ペルソナ5 The My Star   作:アカトンボ

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前回の後書きで「(推しの子の)物語が変わってきます(キリッ)」とか言っておいてなんですが、今のところの時系列はまだ原作通りの流れでいきます。


第十三話 渋谷を牛耳る闇

 4月22日、土曜日。昼間。

 蓮、明智、アクア、モルガナの3人と1匹は渋谷駅前広場に集まっていた。昨日決めた予定の通り、これからメメントスに侵入するためである。アクアは力に目覚めたばかりだが、行きたいと本人の希望もあり一緒に行くことになったのだ。

 異世界に行く前に、アクアはスマホを取り出して蓮達に画面を見せながら言った。

 

「昨日、家に帰って気が付いたらこんなアプリが入ってた。蓮達は何か知ってるか?」

「ああ、それは『イセカイナビ』というアプリだよ。特定のキーワードを音声入力すると異世界に入れる…例えば、これから行く『メメントス』とかね」

 

 明智の丁寧な説明を聞いて、アクアは黒と灰色が混じっていて目の絵があるアプリのアイコンをまじまじと見る。すると、『ナビゲーションを開始します』という音声とともに、まわりの光景がぐにゃりと曲がるとそこには現実とは違う異様な雰囲気の世界が広がっていた。

 

「また来たんだな、俺は…ん?」

 

 異世界に入り、アクアは自分の服装が変わっていることに気付く。そこへつかさずモナが説明した。

 

「異世界に入ると格好も変わる。それがオマエの反逆のイメージってことだぜ」

「……」

 

 自分の姿を改めてみるアクア。色合いは全然違うが、王子のような儀礼服は前のクロウの服装と似ている。

 ジョーカーは「似合ってる」とアクアの格好を褒めた。

 

「それを言うならお前達の格好も……」

 

 アクアはジョーカー、クロウ、モナの姿を順番に見ていく。前にも見たが、それぞれのメンバーの服装を見て何も言えない状態になっている。アクアの視線が何か言いたげな感じで、特にモナは不機嫌になった。

 

「なんだ? 文句あるのか?」

「別に文句はないが……」

 

 猫が着ぐるみのような姿になって立っているのは、アクアでも不思議に思ったのだろう。ジョーカーも鴨志田のパレスに偶然入って初めてモナの姿を見たときは少々驚いたものである。このままだと埒が開かないと思って見兼ねたクロウは話の流れを変えた。

 

「…そういえば、彼にもコードネームが必要じゃない? いつも決めていただろ?」

「コードネーム?」

 

 聞き返すアクアに、モナが答える。

 

「異世界で呼び合うコードネームだ。怪盗が本名で呼び合うなんてカッコウが付かないだろ? ちなみにワガハイは『モナ』でコイツは『ジョーカー』、そしてアケチは『クロウ』」

「ジョーカー、星野くんのコードネーム、何か思い付くかい?」

 

 >オーシャン

 

 ジョーカーはアクアの本名である愛久愛海で海を連想したようだ。元々がキラキラネームなので海を違う言い方に変えたみたいで、クロウもそれに気付いたようだ。

 

「なるほどね、広大な海って意味の言い方か。問題は星野くんがどう思うかだけど」

「…別にそれでいい」

「よし、今からオマエは『オーシャン』だ! これからよろしく頼むぜ」

 

 正式にアクア――オーシャンを迎え入れる怪盗団。これからオーシャンとともにメメントスの奥を探索するが、その前にモナが恒例のアレをする。

 

「見て驚けオーシャン……もるがなぁーー! 変…身ッ!」

 

 モナがオーシャンの目の前でモルガナカーに変身する。その光景を見たオーシャンはなんとも言えない状態になっていた。

 

「……」

「どうだ! 驚いただろ!」

 

 既に一度、倒れていたとはいえオーシャンはモルガナカーに乗ったことがあるが、その時は意識がなかったのでモルガナカーをじっくりと見ていないと踏んだモルガナは自信満々に言う。それに対してオーシャンは猫がバスに変身することに驚いていなかった。あまりにも予想すぎたのだ。

 そんな中、クロウは冷静にオーシャンに簡潔に説明する。

 

