勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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第四章 獣王国『グランガッチ』
66 おれは いま! ハーレムへの だいいっぽを ふみだした!!


 

 

「…………ん。……ぁー………?」

『ミャフルルー……フモガァー……』

 

 目を覚ますと自室のベッドだった。

 昨日の夜の記憶は……ある。

 

「……眠……」

 

 時計を見ればいつも起きてる早朝の時間。

 で、自室の机の上には見慣れない優勝トロフィーがあって。

 どうやら闘技大会で優勝しちまったのは夢オチじゃなかったらしいな。

 後夜祭で各店を駆けずり回った疲労もあって……最後にイレヴンやみんなとちょっと飲み食いした記憶はある。そこまではある。

 けど恐らくはそこで寝落ちしてしまったんだろうな。

 しゃーない。闘技大会の最終日だ。試合勝ち上がって魔族ともバチって決勝戦ではずっとカトルとティオの猛攻を逃れ続けて疲労困憊で優勝しちまった壇上で国王様の圧を受け止めて観客全員に奢り約束して闘技場周辺の店回って慣れない経理交渉して……。

 いや詰め込みすぎやろ。疲れて寝落ちてしまうのも仕方ない所。

 寝ちまった俺をイレヴンが背負って運んでくれたのかもな、いつぞやのカトルみたいに。

 

「……もったいな! 起きてればイレヴンの背中におぶさって体温味わえたやんけ!!」

 

 そしてその可能性に至り俺は憤慨した。

 寝たふりするとかして背負われるときに起きてりゃよぉ!! イレヴンの体温を密着して感じ取れたかもしれないしあわよくば前に出した手でおっぱいタッチできたかもしれねぇのによ!!

 クソー! やっぱり最後は美味しい所を逃すんだよな俺は!

 優勝のトロフィーよりもイレヴンのおっぱいのほうが価値が高いわ俺の中で。賞金結局もらえてねぇし。

 魔装具は後でギルドに届けてくれるらしいけど……いらねぇんだよな。売るか返すか誰かに渡すか。

 

「ふわぁぁ……ってか、そうだ。サザンカさんは……?」

 

 あくびを一発零して頭に酸素も巡って回り始めたところで、改めてサザンカさんの事に思い至る。

 サザンカさんどうなったんだ?

 昨日は闘技場で俺の決勝の勇姿を見てくれたはずで、その後の後夜祭でも俺と話してた記憶はあるのだが。

 まさか夜のうちに出発しちまってねぇだろうな?

 全力で口説いて引き留めるという俺の計画が俺の寝落ちで破綻してねぇだろうな? まだいるよな?

 

 寝てるミャウを放置してベッドから出て階下に向かう。

 同居人それぞれの部屋の前を通る時に呼吸音を確認してリンとイレヴンがまだ寝てることは確認した。

 そしてリビングについて、そこの窓を開けて外庭を見れば。

 

「……ふっ、……ふっ。……おや、ロック殿。お早う」

「おはよーさんです!」

 

 サラシに包まれたデカパイが刀の振りと共にぶるんと揺れるいつもの光景が広がっていた。

 今日もデカパイ感謝を込めて挨拶を返すと、サザンカさんもにこりとはにかむ様に微笑みを返してくれた。美。

 

「よかったーまだいてくれて! 知らないうちにサヨナラなんてならなくてよかったっす! 昨日途中で寝落ちしちまったみたいでよく覚えてなかったんすよね……あの後どうなってました?」

「ん? ああ……ロック殿はいつの間にかミャウ殿を枕に眠ってしまってな。イレヴン殿が背負って家まで運んでおられたよ」

「あー、やっぱイレヴンが運んでくれたんだ。お礼しないと」

「お疲れ様でござったな、本当に」

 

 まず昨日の事を聞いてみる……と、やっぱり俺は寝落ちてイレヴンのお世話になっていたらしい。

 更に話を聞けば、疲れモードになった俺はほぼ無意識で女性陣にあーんおねだりをしてたらしくて、結構みんなから応じてもらって……でもそのままミャウにつっぷして寝てたんだって。

 どんな状況だよ(素)。

 えーしっかり覚えてない……焼き鳥が美味しかった事しか覚えてない。なんで記憶がない時に我が世の春になってんだよクソー。

 

「ところでサザンカさんはいつ頃までこの国にいられるんですかね? 今日もう帰っちゃう感じ?」

「ん、いや、うむ……そこは改めて話をしようと思っていたのだが……」

「あ、もしかして帰り方が分からないですかね? イレヴンバイクで港まで送りましょうか? 迷子になりそうですし」

「流石に馬車に乗れば港には行けるのだから道は分かり申すよ!? 正門外の馬車乗合所だって覚えておるよ!?」

「正門まで行けると思ってたんだ……」

「この顔よ。まぁ……一先ずは今日の朝食を作りましょうぞ」

「ういっす」

 

 そんで次に気になってた点、サザンカさんがいつまで王都にいられるのか聞いたところ……なんか微妙に話を逸らされた。

 ……何だろ? 何か言いたいことでもあるのかな?

