ペルソナ5 The My Star 作:アカトンボ
4月27日、木曜日。朝。
蓮は〇〇駅から降り、陽東高校の校門前まで来た途端、最初に耳に入った言葉は『怪盗団』である。どうやら昨日の金田への予告状が話題になっており、生徒達がよく口にしていた。「また怪盗団が出た!」だの「ハンニャで話題になったからただの模倣犯だろ」だの、一応盛り上がってはいる。そりゃあれだけセンター街にばら撒いたのだ。少しくらい話題になってもおかしくないだろう。
「ばら撒いたのワガハイだけどな……大変だったぜ」
蓮はモルガナに労いの言葉をかける。実は昨日の予告状はモルガナがほとんどばら撒いたのだ。監視カメラ対策としてきちんと、モルガナには黒いビニールを被って変装?して貰ったので、モルガナだとバレないはずである。蓮達がやるとバレる可能性が高くなるため、わざわざモルガナにお願いしたのだ。
「報酬としてワガハイは寿司を所望する。もちろん銀座のやつな!」
モルガナはどうしても銀座にある高級寿司を食べたいらしく、今でも諦めていないようだ。蓮としても、寿司折を買ってやりたいという気持ちはやまやまだが、生憎手持ちが心もとない。これからのこともあるため、大人しくアルバイトをするしかないだろう。
なんにせよ、今は金田が改心するのを待とう。
「あ、雨宮くん…」
そろそろ校舎に入ろうとしたところで、自分の名前を呼ばれて振り向く蓮。そこにいたのは芸能科でルビーの友達である寿みなみだった。朝の登校中はルビーはいないみたいである。
蓮はみなみにおはようと返した。
「おはよ〜、雨宮くん聞いた? また怪盗団が出たみたいやよ? しかも渋谷に」
どうやらみなみも怪盗団が気になるようだ。例のストーカー事件が怪盗団に解決してもらったと思っているため(というか実際そうだが)、すっかりみなみも怪盗団の存在を信じているようだ。
そんなみなみに蓮は「そうみたいだな」とまるで他人事のように返した。
「あれ? もしかして興味ないん? ルビーちゃんなんてめっちゃテンション上がってるんやけどなぁ。あ、それと……言い忘れてたことがあるんよ」
そう言って、みなみはどこか恥ずかしそうに顔を赤らめる。すると意を決したように続けて言った。
「この前は、うちのために付き合ってくれてありがとう……」
きっとストーカーの件について言っているのだろう。蓮からすれば、大したことはしていないと思っているが、こうやって感謝されると嬉しいものだ。蓮はみなみのお礼の言葉に、どういたしましてと返す。
「うん……そ、それだけ!」
罰が悪いのか、みなみは先に校舎の方に行ってしまった。その後ろ姿を見て事件が起きないうちに、みなみを助けられて良かったと心から思う蓮だった。
昼休み。
場所は変わり芸能科である1ーFの教室。ルビー、みなみ、杏の三人はそれぞれの机をくっつけている状態でお弁当を食べている。もちろん話の話題は昨日現れた怪盗団についてである。
「ところで、2人ともこれ見て。じゃ〜ん!」
そう言いながらルビーが鞄から取り出したのは、赤いポストカード――怪盗団の予告状だ。まるで小さな子どもが自分の宝物を見せびらかすように、みなみと杏に金田カツエ宛ての予告状を机にポンと置いた。
「もしかして……昨日チャットで言ってた良いものが手に入ったってこれ? そういえば渋谷で怪盗団が出たって騒ぎになってるみたいだけど…」
