勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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79 グレートツーリング(デカパイ特盛)

 

 その後、時間もよいくらいの頃だったのでそのままお昼に突入。

 野営になるわけだが騎士団が準備してきた食材の他、勿論俺ら護衛組もそれぞれでキャンプ道具を準備している。

 リンを同行させることを決めた時点で食材は余分に詰んだからな。あとは料理するだけよ。

 

「わぁ~……!! サザンカさんの作った料理美味しいですねぇ~!!」

「ム!! この味……王城の調理人の作るものよりも美味!! 野営でこれとはなんたる腕前か!!」

「ヤッバ!! えっコレ美味いなー!! マジで美味(うま)!! うわー人妻として見習いてぇわこれー!? どするん!? どやって作ったんー!?」

「とにかく手間を細心に。あとは料理は愛情だと母に習い申した」

「……ッ……!! ッ……!!! …………!!!!!」

「うまい!! やっぱりサザンカのりょうりはうまい!! うまーい!!」

「竜人二人が一心不乱に掻っこんでおる」

『みゃあみゃあ!』

 

 サザンカさんの料理がとにかく大好評でした。ドラゴニュート二人で50人前くらいは食べてませんか??

 ヒノクニでは常に旅する生活をしていたサザンカさんは野営食でもその腕前を存分に披露。

 万全に料理できるようにちゃんと器材買って整えておいてよかったわ。

 やはりお嫁さん力が高いなサザンカさん。嫁に来てくれねぇかなぁ。

 

「ホント毎日食べても飽きないわこの味。んまいですサザンカさん」

「う……む。主殿に喜ばれるのが何よりも嬉しく思うでござるよ」

 

 なのでそんな気持ちを込めて美味しいって伝えたら微笑んで返してくれた。可愛い。

 

「イチャつきやがるなロックの野郎」

「ふむ。隠し味も混じっていたな、この美味さは」

 

 俺の耳にも聞こえないくらい小声でなんかカトルとヴァリスタさんが呟いてた。

 なんや。俺の嫁(希望的観測)の料理になんか文句でもあんのかコノー。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 

 はい。

 遠征の旅路はその後も特段の問題は起きず、順調に進められていた。

 

「そーいやノインさん、異世界転生チートさんの新刊読みました? 今回も最高でしたよねぇ!」

「もちろん読みましたよ~! 面白かったですよね~、ロックくんはどのあたりがよかったですか~?」

「そっすねぇ……続きもののほうの新刊2冊まとめて読んだんですけどやっぱ熱かったのはボス相手の覚醒のシーンですかねェ……!! 準主人公キャラが過去のフラグ見事に拾って覚醒してからのまさか取り巻きのサブキャラまで覚醒して3人でボスに肉薄するとは思わないじゃないっすか……!! あそこマジで好きでェ……」

「わかる~!! サブキャラのほうの覚醒もきっちり過去の言動からフラグ拾ってるの本当によかったですよね~!! メインキャラなしであそこまで盛り上がるのすごいですよね~!!」

「あそこに至るまで長い物語があったからこそ描ける展開ですよねマジで。ここまで読み進めてくれた人へのご褒美みたいな怒濤のフラグ回収すき。あとは新作の方ですけどあっちはちょっとこれまでの作品とは毛色違う感じでしたね、めっちゃ面白かったけど」

「……へ? …………新作?」

「おっと。もしかしてノインさんまだ未読だった? 一緒に出てましたよね新作。タイトルが『秘密×秘密のプリンセス×プリンセス』ってや───」

「ほああああ゛あ゛あ゛あ゛!?!?!?」

『みゃっ!?』

「オッヘ!? 急にどうしたのノインさん!? あっ大丈夫ですよネタバレとかはしないんで!! ノインさんも読んでからまた感想戦にしましょうね!!」

「はっ、い、そう……ですね~……? ……あ、ロックくん。急で悪いんですけど思い出したことがあるので私ちょっと魔導馬車に一度戻りますね~……?」

「アッハイ。じゃあバイク止め……って飛行魔法使ってまで飛び降りる!?」

「おお、見事な飛行でござるな」

「イレヴンよりもはやーい」

『流石は王族ですね』

 

 道中で異世界転生チートさんの作品の感想戦を堪能してたらノインさんが急に魔導馬車に戻って、運転してるルドルフさんとすごい剣幕で話してた。

 こっちに音が漏れてないから遮音の魔法とか使ってたのかな。馬車の中に乗ってるアンドレ様たちにも聞かせられないような話か。

 あー……そうか、新刊をルドルフさんが買いそびれたのかな? 秘密でルドルフさんに買いに行かせてたけど新刊の買い漏らしがあったってことか。納得。

 なんかルドルフさんがめっちゃいい笑顔だけどどういう感情ですかソレ。

 

