勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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78 伝説のデカパイドラゴン!!

 

 王族の3人は魔導馬車で、それ以外はそれぞれ歩いて王城から王都の正門まで移動し、そこに駐屯していた騎士団の幌馬車と合流。

 王族3名、護衛が俺ら4人とヴァリスタさんカトルの2人とヒルデガルドさん、グランガッチの人たちを輸送する騎士団が10名、輸送されるグランガッチの人たちが冒険者8名、観光客10名。あとノインさんの付き人のルドルフさんが魔導馬車の操縦して。

 合計で39人。かなりの大所帯での遠征だな。

 馬車の数は王族用の魔導馬車が1台とグランガッチの人たち運搬の2台。騎士団が全員騎馬なので馬が10頭。

 うん。すげーなこりゃ。

 

「まぁ俺らはいつもの如くいつもの移動方法になるのだが」

『みゃあ』

「今回は馬車に速度を揃えなければいけませんね。では───エクスアームズ02『トランスフォーム』!」

 

 さて城門を出て早速俺は普段着のパーカーに着替えて、イレヴンにはバイクに変形してもらう。

 我が愛馬イレヴンバイクにガシャコガシャコと姿を変えて……しかし、今回はちょっとオマケつきだ。

 

「おお!! これが噂に聞くアンドロイドの変形か!! ハハハ、成程ワケがわからぬな!!! 体積どうなっているのだお主は!!!」

「マジおもろー!! 絶対元の体の5倍くらいのサイズになってるじゃんウケるー!!」

「ほう……11番目はこのような形になるのか。かつてのアンドロイドと比べて随分機械的な見た目になったものだ」

「……ん? あれ!? イレヴンさんなんか変なの増えてるねソレ!? なにその横のやつ!?」

『これは新しく機能解放したエキストラパーツですね』

「サイドカーって言うんだぜカトル」

 

 初見のアンドレ様とアンナ様が驚きの声を上げ、150年前の他のアンドロイドを見ていたヒルデガルドさんからは形が違うと感想を貰って。

 そして目ざとく変化に気付いたカトルに説明した新しいパーツ……サイドカーについて。

 

 サザンカさんが仲間になり、この遠征が決まった後で……バイクの搭乗人数が増やせないかイレヴンに相談していたのだ。

 リンとサザンカさんがパーティとして組むとなると、一応定員が二人乗りであるこれまでのバイクでは運びきれない。サザンカさんはお体でっかいしリンも尻尾と羽根がでっかいから三人で無理矢理乗るって手段はとれないのだ。

 なので3人以上運べる手段を……と相談したら、これまでのバイクにサイドカーを付け足す方向の機能解放と、別の形……自動車とかに変形できるようにする二つの方法があるということで。

 ただ消費スキルポイント聞いたら自動車への変形は結構ポイント使うらしかったので、2ポイントで済むサイドカーの追加にしたのだ。

 

 ちなみにサイドカーは左右に1つずつで計2つ装備している。

 サイドカー1つにつき2人まで乗れるからバイク本体で2人乗りすれば最大6人まで運べるぜ。

 その分運転者の魔力消費が激しくなるけど同乗者の魔力も併用できるからそんな困ることはないだろうな。

 そもそも女の子乗せてれば俺の魔力は底知らずなのでやはり問題ない。

 

「ふむ、イレヴン殿の変形……話には聞いており申したが、初見にはすさまじい衝撃でござるな」

「かぜをきるのがきもちよい! サザンカもきっときにいる!」

「おお~! ……すごいな~、いいな~……私もそっちに乗ってみたいな~」

 

 サザンカさんも初見なので流石にこの変形には驚愕したようだ。

 そして魔導馬車の中からすっごい羨まし気に……というか、助けを求める目で此方を見てくるノインさん。

 ……そういえば家族とお話しするのが苦手だって言ってたっけ。今あの魔導馬車の中にはアンドレ様とアンナ様がいて、どちらも会話の圧が強いタイプだ。

 確かにずっとあの中で片道三日を過ごすというのはノインさんも大変だろうな。

 助け舟を出すか。なんてったって俺はノインさんの騎士だからね。

 

