勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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6 処女探検って単語すごい卑猥じゃない?

 

 さあやってきました朝のギルド本部。

 普段の倍以上の冒険者が所狭しと溢れ、新しく出現したダンジョンの話題で持ちきりであった。

 

「ねぇそこの僧侶さん……俺と初めてのダンジョンで想い出作ってみない? 一緒に処女探検どうかなァ!?」

「は? すみませんキモいですお断りします死んでください」

「どうして」

「顔」

「ロックは何で女性を口説く時だけ顔がだらしなくなるんだマジで」

「私のマスターがこんなにも恥ずかしい」

『みゃあ』

 

 そして俺は5人目に声をかけた女性の冒険者である僧侶さんにも断られてさめざめと涙を零した。

 いいと思ったんだよなぁ……! 銅級だけど僧侶の露出の少ない服の上からでもわかる大いなる実りもあってェ……!!

 まぁ回復役はティオが回復魔法一通り覚えてるから増員いるかどうかで言ったら要らないんだけど。

 彩りはほしいじゃんねぇ!! イレヴンだけじゃおっぱいが足りねぇよおっぱいがよォ!!

 

「漁れるだけ漁っては来るけどよ。無理して完全踏破してくるわけでもねぇし……気楽に動けるこの4人でいいだろ」

「私も同意ー。カトルが前衛、私が前衛~中衛、ロックが索敵探索でバランス取れてるでしょー。……そういえばイレヴンさんは戦闘スタイルどんな感じなの?」

「私は基本的に徒手格闘です。遠距離武器もないわけではないのですが……前衛になりますね。戦力に余裕があれば殿の立ち位置でも大丈夫です」

『となれば戦力は十分かと。新たにメンバーを募集する必要はないですよロック』

「ぐぬぬ……正論すぎてぐうの音サイレンス」

 

 まーいいか! みんなが言う通りぶっちゃけカトルとティオとイレヴンが強いから何とでもなるわ。

 金級冒険者にも勝るとも劣らない実力と評価されてるカトルとティオ。んで初戦闘で金級のノックスさんも認めた実力を持つイレヴン。不安があるわけではなかった。

 したら仕方ねぇな! とりま依頼受けて早く出発しようぜ!!

 

「さて……3つダンジョンがあるけどどこ行く? ロック」

「ロックが決めていいよ。ロックの勘だけは信じてるから」

「期待が重い。そーだなー…………───ここ、かな」

 

 さて、そうして改めて俺は新しく現れたという3つのダンジョンに目を通す。

 一つは遠方の湖付近に入り口が出来たダンジョン。恐らくは水場が多い事だろう。ティオは水魔法の使い手なんで水中呼吸の魔法も使えるが、俺とカトルが水中で戦う術を持たない。場所も遠すぎるし……そういう意味でもちょっとな。

 一つはキュリオス平野のど真ん中に出来たダンジョン。これはアクセスは悪くないが……大体こういう行きやすいダンジョンってのは人気が高い。他の冒険者も既に食いついてるだろうな。あと何か今はそそられない。

 やっぱこれか。3つめ、森林付近に入り口が出来たというダンジョン。森林のダンジョンは魔獣や罠が多くなる傾向にあるがその辺は俺の検知とみんなの火力で何とかなる。そしてお宝が多いのだ。あまり人気がない事もあるし。

 アクセスもこっから馬車飛ばせば3時間くらい。悪くない。ここやな。ここにしよ。

 

「ってことで森林ダンジョンに行きます。最深部踏破してダンジョンに俺らの名前つけちゃるわい!」

「おー、了解。んじゃ受付のおねーさん! この依頼受けます!」

「あら、はーい♡ 受領しました! 頑張ってきてねカトルくん! お姉さん応援してるからね♡」

「俺も頑張ってきますよおねーさん!!」

「あっそ。ギルドに迷惑かけないでねロックくん」

「温度差凄い」

「これまでの度重なる受付さんへのセクハラのせいだと私思うね」

『みゃあ……』

 

 ってわけで俺の決定に誰も異を唱えなかったので依頼書を出してクエスト開始だ。

 こうして事前にダンジョン攻略の届け出を出しておくことで、階層踏破やマッピングの調査結果次第で報酬が上乗せされる。今回は特に新設ダンジョンだからボーナス期待できるぜ。

