあ参加もするってものだろう。

 

「あれ、でも3人しか参加しないんすかマルカートさん? 全員で参加しないの?」

「ええ。まず戦闘に向かないソプラノ、そして私が不参加です。私達のように回復魔法に長けている者はギルドから当日の回復役のスタッフとして依頼もされているので、そちらに回る予定なのですよ」

「あとは私が参加見送りだ。自信がないわけではないが……クランの長が出場して大人げなく若い芽を潰してもな。ギルドから会場警備の仕事の打診もあったのでそちらに回ることにしたよ。金級冒険者でも既に魔装具を持っている者などは同様に裏方に回るものも多いようだ」

「えー、メルセデスさんもマルカートさんも出ないんスか! 勿体なー! デカパイと当たる確率が減っちまったよクソー!」

「なんでそこで私の名前が出てこなかったんですかねロックくん? ねぇ?? おい目を逸らすな答えろ???」

「ソプラノさん怖」

『みゃあ……』

「ふむ……そうなるとケンタウリスからはティオの他、アルトとシミレが参加されるのですね」

「…………そういう事だ。魔族との戦いではイレヴンとティオに敵わなくても、タイマンなら活路はある」

「アタシのタフさを見せつけてやるわ! ロックもカトルもアタシと当たったら覚悟しなさいよね!」

「ぜひともぶつかりたいもんですねェ!! 二人とも強敵だから全く油断できねぇぜ……!!」

「視線がお尻と胸に向かいすぎだよロック。まぁでも……俺も当たったら手加減しませんよ。ティオにだってな」

「もっちろん! 本気で来ないと怒るからね!」

 

 既に何かバッチバチの面子と、頼むから女子とばかり当たってくれと願う俺とでせめぎあうような会話が成される。

 なんてったって俺はイレヴンと一緒に戦うからな。えっちな女性とぶつかればそれはイレヴンとの百合バトルを間近で観戦できるボーナスタイムとなるのだ。

 本選出場したらマジで女子とだけ当たらねぇかな。心の潤いは常に求めたい所です。

 

 さてそんなわけで俺とイレヴンとティオとカトルで大会エントリーの列に並んだ。

 見たことある顔ばっかりだな。ギルドにいつもいる王都の冒険者が並んでるんで当たり前だけど。

 公表が今日なわけだからまだ他国からのチャレンジャーは来てねぇわな。一週間後くらいにはそういう人も増えそうだね。

 

「おっ。お前らもやっぱりエントリーすんのか」

「あ、ノックスさん! 昨日はお世話になりました!」

「こんにちは、ノックスさん!」

「ちーっす。ノックスさんは参加しねぇの?」

「ちっと様子見だ。俺も魔装具は一応持ってるしな……煌びやかな大会におっさんが参加してもアレだろ。警備に回ろうかなって考えてる」

「おや……金級冒険者だというのに。メルセデスもマルカートもですが、皆さま余り名誉欲などはないのでしょうか」

「中間管理職みてぇなもんだからな金級ってのは。ギルドからの仕事が優先的に回ってくるって事情もあんのよ。目立つなんてのは若い頃にやったし、対人戦の腕はそんな自信ねぇしよ」

「まぁノックスさんが優勝しても話題性に欠けるであろうことは確か」

『みゃあ』

「一言余計だロックてめぇ。ミャウもそうだねって顔で頷くんじゃねぇよ悲しくなるだろこのこのー」

『みゃっ!? ふみゃん!』

「猫の額をつつくなオッサン」

 

 ノックスさんが途中で声かけて来たので話聞いてみたらノックスさんも不参加かよ!

 なんだ? 俺が懇意にしてる金級が誰も参加しねぇぞこのままだと? 負けた時の面子とか色々考える所もあるのかもしれんね。銀級に負けた金級って言われてもアレかもだし。

 まぁノックスさんはいてもいなくても俺の心のオアシスにはなりようがないのでどうでもいいけどね。オッサンと戦っても俺のテンションが下がるだけである。

 

「───ちなみに私はエントリーしたよ?」

「急なカットイン」

「私は、エントリー、したよ??」

「ヴァリスタ師匠の圧が強い」

「ヴァリスタさんエントリーされるんですね! 強力なライバル登場だなぁ……!!」

「たとえ他の金級冒険者が全く参加しなくとも! 私はエントリーしたからね!?」

「そこまで念を押さなくても」

 

 そこで急にヴァリスタさんがエントリーを終えてカットインしてきた。

 この人は参加……まぁするよな。顕示欲強めだし。別に嫌味な人ではないからいいんだけどさ。

 それに実力は王都でも一、二を争うとまで謳われる本物の実力者だ。優勝候補の筆頭となるだろうな。

 少なくとも早い段階では当たりたくない相手だ。華がねぇし。下手に勝っちまおうものならファンの女性陣からの顰蹙が凄そうだし。

 

「というわけで私は大会に向けて更なる修行だ! カトル、君には組手の相方を務めてもらいたいっ!」

「むしろ俺からお願いしようと思ってたところですよ! 引き続きお願いします!」

「うむ! そして……どうかね、ロックくん、イレヴン殿。先日イレヴン殿から調査の対価として提示された模擬戦の約束をすぐにでも果たしたいと考えているが。君たちも来るかい?」

「む。……イレヴン?」

「ぜひお願いしたいところです。マスター、これはチャンスですよ」

「そう? んじゃ俺らもお邪魔させてもらっていいすかねヴァリスタさん」

「応ともさ! ではエントリーを果たしたら私の邸宅に向かおうじゃないか!!」

 

 しかしそこで俺とイレヴンにとってはありがたいお話を頂いた。

 先日イレヴンが約束してた模擬戦。それを早速やってくれるってことで。

 こりゃいいや。冒険や魔獣討伐みたいな万が一も無くて、んで王都一の冒険者が模擬戦してくれるんなら安心してレベリングできるわ。

 イレヴンは内臓魔力炉の出力が上がって多少の傷なら自動回復するし。レベリングになら回復薬使ったっていいわけだしな。俺もちょっくらカトルと戦うか久しぶりに。

 

「えー……いいなぁ、カトルとロックだけ。私もー……ううん、でもケンタウリスのみんなとも組手したいしなぁ……!!」

「ティオくんはケンタウリス所属だからね。メルセデス殿に了解を得てくるのであれば混ざってもらっても構わないよ。君も魔族との死闘を乗り越えた優秀な冒険者とも聞いている! ライバルの力は見ておきたいものだ!」

「わ、やったー! それじゃ団長に聞いてみます!!」

「いつもの面子になりそう」

「よくやってたよなガキの頃は。俺とロックとティオの3人でよ」

「おや、その話も興味がありますね。子供の頃のマスターがどの程度の腕前だったのか知りたいものです」

「捌き斬り覚えてなかった頃の俺が勝てるワケないんよねこの才能の塊どもに」

『みゃあ』

 

 なんだかティオも混ざりそうですわね。

 まぁコイツ回復魔法使えるしレベリングにはちょうどいいだろうな。メルセデスさんも別に俺らとの訓練にNGは出さないやろ。

 そうして話してるうちに列は()けて、俺ら3人は無事に闘技大会へのエントリーを済ませることができた。

 もちろん俺はイレヴンと一緒のエントリーだ。本選になれば2対1になるのが最大の利点だね。その辺も上手く活かす戦い方考えていきましょ。

 

 

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