勘のいいガキはデカパイハーレムの夢をあきらめない!   作:そとみち

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97 どうして女子に囲まれてる時に限ってお前ら襲撃してくんの?

 

「違くてェ……」

 

 俺はホエール山脈の頂上、この世界で最も高い標高の地面に正座をしていた。

 周りには体長50m超を誇るギガントデカパイ(願望)のノワールさんに、我が愛娘リンに、その義姉であるヒルデガルドさんだ。

 すげぇよな。この標高で正座したやつ俺が初めてだと思うしドラゴン3人に囲まれて説教されるっていう経験したのも俺が初めてだろうな。

 

「ロック……わたしをたすけてくれたとき、いってたよね? つがいにしてくれるって」

「確かに大きくなったら俺の嫁になってくれって叫んだけど言葉理解してるとは思わなくてェ……ってかあの時まだ人の言葉覚えてなかったよなお前な?」

「ことばのおとはおぼえてたからしらべたもん。あと……きもちはつたわったから」

「嬉しさ半分恐縮半分でェ……」

「我らドラゴン及びドラゴニュート・オリジンは人の嘘を感じ取るスキルを生まれながらにして持っているからな。裏表のない者を好ましく感じるのはドラゴンの共通の嗜好だ」

「いきなり新しい設定生やさないでほしくてェ……」

 

 そして問い詰められているのはリンのつがい発言についてである。

 知らなかったんだ……俺はリンがそんな性的関連についての情緒が育ってるって知らなくてェ!!

 ヒルデガルドさんを見てたこともあってドラゴニュートってみんな大人になったらナイスバディのむちむちドスケベボディになるもんだって思っててェ……!!

 確かに一部はむちむちだけどさ!! 既にこの身長で成長しきってるとか思わねーじゃん普通!! 合法ロリ巨乳なのかよ!!

 お年頃の若い女の子だったのかよリンお前……!! むしろ言ってくれよ完全にティオと同じ感じで家族で娘だと思って育ててたわ!!

 

『ロック=イーリーアウス。我が子に求婚をしたのであれば責任を取るのが道理であると考えますが……この子を貴方はどうしたいのですか』

「そりゃもちろん将来的にはお嫁さんにしたいとは思っててェ……!! でも俺のハーレムの夢も捨てがたくてェ……できればここにいるみんなで爛れた関係になりたくてェ……」

「ここで取り繕う言葉を出さないのがマスターらしいというか」

「裏表がないという点においては世界に誇れる逸材でござる」

『みゃあ』

「わたしはね、ロック。いつもロックがハーレムだーっていってるのもきいてるし、それはいやじゃないよ? わたしとロックがつがいになって、イレヴンともサザンカともつがいになって、ノインやティオともつがいになるんでしょ?」

「ティオは妹なんでどうかなとは思うけどまぁおおよそその通りでェ……でもみんなの気持ちをないがしろにもしたくなくてェ……」

「ヘタレか。お前はノルン王女にキスまでされていたではないかロック=イーリーアウス」

「未だに夢じゃねぇかってあれも思っててェ……!!」

「わたしもロックのことだいすきだからキスしたんだよ?」

「リンの想いに気付けてやれてなかった俺が恥ずかしくてェ……!!」

『はっきりしなさいロック=イーリーアウス。私からリンを奪うと言ってのけるくらいの気概は見せられないのですか』

「まさか親御さんから直々に言われるとは思ってなくてェ……!!」

 

 苦しい……苦しい立場に立たされている!!

 リンのほうでハーレムOKえっちOKだと思ってくれてるとここで俺もようやく理解したけどまだ俺の方の気持ちが追い付いてないんよね!! 置いてかれてるからね!!

 それにノワールさんが言う通り、そこまでリンに言われれば俺だってリンを離したくない気持ちも強くなって。

 どうすればいいんだ俺は。整理しよう。

 

 リンの事が好きか?

 好きです。

 家族愛として? それとも性欲?

 どっちも。肉体年齢大人だとわかれば躊躇わん。

 リンと離れてもいいのか?

 いやです。

 

 結論出たわ。早かったな。

 整理整頓得意かもしれん。

 では、よし。

 

「お義母さんリンを俺にくださいッ!!!」

「ロック……!」

『……言うは易し。ですが闇のマナの管理の件をどうするつもりなのですか。魔王軍は復活してしまっている……ここで闇のマナを氾濫させてしまえば、人類は滅びてしまいます』

 

 俺の決意をノワールさんに向けて叫んだところで、しかしここまでのヘタれ分を差し引いても良い返事は返ってこなかった。

 まぁ当たり前の話ではある。が、そこも考えたらシンプルな話だった。

 

「あと2年はもたない、って言ってたけどもう少し時間はあるってことですよね。()()()()()()()()()()()

『……!』

「そうすりゃノワールさんの負担も減るってことですよね。闇のマナだって管理の仕方とかリンにじっくり教えられるかもだし……そこから先のリンとの時間を俺にください」

「……マスター」

「うむ、実に主殿らしい答えなり」

「ドラゴニュートの感じ取る嘘の香りが全くしない……これを本気で言えるのがロック=イーリーアウスという男か」

 

 ようは魔王と魔王軍倒せばいいんだろ!