 マッピングもシーフである俺の仕事だ。頑張らねーとな。

 

「……お、ロック! てめーやっぱ来てやがったか! カトルとティオも今日は一緒か」

「あ、ノックスさん! 昨日はお世話になりました!」

「ちわっすノックスさん!」

「お疲れ様でーす!」

「私の事、どうやら便宜を図っていただいたようで……感謝します、ノックス」

 

 そして依頼を受けたところで、昨日お世話になったノックスさんが声をかけて来た。

 銀級に上がれたのはこの人のご報告のお陰だもんな。俺もイレヴンと一緒に頭を下げる。

 

「ギルドにはイレヴンの事は高性能なインテリジェンスドールだって報告上げてある。これでよかったか? 大きくは間違ってねぇしよ……ロックの所有物扱いってことで冒険者登録はできねぇんだが」

「問題ありません。キープくんであるマスターに養ってもらいますから」

「ちゃんと働いて?」

「はは、良いコンビになりそうだ。………で、ちょっと一応聞いとくんだがよ」

 

 そこでノックスさんが俺とイレヴンに顔を寄せてきて、小声になって話を続ける。

 

「……イレヴンが目覚めてからすぐにダンジョンが三つも新しく出てきやがった。ダンジョン出現ってのは基本的に土地の魔力の過剰滞留から発生するもんだ……ただの偶然と言やそれまでなんだが。イレヴンお前、この件に関わってねぇよな?」

「……私のようなアンドロイドが解放されることでダンジョンが新設されるという話は私も聞いたことがありません。ですが私もその点は不審に捉えています……余裕があればそれも調査しようかと」

「イレヴンが目覚めたダンジョンとは全然別の場所なのにそんなことあるんすかね? 俺の勘では関係なさそうすけど……まぁ一応マスターなんで俺もその辺は頭入れておきますね」

「おう。ま、単純な偶然だとマジで考えてぇところだけどよ。イレヴン本人にそういう裏がないならいいや……悪いな。許可もなく『看破魔法』かけさせてもらってた。嘘がないのが分かってほっとしたぜ」

「ッ……いえ、お気になさらないでください。このタイミングの重なりでは私を疑うのも当然というもの。今こうして明かしてくれたことを誠意として受け取ります」

「マジで悪いな。後でなんか奢るからよ、ロックも」

「うっす。リンも連れて来ていいすかね奢りの時は」

「あー、大食いだっつってた同居人だよな? いいぜ、いくらでも奢ってやるよ! だから生きて戻って来いよなロック!! ティオもカトルもな!!」

「はい!!」

「あざっす!!」

 

 どうやらこの問いかけの中で、俺にもイレヴンにも悟らせずに『看破魔法』を俺たちにかけていたようだ。

 相手が嘘をついてるかどうかわかる魔法で、それなりに扱いが難しいものだったはずだが……流石ってところか。気さくなおっさんだが金級の肩書に偽りなしだな。

 まぁ懸念もマジでわかる所だ。逆の立場だったら俺もそうする。変に尋問とか拷問とかかけられてないだけめちゃくちゃ俺とイレヴンへの誠意を果たしてもらってると考えよう。

 最後にリンにも奢ってくれる約束も取り交わしたしむしろプラス。帰ってきてからの楽しみが増えたな。やったぜ。

 

「うし……んじゃ出発するかァ!!」

「っしゃ!! やってやろうぜ!!」

「目標はでっかく一攫千金!! いくぞー!!」

「このイレヴンがどれだけ有能アンドロイドかマスターに教えてあげましょう」

『みゃあ!』

『頑張りましょうね』

 

 改めて、俺達パーティは森林のダンジョンへ向かうのであった。

 

 

 

 なお。

 

「馬車全部出てんのォ!?」

「他の人に先行かれてんなー……まぁ俺はイルゼ使ったバーストダッシュでぶっ飛べるけど」

「私も水魔法で滑るように移動して高速移動出来るけど」

「私は魔獣より速く走れますが」

「俺だけ素でお前らに追いつけっての!?」

 

 ダンジョンに行くまでの馬車が全滅してて、もちろんワイバーン便なんて高いものが使えるはずもなく。

 俺は才能マン二人とポンコツアンドロイドに追いつくために全力ダッシュを強制されたのであった。

 お前らチートすぎやろ一般人に合わせろやンモー!!

