勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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68 ノインさんの正体見たり!! オタ友として知られる彼女の正体は王族の末子だったのかあっ!!

 

 

「というわけで、私の本当の名前はノルン=オーディン。ディストール=オーディン国王の末子、第九王女だったんです~!」

「へー」

 

 いきなり俺んちに現れたノインさんをリビングに招き入れ、お茶を出してさて話を聞くか……って所で唐突に向こうから自分の正体を明かしてきた。ちなみに執事さんは玄関外で待ってる。

 やっぱり王族の人だったんだな。ってか王女って。第九王女かぁ……マジか。

 俺が日々物語を熱く語って下ネタ全開のトークで盛り上がってた相手がお姫様だったのかぁ……。

 

 ……いやあんまり驚きないわ。

 元々高貴っぽい人なんやろなって思ってたところで、王族っぽいフラグもこれまでにいっぱい撒かれてたしな。

 聞かされてやっぱりか、って感想しか持てなかった。

 しかしノインさんはそんな俺の態度がどうも気に入らなかったらしい……いやノルンさんって呼ぶべきなのか? ノルン様?

 

「あれ~、結構勇気出して告白したのにロックくんあんまり驚いてくれませんね~?」

「いやまぁ……身分の高い人なんだろなとは思ってましたからね。深く突っ込むと関係が壊れそうで怖かったんで聞きませんでしたが」

「っ……ふふ~、私も同じですよ~。変に恐縮されるのも嫌でしたし~……でも、ちょっと色々私の立場とかロックくんの立場とかも変わってきたので~。明かすことにしたんです~」

「んー? ってことは大会に優勝したことですかね? ……ってか俺どう呼べばいいですかね? ノルン様って呼んだ方がいい? 敬語ももっとちゃんとした方がいい?」

「今の時点で相当立場を間違えている口調だと思いますけどねマスター」

「怖いもの知らずでござるな主殿は」

「あ~、呼び方も話し方も身内だけの時は今まで通りで大丈夫です~。でも~、こうしてここにいる皆さんに正体は明かしましたけど~、基本的に隠しておいてもらえた方が色々都合がいいので~。公的な場とかではノルンでお願いします~」

「了解っす。んじゃとりま今はノインさんで」

「ノイン……ノイン……あ! ほんのひとだ! まえにとしょかんではなした!!」

『みゃあ』

「今思い出したんかリン」

 

 とりあえず呼び方も口調も今のままでいいって。有難い限りですね。

 さて、それじゃ改めて話を聞こう。こうして立場を明かして俺んちにまで直接乗り込んできた理由を。

 

「実はですね~、大会でサザンカさんとロックくんが戦って、魔族が出てきたとき……ロックくんが魔族に襲われそうになったところを助けたのが私なんですよ~!!」

「あ、やっぱりあの貴賓席からの魔力砲ノインさんからだったんだ。あん時サザンカさんの体抱えて手一杯だったんでマジで助かりましたよ! イレヴンは魔族に囲まれてたし」

「む、拙者の不覚で主殿を更なる危機に陥れていたでござるか……申し訳ない!」

「あ、いやサザンカさんは被害者ですからね。全然気にせんでもろて」

「私もマスターを守らねばならないのに隙を見せてしまって……」

「いやイレヴンはむしろ魔族を引き付けてくれてたしね?? 何も出来なかった俺が恐縮しちゃうからその辺にしよ? 今こうして生き延びてるから全てヨシ!! でね?」

「ふふ~、でも(あるじ)って呼ばれてるのを見ると、サザンカさんもハーレム入りしたんですね~? 凄いですねロックくん~」

「いやこれは色々あってェ……将来的にはハーレムになる夢を諦めないけど単なる命を助けたお礼みたいなのでェ……」

「主殿は肝心なところでヘタれる」

「マスターはこうじゃないとという深い信頼があります」

「ロックはへたれ……」

『みゃあ……』

 

