勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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50 やっとデレ始めたかコイツ……?

 

 

「どうして誰も俺を認めようとしねぇんだ……!!」

「マスターがマッドサイエンティストみたいな発言をしている」

 

 無事に予選を突破して勝利者インタビューも終えて舞台を後にして、そして号泣しているのが今の俺です。

 勝ったのはよかったけどもう何ていうか……観客のおねーちゃん達も汚らわしいオス共も実況のデカパイおねーちゃんもみんなイレヴンしか褒めてくれなくてさぁ!!

 すごい強さですね! ってイレヴンが褒められてる横で俺なーんも言われなかったの。

 観客から黄色い声が飛んでるのぜーんぶイレヴンなの。

 

「いいんだよ? イレヴンが褒められるのは。確かにイレヴンはエロいし可愛いし凄いし強いからさ。そりゃ人気にもなるわ俺の女は」

「褒められて嬉しいのは確かなのですがせめて強さを先に褒めることはできませんか?」

「でも俺も結構頑張ってたと思うんだよねぇ……!! 気配消してさぁ! 遠距離から魔法で攻撃しようとしてた人をびっくりさせてイレヴンへの攻撃防いだりさぁ! ジョニーさんの武器盗んだ辺りなんかはもっと盛り上がってよかったと思うんだよねぇ!!」

「確かに私が大変助かったのは事実でしたが」

 

 でも俺だって何もしなかったわけじゃないんすよ……!!

 イレヴンとは最初に何するかは話し合って決めてて、まず新しく機能解放したミサイルの一斉発射で煙幕張るのと同時にホーミングで相手を狙って吹き飛ばす。

 で、ミサイルを捌ける程度の腕前の相手にはイレヴンが走り回ったり腕飛ばしたりで各個撃破。

 俺は最初のミサイルはイレヴンの至近距離で伏せて回避して、その後は煙に包まれた舞台を気配消して走り回って攻撃に当たらないようにしつつ隙があれば相手の武器を盗んだり隙を生んだりする。

 シーフとしての本領発揮である。気配消すのはこれまでも得意アピールしてたけど盗むってのは見せたことなかったからな。魔獣相手には基本的に盗むもんねぇし。

 奴隷商人からリンを盗み出したくらいかな、これまでに俺が盗んだデカいものは。

 ああデカいってそういう。

 

「そもそも煙幕の中で気配を消して動いていたのですからマスターの動きを察知できた者がいなかったのではないですか?」

「するどい」

「それこそ実力者しかマスターの真の力に気付けないのでしょう。つまり玄人好みなんですよマスターは。その方が嬉しくないですか?」

「イレヴンが俺の喜ぶツボを分かってきている」

 

 イレヴンの発言になるほどと頷いた。

 俺が今回みたいな動きをすると基本的に何してんのか気付かれないから褒められないのか……考えてみればそうか。その通りだわ。

 あれ? これ俺がこれまでパーティ組んだ一般女性冒険者にクズとかカスとか言われてパーティから追放されてた原因の一部であった可能性……?

 

「でも、本当に良い働きでしたよマスター。私が守るまでもなく多人数相手に自衛が出来て、ハンマー使いの金級冒険者の不意を突いた一撃は逆に守られてしまって……流石は私のマスターです」

「そう思うならご褒美におっぱい触らせてくれてもよいのでは!?」

「すぐ調子に乗るからカスって言われるんだよ」

「ンーンン」

 

 まぁイレヴンに褒められたから許したろ!

 俺の良さを分かってくれる玄人の女性陣がいればそれはハーレムへの道を歩けているという事。寛大な心で許してやろう。

 イレヴンからの追撃だってきっとツンデレのツンってやつさ。最近アルトさんのツンが妙に減ってきてるからイレヴンが補給してくれてるのさ。

 いつだってポジティブハート。俺の最大の武器である。

 

「さて、これで無事に本戦出場権を獲得できて……真の目的である私のレベルのほうも予選勝利でかなり上がりました。本選に備えてのスキル解放は……」

「まだ相手が決まってないからな。とりま様子見で」

「かしこまりました」

「この後は他の予選試合見たり屋台出歩いたりしようぜ。折角早い試合にしたんだからちゃんとライバルの実力みねーとな。意外な実力者が出てくるかもわからんしよ。どうせなら勝ち上がろうぜ」

「そうですね」

「女性冒険者が激しいバトルで汗かいたり装備が破壊されちまうかもしれないしなァ……!! しっかり見届けてやらねぇとなァ!! 勝ち上がって俺の評価も爆上げしてやるんだよォ!!」

「そういう所定期」

 