「そ! 今はもう無いけど、昨日渋谷でこのポストカードがばら撒かれてたらしくてさ。私が行った時には既にこの1枚しか無かったよ」
「うちも怪盗団が出たのは知ってたけど……それでルビーちゃん、昨夜のチャットでテンション高かったんやね…」
みなみが蓮に言っていた『ルビーちゃんがテンション上がってる』というのは予告状を手に入れられたのが大きかったみたいだ。ちなみにルビーはハンニャ教頭への予告状も、まだしっかりと持っており、このままコンプリートしそうな勢いである。
すると、ルビー達の他にも教室で怪盗団の話をしているクラスメイトの男子の会話が聞こえてきた。
「ハンニャの次は金田カツエかー。そういや金田カツエってちょい有名な投資家だったよな」
「つかこれで2回目じゃん? 怪盗団ってマジでいるんかね?」
「さあ? ただ偶然に偶然が重なっただけだろ」
少し離れてた席から聞いてた、というか聞こえたルビー達。まるで、さっきまでの話に水を差すような会話を耳にしたルビーは、男子達に聞こえないような声でボソリと言った。
「はぁ……怪盗団はいるに決まってるじゃん。わかってないなぁ〜」
「まあまあ……」
不満そうに呟いたルビーに、みなみはどうどうと落ち着かせるようにいう。杏はというと、スマホをいじっていて、画面を見ていた。そして、ルビーとみなみに自分のスマホ画面を見せながら言った。
「ほらみて、『怪盗お願いチャンネル』のサイト。なんだか盛り上がってるみたいだよ?」
杏に言われてそれぞれ自分のスマホを取り出すルビーとみなみ。同じく怪チャンを見ようとサイトを閲覧する。
「あ! ちょっとYESが増えてる!」
貴方は心の怪盗団を信じますか?というアンケートに、ちょっと前までは5%ほどしか無かったのに対して、今は9%に上がっていた。昨日の予告状がばら撒かれたのが影響されたのだろう。掲示板の方も多少書き込みが増えている。
【心の中二病団おつwww】
【ゴミを渋谷に撒くな】
【怪盗なんか信じてるやつ全員頭悪いしバカ】
「「……」」
ほとんど否定的な書き込みを見て、なんとも言えないルビーとみなみ。一応ルビーを気遣ったつもりだが、結果的に杏は思わず『やってしまった…』という気持ちになり、無言で画面を見つめる2人に謝った。
「えっと、ごめんね?」
放課後。
蓮とアクアがお互い帰ろうとしていた時に、モルガナがまだ教室にいる他の生徒達には聞こえないような声でアクアに聞いた。
「そういや、あれからアリマは大丈夫なのか?」
「有馬ならもう平気らしい。というか学校に来てる」
金田カツエの件で、ペルソナを覚醒させてから一気にぶっ通しだったため、蓮達はかなの体調を心配していたがなんとか元気になったようだ。アクアの返事にひとまず、蓮とモルガナは安堵する。
「そいつは良かったぜ。実はちょっとアリマに話があるんだが……生憎コイツはアリマの連絡先を知らなくてよ。アクアは知ってるか?」
「まあ知ってるけど。要するに俺に有馬を呼び出してくれって?」
頼む、と蓮もアクアにお願いする。モルガナの言う話というのは、「戦力になって欲しい」との交渉である。かなも正式に怪盗団に入ってくれればかなり頼もしい。今後の活動にも期待大だ。
アクアがスマホを取り出して、かなのチャットに呼び出しの連絡を送ろうと文字を入力している最中、アクアはあることを思い出した。
「そういえば、明智も有馬と同じクラスだった気がする」
