ペルソナ5 The My Star 作:アカトンボ
思い付きと勢いで書いたので続くかどうかはわかりません。文章力は無いです、すみません
悪神『ヤルダバオト』は大衆の希望を背負った怪盗団によって倒された。
そして獅童の件も突如現れた明智吾郎が「借りは返す」と言って怪盗団のリーダー、雨宮蓮の代わりに出頭を申し出て解決に向かうと思われていたが――それは丸喜拓人の現実によって起こったものだった。
12月24日。現実とメメントスが融合し、怪盗団がヤルダバオトとの戦っていた時――丸喜はペルソナを覚醒させていた。
ヤルダバオトが討たれ、メメントスの現実への侵食が止まる僅かな間に丸喜のペルソナ『アザトース』がメメントスの制御を奪い、メメントスに力を作用することで彼の認知が現実へ影響するようになった。
丸喜は大衆のパレス『メメントス』に干渉し自身の曲解の能力を使うことで、大衆や怪盗団の願いを叶える現実にしていた。猫のモルガナがイケメンの成人男性になっていたり、死んだはずの真の父親、一色若葉、奥村邦和を認知存在としてではなく本当に『生きている』ことにしていたりと、怪盗団のメンバーにとってまさに理想卿のような世界を創っていた。
蓮がそんな事態に戸惑っている時、新島冴によって蓮の代わりに警察に出頭していたはずだった明智吾郎がルブランへ現れる。突然無罪放免で釈放されたと言う明智は、蓮と同じくこのおかしな事態に気付いていた。明智から「僕と取引しないか?」と蓮に持ちかける。
そこへ蓮と同じ秀尽学園高校の後輩、芳澤かすみから「お台場でパレスが見えている」と電話がかかってくる。それを聞いた明智も蓮と一緒にお台場に向かい、彼女の元へ急いだ。
3人でパレスの中に入り、しばらく進むとそこに待っていたのはパレスの主、丸喜拓人だった。
彼の用意した映像が流れ、かすみがかすみではなく、妹のすみれだということが発覚。自分のせいで姉を亡くしたすみれは姉の夢を自分が『かすみになる』ことで叶えたいと思ったのだ。しかし、それを知っても尚、蓮と明智は丸喜の現実を否定する。
だが、すみれはすみれである現実を受け入れず、丸喜によってペルソナが暴走する彼女に苦戦するも駆けつけた仲間達により、なんとかこの苦境を乗り切る。
ラヴェンツァによると現実が丸喜の現実になった原因は怪盗団が丸喜の創る現実を選んだことにあった。その事実に怪盗団は衝撃を受ける。
再び現実とメメントスが再融合しようとしており、一同はそれまでに丸喜を改心させることで一致する。
すみれも覚悟を決めて前に進むことを選び、怪盗団と共に戦うことを選んだのだった。それを見届けた怪盗団一同はオタカラを目指して先に進んでいきルートを確保した。
そして2月2日の夜。丸喜から電話がありルブランで落ち合うことにした。「僕の現実を認めてくれないか?」と再び言われるも蓮はそれを断る。そこに明智が現れ、丸喜が彼の正体について明かした。丸喜に『蓮が明智とやり直せる現実』だと告げられる。
丸喜に予告状を渡した後、明智にどうするのかと問われる蓮。明智を獅童のパレスで助けられなかったことを後悔していた蓮は、苦悩しつつも丸喜と戦うことを選んだのだった。
「僕は自分の道は自分で決める。誰かに創られた現実で、一生飼い殺されるなんて御免だよ。帰ろう、僕たちの現実に」
明智のペルソナがヘリワードに変化し、蓮も覚悟を決める。丸喜との決着をつけるために。
「僕は怖かったんだ、きっと…『君が望まない現実を創る』ことが…眩しいよ…」
そしてとうとう、怪盗団は丸喜の心を盗むことに成功して、元の現実へと戻る。つまり、明智が行方不明のままで、蓮が警察に出頭したことになる。
だが、このままで納得のいかない仲間達や絆を育んだ協力者の尽力によって、蓮は釈放となり、仲間達は帰ってきたリーダーを温かく迎えるのだった。
○○○○○○
それから時が経ち、明日から高校最後のGWを向かえようとしていた。蓮は東京の四軒茶屋にあるルブランに帰る予定だ。仲間達ともチャットアプリでそう伝えている。
仲間達も皆それぞれの夢に向かって頑張っている。竜司は陸上部に戻るためにリハビリを、杏は海外留学に向けて勉強中、双葉は高校生に受かり大学を卒業したら認知訶学の研究をと言ったように前に進んでいるのだ。
「1ヶ月ちょっとしか経ってないってのに、アイツらに会うのは久しぶりな気がするな。ワガハイとした事がちょっと緊張してきたぜ」
伸びをしながらそう言うモルガナ。蓮としては、夢に向かって前を見て歩いている仲間達と再会することは楽しみでしかなかった。もしかしたら、これが皆で集まれる最後のチャンスかもしれないので、ゴールデンウィークはたくさんの思い出を作りたい。