「メメントスの探索はモナに乗って移動するんだ。さあ、早く行こう」

「おいクロウ! 流すんじゃねえよ! 新人にワガハイの威厳を――」

 

 モナが抗議を言いかけたところだが、ジョーカーはそれを無視してモルガナカーの運転座席に乗り込む。クロウも乗り込み、オーシャンも続いて怪盗団はメメントスの探索を始めるのだった。

 

 なんとかシャドウに出くわさずに、前の行き止まりになっているエリアまで辿り着く。モナは変身を解いて奥の壁をペタペタと触る。

 すると、ジョーカーのスマホから『新規エリアが追加されました』と音声が流れて奥へのエリアを阻んでいた壁が消えた。大衆が怪盗団を認知してきたことによって新しいエリアが開放されたのだ。この辺りのシステムは元の世界と同じのようである。

 

「よし! 早速進むとしようぜ」

 

 上りのエスカレーターに乗り、新しいエリアへとジョーカー達は足を踏み入れる。やはり序盤の方だからか、エリアの雰囲気はまだそれほど変わってはおらず、前のエリアと大差ない。

 ジョーカー達は再びモルガナカーへと乗り込み、探索を再開する。しかし、次のエリアに通じるホームの前でシャドウがウロウロとしている姿を見かけた。このままでは埒が明かないと思い、ジョーカーはいつも通りシャドウがこちらに気付く前にモルガナカーで突進した。

 

「なっ…!」

 

 あまりの展開にオーシャンは困惑するが、モナは一瞬のうちに変身を解き、ジョーカーとクロウも戦闘体勢に入る。モルガナカーの突撃によって正体を現したシャドウは2体の穢れた三角獣(バイコーン)に変貌した。

 

 ――オーシャン、やれるな?

 

 ジョーカーにそう言われたオーシャンはうなづきながら返事をした。

 

「ああ…やってやる」

「お手並拝見だね。くれぐれも足は引っ張らないでくれよ?」

「よーし、オマエの力をシャドウに見せてやれ!」

 

 オーシャンは落ち着くように深呼吸をして自分のドミノマスクに手を当てると、自身のペルソナの名を叫んだ。

 

「怒れ…ハルパゴスッ!」

 

 ブチッ――バイコーンに雷属性の技『ジオンガ』を当てて弱点をつく。敵のうち1体はダウン中、オーシャンはかかさずにそのバイコーンに、ペルソナが覚醒した時に一緒に顕現した自分の得物である剣『クレイモア』で攻撃すると見事に消滅した。

 

「敵はあと1体だ! オーシャンすげぇぜ! ジョーカーも負けてられないな」

 

 オーシャンの活躍を見てジョーカーも後に続こうとする。その時、ジョーカーの頭上に1枚の戦車のアルカナが舞い降りてくると、そのままジョーカーの仮面の中に入っていった。

 

「おい、どうした?」

 

 なんだか様子のおかしいジョーカーにモナがいち早く気づく。ジョーカーは不敵な笑みを浮かべると、モナやクロウにも覚えがあるペルソナの名を叫んだ。

 

 ――ぶっ放せ、キャプテン・キッド!

 

 ジョーカーの頭上にはドクロフェイスとカトラスでジョン・ラカムの海賊旗を体現したデザインが特徴的で、ペイントが施された帆船に乗っている男の姿があった。

 それを見たモナとクロウは思わず目を丸くして驚きを隠せない。

 

「オ、オマエそれ……スカルの……」

「ジョーカー、君ってヤツは…」

 

 そう、元の世界での怪盗団のメンバーのスカルのペルソナ『キャプテン・キッド』だったのだ。ジョーカーは驚いているモナとクロウを尻目に、バイコーンに雷属性の『ジオンガ』で弱点をつく。残り一体のバイコーンもダウンして、ジョーカーは総攻撃の合図を出す。

 

「オーシャンにとっては初めての総攻撃だな。しっかりワガハイ達に合わせろ!」

「あ、ああ…!」

 

 ジョーカー達に続いて、オーシャンも少し遅れて総攻撃に加わる。すると、残りのバイコーンも消滅して戦闘が無事に終わった。戦闘を終えてオーシャンは少し息が乱れていた。

 