「マジかよ!? それをもっと早く言えよ!」
それなら明智に直接かなに言って貰えたのだが、明智は今日学校に来ているのだろうか。そもそも来ていなかったら、どのみちどうしようもなかった気もする。蓮は試しに明智にチャットを送ってみるが、返信も来ず既読も付かない。なので、ここはやはりアクアに頼むしかないだろう。
「何の話かは想像がつくけどな。呼び出しておくが、来るとは限らないぞ」
アクアはかなにチャットを送信する。陽東とは少し離れたところにある公園に待ち合わせをして、蓮達は早速向かった。
公園に着いた蓮達がしばらく待っていると、どこかソワソワしてる様子のかながやってきた。
「お待た――」
「よぉ、待ってたぜ!」
アクアの横にいた蓮とモルガナに気づくかな。すると、さっきまでの様子とは打って変わり、『あれ? 期待した展開と違う?』的な態度になった。
「あ、あぁ…アンタ達もいたのね」
「話があるのは蓮とモルガナだからな」
「ふーん……」
かなが険しい表情をしながら蓮に視線を向ける。蓮もかなに目を合わせて、まずはかなの体調に気を遣い「もう体は平気なのか?」と言葉をかけた。
「私ならもう平気よ。大方予想はついてるけど話ってどんな話?」
タイミングを見計らい、モルガナはここぞとばかりに言った。
「なあ、ワガハイ達の仲間になるつもりは無いか?」
「仲間って……もしかして怪盗団の? 私を?」
かなとしては金田カツエのことやあの世界について、詳しい内容をまた説明されるかと思ったのだがまさかの勧誘である。昨日までは流れで、蓮達と一緒に金田のシャドウを倒したが、そういえばまだ怪盗団に入るとは言っていなかったことを思い出す。
「ああ、異世界でアリマの戦闘を見て只者じゃないと確信したぜ。頼む! 怪盗団に入ってくれねーか? 正直、戦力になってくれるとワガハイも有難い」
「え…本気で言ってんの?」
>かなの力が必要だ。
突然の怪盗団への勧誘に戸惑うかな。ここまで自分の事が必要だと言ってくれて、心が揺らぎ葛藤してしまう。しかし、役者をやりながら怪盗もやるなんて現実的ではない。そもそも怪盗団自体が現実味が無いのだが、異世界を見てしまったので『ある』と認めざるを得ない。かなとしては蓮とモルガナの誘いを断る寄りに傾いていた。何故なら、例え私が入ったところで足手まといになるのが嫌だったからだ。蓮や明智の戦闘ぶりを見て、私はあんな風に出来そうにない。
蓮たちに返事をする前に、さっきから黙って見ているアクアを見て声をかける。
「アクアも怪盗団……なのよね?」
「……まあな」
「アクアは私に入って欲しいって思ってる……?」
「……」
その質問にアクアは少ししてから、かなから視線を外して答えた。
「俺としては有馬に危険な目に遭ってほしくない。だから勧めはしない」
「ちょっ……」
モルガナが思わず「何言ってんだオマエ!」みたいな目でアクアを見る。モルガナとしてはなんとしても、ペルソナに覚醒したかなを勧誘したいのだが、アクアの言うことも最もであり、怪盗団に入るからには危険と隣合わせである。アクアがかなを大事に思うからこその意見であり、蓮はかなが入らないと答えればそれで諦めようと思った。普段から「諦めるのか?」と仲間達に言ってきた蓮でも、こればかりは仕方ない。かつての仲間達は、自分から入ると言っていたので拒否されるということはなかったが……かなはどうだろう?
