異世界の国を出現させる魔法   作:ハイオク満タン

2 / 3
 地図を作成しようと思ったのですが、いい感じのアプリが見つからないうえ、ハーメルンの規約に引っ掛かりそうなのでやめておきます。

 できる限り地名は出していきますので、それで脳内変換お願いします。

 ご不便掛けて申し訳ないです。


第2話:明るみになる新大陸

ー新大陸特別派遣隊 第1仮設駐屯地 食堂ー

 

「うおっ!このカツカレーってやつ、めちゃ美味いな!」

 

「もう、シュタルク様ったら…そんなに勢いよく食べると喉に詰まってしまいますよ」

 

 勢いよくカツカレーに食らいつくシュタルクとフェルンを見て、異世界人にも日本の味が通用することに安堵していた藤田の袖がいきなり引っ張られる。

 

「ねぇフジタ、私のにだけ“カツ”ってやつが載ってないんだけど」

 

「えっ。エルフってお肉食べても大丈夫なんですか?!」

 

「大丈夫だけど…どこの知識なのそれ」

 

「それは失礼しました、すぐに持ってこさせます」

 

 てっきりエルフは肉は食べれないと思っていたが、ここは異世界。地球の固定概念は通用しないのだということを藤田は再確認した。

 

 それにしても袖を引っ張ってきたときのフリーレンのふくれっ面は、とても1000年以上生きてきたとは思えないほど幼稚に見えて、思わず藤田は笑いそうになってしまった。

 

***

ー新大陸特別派遣隊 第1仮設駐屯地 宿舎の一室ー

 

「ふぅ…疲れたね」

 

「まったくもう…フリーレン様が道を間違えたのが全ての元凶なんですからね?」

 

「ごめんってば…。でもお陰で美味しいご飯とフカフカなベッドに有り付けたじゃん。それも無料で」

 

「確かに、あんなに美味しいご飯を食べたのはいつぶりでしょう。

ですが、それも合わせてやけに待遇がいいと言うか…なにか裏がありそうで怖いです…」

 

「まぁ明日にはここから出て行く予定だし、今夜中に何もされなければ大丈夫でしょ」

 

「…薄々感じてはいましたが、フリーレン様は少し危機感が足りないような気がします。確かにここの人達は皆さん親切ですが、だからと言って100%信頼するのも如何なものかと…」

 

「お説教なら明日にしてよぉ…睡いよぉ…」

 

「あ、もうこんな時間ですか。徹夜は体に悪いですし、私もそろそろ……

あっ、そう言えば、明日の朝9時からまた応接間に来てくれというフジタ様からの約束、忘れてませんよね?」

 

「……すー…すー…」

 

「寝てる……」

 

***

ー新大陸特別派遣隊 第1仮設駐屯地 応接間ー

 

 午前9時。

 

 人によってはまだ眠っているような時間にも関わらず、駐屯地内ではほぼ全員の隊員が起床し、各自の仕事を行っている。

 

 フリーレン様にも見習って欲しいものだと思いながら、シュタルクと合流したフェルンは、約束通りの時間に応接間に入室する。

 

「ご3人方、おはようございます」

 

「昨日ぶりだなフジタ。約束通り9時に集まったぞ」

 

「フジタ様、おはようございます」

 

「…おはよう…」

 

「えっと、フリーレンさんはやけに眠そうですが…」

 

「すみません、フリーレン様は朝が弱いんです」

 

「そ、そうなんですね…」

 

 藤田はここでフェルンから謎のフリーレンに対する母性を感じたが、ここで「フェルンさんはフリーレンさんのお母さんみたいですね」などと言えば、昨日のふくれっ面が返ってきそうなのでやめておくことにした。

 

 それに今から行われるのは外務省の役人を交えた重要な話し合いなのだ。

相手の機嫌を損なうのだけは避けたい。

 

 

「そう言えば、なぜ私達はまたここに呼ばれたのでしょうか?」

 

「実は私達の国、つまり日本国の役人が、フェルンさんたちとお話がしたいようでして…」

 

「えっ」

 