 さてまず出てきた話が、サザンカさんの体から魔族を追い出した後の襲撃の件。

 俺を助けてくれた魔力砲を放ってくれたのはノインさんだったんだ。あの時、貴賓席から身を乗り出すようにこちらを見ていたデカパイ美人。

 似てるなと思ったけどやっぱり本人だったらしい。

 でもあの時のノインさん眼鏡外してたよな……美女の顔を俺が見間違えるはずもない。

 

「……もしかしてノインさんって伊達眼鏡? それ変装用?」

「おっとぉ~? ロックくんはメガネキャラに眼鏡外した方が可愛いよとか言い出すタイプですか~? 解釈違いですよ~? そこから先は戦争ですよ~?」

「いやそれだけはないッ!! ……はず!! なのに! 俺はノインさんが眼鏡外したお顔も見てみたいと思ってしまっているッ……!! ノインさんの素顔を目に焼き付けたいと思ってしまっててェ……!!」

「これは好感度ダウンですよ~? 選択肢ミスりましたよロックくん~?」

「なんてこった畜生ッ……!!」

「……仲が良いのはいい事なのですが話を進めませんか?」

「あ、そうですね~」

 

 そしてそのことを指摘したらノインさんにけだるい感じに絡まれた。めんどくせーとかちょっとでも思っちゃった俺を殺してやりたいよなァ!

 いいじゃんデカパイおねーさんの素顔を見たかっただけなんや……! 俺にとってノインさんは眼鏡かけた知的な美女っていう印象は変わらないから! いつかちらっと見せてもらえればそれでいいから!!

 

「では改めて……あの時私が放った魔力砲の威力を、家族に見られてしまったんですよ~。こう、なんていうか~……私、家族の前では実力を隠してたので~。そんなに魔法を扱えるのか~、実はすごい力を持っていたのか~……って問い詰められちゃったんですね~」

「えっすごい。主人公みたいじゃん。只者じゃないと思ってたけど強かったんですねノインさん!」

「確かにあの魔族の群れを遠距離からの魔力砲の一撃で始末した……となると並大抵の実力ではありませんね。魔装具も持っていたのですね、ノインは」

「ええ~、王族はみんな所有するしきたりなんですよ、昔から。最近は魔族が現れたので、有事の際にはすぐ動けるようにって、常に身に着けているように言われてますからね~」

 

 そうして話は進み、ノインさんが実力を隠して生活してたっていう物語の主人公みたいなことをしていたのが家族にバレたらしくて。

 ノインさんが手を開いて薬指に嵌められた指輪を見せてくれる。アレが魔装具ってことなのだろう。指輪を通して魔力を放ったものが全部魔族特攻になるってことか。

 

「で、今回の事件で今後魔族の調査が本格的になるじゃないですか~。私達王族も、それぞれ調査に尽力するように、ってお父様から指示がありまして~。私もそれに参加することになってしまったんですよ~」

「なるほど? ……大変ですねそりゃ。騎士団とかも動くんだろうな……ギルドとかにも働きかける感じですよね?」

「ええ、騎士団は第一王子のウィリアム兄様と第二王女のメアリー姉様が、ギルド関係は第三王子のエドワウ兄様と第六王女のマリア姉様が働きかけてますね~。他国との交渉・貿易関係は第七王子のナッツ兄様、商会などへの出資関係の調整は第八王女のセルフィ姉様がやって、あと第四王女のアンナ姉様と第五王子のアンドレ兄様は私と同じ仕事です~」

「ちょっと待って待って。人数が多い……覚えきれないっす!! 8人のお兄さんお姉さんがそれぞれなんて名前でどこの何ィ!?」

「私のほうで覚えたので必要になれば聞いてくださいマスター」

「俺の相棒優秀っ!」

「ほわ……しらないなまえいっぱい……」

『みゃあ……みゃ?』

「拙者もちょっと記憶は自信がないが……王都全体で魔族に対してどのように立ち向かうかをこれから決めていく、という感じでござろうか」

「おおよそそれで合ってます~。だいたい魔族なんてのは襲撃イベントの次はどこかの国を乗っ取って攻め込んできますからね~、私たちはその調査に向かうんですよ~」

「ほえー。……ってことは何、ノインさんもしかして……グランガッチに向かうんですか?」

「そうです~。アンドレ兄様とアンナ姉様と一緒に出立することになりました~」

 