「明日は早いんだろ? そろそろ今日はもう寝ようぜ」
荷物を用意し終えて明日に備えてベッドに横たわる蓮。そしてそのまま眠りについた。
目を覚ますと群青色の部屋が蓮の目に映った。無数の収容部屋に囲まれた円形の牢獄――ベルベットルームである。
手足に違和感を感じて見てみると鎖に繋がれており、反逆の意志の象徴である怪盗服ではなく囚人服……それに開いていた牢屋の扉も閉じている状態だ。蓮は立ち上がって、目の前にいる人物達に目を向けた。
「ようこそ、我がベルベットルームへ……またお会いしましたな」
「お久しぶりです。マイトリックスター」
夢と現実、精神と物質の狭間にあるベルベットルームの主――イゴールとその住人のラヴェンツァである。以前このベルベットルームは悪神によって乗っ取られてしまい、本物のイゴールは封印され、ラヴェンツァもカロリーヌとジュスティーヌの双子に引き裂かれ、記憶と人格も別々にされていたのだ。
蓮はこの囚人服について疑問をラヴェンツァに問いかけた。
>何故またこの格好になっている?
「貴方は囚われてしまった…統制の神とも違う、マルキなる者とも違う、邪悪で巨大な意思の存在によって…」
「貴方をお呼びしたのは他でもありません。貴方の未来に危機が迫っているのを知らせるためでございます」
「このままだと貴方に待つのは破滅……いえ、世界の滅亡と言っても過言ではないでしょう…」
>世界の滅亡なんて御免だ
「それでこそ私のトリックスターです」
蓮に反逆の意思があることに安心するラヴェンツァ。彼女はそのまま続けて言った。
「この先にはあの時と同じ苦難が待ち受けていることでしょう。ですが、私は貴方の味方です。それをどうか忘れないで」
「さて、そろそろお時間のようですな。再び相見える時までご機嫌よう……」
四軒茶屋に向かう電車の中、蓮はモルガナに夢でベルベットルームに呼ばれたことを話していた。元々モルガナはイゴールが人々の希望を詰め込めて作られた存在だ。ならば彼にもこの事は伝えておいた方が良いと蓮は考えた。
「世界の滅亡……本当にラヴェンツァ殿がそう言っていたのか?」
静かに蓮はうなづく。悪神を倒したにも関わらず、また破滅の危機が迫っている。しかし、ペルソナ能力は異世界でしか使えないのだ。ヤルダバオトを消滅させた時は、丸喜が代わりにメメントスを利用していたため無くならなかったが今回は違う。
「怪盗団の皆にも相談しないとな……駅に着いたら寄り道しないで早速ルブランに向かうぞ。確かルブランで待ち合わせしてるんだったよな?」
間もなく四軒茶屋〜というアナウンスが入り、電車が四軒茶屋に止まる。蓮が電車から出て駅に1歩足を運んだ時だった。
「おいどうした――うぐっ…!」
一瞬猛烈な眩暈に襲われる。それは蓮だけではなくモルガナも例外ではなかった。
駅員さんに「大丈夫ですか?」と声をかけられた蓮はもう平気ですと答えてその場を後にした。
駅を出たところで蓮とモルガナは違和感を感じずにはいられなかった。なんと、四軒茶屋が三軒茶屋になっていたり、銀坐線が銀座線に名前が変わっていたのだ。
「こりゃどうなってんだ…? とにかくルブランに向かってみるぞ!」
モルガナの言う通り、早足でルブランに向かう蓮。
ルブランのあった路地に向かうとそこにはルブランがなく、別の店ができていた。スナックの店のようで、当たり前だが今は昼なのでやっていない。
「ルブランがない…なんてこった……」
この異常事態に焦る蓮達。もし移店したなら惣治郎から連絡があるはずだ。
蓮は連絡で思い出し、スマホを取り出して仲間達にチャットで連絡を取ろうとするが――
「どうした、蓮?」
なんとグループチャットから仲間達が全員退会しており、個人のアカウントも皆unknownになっている。あるのは蓮が送ったメッセージだけだ。
「マジかよ……もしかしてリュージの考えたイタズラじゃないだろうな? いや、マコト辺りが止めるか……」
いくら竜司でもそんなことはしないだろう。多分。蓮を驚かせるにしてもここまでタチの悪いことはしない。多分。
そんな途方に暮れている蓮達に声がかかる。
「おーい! こっちだこっち」
声のした方へと振り向くと、路地を抜けた先に、明らかに蓮達を見て手を振っている中年の男性の姿があった。その男性は無精髭を生やしており、気怠そうな見た目をしている。
「どうみてもワガハイ達にだよな。行ってみようぜ」
モルガナの言う通り男性の元に行く。すると男性は蓮の写真が写ったスマホを蓮の方に向けて言った。
「お前が今日から俺の家に居候になる雨宮蓮だな。まったく…まさかメッセージ見てなかったのか?」
>どちら様?
