「面白くなってきたじゃないか」
そのパラドクスは、再び俺達に向かって、炎を纏った拳が襲い掛かる。
だが、先程まで見えなかった一撃は、姉さんと一つとなった事で、既に見えていた。
紙一重で躱すと同時に、俺達の氷の爪がパラドクスの胴体に当たる。
「おっ」
先程とは違い『HIT!』という文字が現れた事によって、パラドクスは、その一撃が当たった事を理解する。
理解と同時に、笑みを浮かべ。
「これは、面白くなってきたぜ!」
俺達の肩に拳を叩きつける。
氷が炎によって、溶かされる。
その感触に襲われながらも、俺達は、そのままカウンターで回し蹴りを放つ。
パラドクスの顔に命中した。
だが、効いた様子はない。
パラドクスの拳が再び振り下ろされた。
今度は、俺も一緒になって殴り飛ばす。
だが、やはりダメージは無いようだ。
それどころか、パラドクスは、地面に着地すると、そのまま、足を踏み鳴らした。
ボクシングを思わせる構えで、こちらを真っ直ぐと見つめる。
俺達もまた、氷の爪を構え、炎の剣を構える。
「来いよ! お前らの力を見せてみろ!!」
パラドクスの言葉に、俺は答えない。
ただ、駆け出すだけだ。
そして、すれ違いざまに一閃。
氷の爪による斬撃を放った。
しかし、それは空を切るだけに終わる。
背後から衝撃を感じた。
同時に地面へと叩きつけられる。
おそらく、俺の背中に回ったパラドクスの攻撃だろう。
「「だけどなぁ」」
背中の翼で姿勢制御を行いつつ、振り返り様に、今度は、こちらから攻撃を行う。
炎の拳を叩き込もうとした。
だけど、俺達は両手を交差して、それを受け止める。
「「こんなもんか?」」
「そんなわけあるか!」
「「なら見せてみろ!!」」
「ああ……見てくれ、この力を!」
俺は叫ぶと同時に、氷の爪を振り上げた。
すると、それに合わせるように、パラドクスも拳を突き上げる。
「はああっっ!!」
気合と共に振り下ろされた氷の爪で、パラドクスの炎の拳がぶつかる。
炎と氷がぶつかり合い、爆発が起こる。
俺達は、互いに距離を離す事になる。
しかし、俺達は即座に追撃を仕掛けるべく、パラドクスに向かって走り出した。
それに対して、パラドクスの方は、腰を落とし、構えを取った。
「いいぞ、もっとだ! もっと、俺に見せてみろ!! その力がどれほどのものなのかをな!」
叫びながら、再び俺達に拳を振るう。
その攻撃を掻い潜り、俺達も反撃を行った。
炎の拳と氷の爪による打ち合いが始まる。
俺達の力は互角だった。
パラドクスの攻撃を受ける度に、アーマーが軋む音が聞こえてきた。
このままでは、まずいと悟った俺達。
「心が震えるなぁ!!」『キメワザ! ノックアウトクリティカルスマッシュ!』
拳に炎を纏わせて、構える。
「「あぁ!」」『キメワザ! ブリザードクリティカルストライク!』
対して、俺達もまた、爪を氷でさらに巨大化する。そして、お互いの力を込めた一撃をぶつけ合う事になった。衝突の余波によって生じた突風を受けながら、俺達は力比べを続ける。
「「ぐぅ……ぬおおおぉっ!!!」」
全身全霊を込めて押し切ろうとする。
だが、その時だった。
そのまま、俺達の間に巨大な爆発が起きる。
「「ぐっ!!」」
それによって、俺達の変身は、解除される。
だが、それはパラドクスも同じだった。
「へぇ、なるほどねぇ」
「なんだ?」
それと共にパラドクスは笑みを浮かべる。
「いや、なに、面白いなと思ってな」
そうしながら、パラドクスはそのまま、俺の方に目を向ける。
「さて、それじゃお前達に一つ、良い事を教えてやるよ」
そうしながら、パラドクスは、俺達の方を見る。
「俺達、バグスターはある男によって作られた人工的な存在だ」
「「なにっ」」
「きっかけはどうあれな、それじゃぁな」
それと共にパラドクスは消えた。
「姉さん、今のは」
「分からない、だが、これはいよいよ怪しくなってきたな」
同時に俺達の幻夢コーポレーションへの疑いはより強くなった。
パラドクス・メモリー
「スルゥース、なかなかに面白い相手だったな」
そうしながらも、俺は手元にあるノックアウトファイターを手探りに遊びながら、笑みを浮かべる。
「にしても、まさかガシャットをコピーするだけじゃなくて、ガシャットを造り出すとはな」
そうしながらも、俺はこの情報をどうするか考える。
ゲンムにそのまま教えるのも良いかもしれないけど、別にどうでも良いと思った。
「わざわざゲンムに言って、あいつらを早くに潰されるのも嫌だからな、何よりも」
ガシャットを造りだした現象。
それは、普通のバグスターでは不可能だ。
だからこそ、あのドルモンの正体がより気になる。
「さてさて、色々と探ってみますか」