個性『滅尽龍』のヴィラン 作:玉ネギのソテー
襲撃された林間合宿。
常闇の暴走した黒影がムーンフィッシュを木に叩きつけ無力化した。
轟が炎の光でダークシャドウを無力化しようと動き出すが
「…待て」
爆豪がそれを止めた。
次の瞬間、凄まじい轟音と共に何かが着地する。
ムーンフィッシュが気絶していたその場に着地したのは、ヴィラン連合の襲撃に際してここまで一切姿を見せていなかった点でやはりと言うべきか、ヴィランネーム『ネルギガンテ』黒神ネルだった。
「──やっぱりか、テメェ…掃除屋だな?」
「あ?そンくらい聞かなくても理解してくれよ、一々答えンのも面倒だ」
雄叫びを上げながら黒神へ攻撃を仕掛けた黒影の攻撃を防ごうとした彼女の片腕が曲がってはいけない方向に捻じ曲がる。
再生していく自らの腕を呆気に取られたように見つめた黒神は、突然タガが外れたように笑い出した。
「──いいなァ、お前。相手してやるよ、来い」
『オオオオッ!
黒神は暴走した黒影を見据えている。
先ほどのような不意の一撃は狙うことはできない。
黒影の、吹き荒ぶ暴力とも言えるほどの一撃は一瞬の拮抗の後、黒神によって簡単に弾き飛ばされる。
「いいな……楽しいなァ?そうだろ?」
そう言って口を三日月のように歪ませる。
黒影と戦う彼女は、以前にも増して自らの肉体の損壊を考慮しない戦い方だった。
腕が折れようと前に進み、黒影に噛みつかれようと肉を引きちぎって拘束を解く。
心底楽しげに戦っていた彼女だったが、唐突につまらなそうな表情を浮かべる。
『お前は本気で戦い始めると人の区別すらつかなくなる。そうなったらターゲットを殺してもお前は止まらない──今回は本気で戦うな。』
死柄木にそう言われたことを思い出したのだ。
黒神はため息を吐くと、翼を広げてムーンフィッシュだったものを片手に飛び立った。
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同時刻の森の中、お茶子が抑え付けていたトガは、コイバナを中断して器具によってお茶子から血を吸い取りながら考え事をするような顔をする。
「……あ、そろそろお姉ちゃんが来ますかね?そしたら怒られちゃいます、三人は吸えって言われてた──どうしよっかなぁ?ねぇ、吸わせてよ、梅雨ちゃん……友達でしょう?」
そう言ったトガは、器具を握っていた手を離すとポケットからナニカを取り出す。
「離れて!」
それが刃物のような煌めきを放ったのを確認した蛙吹のその声に飛び退いたお茶子。
トガの手に握られていたのは黒い棘、USJで見た覚えのあるそれにお茶子たちが息を呑むと、トガは満面の笑みで
「……これ、私のお姉ちゃんの棘です。時々トクンって鼓動するんです!綺麗でしょ?カアイイでしょう?」
「……っ麗日!?」
緑谷たちがそこに合流したその時、トガの隣に翼を大きく広げた黒神が降り立った。
「おいおい、どこでもいるなァ?お前ら」
「っ!お姉ちゃん、ボロボロだねぇ?カアイイねぇ」
「傷は消えても血は消えねェからな。……ンなことより目的は?」
「……まだ一人です」
「…………そうなると思ったぜ。とりあえず撤退だ。オレはお前を背にして戦えるほど器用じゃねェ」
黒神はそう言ってトガを抱えると、上空へと飛び去っていった。
「………………なんか遅くないです?」
「お前が耐えられるスピードにしてんだよ、我慢しろ」
「はーい」