 闘技大会に参加してる目的であるイレヴンのレベル上げも、またかなり一気に上がったようだ。

 模擬戦よりもガチバトルで勝利する方がいっぱい経験値稼げるらしいしな。しかも今回は相手が21人。全員に勝利という判定なわけだからそりゃモリモリ上がるわな。

 どんどんイレヴンが強くなっていく。そろそろ魔族とか軽く狩れるようになってないかな? そしたら楽なんだけどなぁ。

 

 さて。

 今日はもう暇になったので、言った通り観戦に回ることになる。

 ケンタウリスのみんなやサザンカさん、カトルやヴァリスタさんが勝ち抜けるかも見たいしな。

 特にサザンカさんは気になる。結局出会ってから俺んちで過ごしてもらったこの一週間で彼女の実力は見せてもらえなかったからだ。

 毎朝庭で素振りの鍛錬はしていたけど日中は何してたのか知らないし。赤カブトって名前で有名になってたから王都歩き回ってたんだと思うけどね。勝ってほしいよな折角遠方から来たんだからさ。

 

「とりまティオと合流するか。ミャウ返してもらいましょ」

「F席付近にいると言っていましたね。行きましょうか」

 

 舞台から観客席に繋がる参加者用通路を抜けて、俺とイレヴンはみんなと合流するために出ていった。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

「ロック本戦出場おめでとー!! やったね! イレヴンさんもさっすがぁ!!」

『みゃあみゃあ!』

「危なげなかったわね。相変らずズルいわねあのミサイル。ロックも見てたわよー、ジョニーさんからスパッと武器盗んでたの。やるわね」

「…………ロックの気配遮断、見事だったな。思わずオレも息を呑んだぞ」

「みんな無限に褒めてくれるぅ!!」

「恐縮です。皆さまとの訓練の成果ですね」

 

 F席にいたみんなと合流。サザンカさんはどうやら一度分かれたみたいで、ティオとアルトさんとシミレさんが集まってた。

 ティオからミャウを返してもらいつつ、みんなが俺のことまで褒めてくれるから思わず涙が流れてしまいます。

 やっぱり見てくれてる人は見てくれてるんだよ……!!

 節穴冒険者の言う事なんてもう聞いてやんねー!! ケンタウリス大好き!!

 

「もうすぐ予選第二試合が始まるけど……みんなはまだ先だよな」

「私が10番、アルトさんが5番でシミレさんが11番。今日は第八試合までしかやらないからアルトさんの試合だけだねー」

「アタシの試合だって午後からだからすぐじゃないわね。それでも他の試合で誰が勝ち上がるかは見たいから観戦はしてるけど」

「…………第三試合で、赤カブトが出るだろう。アレは見ておきたいな」

「サザンカの試合は……どうなるでしょうね。私の目から見れば彼女は他の冒険者とは一線を画す強さですが」

「第二試合はあんま縁の深い人の名前もないし……んじゃ俺ちょっとぶらついてるわ。孤児院のみんなや知り合いに挨拶して来て屋台で飯食べる。イレヴンはどうする? 自由行動でもいいけど……」

「ご一緒しますよマスター。貴方を一人にしておくのは怖いので」

「信頼が重いぜ」

 

 一旦ミャウを回収してから、俺は闘技場内を散策することにした。

 ケンタウリスのみんながいる所はわかったもんね。いつ合流したっていいし。今日はアルトさんが戦う時にまた合流してみんなで観戦するとして。

 それはそれとしてシスターたち孤児院組にも応援のお礼しときたいし。どっかにいるだろうカトルとヴァリスタさんにも挨拶したいし。カプチーノさんとカノンさんも来てんのかな。

 あとノインさんにも会いたい。俺の事応援してくれてたと唯一確信をもって言えるあのデカパイメガネお姉さんには俺の勇姿を褒めてほしい。よしよししてほしい。

 

「よし、じゃあまずシスターたち孤児院組に挨拶して……んでノインさん探すか。見に来てくれてるだろ多分」

「了解です。孤児院の子供たちはマスターが勝利したから盛り上がってるかもしれませんね」

 

 ケンタウリスのみんなと分かれて、まずシスターとリンたちがいる方へ移動。

 彼女たちはどこにいるのかは場所が分かってるからな。開会式前にガキ共の大きな声とリンのでっけぇ羽根が見えてたから。G席の高い所だ。

 

「うーん観客が多い!」

「はぐれたら合流するのが大変そうですね、これですと。私達がはぐれた場合の集合場所を決めておきますか?」

「そん時は俺が勘でお前を探すから大丈夫」

「ああ、その手がありましたね」

「逆にお前ってマスターがどこにいるのか感知できないの? あれやろ? 魔力のパスで繋がってるんだろ俺と?」

「えぇ……前に話したじゃないですか。マスターの位置を感知できる機能もスキル解放にありますって。でもマスターが「俺が他の女の子と一緒に愛し合ってるところに飛び込んでこられたら困るやろがい!」とか言って機能解放しなかったじゃないですか」

