勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない! 作:そとみち
イレヴンに包みを開けてもらって左の方からオープンプライス!!
「……まず、両手剣ですね。これは魔族騒動の時にトゥレスが使っていたものですね」
「親父は片手でブンブン振ってたけどね。直剣で使いやすそうだ」
「刃渡りは
「えっと……剣の名前は聖剣『アシュカロン』。魔装具としての機能を備えているほか、竜種に特攻らしいわね、鑑定証明によると」
「むむ! ドラゴンとっこう!! どうりでなんかピリピリするとおもった!!」
「リンにも特攻なんかい! んじゃ俺は要らねぇや危ないし。……ちなみに喋る? 女の子? もしもーし??」
「喋らねぇよカス」
『魔剣全てがインテリジェンスソードではないですしインテリジェンスソードすべてが女性ではないですからねロック』
『私とイルゼが例外中の例外だと思った方がいいわよ』
「ちぇー」
まず一つ目は剣。両刃の直剣でまぁ……真っすぐに剣! って感じだ。
ちょっと持ち手の部分の装飾が煌びやかだな。凄い高そう。
でもまぁ竜特攻がついてるってなるとリンが危ないしサザンカさんはそもそも大太刀ユーザー。二振り目の剣はいらないだろう。
候補外ですね! 次!!
「二つ目は……杖ですね。長さからすれば片手で持てるくらいでしょうか。50cmほどですか」
「飾りも綺麗で……魔力も結構籠ってるね。セントクレア様、どうです?」
『悪くないわね。といっても私の半分も魔力籠められないけれど』
「自慢しとる」
「魔導器系の魔装具かぁ……いや、勿論悪くはないんだけど。アタシたちみんな近接戦闘だからね……」
「俺もちょっとこれはいらないかなぁ……魔法攻撃はイルゼでも出来るしな」
「……次行くか」
二つ目は杖。片手で持てるサイズの杖で使いやすそうではある。
あるけどまず魔導器アンチボディの俺が使えるはずもなく。サザンカさんも魔法は得意ではないと言ってたし。
ティオもカトルもそもそも魔装具既に持ってる勢だから……これはケンタウリス行きやな。マルカートさんとかが使えば有効に使えそうだね。
はいでは三つ目。小さいサイズの包みで今回の本命です。
「……おや、ネックレスですか。アクセサリーですね。これはなかなか」
「わぁ……すっごい綺麗な宝石ついてる!」
「いいわねこれ……お洒落で可愛いし、場所も取らないからよさそう!」
「女性陣の目がキラキラしとる。……カトル、鑑定証明は? どんな性能よこれ?」
「んーと……ついてる宝石は『フレイヤの涙』だって。性能は……おお、すっげえ! 全状態異常耐性50%!? ヤバ!!」
「マジか!? うわすげぇなこれ……ヨシ!! これ俺の候補にします!!」
「えー!? ロックは装備ゼロなのが売りでしょー!? 似合わないよ!? ケンタウリスに献上してよ!!」
「ちょっと今色仕掛けしてでもアタシに譲ってもらうか悩んでるわ
「執念が凄い」
出てきたネックレスだが、素の性能がとんでもねぇ。
一般的にアクセサリーで装備できる指輪とかイヤリングとかでもそういう耐性を持つ装備もいくつかあるけど、大体毒だけとか麻痺だけとかで一つの状態異常に耐性を持つアクセサリーが多い。ポイズンチェックとかだね。
そんな中で全状態異常耐性50%はマジでヤバい。どんな状態異常も2分の1の確率で無効化できるって事だろ? えっぐ。こりゃ魔装具だわ。
これならサザンカさんが装備しても鎧の下に隠せるし動きを阻害しないだろう。これでほぼ決定やなこりゃ。
でも4つ目を見ないで決めるのは早計と言うものである。
最後の包みを開いてみよう。
「では最後……ふむ、盾ですね。なるほど、剣、杖、ネックレスと来て最後は防具ですか」
「小さい……ね? 片手盾かな、40cmくらい?」
「あー……アタシそれ欲しいかも……? でもちょっと小さいかしらね……」
「アルトさんが普段使ってる大盾は体全部覆えますもんね。確かにこれはアルトさんの普段使いの盾と比べるとちょっとサイズが小さいかもな……俺もイルゼ持ちながらもう片手に盾だとバランス崩れちゃうな」
「いや待てカトル。……ちょっと貸してイレヴン」
「え、はい。マスター、何を?」
「いやこれさ……なんか勘が……あ、やっぱあった。この内側にあるボタンだ。ぽちっと……おおッ!?」
さて最後に出てきたのは片手で持てる盾だ。伝説の勇者が持ってそうなやつ。
サーフィンのボードにも使われそうな形って言えばイメージできるかな。
これは明らかにアルトさんしか使えない。俺もティオもカトルも盾持たない族だからな。
しかしサイズ的に大盾使いのアルトさんがちょっと渋っていたところで、俺の勘にビビビンとなんか響いたので手に取ってみると内側にボタンを発見。
それを押してみたら……シャキンッ!! とカッコいい音がして盾のサイズが拡張した。
うっわ(興奮)。
「超カッコいいな!! うわーなんだこれカッコいいー!! 欲しい!!」
「やっばぁ!! ロック、もっかいやってもっかい!! それ戻るの!?」
「マジかよ……サイズ可変の盾かぁ!! えーすげぇ!! ギミック付きの盾なんて初めて見た!!」
「おおー!! わたしもみたい!! しゃきーんって!! しゃきーんってやって!!」
「すっごい子供たちに刺さってますね」
「うむ……浪漫でござるな」
「アタシも普通に一気に欲しくなったけどね? サイズが可変ならむしろ使い勝手上がりそうね……ってか鑑定証明にちゃんと書いてあったわ。サイズ可変に加えて物理も魔法も相当防御力高いわね」
「……おお! もっかいボタン押すとサイズ戻るな!! そして……拡大ッ!!」
「うわー! 貸して貸してロック! 私もやるー!!」
「次俺な! やばぁ……やっぱ変形するのカッコいいよなー……」
「わたしも、わたしもやりたい……!!」
ちょっと俺らにブッ刺さる機能を搭載していました。
普通に欲しい……めっちゃほしいなコレ!! ロマンはすべてに優先されるッ!!