「よければノイ……ノルン様もこちらに乗ってみますか? サイドカーもあるので転倒の心配もありませんし、風を感じられて気持ちいいっすよ」

「いいんですか~!! やった~ロックくんありがと~嬉しい~!! じゃあお願いします~!!」

「ハッハッハ!! 我が末妹(まつまい)に男の影が欠片もなく心配していたが……うむ、杞憂であったようだな!!」

「おーいロックちーん、あーしもソレ乗ってみてーわー!! 後で乗せてなー!!」

「モチのロンですよォ!! アンナ様もいつでも言ってください!!」

「姉上も乗られるか!! ならばロックよ!! 俺も乗りたいぞ!!」

「申し訳ありませんこれ女性専用なんですよアンドレ様」

「む!! そうであったか!!! なら致し方なし!!」

「騙されてますよアンドレ様。俺も乗りましたからねイレヴンさんのバイク」

「カトルはギリ女子枠ということで何とか誤魔化しきりたい所」

「おいコラ」

『みゃあ……』

 

 お誘い申し上げたら満面の笑みで魔導馬車から飛び出してくるノインさん。可愛い。

 そのまま俺の後ろにぽよんと座って、フードに入ったミャウが間近でノインさんに挨拶する。

 そして俺の腰にノインさんが手を回してきて、背中にむにゅりと柔らかい二つの圧が生まれた。

 すごい(感動)。

 とうとう高貴ワガママデカパイボディが触れる瞬間が来てしまったか……。

 

 遠征は行きで3日。帰りで3日。

 この間俺は正気を保ち続けることができるだろうか。

 思えばこれまでは長時間の運転の時はティオかリンしか後ろに乗せなかったからな。ケンタウリスのみんなも交代交代で乗ったけどあれはそんな長時間じゃなかったし。

 大丈夫なのか俺は? 

 まぁなんとかなるやろ性欲ッッ!!!

 

『うわ急に魔力が来た……相変らずねっとり濃いのを注いでくるなぁ……もう……』

「では拙者らはサイドカーなる方にお邪魔いたしまする。……甲冑を着たままでは幅を取ってしまうでござるな。脱がねば……」

「おー! なんか……ひくい!! スリルまんてん!!」

『みゃあ!』

 

 サイドカーにもサザンカさんとリンが乗り込んで、ブルルンとバイクのエンジン音を鳴らして出発する。

 魔導馬車も騎士団の馬車もそれに合わせて出発し、遠征が始まった。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

「こういうの憧れてたんですよね~……男の子が運転するバイクの背中に乗って、みたいな~……ふふ、素敵ですね~……」

「耳元で囁かれると俺の堪忍袋の緒がどんどんか細くなっていくんすけど!! 切れちゃいそうなんですけど!!」

「ん~? ふふ……切れたらどうなっちゃうんですか~?」

「ノインさんなんか積極的じゃない!? 心臓のドキドキ凄くてよ!?」

「えへへ~……ロックくんもドキドキしてくれてるんだ………?」

「あっあっホェッ」

「……なーんちゃって~! 冗談ですよ~、恋愛小説みたいなことしてみたかったんですよね~! テレちゃいました~?」

「いたいけな少年をからかわないでほしいっすなァ!!」

「…………」

『…………』

『みゃ……みゃ……!』

 

 しばらくバイクで走ってたけどなんかノインさんがすっごい積極的ぃ!!

 こういう冒険憧れてたもんなノインさん……イレヴンバイクの件も乗りたいって前から言ってたし。それでテンションが上がっておられるのだろう。

 なんか……すごい……いいのかなぁ俺なぁ!? こんなにデカパイに囲まれててなぁ!!

 さっきからサイドカーの方からじーっとサザンカさんがなんか俺らを見てる気がするし!! 心なしか乗ってるイレヴンからも圧を感じるし!!