「……あー……そんな話したな前に!」

「愚かな。今からでもスキルを開放しますか?」

「まぁそうなー。俺の位置探せるようになった方が便利なのは便利か。常に俺の位置を察知し続けるわけじゃないんだよね?」

「ええ。必要なときにマスターのいる方角と距離が分かるというものですね」

「そか。スキルポイント多く使う?」

「1ポイントです」

「少な! よしそんじゃ開けよっか。そのスキル開放するよ」

 

 そして歩いていく中で俺が迷子になった時どうすんべって話から、イレヴンがマスターの位置をいつでも索敵できるスキルを開こうって話になった。

 俺なんかは誰がどこにいるのか探すのは得意だからな。孤児院でかくれんぼの鬼になった時に全勝していた俺の勘を舐めてはいけない。あの頃まだじーさんの指導なしでそれだったしな。

 でもまぁイレヴンが俺がどこにいるのか知りたいってんなら応じてやりましょ。実際困らんしな。

 今後ダンジョンで別れて行動したときに合流するのもしやすくなりそうだし。ポイント1消費なら安いもんよ。

 まぁ今イレヴンがいくつポイント保有しててどんなスキルを開放できるのかとかさっぱり知らんのだが……。(丸投げ)

 こういうのって普通マスター側で見れるもんなんじゃないの? 俺が見えないだけ? 前にイレヴンに聞いてもなんか微妙な顔されたし。魔法関係わからんマン。

 

「ん」

「はい」

 

 歩きながら俺が差し出した手にイレヴンが手を重ねて、指と指を絡めるようにぎゅっと握り返してくる。本マスターになったらこうしないと機能開放できないんだって。

 いつもの光の筋がお互いの腕に走って、機能開放完了。何度もやったからこれも慣れたな。

 さてそんじゃ改めて孤児院組と合流するかと手を離そうとしたが、しかしそこで何故かぎゅっとイレヴンの方から手に力を入れて俺を離すまいとしてきた。

 えっ急に何。

 

「……これだけ人が多ければ、まずはぐれないようにする方が効率がいいですね。なので手を繋ぎましょう」

「ええ。なんか保護者みたいな事言い出した」

「クソマスターがよ」

「なんで暴言……?」

「……一応、先程の戦いで頑張ってたご褒美のつもりだったのですが。綺麗な女と手を繋いで歩くのは、マスターは嫌でしたか?」

「……? ……!! あっマジだ今俺デートしてるみたいじゃん!! 繋ご繋ご! 帰るまでずっと手ぇ繋ご!!」

「すぐ調子に乗る」

 

 どうやらこれはイレヴンからのご褒美だったらしい。

 そうじゃんよく考えたらイレヴンめっちゃ美人でそれと手を繋げる俺は特別な存在じゃん!! ヴェルタースオリジナルシェイクハンドじゃん!!

 いつも近くにいるし手を繋ぐなんてスキル開放で慣れてたからそこに考えが至るまでに時間がかかったわクソー!! マスターにちゃんとご褒美くれるイレヴン好き!! 俺の女ッ!!

 

「えへへー、イレヴンが最近なんか可愛いぞ? これはあれか、俺の魅力にようやく気付いたってやつか……!?」

「好きなだけ言っててくださいよ、もう……」

 

 調子こく俺にため息つきつつもつないだ手は離さないイレヴン。なんやマジでこいつ最近しおらしいな。昔はもっとボコスカしてたような気もするんだけど。

 レベル上げが始まったあたりからか? レベル上がれば上がるほどマスターへの忠誠心とかも上がったりすんのかな。知らんけど。

 まぁ俺が嬉しいからええ! 見せつけてやるよ俺とイレヴンの仲を周りのモブ共によぉ!!

 

 そしてその後まず孤児院組と合流して。

 

「あー! イレヴンねーちゃんとロックにーちゃんが手ぇ繋いでるー!!」

「わー! こいびとなんだー!」

「らぶらぶなのー?」

「ロックにーちゃんミャウちょーだいちょーだいちょーだーい!!」

「さっきの試合でも息あってたもんねー。ナイスコンビ!」

「むむ。みんなあんまりはしりまわってはいけないぞー」

「お疲れ様ね、ロック。予選突破おめでとう」

「手を離せマスター今すぐ」

「どうして」

 

 手を繋いでることをめっちゃ揶揄われて照れたイレヴンが結局手を離してしまったのだった。悲しい。

 

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