異世界の国を出現させる魔法   作:ハイオク満タン

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 続くかは分かりませんが、頑張ります。


第1話:令和6年度日本転移災害

__2024年 某日 日本__

 

 

 

 普段通りの日常を送っていた日本を、突如暗闇と大きな揺れが襲った。

 

 全国規模で発生した停電と震度4程度の揺れは数分で収まり、すぐに事態は終息するだろうと思われていた。

 

 

 しかしこの現象から僅か数分後、最大の問題が発覚した。

 

 

 インターネット含め、海外とどこも連絡が取れないのだ。

 

 大手検索サイトや動画視聴サイト、果てにはメールすら使えなくなり、人々は大混乱に陥った。

 

 

 無論、この現象は民間の間だけでなく、企業にも大きな打撃を与えた。

 

 

 全国の取引所は全株の取引を停止し、国際空港では全ての便が欠航となり、帰国予定だった外国人観光客や出張で急がねばならない会社員たちの罵声が響き渡った。

 

 人工衛星については国産の大半が故障、もしくは応答不能となり、海外の人工衛星については1機も反応が返ってこない有様だ。

 

 

 このような非常事態の元、緊急で行われた国家安全保障会議や有識者会議等の度重なる議論の結論、そして自衛隊と在日米軍共同の航空偵察の結果、この現象の原因が判明された。

 

 

 

 それは『日本列島が地球とは別と思われる惑星に転移した』ということだった。

 

 

 

 この由々しい事態はすぐに政府の緊急会見によって全国に伝えられ、文字通り日本全国を震撼とさせた。

 

 政府はこの一連の現象を『令和6年度日本転移災害』と呼称し、それに伴う対策本部も設置された。

 

 同時に発令された国家緊急事態宣言や国民生活安定緊急措置法による、ガソリンや電力等の制限、一部日用品の配給制等は全国でデモ活動が発生するほど国民の反感を買ってしまったが、“日本以外の国家が1つもないので輸入が一切できない”ことの深刻さに気付くと、すぐに反対運動は収まり、素直に政府の指示に従うようになった。

 

 

 無論、日本政府もこのまま制限を続ければ問題が解決するとは微塵も考えておらず、早急な解決法を模索したが、現在の日本一国の国力のみでは農業力、工業力共に約1億2000万人を養うことは到底不可能だった。

 

 このままではどれだけ頑張っても一年と半月ほどで現在文明は崩壊する…そんな見解まで出始めるほどに日本は追い込まれていた。

 

 

 そんな自体が急変したのは日本転移から三ヶ月後のことだった。

 

 日本転移後始めて打ち上げられた衛星、『みちびき5号機』により日本から程近い大陸、通称『新大陸』の全貌が明らかになったのだ。

 

 中世ヨーロッパ風の文明建造物の確認、日本を一世紀は養えるほどの巨大な油田地帯の発見、巨大な農作地帯の発見等、まさしく新大陸は今の日本が欲しているものをほぼ全て揃えた夢のような場所だと判明した。

 

 元々日本転移後からすぐに自衛隊により新たな大陸の報告がなされており、政府もそれを確認していたが、なにしろ航空偵察のみでは収集できる情報に限界があるうえ、国内のさらなる混乱を防ぐためにあえて黙秘とされていたのだ。

 

 しかし新大陸に豊富な資源、そして未知の文明があるとなれば話は変わってくる。

 

 それからの政府の動きは早かった。

 

 僅か一週間で新大陸の開拓及び、大陸文明との接触を図ることを認める法案、『新大陸特別処置法』及び、『自衛隊新大陸特別派遣法』がまとめられ、このご時世なのも相まってすぐに可決。

 衛星からの報告から僅か二週間で、統合幕僚長指揮下の統合任務部隊が結成され、任務が開始された。

 

 部隊は主に油田開拓が主目標の『油田開拓班』と、新大陸全体の開拓及び、新大陸文明との接触を図る『新大陸特別派遣隊』の2つに分けられた。

 

 主に北海道に駐留する第7師団と第5旅団を中心に編成された新大陸特別派遣隊第1団は、第7師団自慢の戦車を北海道に残し、主な車両は73式中型トラックや高機動車等の比較的軽装な装備での編成となった。

 

 大陸特別派遣隊第1団は上陸後すぐに、近くの大森林を切り開き、そこに仮設駐屯地を設置した。

 

 

 しかし仮設駐屯地設置後、大陸特別派遣隊は暫くの間現地待機を命令されていた。

 

 理由は至極単純、矢継ぎ早で作った法案には穴が多過ぎる上、仮に新大陸文明との接触を図る場合、言語等の問題はどうするのか?などの問題が山積みで、思うように現地の自衛隊を動かせないのだ。

 

 

 行動方針がロクに決まらないまま、仮設駐屯地設置から一週間後、事件は起こった。

 

 

 

コンコンッ

 

 

 仮設駐屯地内のとある部屋の扉がノックされる。

 

「藤田一等陸尉です」

 

「いいぞ」

 

 扉をノックした藤田一等陸尉を出迎えた部屋の主は、50代後半の大柄な男。

 

 名は渡辺(わたなべ) 勇男(いさお)と言う。

 

 陸将の位に位置する彼は、この大陸特別派遣隊第1団の指揮官である。

 

「失礼します。

お忙しい中、申し訳ありせん。緊急のご報告がありまして…」 

 

「いや、大丈夫だ。ちょうど本部との打ち合わせも終わったところだしな。

それで、その緊急の報告とやらはなんだね」

 

「はい。現地人と思われし人物が、3人ほどここの駐屯地に訪問して来ました。

今現在は応接間にて待機させています。」

 

「!なに、それは本当かね」

 

「はい。女性2名、男性1名の計3人です。

今のところは敵意等は確認されておりません。」

 

「ふむ。そうか。……そう言えば言葉は通じたのか?」

 

「原理は不明ですが、相手側には日本語が現地の言語に聞こえるようでして…

逆に相手の現地語は私達には日本語に聞こえるようです。

ですが日本語で書かれた文字は解読できないようです」

 

「妙な現象だな…ともかくその現地人と話しがしたい。

応接間に案内してくれ」

 

「了解しました」

 

***

大陸特別派遣隊第1仮設駐屯地 応接間

 

「フリーレン様、ここ絶対普通の集落なんかじゃないですって…!