 ほえー。なんか闘技大会の翌日だってのに既にすっげぇ話が動いてる。

 後夜祭の時に王城で会議とかあったんやろな……とりあえず騎士団が本格的に活動するのと、ギルドにも話がかかって。

 んで国内の商業関係も一旦国の管理が入って……今後に備えるという事だろうか。

 魔族領の位置は分かってるからもしかすれば軍隊とか編成して出陣したりすんのかな。わからん。

 とりま色々だいぶ変わってくるんやろうなってのはわかって。

 

 で、その中でも……ノインさんはなんと、話題の渦中であるグランガッチに調査隊として向かうことになるようだ。

 その後ノインさんが説明してくれたが、調査隊の派遣は今すぐではなく、現在先行で調査に向かっているワイバーン便が帰ってきてその報告を受けてからになるらしい。

 ワイバーン便は一昨日の時点でグランガッチに向かったはずで、あれから2日経過してるからすんなり往復できてれば明後日には報告が挙がってくるはずだ。往復4日くらいかかるからな。

 

「で、私とアンドレ兄様、アンナ姉様で向かって……今回の事件について向こうの国主と話し合う予定なんです~。そもそも国自体が魔族に支配されちゃってる可能性もありよりのありなので~、危険も大きな仕事ですね~」

「ですよね……なんでそんな危ない所に行くことになっちゃったんですかノインさん」

「さっきも言ったように、実力がバレちゃったからですね~。私ももう隠し切れなくて~……まぁあとは他の仕事は自分にはできなさそうだったので~。ギルドとか商会とか他国とかと交渉なんてコミュ障の私には無理と言うか~……まぁ……そんな感じですね~」

「少々悲しい話になってきましたよ」

「ノイン殿は苦労されておられるな……」

「こみゅしょうおひめさま……」

『みゃあ』

「リンはもうちょっとオブラートに言葉を包もうな」

「ごめん」

 

 ノインさんおいたわしや……。

 まぁ……王族なのにあんなに本の虫だとなればちょっとそういうのはイメージできるな。俺以外の知り合いとかってのも全然匂わせてなかったし。

 もしかすると友達俺だけだったりする……?

 

 まぁその辺りは置いといて、一先ずノインさんが王女として大変な仕事に行かなきゃならなくなったことは分かった。

 分かったが、それが俺んちに来たこととまだ繋がらない。

 なぜこの件を俺に報告に? 身分を明かしてまで……?

 

「で、まぁそんな感じなんですが~……アンドレ兄様とアンナ姉様ともお話して~、それぞれ護衛をつけることになったんですよね~。王族みんなもそれなりに鍛えてるって言っても、やっぱりもしかすれば魔族の本拠地になってるかも知れない所に乗り込むわけですから~、それなりに腕に覚えのある護衛は必要になるので~」

「む。……ってことはノインさん、俺の所に来たのって……」

「そうなんです~。…………闘技大会を優勝した、私の親友へのお願いです」

 

 話の流れは理解した。

 一呼吸置いて、眼鏡の向こうからノインさんの瞳が真っすぐに俺を見つめてくる。

 

「───ロック=イーリーアウス。私の騎士(ナイト)になってくれませんか?」

「イエス・ユア・ハイネスッッ!!!」

「きゃ~即答~!!」

「間髪入れずでしたね」

「流石主殿」

「しってた」

『みゃ……』

 

 余りにも答えがはっきりしすぎるお誘いを受けて、俺はもちろんと頷いてOKした。

 当然ついていくに決まってるよなァ!?

 だってノインさんだぜ!? デカパイ密度がどんどん高まっていく!! 今までは図書館でカフェしかしてなかったこのデカパイ貴婦人お姫様とご一緒できるんだからなァ!!

 すげーじゃん。行き帰りの行程で無限に小説について語り合えるしさらに距離が縮まってしまうじゃん。

 距離が縮まった結果もしかしてもしかするとお姫様が俺の嫁になるかもしれないじゃん……!!