 そんなこと聞いていないとばかりに、フェルンは目を見開く。

 シュタルクはポカンとしており、あまり状況を飲み込めてなさそうだが、フリーレンに関しては相変わらず眠そうながらも、明らかに面倒臭そうな顔をしている。

 

「私達はただの旅人だよ?あまり政治に首を突っ込みたくはないんだけど…」

 

「申し訳ありません。何せ、あなた達がこの大陸で一番最初に接触できた人物なもので、どうしてもお話を伺いたいと仰ってまして…」

 

「…できるだけ早めに済ませてね。私達は今日にも出発する予定なんだから」

 

「勿論です。少なくとも昼までには終わるはずです」

 

「それで、そのニホン国の役人ってのはいつ来るの?」

 

「もうそろそろのはずですが…あっ、噂をすれば」

 

 扉のノックと同時に、渡辺陸将と外務省の担当官が応接間に入室してきた。

 

「こんにちは。日本国外務省の江川(えがわ) 良好(りょうこ) と申します。以後お見知りおきを」

 

「同じく外務省の高山(たかやま) 清次(せいじ)と申します」

 

女性の役人とは珍しいね

 

きっとかなり高位の魔法使いなのでしょう

 

 役人に女性がいたことに驚いたのか、フリーレンとフェルンがこそこそと耳打ちしていた。

しかし耳の良い藤田には聞こえてしまっており、メモを取られてしまっていた。

 

 

「今回はいきなり申し訳ありませんね。旅の途中ですのに、こんなところで足止めさせてしまって…」

 

「いえ、こちらこそ美味しいご飯を無料でご馳走して貰ったり、親切に扱って貰って感謝しています」

 

 このエルフ、敬語喋れたのか。藤田は少し驚いた。

 

「ふふ、そんなに硬くならなくて大丈夫ですよ。

私達はあくまでフリーレンさんたちと対等な話し合いをしたいだけですので、口調もいつも通りで大丈夫ですよ」

 

「でも役人の地位に就く女性となるとそれ相応の…」

 

「いえいえ、私なんてまだまだですよ。

それに我が国では半世紀以上前から女性の社会進出が進んでおり、役人の地位に女性がいることも珍しくないんですよ」

 

「へぇ…そうなんだ」

 

「ニホン国では女性の社会進出が進んでおられるのですね。関心深いです」

 

「政治のことはよく分かんないけど、フリーレンとフェルンが凄いって言うんなら凄いんだろうな」

 

 若い(一名除く)3人は難しい政治の話にはあまり興味がないらしく、あたかもな返事を返す。

 

 だが初対面のときと比べて、江川という女性の役人とフリーレンたちとの間の壁は確実に少なくなっていた。

 

 その後は雑談も交えながら、フリーレン達からは大陸のことについて、江川達からは日本について答えられる範囲で情報交換が行われた。

 

 大陸側の地理については、フリーレンの歳の経験が活かされているのか、かなり情報が集まった。

 

 どうやらこの大陸は主に、帝国の影響が強い北側諸国・王都と聖都が中心となって栄えている中央諸国・紛争続きの南側諸国の3つに区分されており、この中ではかつて大陸をほぼ統一した、「統一帝国」の名残がある北側諸国が最も影響力が強いらしい。

 

 ちなみに新大陸特別派遣隊 第1仮設駐屯地があるのは北側諸国の下側、新大陸油田があるのは南側諸国らしい。

 

 フリーレン曰く、「南側諸国のこの地帯は大昔に謎の黒い液体が発見されて以降、“呪いの泉がある”という噂が立ってから、ここ1000年は誰も寄りついていない」とのことらしい。

 南側諸国出身のフェルンも同意していたので確かだろう。

 

 日本側にとって、領土問題が発生しないのは好都合だ。

 

 

 逆に日本側の話についてだが、イメージが沸かないのか、こちらの話にはあまりピンと来てないようだ。

 

 しかし、食器洗浄機と洗濯機の話はフリーレンのみならず、フェルンまでもが目を輝かせ、夢中になって話を聞いてきた。

やはり旅人にとって衛生面は苦労しているのだろう。

 

 