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

 はい。

 馬車と同じくらいの時間でダンジョンに到着しました。誰か俺を褒めてくれ。

 

「ダンジョン突入前なのにもうすでにめちゃんこ疲れた」

「いいでしょー、戦闘じゃロックは戦わないんだから。息整えながら行こうよ。ミャウは私が抱えてたから楽だったよねー?」

『みゃあ!』

「これが入り口か……まだ転移陣も刻まれてねぇなー当たり前だけど。帰りの脚も計算しながら行こうぜ」

「果たして何階層あるでしょうね。私もこのダンジョンの知識はありません……気を付けましょう」

 

 ぜーぜーと息を整えながらダンジョンにみんなで潜っていく。

 一階層を見れば、やはり中も草木の生い茂るタイプのダンジョンだった。匂いを嗅げば青臭さが胸いっぱいに広がる。森の匂いだ。

 こいつぁ匂うぜ……宝の匂いがなぁ!!

 

「とりま10時方向に向けて進もう。そっちまだ誰も荒らしてない。宝がいっぱいありそうだ……魔獣の気配がしたらその都度声かける。イレヴン、俺の後ろ守り頼むわ。万が一無いようにするけど」

「かしこまりました」

「カトルとティオはあんま位置取り気にせず遊撃で動いてくれ。基本的になんか気づいたら声出してこ」

「おおよ。俺も熱量の感知は広げとく。炎魔法はお手のモンだぜ」

「私は回復に備えて魔力貯めとくね。森林ダンジョンは毒使う魔獣も多いから気を付けて!」

「うし。じゃあ行こうぜ……むっ!! 早速宝の匂いじゃー!!! そっちの方向!!」

 

 雑に陣形を組む……が、これは俺らパーティの3人が十全に戦えるからこその指示である。普通のパーティ組むならきっちり陣形とか考えるけど、こと戦闘に関しちゃ少なくともカトルとティオは心配ないしな。

 レンガで組まれた狭い通路……ってんじゃなくて開けたタイプのダンジョンだからどっから敵が来るかわからない。だからこそ索敵をしっかりしないと進めないのだが……そこは俺の勘が輝く。

 

「む。鍵開け中に奇襲狙ってきてんな。俺の後ろ4時方向から複数来てるわ。あと8時方向でもこっち伺ってる、来るな……よし空いた!! ウッヒョォ!! ファーストボックスだ量が違うぜェ!! 根こそぎゲヘヘ!! ゲヒ!! あ、1時方向も警戒。群れで飛んできてる。この高そうな盾もアイテムボックスに仕舞っちゃおー!! 金貨もあるじゃんウヒャホヘ!!」

「ロックのテンションの乱高下がキモいんだよね」

「ま、分かるけどな……4時、8時、1時……あれか」

「迎え撃ちましょう。回転手甲、起動……!」

 

 俺が宝箱の罠外し、開錠、収納をしている間……俺らを襲ってくる魔獣は3人がそれぞれ撃退してくれる。

 うーん。この信頼感。やっぱカトルとティオがパーティにいると安心が違うわ。

 

「ワーグにロックバードの群れ……こんなもんなら一撃だっ! イルゼ、魔力回せ!! 『灼炎剣』ッ!!」

『周囲に炎を巻き散らしすぎないでくださいよ、カトル』

 

 まずカトル。こいつは炎の暁剣『イルゼ』に魔力を通し炎を纏わせ、一撃の下で魔獣どもの命を刈り取っていく。

 一撃一撃が必殺の上、速度も一流。この程度の魔獣ならまったく苦労せず討伐可能だろう。

 

「こっちはポイゾスライム! 任せてねー……『アクセラレーション』! うりゃりゃりゃりゃーーーッ!!」

 