 断る理由なんもねーわ!! グランガッチ行き決定ッ!!

 

 ……っていう理由のほかにも、やっぱりノインさんは俺にとって愛する読書仲間にして親友。

 そんな人が危険な所に行くって聞いて何もしないのは性に合わないしな。

 

「やっぱノインさんとはこれからもずっと平和に異世界チートさんの本の感想戦したいっすからね。絶対に無事に帰って来られるよう守り通して見せますよ! 任せてください!!」

「ッ……うふふ~、やっぱりロックくんはロックくんですね~、そういう所が大好きですよ~」

「俺もノインさん大好き!! 結婚したい!!」

「王族になる覚悟あります~?」

「ちょっと考えさせて……」

「このへたれ野郎~!」

「どうしてマスターは最後にヘタれるのか」

「うむ、主殿らしくて実に結構」

「ロックはへたれ……へたれ・ざ・ろっく……?」

『みゃ?』

 

 話は決まった。俺はノインさんの騎士になる。

 その後も軽く打合せして……出発予定は3日後ということで。

 それまでにノインさんたち王族の人たちはそれぞれ冒険者を護衛として雇って、勿論騎士団からもある程度、グランガッチに警戒されない程度の人数をつけて、馬車と騎馬隊で出発する見込みらしい。

 それまでに俺らも色々整えておきたいな。今日から回ろう。

 

「それじゃあよろしくお願いしますねロックくん。ロックくんと一緒なら何とか出来る気がします~」

「頼ってもろていいですからね俺の勘を!」

「最近微妙に冴えないマスターの勘ですが大丈夫でしょうか」

「言うなイレヴン」

 

 改めてノインさんから深々とお辞儀を頂いて、ぶるんと弾むデカパイに感謝を込めてこちらも頭を下げた。

 その後ノインさんは一度王城に戻るということで、玄関の外までお見送りすることになったのだが。

 

「ロック様」

「ん、執事さん」

 

 ノインさんが馬車に乗ったところで執事さんが声をかけて来た。

 なんだろ。相変らず気配消えてんなこの人。

 

「ルドルフと申します。姫様が日頃より大変お世話になっております。この度は姫様の騎士としてご就任もいただけたようで……重ねて御礼申し上げます」

「名前初耳。むしろお世話になっているのはこっちのほうというかァ……いつも目の保養として有難さの極みというかァ……」

「ほほ。姫様もロック様とお話されている時は実に楽しそうでございますよ。これからもどうぞ宜しくお願いいたします」

「モチのロンですよ!」

「重ねてこちらをお受け取りください。遠征の準備金でございます」

「あ、こりゃどうも」

「では失礼いたします」

 

 お名前も聞けて、んで日頃の感謝なんかも頂いちまって。

 むしろこっちがデカパイ感謝なんですよね! って言ったらすごくなんか……孫をかわいがるお爺ちゃんみたいな雰囲気の笑顔を返してきた。雰囲気あるなぁこの人。

 そして最後に遠征にかかる準備金といって小さめのバッグを差し出してきて。

 まぁそれは有難く受け取って、馬車で帰っていく姿を手を振って見送った。

 

「…………いくら入ってんだろーなーグッヘヘ!!」

「ノインが帰るまで開くのを我慢したのは偉いですねマスター」

 

 さてもらえた遠征金いくらかなぁ! と早速開けてみる。

 すると、なんとこのバッグはアイテムボックスだったようで。えっマジ? 見た目よりも入ってる?

 どれどれ……ええと……ええ??

 

「……5000万G……」

「おお。優勝賞金の半分が戻ってきましたか」

「ええマジ……? 支度金でこれなん……? えっ返した方がいい……??」

「危険な任務にこの国の姫様の護衛として向かうのでござろう? それだけの重みのあるお仕事を主殿は任されたという事。素直に受け取っておいた方がよいと思いまする」

「ここまで含めてウォーレンの仕込みの可能性もありますね」

「ふむ。……んじゃ貰っとくかぁ!!」

 

 懐が温まっちまったなァ!!