「五反田泰志だよ! お前の親父さんが海外で転勤するからこっちで1年預かる話だっただろ? 三軒茶屋駅に迎えに来るってチャットしたんだがな……」
そんなことを言われても蓮の知り合いに五反田なんて人物はいない。父親が海外転勤するのも初耳である。
スマホを取り出し、確認してみると確かに五反田のチャットがあった。この男性の言っていることは嘘ではないらしい。
「いいから付いて来い。車で来てるから乗っけてやる」
五反田に連れて来られたのは高級――ではなく至って普通のマンションだった。階段を登って少し進むと五反田の表札があり、その表札の上には『五反田スタジオ』と書かれている紙が貼ってある。
仲間達と久しぶりに会うはずがどうしてこんなことになってしまったのか……。
「ただいま、かーちゃん。連れて来たぞ」
五反田に連れられた家内は普通だ。狭くも広くもないメゾネットタイプである。
すると、パーマをかけたふくよかな女性が姿を現した。どうやら五反田は母親と暮らしているようだ。
「蓮くんね。泰志の母の貴美子よ! ご両親から事情は聞いてるわ。ここを家だって思ってくれていいわよ!」
>これからお世話になります
一応ここの人達に礼儀良く挨拶をする蓮。バッグに入っているモルガナが蓮に小さく呟いた。
「……なぁ? マンションって猫大丈夫なのか? いや、ワガハイ猫じゃねーけどな! それよりさっきから何なんだ…ゴタンダとかいうやつがお前を世話するとかしないとか」
「ん? なんか猫の声しねえか?」
「やばっ…」
慌てて『空耳だ』とシラを切る蓮。
「そうか……編集のしすぎでちょっと疲れてんのかもしれねえな。そうだ、お前の部屋に案内してやる」
「お腹空いたでしょ? すぐにご飯作るからね!」
五反田に連れられてやってきた部屋はきちんと掃除が施されていた。勉強机と椅子にベッドまである。去年の全く手入れのされていなかったルブランの屋根裏部屋とはえらい違いだ。もっともこれが普通なのかもしれないが、この普通が蓮にとっては嬉しかったりする。
「それじゃ、俺は隣の自分の部屋に戻るから何かあったら言ってくれ」
そう言い残して五反田は蓮の部屋を出て行った。
蓮はモルガナの入った鞄を床に置いて「ふぅ〜」と自身もカーペットの敷いてある床に座り込む。
「なんかどっと疲れたぜ…アン殿達と連絡も取れないとなるとこの先どうすりゃいいんだ?」
途端に蓮のスマホが鳴る。電話に出ると声の主はラヴェンツァだった。
『ごきげんよう、ラヴェンツァです』
「ラヴェンツァ殿!?」
『この状況についてお話させて頂こうと思いまして。どうやら貴方を蝕む邪悪で巨大な意思の存在が動き出したようです』
>仲間達はどうしたんだ?
『……落ち着いて聞いてください。貴方とモルガナは仲間達のいる世界とは別の世界にいます』
「それは……一体どういう意味なんでしょうか?」
『貴方達が元にいた世界を仮にαの世界とします。今いる世界がβ――何者かの手によって怪盗団の存在しないβの世界に飛ばされてしまったのです』
いわゆるパラレルワールドに蓮達はいるようだ。小説とかで読んでて存在は知っていたが、まさか自分がその並行世界に行くことになるとは夢にも思わなかった。
そういえば、モルガナにはこの世界に迷い込んだ覚えがあった。
「まさか、駅に着いた時に眩暈がしたのは…」
『おそらくはそういう事でしょう……元の世界に戻るには邪悪で巨大な意思の存在をどうにかする他ありません』
「教えてください、ラヴェンツァ殿! その巨大な意思とは一体……」
『残念ですが声を届けるのに限界が来たようです……またいずれ、今度は実際にお会いしましょう』
電話は切れてしまった。どうやら元の世界に戻るには、邪悪な巨大な存在をなんとかしないといけないようだ。そうしないと世界の滅亡も止められないだろう。
「といっても異世界じゃないとペルソナが使えないからな…ん? 待てよ…」
>どうした?