 そりゃまあ間近で俺みたいなやつが急にいちゃこらしてたら何やってんだ……って気持ちになるだろうな。俺もなってる。

 全てはデカパイに弱すぎる俺が悪いんや……!!

 でもイレヴンもサザンカさんもデカパイだから大好きなので許してほしい。

 平等にいつもデカパイを狙ってるしサザンカさんも俺の背中に乗ってほしいなと思ってるから。

 

「でもこれ……長い事乗ってるとお尻痛くなりそうですね~。結構揺れます~」

「街道とはいえ王都の路面ほど整地されてませんからね。俺は慣れましたけど……数時間も乗ったらサイドカーに移動してもらってもいいですよ。そっちは座席ふわふわなんで痛くならないはず。リンとサザンカさんは乗り心地どう?」

「さいこー!!」

「うむ、楽な姿勢でいられて実に好い。ノルン殿のお尻が悲鳴を上げたら拙者が交代しようぞ」

「有難うございますサザンカさん!」

 

 ちょうどよくそんな話題になって、交代した暁にはサザンカさんのダイナミックデカパイが俺の背に預けられることが確定して内心でガッツポーズ。

 思わず魔力注いでちょっと加速しちゃうわね。性欲に応じて加速するイレヴン面白いなちょっと。

 

 まぁそんなくだらない話しながら順調に走っていく。

 馬車の速度に合わせてるから3~40キロくらいまでしか出せていないが旅は順調。

 しかし当然にして街道沿いにも魔獣は出る。それを感知するのは護衛の仕事だ。

 

「────ん。止まって!! いやがるな、それなりの数! 群れか……!!」

 

 勘に響いた接敵の気配。

 同時にバイクにブレーキをかけて停止。俺の声に伴い、魔導馬車とその後ろの幌馬車、および周囲の騎士団の馬たちも止まってくれて。

 続いて俺以外の有力な冒険者たちが、近づいてくる群れの内容を察知する。

 

「……ラムウルフだな!! 前方の茂みに隠れている様だ!! 気配がする!!」

「イルゼの熱量感知でも確認、20匹かそこらってところっす! ラムウルフか、頭からでっけぇツノが生えてる狼……野生でもこの辺にいるんだなぁ」

「……うむ、いるな。高所から見ればはっきりだ。低い茂みで巧く身を隠しているが……24匹」

 

 ラムウルフ。群れる狼タイプの魔獣で、強さは銅級でも倒せるレベル。

 動きがそれなりに早くて頭からツノが生えてて、噛みつきとツノアタックで攻撃してくる魔獣だ。

 つまり雑魚である。このメンバーで負ける未来はない。

 

「ふむ……では早速腕を振るおうか」

「おー! わたしもやる!!」

 

 サザンカさんとリンもサイドカーから降りて、俺はノインさんを守るためにバイクに乗ったままだが……まぁしかしノインさんも超強いしな。

 時間をかけるまでもないわ。誰が突っ込んで速攻で退治するかって話だ。

 街道で出現するザコ魔獣ならこの王都最強といっても過言ではないメンバーで苦戦するはずもなし。

 

「群れが散らばっても面倒だ、私がまとめて殺る。リン、竜人の戦い方をよく見ておけ……この程度の魔獣如きに爪もブレスも使う必要はない」

 

 さて戦闘態勢になったヴァリスタさんやサザンカさんを差し置いて、リンのそれよりも大きな竜翼を羽搏かせてヒルデガルドさんが群れのいる方に凄まじい速度で飛んでいった。

 リンが全力で飛ぶ姿は何度か見せてもらっているが、それよりも速い。

 一瞬で詰まった間合いにラムウルフに動揺が走った瞬間に。

 

「───ッゴアアアアアアァァァッッッ!!!」

 