 

 ─────はっ!?

 

「まさか優勝した俺に惚れてしまって結婚したいとかそういうお話かっ!? とうとう来るのか我が世の春が!? デカパイ大和撫子が俺のモノに……!?」

「それを本人の前で口に出せるからロック殿はロック殿なのでござるなぁ」

 

 欲望のままに台所で発狂してたら玄関から入って来たサザンカさんにツッコまれた。

 ですよね知ってる。そんな甘い話はないって。

 でも夢を見るくらいはいいよね……サザンカさんが今日帰るのか明日以降なのかは分からないけどその間に全力で口説くチャレンジを二回は試そうと思ってるから。

 この人の作ってくれる朝ごはんが余りにも美味すぎるから……ヒノクニにも絶対いつか旅行して会いに行くからねサザンカさん。

 

 その後二人で朝食を作り、四人と一匹で美味しく頂いた。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

「きょうはこじいんはおやすみだって」

「ん。そっか、休息日か……まぁ大会期間ずっとリン預かってもらってたしな」

「ミルもトゥレスも魔族襲撃の件では相当な働きを見せていましたからね。トゥレスは国王とも既知だったようですし……そちらでも何かあるのかもしれませんね」

「ふむ? トゥレスと言う方の名は聞いたことがござらんな。ロック殿のお知り合いで?」

「カトルのパパです」

「わたし、あとでこじいんにはいくね。みんなとあそんでめんどうみるの」

「了解。えらいぞリン」

『みゃあ』

 

 朝食を取り終えて食後のティータイムを4人で頂いてくつろぐ。

 今日は孤児院は休息日らしい。いわゆる休みの日だ。授業がないので子供たちが一日暇になる。

 ので当然そんなガキたちの面倒を見るシスターの負担は平日と変わらない。そこを慮ってリンも孤児院に行くと言い出したのかもしれない。

 情緒育って来てんなぁ。闘技場でもちゃんとお小遣い使い果たさずやりくりできてたようだし、ガキたちの面倒を自主的に見るようになって……シスターの守護防壁の発動に魔力を分け与えられるようにもいつの間にかなってたし。

 もうちょっとで立派なレディになるかもね。もう少し言葉が上手くなったらケンタウリスに預けてもいいかもしれんね。

 

「……少し、拙者からお話があるのだが、よいか?」

「ん。いいっすよー。アレっすかね、ヒノクニに帰る件?」

「うむ。いずれしっかりと()()()()()()と思っていたところでな」

 

 しかしそんなのんびりした時間に、サザンカさんが例の件を話し始める。

 そう、いつ帰られるのかということだ。ずっといてほしいという気持ちはあるがサザンカさんにも都合はあるしな。引き留めすぎて魔族関係のごたごたでヒノクニに帰る船の便が止まったりしたら申し訳なさすぎるし。

 帰る前にワンチャン童貞をいただいてもらえればそれでいいから……(欲望)。

 

「では、ロック殿。改めて……魔族にこの身を犯されていた所を助けていただきまして、ありがとうございました。拙者の不覚の尻拭いをさせてしまい、心よりお詫び申し上げる次第でござる」

「アッハイ。でもアレ別にサザンカさん何も悪くないしイレヴンとか他のみんなも頑張ってたからそんな恐縮しないで貰っていいですからね。全然俺気にしてないし……」

「いや、助けて頂いたことには間違いなく、そして恐らくそれが出来たのはロック殿だけだったでござろう。恩義に報いねば名折れと言うもの。その恩を果たさせていただきたい……そう考えての話でござる」

「そうすか……そっかぁ……とうとう俺も童貞卒業の時かぁ……!!」

「すこーし違うでござるな?」

「カスがよ」

「ロックはカス……」

『みゃあ……』

 

 前に俺が魔族に侵されたサザンカさんを助けたことでまずお礼を言われて、その恩に報いたいという話が出て。

 つまり筆おろししてくれるのか……と妥当な推理でその答えに至ったら否定された。なんでや。そういう流れやろ。

 

「ロック殿、先の大会の閉会式でもギルドマスター殿が述べていた通り、これからは王都は魔族の討伐に力を入れて行くのであろう。戦争になるかもしれぬと……」

「そっすね。今日はその辺りギルドに詳しく聞いてくるつもりですけど」

「うむ。であれば闘技大会で優勝してしまったロック殿などは今後忙しくなるであろう。討伐任務や、戦争になれば先陣を務めることもあるでござろうな」

「出来る限り危険なことしたくないけどね個人的には! でもイレヴンとも約束したし多分そうなるんでしょうねぐぬぬ!」

「マスター、前に言ってくれてたこと覚えてたんですね……意外というか、嬉しいというか」

「一刻も早く魔族を滅ぼしてえっちなことしようって約束したもんな!」

「くたばれというか」

「ふふ。……そう、そんなロック殿の助けになりたい。恩を返したい。ロック殿、お願いでござる────拙者を、ロック殿の配下にしてほしい」

 

 そうしてサザンカさんが述べた結論は、なんと……俺に仕えるということで。

 え、マジで?