「なあ、もしかしたらこの世界にはあるんじゃないのか? メメントスが、ちょっとスマホ開いてみろよ」
そんな都合のある話があるわけないと呆れる蓮だったが、なんと例のアプリが入っていた。だが、アプリの色は赤でも白でもない――黒と灰色の混ざったものだった。またイゴールが作ったのだろうか。
「あった…! ということは少なくともペルソナは使えるってことだな。よし、明日早速メメントスに潜入して――」
バタンッ!と急に蓮の部屋の扉が勢いよく開いた。何事かと思って後ろを振り向いてみると、乱入してきたのは五反田の母親の貴美子だった。
「蓮くん!! ご飯出来たわよ! 降りてらっしゃい!!」
「一体なんだッ!? むぐ――」
急な出来事だったためモルガナを隠すのが遅れてしまい、鞄を雑にモルガナの頭に乗せる蓮だったが、結局貴美子に見つかってしまった。
「この猫ちゃんはなぁに? 蓮くんの飼っているペットかしら!?」
>はい…
「可愛い猫ちゃんだこと! でもうちのマンションペット禁止でね〜……」
流石に猫を連れているのは予想外のようで困っている五反田の母親。すると蓮は、壁は引っ掻かないように躾を、猫の毛はきちんと掃除する等と説得を試みた。ついでに、飼う前は群れに1匹だけ馴染めなく、居場所が無くてかわいそうな猫ともお涙頂戴の設定も付け加えた。
これまでシャドウの交渉や吉田寅之助の演説技術を盗んだ蓮は、事実も交えつつ貴美子にモルガナをここに置いても良いか交渉した結果。
「うっ…うう……」
涙をポロポロと零していた。ついにはハンカチを取り出して鼻をかむ仕末だ。
「わかったわ…! 大家さんには黙っておくからしっかりお世話はするのよ!! じゃあ味噌汁冷めちゃうから早く来…うぅ!」
泣きながら部屋を出る貴美子。しかし次の瞬間、五反田のいる隣の部屋では『泰志!! ご飯よそってるから早く来なさい!』『だから勝手に入って来んな!』という声が聞こえてきた。まさに母と思春期の子のそれである。
「なあ、蓮。あのゴタンダとかいうやつ……ゴシュジン程じゃないとしてもきっと結構いい歳だよな? まあ仲良くやってるなら別にいいんだけどさ」
夕飯を済ませて自室へと戻る蓮。
茶碗のご飯を食べ切る度に貴美子からどんどんよそられるのは参ってしまった。おかげで蓮は5杯(それも特盛)も食べる事になってもはや動けそうにない。
蓮のそんな様子を見ていたモルガナはニヤニヤと笑っていた。
「ニャフフ、ビッグバンバーガーを食べ切った頃より食が細くなってるんじゃないか?」
「おーい、ちょっといいか?」
五反田の声が扉越しに聞こえてきたので、蓮は「どうぞ」と返事をするとそのまま扉が開かれる。
「ほらよ、明日からお前が
ブレザーの制服を渡される蓮。もちろん秀尽学園高校のものとは違う制服だ。
「1人で行けるよな? 本当なら送ってやりたかったんだが、明日は朝から忙しくてな……悪いがスマホのマップを見ながら行ってくれ」
入学?と首を傾げる蓮に五反田は続けて言った。
「明日からお前も高校生だろ? いいなー、高校生。俺も戻れるもんなら戻りてぇ」
そう言いながら蓮の部屋から出て扉を閉める五反田。残された蓮とモルガナはただ、先ほど渡された制服をじっと見ていた。日付を見てみると、今日はGW初日ではなく4月9日になっている。この世界では蓮の時間軸が少しずれているみたいだ。
――なんということだ。高校3年生に進級したと思ったら、留年でもなく学年が下がることになるとは。
蓮はため息とともに脱力感を感じた。陽東高校への道をスマホで調べると確かにあった。試しに秀尽も調べてみたものの、やはりそちらは無い。
「今日は色々ありすぎたな……ワガハイも疲れたし、今日はもう寝ようぜ」
五反田監督の母親のが分からなかったので声優さんの名前を借りました。家の構造については五反田母の「泰志!降りてらっしゃい」という台詞から2階のあるメゾネットタイプかなと