「はぁ…はぁ…」

「ふぅ、これで次のエリアに進めるようになったね。それにしても……」

 

 クロウがオーシャンに目を向ける。

 

「まあ、初めてにしては悪くないんじゃない? 僕も君を歓迎するよ、オーシャン」

 

 

 それからしばらくして――モルガナカーでメメントスの奥を目指していた怪盗団一行は、シャドウとの戦闘も交えつつホームのあるエリア10辺りまでやってきた。どうやらここが最深部のようで、ジョーカー達の進む目の前にはまた壁が道を塞いでいる。

 

「くっ、ここまでみたいだな…」

 

 そう言いながらモナは壁をペタペタと触ったみるが、全く反応しない。先に進むには、また多くの大衆に怪盗団の存在を認知してもらうしかない。これ以上メメントスにいても仕方がないため、ジョーカー達はメメントスから帰還することにした。

 

 メメントスから現実の渋谷の駅前広場に帰還する蓮達。時刻は既に夕方の6時になっている。

 蓮は今日はもう解散にしようと思ったところ、アクアの口が開いた。

 

「そろそろお前達の目的を教えてくれよ。何のためにこんな事をしているんだ?」

 

 蓮はつかさず、世直しだとアクアの質問に答える。理不尽な目に遭っている弱い立場の人達を助けたい思いで怪盗団をやっている、と――もちろん、蓮が言っているのは本当のことで嘘は言っていない。だが、蓮達にはもう一つ目的があり、それは『元の世界に帰る』ことである。後者の目的についてはアクアには今は(・・)言う必要がないと昨日の夜にモルガナと結論づけたのでその事は伏せる。

 蓮の言うことに納得したのか、アクアは肩をすくめながら言った。

 

「呆れるくらいのとんだお人好しだな、蓮は」

「まったくだよ、僕も何度も蓮に巻き込まれてきたからね。これからはアクア君もそれなりの覚悟をしておいた方がいいよ」

「違いない」

 

 アクアの言うことに微笑しながら返す明智にモルガナ。まるで自分がトラブルメイカーのように言われるのは納得のいかない蓮だったが、まあいいかと思うことにした。

 そんな雰囲気の中、ピピピッと明智のスマホが鳴った。

 

「…と、ごめん電話だ」

 

 明智はスマホを取り出して、蓮たちから少し離れたところで電話に出る。しばらく蓮やアクアがそれを見守る中、明智は「わかりました。では、これからそちらに向かいます」と言って電話を切ると、こちらに戻ってきた。思わずモルガナは何があったのか訊いた。

 

「どうしたんだ?」

「ちょっと警察の人から連絡があってね。これから警視庁に行かないといけないんだ」

「そういえば、明智って探偵だったな。シャドウと戦闘をしている時の豹変ぶりを見て忘れそうになってた」

 

 アクアの言葉に明智は気分を害することなく笑顔で返す。

 

「ははは、それを言うなら君も必死になって戦っていたじゃないか。あんなアクア君を初めて見たからなんだか新鮮だったよ。それじゃあ僕は行くね」

 

 明智はそういうと、渋谷駅の中に入っていった。元の世界でも明智は忙しそうにしていたが、今回も大変そうである。

 残された蓮、アクアは目を合わせるもそのまま無言の時間が続く。口数の少ない2人に対して、モルガナは居た堪れない気持ちになる。

 

「そ、そういやワガハイ腹が減ったな! センター街のどっかで食って帰ろうぜ!」

 

 蓮も、そうするかと言ってモルガナに賛成する。もちろん蓮はアクアも誘おうとするが、なんだか考え事をしているようだった。

 

「どうかしたのか、アクア?」

「ちょっとな…」

「心配するな。オマエの分も蓮が奢ってくれるってよ!」

 

 どうやらモルガナはアクアが金欠になっていると思っているようだ。まさか祐介でもあるまいし、それより勝手に自分が奢ることになってしまったのはどうもいただけない。

 モルガナの言うことにアクアも口元に笑みを浮かべて言った。

 

「そうか、すまないな蓮」

「行こうぜ! ワガハイはビュッフェがいいな〜」

 

 モルガナが先行してアクアもそれに続く。話の流れ的に自分が奢るのは確定事項らしい。なんとしてでも高いビュッフェだけは回避すべく、蓮もモルガナ達を追いかけようとすると、何者かの視線を感じた。

 

 >?