 そうすりゃ闇のマナ管理も負担減るんだろうな。魔王軍は管理人を疎ましく思ってるってのはカリーナから聞いてるし。

 そんでまさしくそれを今俺たちが……ノインさんたちオーディンの王家が動いていることだ。

 結局やってることは地続きの話だったんだよ。今やってることをやり遂げるだけ。

 

 結論!!

 魔族滅ぼして世界に平和を取り戻してリンといちゃいちゃする!!

 以上!!

 

『……それこそ、言うは易し。魔王に本当に勝てるとお思いですか、貴方は』

「いやそもそもの話で俺魔王軍に狙われてるんでそれを成し遂げないと死ぬんすよね」

『なんと?』

 

 だがそんな俺の言葉にノワールさんはまだ懐疑的だ。

 まぁそらぁな。いきなり娘連れて来た男が世界救いますとか言い出してそれを急に信じられたら逆にビビるわ。

 でもそもそもそれをやらないと俺が死ぬんよね! なんか俺狙われてるしね魔族にね!!

 

「だから俺自身生き延びるためにも本気で魔王軍滅ぼすつもりですし、勿論俺だけじゃなくて相棒のイレヴンや助けてくれてるサザンカさん……ノインさんたち王家の方々や王都の冒険者たちも頑張ってますから。みんなで力合わせて頑張ればなんとかなるって感じてるんすよね。俺の勘が」

『みゃ!』

 

 でも大丈夫。最終的にはなんとかなる。

 俺の勘がそのように叫んでいる!! なんとかなるようになんとかするのが人間ってもんじゃい!!

 

『……はぁー…………』

 

 そこまで俺の意思を伝えたところで、ブホホーっと大きなため息を零したノワールさん。

 熱っつ! 50m級のドラゴンのため息ちょっと熱っつ!!!

 

『…………リン』

「うん?」

『あなたは随分とおかしな少年に拾われてしまいましたね』

「うん!!!!」

「渾身の返事」

『魔王に狙われている者に我が子を娶らせるわけには参りません……が、既にリン自身がその心を決めてしまっていることも事実。リン、貴方は……ロック=イーリーアウスに恩を返したいのですね』

「んー……それもある! そういうことにしたい!!」

「マスターのような物言いを」

「教育に悪いのだ主殿は」

「ひどない?」

『……もとより、事の始まりは我が子を魔族に奪われた私の失態から全て始まっています』

 

 そうしてリンの希望と俺の返事を受けたノワールさんが、己の答えを述べてくれる。

 リンが攫われたのは魔族のせいだけどね。カリーナの。アイツも俺が捕まえたけどさ。

 

『しかし、魔族の手からリンを助けてくれたのはロック=イーリーアウス……貴方です。これまでのリンのことはここから見ていました……』

「見てたんすか……ここから見えるんすか。すげーやドラゴンって」

『貴方がすぐ麓の温泉で左右に美女を侍らせながらリンから熱烈な抱擁を受けていたのも見ていました』

「違くて」

「ロック?」

「違くて」

『あそこまで心を許せる人に出会った……それもまた何かの運命なのでしょう。ここにこうして貴方が来られるまでにどれほどの試練を乗り越えて来たことか。……貴方に全てを預けましょう、ロック=イーリーアウス』

 

 ノワールさんから最終的に零れてきた言葉は、リンを俺に預けてくれるという話で。

 もちろんいつかは……ノワールさんが管理人としての力を失う2年以内にはそれを継ぐためにリンもここに戻ってくるのであろうが、それまでは俺の傍にいてくれると。

 

『願わくば、我が子リンが幸せな生を歩むことを祈』

「待って」

 

 

 しかしその言葉を俺は遮った。

 急なカットインに、その場にいる全員の困惑が俺に向けられる。

 

 だが。なぜ。急に。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()という勘が囁き出したから。

 

「───何か来る!? ヤバい!? 臨戦態勢!!」

「な……マスター!?」

「勘が響いたか!? 魔族か……!!」

『みゃ!? みゃっみゃ!!』

 

 フードの中からバリアーを纏ったままミャウが飛び出していって被害に遭わない場所まで避難していく。

 俺の言葉にノワールさんを除く全員が一気に気を張り詰めて意識を切り替えてくれる。

 ヤバい。これだけの面子が揃っているのに過去に味わったことがないほどの死の予感。

 

 ここで下手を打つと死ぬ。

 そんなリアルな予感が脳裏をよぎり。

 

『なにが────なっ!? まさか……!?』

「空間転移陣だと!? 空に描くほどの高位魔法をこれほどの数……!? 気を付けてマスター!!」

 

 次の瞬間、この闇のマナの噴出口の上空、空にいくつもの魔法陣が描かれる。

 黒く闇に染まるそれらの転移陣から現れる、複数の人影。

 

 そのうち、何名かに見覚えがあった。

 

 

「はあ─────ッッ!! ロック=イーリーアウスゥッ!!!」

「バアル……!?」

 

「うふ。お前を殺しに来たわよノッ……じゃなかった、ロック」

「ヴィネア!?」

 

 

 かつて俺が相対した幹部のバアルとヴィネアが。

 その身に纏う闇の魔力を迸らせながら、俺に向かって突撃してきた。

 

 

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