 何故かその後ノインさんがしばらく口聞いてくれなくなった。

 そんなショックだったのかな新刊読めなかったの。わかるよ。

 

 ・

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 ・

 

「───よいかリン。竜翼での飛翔は当然にしてお前も理解している通り、翼を動かす風圧だけで浮力を生むのではなく、体内に循環した魔力を飛行魔法と同様の術式で翼に通して編み出すことで推力を得ている」

「うん、わかってる!」

「だが竜翼は人間や他の種族よりも空を飛ぶための魔力回路に特化した造りになっている。最優の翼なのだ。故にその使い方は通常の飛行とは一線を画す。()()()()穿()()()()()()()。それが正しい使い方だ」

「……うん。うん? そらに、くさびをうがつ……?」

「む。言葉では中々理解はできぬか、この感覚は」

「いや、ことばがむずかしくて。にんげんのことばはちゅーしょーてき!」

「む。…………korenarabawakaruka?」

hai。konogenngonohougayokuwakarimasu

yosi。dehaaratamete、soranotobikatadaga。tubasaniyorumaryokuhousyutudekuutyuunikusabiwoutisonohandoudehoukoutenkannsurunoda。sousurukotodebuturihousokuwomusisitetoberu

naruhodo、wakarimasita。yattemimasu

umu。watasigamihonwomiseteyarou、onaziyounitoberuyouninattemiro!

「……二人が何言ってるのかさっぱりわからん」

「竜族の言語ですね~。翻訳が凄い難しい言語で有名なんですよ~」

『みゃ……』

 

 また、道中ではリンは空を飛ぶヒルデガルドさんに並走して飛ぶようになり、竜人としての飛び方、戦い方について厳しい指導が続けられていた。

 リンも孤児院でそりゃガキたちと一緒に体育の時間に多少鍛えてはいたし、そもそも前にケンタウリスとの冒険でも同行できたように元から強いのだが……しかし、竜人としての才能を磨く方向での鍛錬というのは経験がない。

 なにせ竜人がいないのだ。ヒルデガルドさん以外に同種がいない。竜人としての強さを学ぶのであれば最高の見本がいるのだから、この機を逃す手はないな。

 毎日ヘロヘロになるまで飛んで空中で模擬戦して……とリンにとっては実に大変な旅路となったが、得るものはとても大きいようだ。満足感に溢れた表情を見せてくれている。

 なので食事量が30人前まで増えてもパパは許すよ。立派な竜人になって育つんだぞ。ぜひヒルデガルドさんみたいなデカパイボインボイン竜人になってくれ。

 因みにヒルデガルドさんにもリンの成長の件を聞いたけど、身長とかの成長は個体差があるから自分程リンが育つかどうかは分からんとの事で。

 才能は自分以上にあるから将来が楽しみだ、とも言ってくれていた。がんばれリン。

 

 ・

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「───ぜぇェェいッ!!!」

「ふっ!! ……なるほど、一撃が重い。当たれば相当な威力となるでしょうね」

「むぅ! 流石は伝説のアンドロイド、強いな!! 武装に頼らずとも素の動きがたまらん!! 戦闘センスの塊か!!」

「彼女は強いよアンドレ。体も硬く、その上で動きも早く、オマケにどんな武装が出てくるか分からぬときた。武装に拡張性もある……流石だよ。まぁ尤も私やサザンカ殿と比較すれば対人戦という面ではまだ付け入る隙はある」

「イレヴン殿は拙者らよりも魔族に対しては特効でござるが、対人相手の尋常の勝負ならば……といったところでござるな。そういえば拙者は結局魔族に操られてしまっていた故にイレヴン殿と雌雄を決することはできていなかったのだよなぁ……試したいなぁ……」

「サザンカさんの欲望漏れてる。ほどほどにしてやってくださいね」

『みゃあ』

 

 遠征といってもずーっと移動しているわけではない。途中でほどほどに休憩を入れるのがデキル遠征スタイルという物。

 で、今もそんな休憩中なのだが……アンドレ様が腕自慢が集うこの場で組手をしたいと切り出して、それぞれが相手しているのだ。

 まずヴァリスタさんが普段よくやっているという話で初手を務めて、おおよそ実力も見えたあたりでサザンカさん、ヒルデガルドさん、そしてイレヴンの順番で相手をしているところだ。

 アンナ様とノインさんがそれぞれ回復魔法も使えたので多少の怪我はセーフ。当然にしてみんな必殺技は封印しながらの模擬戦となっている。

 

「こん中じゃあ俺が一番弱いよなぁ……みんなの組手見てると実力不足を痛感するわ」

「闘技大会3位がなんかボヤいてる」

「うるせぇぞ優勝者」

「みんなげんき……もぐもぐ」

 