こんなに人がいるのに魔力探知が全然反応しないし、なんだか異様な雰囲気です… 

ここは隙を見て逃げだしましょう!」

 

「案内の人が出てった途端、いきなりどうしたんだよフェルン…

確かにちょっと変な家ばっかだし、みんな同じような服着てるのは気になるけど、こんなに美味しいお菓子をタダで食べさせてくれるんだぜ?

現にフェルンだってその丸いお菓子食べるの何個目だよ…」

 

「そ、それとこれとは別ですよ!それにまだ10個しか食べてませんから!

…ところでフリーレン様、さっきからずっと黙ってばっかりですが、どうかなさいましたか?」

 

 もう11個目になる栗まんじゅうを飲み込んだ紫髪の少女が、難しい顔をしている銀髪の少女に問い掛ける。

 

「ん……、確かにフェルンの言うとおり魔力探知が全く反応しない。

普通、人間に限らず生き物は生きている以上、僅かながらでも魔力が漏れるものだけど、ここにいる人達は誰一人として魔力の反応がない。それも全く…まるで魔力なんて“元から存在しない”というばかりにね。

フェルンの言うとおり怪しいのは確かだね」

 

「そうですよね。ならば今すぐにでもここから抜け出して…」

 

「でも恐れる心配は無いと思うんだ」

 

「「?」」

 

 “怪しい”と認めたうえで、恐れる心配はないと一見矛盾した言葉に、紫髪と赤髪が同時に不思議そうに横に揺れる。

 

「彼らからは死臭を感じないし、“悪意”だとかそういう概念も感じない。

どっちかって言うと、興味津々って感じだね。むしろ恐れられているのは私達のほうかも」

 

「フリーレン様、それは一体どういう…」

 

 コンコンッ

 

 紫髪の少女の言葉をノックが遮る。

 

「失礼します。ここの責任者を連れてきました」

 

「どうも、こんにちは。ここの責任者の渡辺と言います」

 

 先ほどこの応接間に3人を案内した藤田と共に、部屋に入ってきた大柄な男に、少し緊張しながらも頭を下げて返す3人。

 

「あぁ。そんなに固くならなくて大丈夫ですよ。

若いのに、こんなおじさんの話に付き合わせてしまって申し訳ない」

 

 その威圧的な外見とは裏腹に、二児の父である渡辺の優しい話し方に、3人は拍子抜けしながらも少し緊張を解いた。

 

「まず始めに聞いた話だと、君達は私達が話している言葉は理解できるが、私達の言葉で書かれている文字は読めない……とのことですが、その認識で大丈夫ですか?」

 

「うん。そんな感じだね。正確には脳内で即座に言葉が変換されている感じかな」

 

「なるほど」

 

 銀髪の少女からの言葉を、側にいる藤田はすぐにメモに写す。

 

「とりあえず、まず話に入る前に簡単な自己紹介だけして貰えませんか?」

 

「じゃあ、まずは私からかな。

私の名前はフリーレン。種族はエルフで魔法使いをやっているよ」

 

「エルフ…。てっきりおとぎ話の中の種族かと思いましたが、まさか実在するとは…」

 

「まぁ昨今のエルフは緩やかに絶滅していってるからね。

もしかしたら私の世代が最後になるかも」

 

「そ、そうなんですね…。失礼ですがご年齢をお伺いしても?」

 

「500歳を過ぎてからは具体的に数えてないから、正確な歳は分からないけど、少なくとも1000年以上は生きてるかな?」

 

「せ、1000年……」

 

 あまりにもぶっ飛んだ話に、渡辺は唖然とする。

メモを取っている藤田も同様なようだ。

 

「じゃあ次はフェルンかな」

 

「はい。私の名前はフェルンと申します。

出身地は南側諸国で戦争孤児でしたが、とある方に拾われて、今現在フリーレン様と同じく魔法使いです」

 

(戦争か…やはりこの大陸でも行われているのだな…)

 

 文明がある以上、想定はしていたが、やはり日本にとって希望の塊であるこの大陸で、戦争が行われていることに渡辺は落胆した。

 

「フェルンさん、自己紹介ありがとうございます。

では最後にそちらの男性の方お願いします」

 

「おう!俺の名前はシュタルク。

自分の故郷が魔族に襲われて逃げてきたところを、アイゼンっていう人に拾われて、そこからなんやかんやで今はこのパーティーの前衛として戦士をしているんだ」

 

(魔族…?テロ組織の名称か何かか?まぁ故郷を滅ぼした集団について深追いするべきではないだろう)

 

「自己紹介、お疲れさまでした。

他にもお聞きしたいことはあるのですが、時間が時間ですのでお食事にしましょう」

 

 すでに部屋の時計は午後8時を指しており、夕食時だ。

 

 渡辺は目線で藤田に指示を出すと、藤田は「ご案内します」と言い、3人を食堂に連れて行った。

 

 

「さて、ようやく進展しそうだな…」

 

 誰もいなくなった応接間で、渡辺はポツリと呟いた。




 創作に不慣れなので、誤字脱字等あったらご遠慮なくご報告ください。
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