でも俺が持った感じそこそこ重量あるからやはり当然にして俺に装備できるものではないな。悲しい。
サザンカさんなら持つことは全く問題ないだろうけどそもそもサザンカさんの鎧が重装備で盾持つ意味ないからな。
やはりこれはアルトさんが持つべき魔装具だと思いますね。
※ ※ ※
さて。
4つとも確認し終えて、やはり俺が貰う魔装具はこれしかなかった。
「─────ネックレスを頂いていくッ!!」
「げぇー! 狙ってたのにー!」
「まぁ……そうよね。この中で一番取り回しよさそうだし。それで……いくらで買取すればいいの? 団長と交渉する?」
「いや、これは普通に用途あるんでケンタウリスには売りませんが?」
「えっ?」
ネックレスを選び、手に取った。
アルトさんはすっかり俺がメルセデスさんに売るものだと思い込んでいたらしいが申し訳ない。
俺には既に家臣が出来たので。家臣の戦力を整えるのも主のお仕事でござる。
ってなわけで。
「サザンカさん。これサザンカさんにあげるんで。装備してもらっていいですか?」
「───ふむ。なんと?」
「いや。ほら、これから先サザンカさんも魔族と戦うことになるでしょうし。そん時に魔装具があった方がいいでしょ?」
「……な、なんと!? 主殿!? そんな、いや、確かにいずれは拙者も魔装具を手に入れねばとは思っており申したし、この赤備えがそもそも全状態異常耐性5割だからネックレスを装備出来たらすごいぞなどと妄想しており申したが……そんな、よいのでござるか!?」
「マジかその鎧すげえ。それならなおさらお願いしますと言うか、魔族に立ち向かってもらわねば困るというか。サザンカさんの攻撃力は心配ないし、大太刀の魔装具なんて早々ないだろうから……なんでこれを、ってわけです。サザンカさんこれ装備すれば全状態異常完全無効になるんだから完璧じゃないっすか!」
サザンカさんにプレゼントします。
貴重な魔装具だが、だからこそサザンカさんが持つに相応しいだろう。
この女傑が全状態異常無効になって、さらに魔族をぶった切れるようになるのだ。
装備させない理由があろうか。いやない。
「そ、その! 拙者、全身の装備は赤備えにて枠を埋めておるし、装飾品の枠もこの面頬を装備している故……!」
「じゃあ面頬外してもろて。流石にこのネックレスよりも性能がいいってわけじゃないでしょ?」
「し、かし……!!」
「どーせ遠慮すると思ってたからこれは命令でーす!! オラッ面頬スティール!!」
あたふたと慌てるサザンカさんの面頬をシュババッと手癖の悪さを発揮して盗み出す。
虚をつかれて反応できなかったサザンカさんの面頬が外れて、そこから出てきた顔は……真っ赤であった。可愛い。
全くテレちゃってー。全然気にしないでいいってのに。
「はい、じゃあこれ装備してくださいね。鎧の下につけてもらえりゃいいですから」
「……主殿は、いけずだ。うむ、で、では……拙者に、主殿の手でつけてもらえるだろうか? 馴染みのない装飾品故、付け方が分からぬ……」
「いいっすよー。そんじゃ兜も胴も一旦脱いでもらって」
「う、うむ……」
みんなの視線が集まる中で、サザンカさんがおずおずと兜の顎紐を解いて、意外と着脱が簡単な造りになってる胴をかちゃりと外して、デカパイを解放して籠手を付けた紅染めの
身体が大きいからこれだけでもなんかすごい立派に見えるな。鎧を着こむシーンはみんな一度は見た方がいいよ。カッコいいから。
さてそうして椅子に座りなおしたサザンカさんが、お辞儀するように前に立つ俺に頭を下げてくる。
……なんかアレだね。姫様が騎士に剣を首にちょいちょいって当てて誓わせるシーンみたいだ。そういうの異世界転生チートさんの小説で見たことあるわ。
まぁ言うてやることはただの装備の受け渡しだからな。さっさと済ませよ。
「んじゃまぁこのネックレスのここに……留め具がついてるんで、これを繋ぐわけですね」
「ネックレスの留め具は『クラスプ』って言うんですよマスター」
「そうなん? 知らなかった。洒落た名前してんな……で、これを首の後ろでつけて…………はい、こう。できました」
「……確かに、下賜せられました。主殿、心より感謝いたしまする」
「そんな恐縮しないでもろてー!」
そしてサザンカさんにネックレスをかけてあげたところ、照れてはにかむ様な表情を見せてお礼を言われた。
可愛いなこの人! これで21歳のおねーさんなんだから世の中バグってるぜ。デカパイ感謝。
いやぁ……それにしても、しかし。
「……なんつーか、和装のサザンカさんが装備すると和風と洋風で……ぶっちゃけちょっと合わな」
「インパルスニードルッッ!!」
「ツインエッジ・ティオクロスッ!!」
「スピアチャージッ!!」
『みゃあみゃあ!! みゃあああ!!!』
「グゲゴボーッ!?!?」
素直にネックレスを装備した和装のサザンカさんのアンバランスさを評価したら何故か女性陣から全力の攻撃を受けてミャウにもみだれひっかきされて俺はズタボロのぼろ雑巾になった。
なんでぇ……? 忌憚のない意見ってやつっスよねぇ……?