 

 視線を感じた方を見てみるも、そこには木の枝の上で止まっているカラスがいるくらいだ。誰かに見られてると思ったのは、気のせいだったのだろうか?

 

「おーい、信号変わっちまうぜ」

 

 モルガナが呼んでいることに気付き、蓮はアクアとモルガナと一緒にスクランブル交差点を渡る。

 そこに、その様子を忠犬ハチ公像近くにある木の陰から見ていた存在がいた――。

 

 

 

「トリックスターである雨宮蓮、明智吾郎、そして人々の希望で創られたモルガナ……君達がこの世界に迷い込んだことによって、あの子の運命が変わる事を願うよ」

 

 

 ・・・

 

 

(僕に連絡をしてきたのは、声質的に前に話しかけてきたあの女性だとは思うけど)

 

 蓮達と別れ、警視庁本部に着いた明智は、以前にこの場所で会った女性のことを思い出していた。電話に出る際に『宮代詩織』という名前が出てきたときは誰かと思ったが、どうやらあの女性の名前だったようだ。おそらく『この世界の明智』は宮代詩織という刑事と連絡を交換していたようで、実際に呼び出されたことが何よりの証拠である。出来れば、妙な疑いをかけられないように彼女にはあまり関わりたくはないのだが、警察と探偵という立場上、そうも言ってはいられない。

 明智は警視庁の中に入り、オフィス内を見渡す。すると、オフィス内のテーブルの椅子に座り、テーブルの上でノートパソコンを開いて神妙な面持ちで作業?をしている詩織を見つける。明智はそのまま立っているわけにもいかず、詩織のいるところまで近付きながら声をかけた。

 

「こんばんは、詩織さん。何かありました?」

 

 明智は彼女をあえて下の名前で呼ぶ。自分を吾郎と呼んでいるくらいなのだから、親しさ的には何もおかしくないだろうと踏んだのだ。かつて新島冴の事も名前で呼んでいたこともあり、歳上である彼女を名前で呼ぶのには抵抗はない。

 詩織は明智に声をかけられたのに気づくと、一旦作業を中止して明智の方に向いた。

 

「あら、吾郎くん。早かったわね」

「探偵として刑事に呼ばれたとあっては急ぎますよ。それより、さっきから何を見ていたんです?」

「……ちょっとこれを見てくれる?」

 

 さっきまで詩織が作業をしていたノートパソコンの画面が明智に見せられる。そこに映っていたのはなんと、ここ最近での未成年が起こした犯罪のデータであった。

 

「これは……」

 

 データに目を通していく明智。なんと、ここ最近での未成年が起こした犯罪数が急激に増えていたのだ。逮捕されているのは軒並み学生であり、特に高校生から大学生までの青年が多い。主に犯罪が起きているのは渋谷で明智はこの件について、元の世界でマフィアを名乗っていた男を思い出していた。

 

(まるで金城が牛耳っていた時みたいだな。結局は蓮達に改心させられてしまったけどね)

 

 金城が獅童と繋がっていたことも思い出し、内心イラッとしてしまった明智だが、探偵王子としてすぐに切り替えることにした。

 

「運び屋に空き巣、さらに引ったくりや万引きか…どれもやろうと思えばやれるような犯罪ばかりですね」

「まだ殺人は起きていないようだからそれだけが救いね…吾郎くんはこれを見てどう思う?」

 

 明智は顎に手を当てて考え込み、自分なりの考えを詩織に答えた。

 

「誰かに指示されている、そう考えるのが妥当でしょう。大方、『楽に稼げる』とか言って学生を騙している……いわば詐欺の加担。ちなみに詩織さん、逮捕された学生達から『誰かに脅された』とか訊きました?」

 

 すると、詩織は渋い顔をして明智の質問を応える。

 