 

「毎日サザンカさんのおっぱい揉んでもいいの……?」

「今凄い真面目な話をしてたでござるよな拙者??」

「優勝したからって調子に乗ってんなこのクソマスター」

「ロックはくそ……」

 

 俺に仕えるってことはその体を捧げるという意味ではないのか?(素の疑問)

 えっ、いやでも真面目に考えたとしても……いいの?

 

「仕えるって言われても……給料とか出せないですよ? それにヒノクニには帰らなくていいんですか?」

「報酬を求めるそれではござらんよ。ヒノクニにも特に急いで戻る事情も無し。根無し草故な。……拙者はロック殿と共に在り、そなたの懐刀となりたい。魔族を打ち滅ぼすまで……イレヴン殿のようにそなたを守り、魔族を討ち果たしたい。その許しを頂きたくお願いでござる」

 

 椅子に座っているのでヒノクニの文化的お願いスタイルである土下座まではしなかったが、深く深く頭を下げてサザンカさんが俺に仕官を求めてくる。

 いいのか……? いやそりゃ俺は嬉しいし有難いっていう気持ちしかないんだけどさ。

 美味しいご飯を作ってくれるし冒険に連れて行っても方向音痴な点を除けば絶対に活躍するだろう。強さは折り紙付きだ。

 魔族との戦いでも魔装具を手に入れればイレヴンと並んでバリバリ討ち果たしてくれるだろう。俺に断る理由は欠片もない。デカパイだし。

 となるとあとは……他の二人か。

 

「……イレヴン。どう思う?」

「私はマスターの意向に従います。サザンカほどの武芸者が仲間になるならば更なる戦力増強となります。反対する理由はありません」

「そか。リンは?」

「んー。サザンカがおいしいごはんをこれからもつくってくれるってこと?」

「うむ。家事の面でも勿論お力にならせていただこう」

「やったー!! ならわたしもいっしょがいい!!」

「そか。……ミャウ」

『みゃあ!』

「おっけ。んじゃ決まりだな」

 

 我が家に住む二人の同意も貰えたので話は決まった。

 

「サザンカさん、その申し出、有難く受けさせてもらいます。俺の配下に……っていうのもちょっとあれだから特に命令とかそういうのは出さないと思うけどさ! これまでと同じように一緒に暮らしてもらって、俺らの冒険に同行してもらったりして……魔族倒すまでよろしくお願いします」

「うむ! こちらこそよろしく、主殿(あるじどの)

「ってぇ? 主殿って……」

「仕官した身でござる。この関係が終わるまでは、主殿と呼ばせていただきたい」

「なにそれ照れちゃう」

「ふふ」

 

 サザンカさん王都残留決定!!

 配下って言われたけど別に仕事とか振ったり部下として扱うつもりは全然ない事は伝えさせてもらって、仲間として……そう、永続のパーティ契約のような扱いにさせてもらう形にした。

 同居も継続してくれるので食事関係を任せられる。実質メイドさんを雇ったようなもんだ。

 ……あれ!? これハーレムの夢への大いなる一歩なのでは!?

 

「サザンカさんが俺に惚れてくれれば永遠就職でも構わないですからね……いつでも俺の部屋来てくれていいですからねェ……!!」

「うむ、承知した。その時はしっとり身を清めて参るでござる」

「……えっ? ホエァッ!? ま、マジ……ええ!?」

「まぁ冗談でござるが」

「冗談かいッ!!!!」

「マスターはからかうと面白いですからね。でもリンもいますから大人の話は夜にしましょうね」

「こづくりのはなしならべつにえんりょしなくていいのに」

「俺が気にするからこの話はここまでにしておこう」

「言い出したのは主殿でござるよな?」

『みゃ……』

 

 なんか最近イレヴンと言いサザンカさんと言い俺に大人の女性っぽいからかい仕掛けてきてない?

 ブームなのだろうか。ケンタウリスと旅行したころからだよな。リンもその時はいて……誰かに吹き込まれたのかな。

 なんでこうなったのかはわからんけどまぁいいかぁ! 主殿って呼んでもらえるのこそばゆいけど!!

 

「うむ、では拙者の話はこれで終わりでござる。不束者ではございますが、何卒末永くよろしくお願いいたします」

「こっちこそよろしくです!」

 

 そうしてサザンカさんが仲間になったのだった。

 

 

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