 ヒルデガルトさんが雄叫びを放った。

 逆鱗とも呼ばれる竜人特有の強靭な喉より、圧を籠めた叫び声を放つヒルデガルドさん。

 ブレスを吐いてすらいない。しかしその声は余りにも圧倒的な力量差を……種としての強弱を理解らせてやると言わんばかりの音の震えをもってラムウルフに降り注ぐ。

 その声を聞いただけで、ラムウルフが失神を超えて────死んだ。

 光の粒子になり消えていく。魔獣の死の証明だ。

 恐らくは心臓が止まったのだろう。

 余りの恐怖に、死を確信させるほどの圧のある叫びに、生きる事すら諦めさせてショック死させたのだ。

 

 怖。

 え、成人した竜人怖い。

 いずれアレをリンも出来るようになるんか? もっとお淑やかに育ってほしいのだが??

 

「ううむ……お見事! 種族差というものを感じてしまうな!! あれは私には出来ぬ芸当だ……!!」

「声の飛ぶ範囲も指定できるんだなぁ……リンちゃんのブレスよりも広範囲に瞬殺できる。ドラゴンシャウトってところか。すげーや」

「見事也。ふむ……あの声、どれほど己に通じるか試してみたいでござるな……」

「流石はヒルデガルドさんですね~。竜人の特性を活かした戦い方……現竜人族最強の名は伊達ではないです~」

 

 それを見たみんなも驚きと共に感想を零す。

 広範囲への攻撃って言えばカトルなんかもイルゼ使ってやることもあるけど……広範囲の魔法ってかなり魔力を必要とする、ってマルカートさんが言ってたな。ヴィネアの魔力砲はアレかなり規格外の威力だったらしい。

 そんな中で、魔獣相手という対象を選ぶ特性はあるものの、狙いも定めずに声だけで殺せるドラゴンシャウトは雑魚狩りに便利すぎる。

 消耗もブレスより少なさそうだな、けろりとしてるヒルデガルドさんの様子を見ると。

 

「おおー……すごい、すごーい!! ヒルデ、それどうやるの!?」

「喉を鍛えろ。竜人の喉はブレスにもシャウトにも使う重要な器官だ。竜翼や竜爪と同様に、鍛えて強くなれば強くなるほど竜人は体も成長する」

 

 さてそんな活躍を見せたヒルデガルドさんの様子にリンが興奮して声をかける。

 ばさりと竜翼を羽搏かせてリンに近づき、ヒルデガルドさんが竜人だからこそできるアドバイスの言葉をかけた。

 ってか何? 竜人っていっぱい飯食べて時間が過ぎれば成長するんじゃなくて強さで成長率って変わるの? 初耳なんだが??

 どおりであんまり身長伸びてなかったわけだよリンお前あんなに食べてたのに!!

 レベル上げると進化するタイプのポケットなモンスターだったんかい!!

 

「おおー、なるほど!! ……どーやってきたえるの?」

「む、そうか……庇護下では中々その機会もないか。……リン、強くなりたいか?」

「なりたい!! まぞくをたおせるくらい……ロックをまもれるくらい、つよくなりたい!!」

「ちょっと泣くわ」

『愛されていますねマスター』

 

 したらリンが強さを求めて、その理由に俺の名前が出てきて……ほろりとしちまいますわ。

 パパ胸が熱いよ……!

 絶対にリンは俺が守ってやるし、俺が困ってる時はリンが助けてくれたら嬉しいぞ……!!

 

「そうか。……ロック=イーリーアウス、遠征中はリンを私に預けろ。コイツはもう心は大人だ。体が追い付いていないが、そこを私が鍛えてやる」

「俺は全然OKっす! あとはリンがどれくらいまでやれるかってところで!」

「がんばる!! そのかわりごはんはいっぱいたべたいです!!」

「ならばそこは拙者が主殿と共にしっかりと準備いたそう。同種の先達に教えを受けられるよき機会、頑張るでござるよリン殿」

「うん!! ありがとサザンカ!!」

 

 そうしてヒルデガルドさんにもリンの修行のお約束を頂いて、この遠征中はリンのレベルアップ大作戦が並行して行われることになったのだった。

 

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