 なお俺とカトルはバイクの運転とバーストダッシュによる移動で走ってるのであんま疲れたくないっていう理由で組手は遠慮。

 リンはヒルデガルドさんの指導での疲れを間食することで癒していた。

 マジでよく食べるなコイツ。もしかしてレベル上がると食事量増えるのか? 将来が恐ろしいぜ。 

 

 ・

 ・

 ・

 

 そして夜。

 当然にして移動はしなくて、みんなで野営をして過ごしているのだが。

 

「───それじゃあロックくん、そろそろ寝ましょうか~」

「アッハイ……ええ? なんでぇ?」

「うふふ~、そんな緊張しないでくださいよ~。同じベッドで寝るわけじゃないですし~」

「いや。いうても……なんで同じ小屋で寝ることになったんですかね俺ねェ!?」

「だって~、ロックくんは私の騎士であり護衛なのですから~。もし襲われたときに私の傍にいてくれないと駄目じゃないですか~?」

「てっきりテントの前で見張るとかそういう在り方だと思ってたんスよねェ! ちょっと……15歳の童貞には刺激が!! 強くて!? 己を見失いそうというか!? ネグリジェ綺麗ですね有難うございますウヘッヒ!! 俺にどうしろというんですか!? 土下座で許されるようなものですか!?」

「うふふ。…………一緒のベッドで、寝ちゃいます?」

「取り返しがつかなくなりそうだからせめて帰り道にもう一度悩ませてくださいね!! 今日はおやすみ!!」

「ちぇ~いくじなし~」

『みゃ……』

 

 野営をしたうえで、騎士団はそれぞれテントを建てて交代で見張りをしてくれているのだが……何故か俺は王族たちがそれぞれ所有するアイテムボックスに準備していた小型の小屋の、ノインさんの御部屋にお邪魔することになっていた。

 アンドレ様もアンナ様もそれぞれ護衛が小屋の中で寝所を共にしている。向こうはみんな同性だからいいんだろうけどさ。アンドレ様の小屋だけは絶対入りたくないけどさ。

 でもノインさんだけ異性じゃん!! いいよ俺外で寝るから!! 代わりにイレヴンとかサザンカさんとかリンとか置いてくよ!!!

 俺にとって大切な存在であるノインさんとこんな勢いで同衾するつもりはないよそういうのはちゃんと手順踏んでもっとお近づきになってからだよ!!!

 って主張したんだけど何故か逆に興奮し始めたノインさんのおねだりに負けてこうして壁に向かって正座して己の可能性の獣と脳内で勝負を繰り広げているのが今の俺です。

 

 どうすんだよ……ついさっきノインさんが使う清浄魔法で体も清められちまったしよ。

 完全に据え膳じゃん。この場合俺が据え膳なのかノインさんが据え膳なのか分からないけどさ……ってかノインさんは絶対俺をからかって楽しんでるだけだと思うんだけどさ……!!!

 もっとこう……こうさぁ!! 魔族のお膝元になってる可能性のある所への遠征中とか真面目な時じゃなくてさぁ!! 平和で気兼ねなくドスケベ出来る時にこういうシチュになってほしかったよねぇ!!!

 

 結局ノインさんのベッドの方を振り向く勇気はなくてそのまま壁を向いて寝袋で寝たよ。

 眠れるか心配だったけどバイクの運転の疲れも存分にあったし目を閉じたら割とぐっすりだったよ。安眠は連続運転のためにはとても大切。

 

「……いくじなし……♡」

 

 ぐっすり寝てる時にノインさんが何やら呟いたような気もするけど完全に寝てたので聞こえてませんでした。そういうことにしておこう。

 

 なお翌朝めちゃくちゃイレヴンとサザンカさんに手を出してないか念入りに確認されたけどしてないです。潔白です。まだ童貞です。

 悲しくなるからやめろよ俺にその辺説明させるの。

 こんなチャンス二度とないって俺もわかってるけど俺の中のヘタレな部分が正論吐いてくるんだよ姫様に無礼は働いてはいけないってよ……!!

 我ながらヘタレが過ぎるけどこれで性欲丸出しでノインさんに嫌われても嫌だし……俺は紳士だし……(震え声)。

 

 

 

※    ※    ※

 

 

 そんな感じで。

 色々あったけどおおむね平和な旅路を過ごして、そしてとうとうグランガッチまでたどり着いた。

 俺の勘は近づけば近づくほどに嫌な予感を感じ取り始めていて。

 まぁ間違いなく一悶着はあるだろうな。行き当たりばったりで何とかしていくしかねぇぜ。

 

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