「……無理にとは言わねーけど、ワガハイとしてはやっぱり入ってくれたら…なぁって…」
やはりこの世界でのメンバー候補を諦めきれないモルガナは、ちらちらとかなの顔を伺う。蓮も入って欲しい気持ちはあるため、最後に「かなが頼りだ」と懇願する。これで無理なら今度こそ本当に諦めるつもりだ。
「う……」
どうやら効いているみたいである。すっぱりと「私は入らない」と言わない辺り迷っているようだ。モルガナはそこを見逃さず、褒めてその気にさせる作戦を取る。
「いよっ! 世界一の天才怪盗! いや、宇宙一の天才怪盗! アリマならきっと――」
「わかったから大きい声でやめなさいよ! 恥ずかしいから!!」
別にモルガナが大きい声で言っても、普通の人には猫の鳴き声にしか聞こえない。困っているかなに対して、蓮はそう説明する。ついでに現実でモルガナの声が聞こえるかなは『特別』だという言葉も付け加えた。
「そういう問題じゃなくてっ……あーーもうーーー!!! 入るわよ! 入れば良いんでしょ!?」
「よし!」
作戦が成功し、モルガナと蓮はその場でガッツポーズをする。おそらく、かなも押しに弱いと見える。
>これからよろしく
「はぁ……どうして私はこう……」
そう言いながら頭を抱えると同時にため息を吐くかな。なんにせよ、これで今月だけで怪盗団の戦力は2人も増えて全員で5人となった。正直なところ、めちゃくちゃ大きい。金田が改心したら、早速メメントスに潜入してみよう。先に行けるエリアが解放されているかもしれない。
先程、かなの怪盗団入りに前向きではなかったアクアにモルガナは話をふる。
「というわけでアクアも異論はねえか?」
「……有馬が決めたなら俺は止めない。だが忠告はしたぞ」
アクアはそう言うが、シャドウ相手でもかなの実力なら問題ないだろう。しかし、怪盗としては新人なので、最初は蓮達がサポートをしていくことが大事だ。まあ、かなのことだ。上達もきっと早いだろう。
「歓迎するぜ、カナ!」
こうして、新しいメンバーにかなを迎え入れた蓮達。これからの怪盗団の活躍に、より一層期待である。
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一方その頃、明智はというと警視庁の警官達と金田の家のガサ入れに来ていた。金田が先程、全ての罪を警察に電話で自白したのである。若者に闇バイトをさせていたのはあたしやらその手口やらとことん喋り、警視も思わず総動員している。金田邸のまわりにはパトカーが何台も止まっており、道行く人達も立ち止まってしまうほどだ。興味本位で遠くから写真も撮られており、警察も野次馬に手を焼いている。
その中には宮代詩織の姿もあり、明智と一緒になって行動していた。
「今まで証拠も掴ませなかった金田がどうして急に……まるであの時と同じね…」
詩織が言っているのは、ハンニャ教頭のことだ。突然の心変わりに覚えがあり、それはまさにあの時だ。
「怪盗団、ですか?」
「ええ、反谷の時と同じ色のカードが渋谷にあったらしいの。これを見て」
怪盗団の予告状を明智に見せる詩織。当然、自分の指紋が残らないよう手袋をしており、証拠を保存するためのOPP袋に入れている。金田邸を捜査していたら大量に見つかったものである。おそらく手下を使って渋谷中に撒かれた予告状を片っ端から処分しようとしていたのだろう。その前に改心が起こり、今に至るということか。
当然明智は金田が何故こうなったのか知っているため、考える必要など無いが話を合わせることにした。
「詩織さんは怪盗団という存在がいると思ってます?」
「……最初は信じてなんかいなかったけど、こうなってくると信じざるを得ないところまで来てるわね。まさか怪盗は本当に人の心を奪うことが出来るというの…?」
摩訶不思議な存在に戸惑う詩織。確かに突然、現実離れした出来事……オカルトのような事が起こってしまったら誰でも気味が悪くなるに決まっている。
「吾郎くんは今回の件どう思う?」
「そうですね……」
詩織に意見を求められ、どう答えようか瞬時に考える明智。
「もし仮に本当に実在しているとしたなら、怪盗団は人の心を無理矢理ねじ曲げる洗脳染みた事ができるのかもしれません」
さらに言葉を続ける。
「今回の金田カツエも、急にどうしてか人が変わったようになりましたよね。まるで心を操作されたかのように……」