 そして昼頃にフリーレン達は解放…されず、結局フリーレン達が再び旅路に戻れる日は一週間も先延ばしにされたのだった。

 

 

***

 

「結局一週間もここに滞在してしまいましたね…」

 

「私にとっては一日も一週間も大して変わらないけどね」

 

「人間にとっては大違いですよ。

まったく…フリーレン様は時間管理が甘いんだから…」

 

フェルンだってニホンの人が引くぐらいご飯おかわりして満喫してたくせに…

 

「なにか言いました?」

 

「なにも」

 

「とりあえず三つ編みにしておきますね」

 

「や、やめてよぉ…」

 

 「ほら、早く準備して行きますよ。せっかくニホンの方々が馬車を用意してくれたのですから」

 

***

ー新大陸特別派遣隊 第1仮設駐屯地 正門前ー

 

「お待ちしておりました。こちらがご用意した馬車になります」

 

 そう言って藤田は73式小型トラックに3人を案内する。

 

 3人は後部座席に、藤田は助手席だ。運転は一般隊員が担当する。

 

 

「馬がいないよ?」

 

「この馬車は馬がいなくても自走できるんですよ」

 

「それはもう馬車とは言わないんじゃないか?」

 

「ははは、痛いところを突かれましたね。

混乱させないためにわざと馬車と言っていましたが、どうやらますます混乱させてしまったようです。

 

これは自動車という移動道具です。日本では主要の移動手段ですね」

 

「馬がいらないのは便利ですね」

 

「でも全体が鉄で出来てて遅そうだ」

 

「そうか?俺には小っこくて軽そうに見えるけどな」

 

 後部座席が騒がしい中、藤田は無線で指示を出し車両を並ばせる。

 

 車列の編成は以下の通り

先頭・・・87式警戒偵察車

2台目・・・軽装甲機動車

3台目・・・87式小型トラック(藤田・フリーレン一行乗車)

4台目・・・87式小型トラック(江川・高山乗車)

5台目・・・73式大型トラック

最後尾・・・87式警戒偵察車

 

 という、海外の大統領警備でもあまり見ないほどの重装備ぶりとなった。

 

 これ程までになった理由は、フリーレンが「ここらへんは強力な魔物がたくさんでるから気を付けてね」という一言からだった。

 

 フリーレン達からしてみれば魔物との戦闘なんて慣れっこだが、日本からしてみれば魔物とは未知の生物。

 

 変な病原体を持ち込まれたり、江川たち外務省の人間に怪我を負わせるようなことは絶対にしてはならない!という渡辺陸将の見解により、基地に四両しかない87式警戒偵察車のうち、半分の二両を投入するまでになったのだ。

 

 

「車列整列完了!いつでも出せます!」

 

「了解!…では、陸将、行ってまいります」

 

「頼んだぞ、藤田一等陸尉。この車列は日本とこの大陸との関係を決める最初の一歩になるかもしれないからな」

 

「重々承知しております」

 

「後ろの3人も、長い間引き留めてしまって申し訳なかった。この送迎で少しでも恩を返せたらよいのだが…」

 

「3人とも何やかんやで楽しそうでしたし、良い思い出になったのではないでしょうか?」

 

「だといいのがな」

 

「ではそろそろ…」

 

「あぁ。良い知らせを待ってるぞ。……総員!敬礼!!」

 

 渡辺の掛け声と同時に、見送りの隊員が一斉に敬礼をする。

 

 

 日本政府からの要件はこの大陸で最も影響力があるとされる帝国及び、北側諸国各領主との協力関係構築が最重要目標とされた。

 

 車列の目的地はグラナト伯爵領。

 

 フリーレン一行がこれから目指す場所でもあり、第1仮設駐屯地から最も近い都市でもあった。

 まずはここと関係を結び、本格的に新大陸との関係構築を始めるのだ。

 

 今現在の日本に北側諸国・中央諸国・南側諸国のそれぞれと同時に外交をするほどの力は残っていない。

 日本の危機を救うため、早急に北側諸国と関係を結ぶ必要がある。

 

「RCV前進!」

 

 87式警戒偵察車のディーゼルエンジンの始動音と共に、車列はゆっくりと進み始めた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。