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

 さて、改めて落ち着いてリビングでみんなと話し合う。

 

「……なんかやっぱり、大会優勝するとデカい仕事が入ってくるんだなぁ」

「そうですね。ですがマスター、王家からの依頼とは言え……知り合いの美女に同行できるのですから。マスターとしては嬉しい事ではないですか?」

「それな! やる気めっちゃ湧いてきてるところあります! イレヴンもサザンカさんも急なデカい仕事だけど頑張ろうな!!」

「うむ。主殿を必ずお守りしよう」

「頑張りましょうね」

 

 新しい次の仕事も決まったということで、イレヴンとサザンカさんにも改めて遠征への同行をお願いした。

 王族絡みのデカい依頼でもあるし、ノインさんとも一緒の依頼だし。やる気も出てくるってもんよ。

 

「……ねえロック。わたしは?」

「ん。リンは……あー…………どうしよっかな」

「おや。マスターらしからぬ……よいのですか?」

「わたしもいきたーい!!!」

『みゃあ!』

「うむ、元気で結構。しかし此度の遠征は一筋縄ではござらぬぞ?」

 

 って話してたらリンがそういえばここにはいました。

 話を聞いてまぁ予想通りに自分も行きたくなっちまったようだけど……どうしたものかな。

 

 いや、普通に考えりゃ当然留守番だ。

 今回の遠征は遊びじゃない。前のケンタウリスとの遠征は半分旅行もあったし、まぁ行くときはそんな危険はない見込みでの出発だったが今回は余りにもワケが違う。

 魔族に支配されてる可能性の高い国に王族と共に向かうのだ。危険が伴う可能性は極めて高い。

 もちろんそこには俺がいてイレヴンがいてサザンカさんもいて、ノインさんも他の王族の護衛もいるし、別に攻め落とそうっていう話ではないにせよ戦闘は十分に考えられる。

 そんなところにリンを連れて行けるはずもない。

 

 の、だが。

 

「…………よし、連れて行くか。リンも大会中は孤児院のガキの面倒見れるくらい大人になったし、魔族との戦いでもシスターと一緒に頑張ってくれた。そのご褒美ってことで」

「ほんと!? やったー!! ロックだいすきー!!」

「いいのですかマスター? いえ、リンにご褒美を何かしら、と言うのは分かりますが……」

「うん、そろそろあんまり過保護になるのも卒業かなって。やっぱ一杯経験させてやりたいしね。二人にはちょっと負担掛けるかもだけど……」

「なんの。主殿が決められたことならば拙者は異論なし。リン殿もしっかりお守りしようぞ」

「……まぁ、私もそこまで反対しているわけでもありませんので。では4人でしっかり準備を整えないと、ですね」

『みゃあ!』

 

 俺はそのような理由を建前として説明し、リンも同行させることにした。

 いや、もちろんご褒美って面もある。頑張ってくれてたのは間違いないしな。

 でもそれ以上に大きな理由で……ちょっとだけ、俺の勘が囁いたのだ。

 

 リンは連れて行った方がいい。

 

 そんな予感がかすめて、俺はそれを無視できなかった。

 まぁ……嫌な感覚はしない。死に別れるなんてことはないとは思いたい。

 もし危険な状態だったとしてもその時は前に出過ぎないように言えばいいしな。

 現地でヤバそうな勘が閃いたらまずミャウと一緒にリンを逃がすようにしよう。それはネレイスタウンの教訓だ。

 でもそれ以外……遠征先で普通に他の国の街並みなんかを観光できればそれはリンにとってもいい経験になるだろうし。

 この国でも極めて希少な種族である竜人のリンを王都や他国の王族の人に紹介するって意味でも悪い選択肢じゃない……と思う、ので。

 同行で決定!

 

「ほんじゃみんなでまずギルド行くか。いろいろ情報仕入れて来ようぜ」

「はい」

「うむ」

「おー!」

『みゃあ!』

 

 諸々を決めて、早速俺たちはギルドに出かけるのであった。

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