明智はそれらしいことをスラスラと口に出す。今までメディアを通じて清廉な探偵王子を演じてきた経験が活きており、このくらい彼なら造作もないだろう。昔とは違い、今は元の世界に帰るためとはいえ蓮と共闘しているので明智も実質怪盗団本人なのだが、この世界の人である詩織はそんなことを知る由もない。
すると、黙って明智の意見を聞いた詩織が『洗脳』という言葉に反応する。
「洗脳……確かに言い得て妙ね。そうじゃないと説明がつかないもの…」
「いえ、誤解しないでください。もう一度言いますが仮にもしも、怪盗団という存在が本当にいてそんな力があれば…そんな話です」
警察としては、もう大人しくはしていられない頃だろう。今まで学生に闇バイトをさせてきた金田を、警察が必死になってまで尻尾を掴むことすらできなかったのだ。その結果が怪盗団という謎の存在にあっさり改心させられてしまい、警察の面子も丸潰れである。いずれは怪盗団を捜索するチームがいつできてもおかしくはないだろう。
「……大変な事になったね」
そこへ2人の前に現れたのは、警視長の階級バッジを付けた人の良さそうな長身で細身の中年男性であった。詩織は敬礼をしてからその男性の名前を呼んだ。
「く、黒川部長……」
黒川と呼ばれた男性も詩織に答礼する。それから明智の方を見て穏やかに言った。
「久しぶりだね、明智君もご協力ありがとう。感謝するよ」
「いえ、僕で良ければいつでも力になりますよ。黒川さん」
どうやら黒川は『この世界の明智』と面識があるようで、明智も話を合わせる。いくら凄腕の刑事とはいえ、違う世界からやって来たかどうかはわからないだろう。
明智は『黒川』という名字にどこかで聞いたような気がして少し考え込む。
(黒川…黒川って確か……いや、黒川なんて名字は割といるから僕の考えすぎかもしれない)
「新島から色々と事情聴取について訊いてきたんだ。そうしたら金田カツエは良心の叱責の一点張りらしい。まるで人が変わったようになっているそうじゃないか……本当に不思議なものだ」
こういうことは前代未聞の出来事のようだ。それもそうである。普通はありえない『心を盗む』という行為を実際にしているのだから当然だろう。非現実的なことに思わず黒川も頭を抱えてしまっている。
「怪盗団を名乗る輩に言ってやりたいよ。我々警視庁を軽視するなってね」
「「……」」
黒川のいきなりの面白くもないギャグに明智と詩織は、どう反応していいやらと無言になる。どうやら彼はいずれ警視総監になる日も遠くないとのことだが、人というのはわからないものである。
当の本人は「ははは」とまるで空気を解きほぐすように軽く笑っている。
「とにかくだ。私刑とも呼べる行為を平然としている怪盗と名乗る輩をこのまま放置するのは、警察としても良くないと思うんだ。まあ、私達警察のせいで怪盗が現れたのかもしれないけどね……」
おそらく数ある中で、いくら優秀な警官でも未解決な事件や未だに殺人犯等の犯人を見つけられずにいることについて言っているのだろう。金田の件もその一つで怪盗がいなければこうやって解決しなかった可能性はある。しかし、黒川は怪盗によって起こるかもしれない事件を危惧しているのだ。もし人の心を変えられるなら、悪事に使うことも考えられる。それは絶対に警察として阻止せねばならない。
「…私もそう思います。その事について吾r……明智くんとも話してました」
上司である黒川に同調する詩織。別にこれは忖度ではなく、詩織の意思で言っているのがわかる。なるほど、それだけでも黒川という男は部下からの信頼も厚いと見える。
(この男に怪しい素振りを見せればすぐにバレそうだな……)
初対面だが明智もそれくらい勘付いた。もし自分の正体がバレそうなものなら黒川を文字通り消してやろうと脳裏に浮かんだが、蓮がそんなことを見逃すはずもなく全力で阻止しようとするだろう。蓮とは元の世界へ帰るため、今は丸喜の時と同じように手を組んでいる状態なので、明智としてもそれは都合が悪い。消すという選択肢は、頭から捨てることにした――やれやれ、僕も随分と甘くなったものだ。この黒川という男の正義感は反吐が出そうになるくらい気に食わないけどね。
切り替えて明智は黒川に怪しまれないよう、話を合わせることにした。
「僕も同意見です。探偵としても怪盗は法で裁かれるべきだと思います」
明智の演じぶりに思わずその変の役者も目を丸くしそうである。
あかねパパですが、とりあえず階級は警視長で真パパと友人という設定でいきます。