 そしてスライムの群れが地面から湧いてきた8時の方角にはティオが迎撃。

 自前の極めて精巧な双剣、二振りのダガーを手に持って己の体に速度上昇のバフ魔法をかけて……ベーゴマのように超高速回転しながらスライムの群れを微塵切りにしていった。

 同時に粘体相手への特効も刃に乗せてるのかな。瞬く間にスライム共が水しぶきへと変わっていく。あの回転攻撃はティオの必殺技である。スピードタイプだよなーアイツ。

 

「こちらはビッグトードですか……残念ながらあらゆる毒は私には無効です。弾けとべッ!!」

 

 イレヴンの方には大きなカエル型の魔物が迫っていた。触れるだけで毒を与えてくるカエルもいて近接攻撃の冒険者に嫌われてる奴だがどうやらイレヴンは毒が効かないらしい。

 肘から先の腕部を高速回転させて貫手一閃。ビッグトードが血の霧となり瞬殺された。

 つえーなアイツ……でも回転音が出会ったときの地下で聞いた時よりも穏やかだったからあれは多分本気じゃないな。本気で1分も回してると魔力切れって言ってたが、温存しながら戦えている様だ。

 

 そして魔獣は一瞬で殲滅され、俺も宝箱を漁り終えて一息ついた。

 

「一階層にしちゃそれなりに強い魔獣がいやがるなー。初心者にはちっときつそうだなこのダンジョン」

「だねー……ポイゾスライムなんて初心者がやられる魔獣の代表格みたいなもんだしね。スライムだって油断する人いるもんねぇ」

「ふむ、トゥレスから頂いたこの服……良いですね。腕部の回転にも備えられているのか、腕がとてもまくりやすく保持も簡単です。いい服を頂けました」

「あれ、イレヴンさんのその服親父から貰ったの? ……え?」

「ええ、鑑定の際にインナーだけではとお気遣いいただいて……ああいえ心配しないでくださいカトル、そういう感情は欠片もありませんよ」

「俺の女をダチの親父さんに渡すもんかい!! 普通に鑑定かけたものと交換で貰った服だよ!! 出会ったとき全裸からのインナーだけだったからなーイレヴンは」

「そっか。ちょっと安心……ってのも変だけど。親父、死んじまった今でも母さんの事大好きだからなぁ……」

「……トゥレスの奥様は亡くなられているのですか」

「寡男なんだよね。母さんは俺が生まれてすぐ死んじゃったって聞いた……顔も覚えてないけどさ。でも優しい人だったんだって」

「そう、ですか。……ふむ」

「トゥレスおじさんあんなに奥様方にモテるのに再婚しねーのもったいねぇよなー!! 使わないならそのモテパワー俺にもちょっと分けろってねぇ!!」

「バカー!!! ほんっとロックおバカ!!」

「んべっふ!!」

『みゃあ』

「ハッハハハ!! まぁ本人にその気がねぇからな。俺も親父も気にしてねぇからみんなも気にしないでいいよ!」

『冒険に戻りましょう。まだファーストボックスがいっぱいあるはずですよ』

「……そうですね。では行きましょうか、マスター」

「この戦闘で一番ダメージ受けたのがティオにゲンコツ喰らった俺なのでは?」

「自業自得ぅー!」

 

 たんこぶが出来た所を涙目でさすりつつ、ちょっと触れてしまったトゥレスおじさんとカトルの件。

 奥さん亡くなられてるんだよね。勿論俺も顔も見たことない。写真とか残してなかったんだって。まぁ映写魔法も費用掛かるしな……その辺りは俺も踏み込んだことはない。

 ただ、二人も振り切ってる話だとは聞いたし、カトルは少なくとももう気にしちゃいないようだ。お母さん恋しさで泣いてたガキの頃とは違うってね。

 んで俺が気遣ってあえてアホな話に切り替えたのにティオが怒るからさー。ンモー。まだまだガキだなティオは。

 

「ま、この調子で進もうぜ。まだまだお宝の匂いすげぇからよォ……全部ファーストボックスかっさらってやるぜェ!!」

「コイツの女と宝への嗅覚だけはマジで金級以上だよな」

「キモいけどね」

「行きましょうか」

『にゃあ』

 

 さ、じゃあ引き続き冒険頑張っていきますかね。

 

 

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