「それがね…そのことを訊くと皆黙ってしまうの。『お金が欲しかった』『借金があった』ってそれだけ…」

「なるほど、きっと『警察に言うとお前の家族から消す』とでも言われて脅されているのでしょう。身内を人質にされている以上、逮捕された容疑者や現在犯行を企てている学生達は助けを求めようにも求められない」

「…で、でも警察の方で言えば誰が吐いたかなんてわからないはずじゃない? 言ってくれれば後は私達が――」

「詩織さん、あくまでこれは僕の推測なんですが……」

 

 詩織の言うことに明智は呆れていることを隠して遮る。犯人を捜したい気持ちはわからないでもないが、容疑者となった学生達には脅している犯人の正体を言えない理由がある。それがわかっていない彼女に明智は淡々と言った。

 

「容疑者が逮捕された場合、ニュースで顔と本名が報道されますよね? もしそれで学生を脅している輩――仮に『詐欺グループ』と呼びましょう。顔と本名を報道された学生が逮捕された直後のニュースの後で、詐欺グループに警察にバレたと勘付かれた場合、逮捕された学生の家族はおそらく不幸な事故に遭って殺される…最悪な想定はなんとしてでも避けたいのでしょう」

 

 そうなる前に警察が絶対(・・)必ず(・・)詐欺グループをすぐに逮捕してくれるという保障は無い。それを被害に遭った学生達はおそらくそう思っているのだ。今この瞬間にも犯罪に手を染めようとしている学生もいることだろう。金城の時と同じように助けを求めることも出来ずに……。

 明智の見解を聞いた詩織は何も言えずに悔しそうに俯いている。彼女も脅されている学生達を助けたいのだ。きっと何も出来ずにいる自分に腹を立てているのだろう。そんな彼女は声を振り絞って明智に問いかけた。

 

「…じゃあ、どうすればいいの? 吾郎くんはこのまま泣き寝入りしろって言いたいの?」

「まさか、犯罪を見過ごすなんて僕の正義が許さない。詩織さんと志は同じのつもりです」

 

 あくまで自分は正義の探偵であると詩織に主張する明智だが、心の底で彼には狙いがあった。簡単なこと――金城のマフィアの時と同じで、この世界の渋谷を牛耳っている詐欺グループのボスの欲望を奪って改心させればいい。それなら被害者の家族も不幸な目に遭うこともなく、大衆に怪盗団を認知されてまさにwinwinだ。

 問題は詐欺グループの足取りなのだが、明智は一応詩織に情報を訊くことにした。

 

「詩織さん、詐欺グループのボスのプロファイリングって出来ていますか?」

「ごめんなさい…まだ目星も付いていないの。私達も捜査しているんだけど、なかなか…」

 

 流石に詐欺グループも警察の目の前で学生に声をかけたりしないだろう。相手も一般人を装って潜伏しているのだ。警察がいれば警戒して出て来ないのは当然だと言える。ならば私服で調査をすればいいだけ――と考えつくものだが、詩織の話ではそれは既にやっているそうだ。相手は未だに足がつかないのだ。今回の詐欺グループのボスも『警官らしき人らに見られないように、つけられないように』と部下達を警戒させて躾けているとみえる。

 元の世界の時は、事情もあって明智も初めから金城がボスだということを知ってはいたが今回は1から調べる必要がある。だが、詐欺グループのボスを改心させて怪盗団を大衆に認知させるという目的ができたため、明智はこの件を引き受けることにした。

 

「詩織さん、僕にも協力させてください。というか、最初からそのつもりで呼んだのでは?」

 

 そう探偵王子らしく振る舞いながら言う明智に、詩織はうなづいてどこか申し訳なさそうに言った。

 

「ごめんなさい…私達だけじゃ捕まえられそうにないの。吾郎くん、ありがとう」

 

 明智からしても警察から信用を得るのはデメリットではない。むしろ、警察関係者からターゲットになりそうな悪人の情報を得るのに役立つ。しかし、それと同時に怪盗団が警察のターゲットになった場合に明智達が捕まる危険性もあるが今回はそんなヘマはさせない。

 

(さて、蓮達にも知らせないと。次のターゲットが決まったってね)

 




ご覧のとおりアクアのコードネームは『オーシャン』にしました!
無事に次のターゲットになる人物も決めたのでぼちぼち書いていきます。
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