黒髪大和撫子でヒノクニ風の和装のサザンカさんにこの洋風バリバリなネックレスはすごい浮いてるように見えない……?
申し訳なさすら感じちゃうもん俺!! 謝ろうとしたんだけどなぁ!?
合わないプレゼントになって申し訳ないから服の方合わせてみませんか? ってお願いして洋服買いに行くデートの約束取りつけようと思ってたんだけどなぁ!?
分からないよ俺女の子の感情の動きがさぁ……!!
「サザンカ、気にしないでいいですからね。マスターが余りにもクソボケなだけですから」
「そーだよ、落ち込まないでサザンカさん! むしろごめんね!? 私がちゃんとそういう所ロックに教えてなくて!!」
「似合ってるわよそのネックレス!! アタシの分まで大切にしてねサザンカ!!」
「うむ……うむ、分かっており申す……主殿も決して悪気があったわけではないことは……うむ……確かに拙者の和装には似合わぬ装い故な……。常に襟の下に忍ばせておくでござるよ……うむ……」
「ロックお前……まず正座しろ正座。続いて土下座して埋まって死ねお前」
「カトルまで狂暴なのなんなん……?」
「いや……ロック少年は反省するべきだな。馬に蹴られて飛んでみるか?」
「メルセデスさんまでなんなん……!?」
その後めちゃくちゃ何故か反省させられてその後しばらく正座でいることになりました。
なんでぇ?
※ ※ ※
はい。
正座している間に他の魔装具はそれぞれ選んでったらしい。
「じゃあ私は杖にするっ! 私の分はいらないし、ケンタウリスで使うならマルカート副団長とソプラノさんが使えるからねっ!」
「俺はー……まぁ、剣だな。盾は使わないし、アルトさんが持ってってくださいよ」
「あら、いいの? それじゃ有難く盾は貰っちゃうわね。ありがとカトル、アンタはロックと違ってちゃんとレディファーストね」
「まぁそもそも魔装具はイルゼがいますしね、俺には。なんならこの剣も誰かに譲りたいくらいですよ」
「む。なら私が買い取るぞカトル少年。言い値で結構だ」
「求めますねメルセデスさんも。でも機会は冒険者みんなに平等に与えられるべきじゃないですか? ……ってわけでぇ……今からこの魔剣をオークションしまーす!! 欲しい人から値段言ってってくれ!!」
「む……なるほどな。ならばまず500万Gから行こう!!」
「おっとなら俺は800万Gだ!! 剣使いにとっては垂涎ものだからな!! いっくらでも出すぜ!!」
「ぐおお……1000万Gでどうだ!!」
「1100万G!!」
「1500万……!! 限界の底まで行く……!!」
「カトルくんから剣がもらえるなら1600万G突っ込んじゃおっかなー!!」
「ぬぅ……2000万まで出すか……!?」
「だ、団長ちょっと! よく考えましょう!? 長剣使えるメンバーはウチにいませんからね!?」
「シミレも双剣使いだし……分が悪いと思いますよ団長。そもそもウチのクランは2つも手に入れてるんですから……」
「1650万Gだ!!」
「1700万!!」
「1850万!!!」
話の流れでカトルが魔剣の競りを始めてめっちゃ盛り上がってるが……まぁそれもさもありなん。
とうとう魔族との戦いが本格的になろうって時期だ。魔装具を手に入れることは冒険者全体の急務になった。ケンタウリスは以前から求めてたからその分早く揃えられてるけど、実際レアな装備であることは間違いないしな。
「さて、と……」
盛り上がりを尻目に俺は立ち上がり、脚のしびれを解しつつもギルドの受付の方へ向かう。
まだまだタスクはいっぱいありますからね。
現状の魔族関係の噂話とか色々情報仕入れときましょ。