リアルではモブなわたしは、GBNでずっと暮らしたい。   作:ゼラチナマスター

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 GBNがあったら一生入りびたるのに!
 そう思って数年。
 明らかに運営コストが見合わないし人でも足りないから、
 誰もガンダム世界でスローライフ出来るネットゲームを作ってくれないので、
 せめて夢の世界を頭の中だけでも広げようと駄文を書き始めました。
 自分の思う”好き”をいっぱいに叩きつけただけの物語です。
 この物語は皆さんの”好き”を否定するものではないつもりです。

 ほんの少しでも、皆さんの”好き”が共感できるものであれば幸いです。

○閲覧にあたって注意していただきたいこと
※ガンダムシリーズに登場するキャラクターが登場しますが、
 あくまで全て登場人物のアバターを使った別人です。

 ビルドダイバーズ並びにメタバースの公式キャラはほぼ登場しません、
 出てくるとしても助言したりする程度の端役でしょう。
 ……だって、皆、バトルもガンプラ作りの腕前も、キャラクターの個性も強すぎるし。

※ネトゲあるあるの性別変更を行っているため、
 中の人の性別が別だったりすることもあります。

※3/31  第1話:わたしはガンプラが作れない セセリア視点場面を判りやすくなるよう加筆訂正


第1話:わたしはガンプラが作れない
オープニングムービー:峡谷をジェガンは駆ける


 

 曲射された砲撃が、谷底の狭い地面をえぐり、吹き飛ばす。

 もうもうと上がる砂ぼこりの中を、一機のガンプラが狭い谷底を駆け抜ける。

 それは、ダークブルーに塗られたジェガンだった。

 

「この砲撃……ミッション報酬のギャロップか」

 

 ダイバーギアの操縦桿を握りしめ、ジェガンのコクピットで美女が冷静な声で呟く。

 

「……まったく、贅沢な使い方だ」

 

 紅に染め上げた唇を妖艶に舌で湿らせ、美女はバイザーに移り込む周囲の景色に目を配る。

 

「エニルさん! 後ろ!」

 少年の声とアラートとほぼ同時、急ステップで飛んだジェガンの真横をバズーカの弾頭が抜けていく。

 ジェガンの後方、土煙をかき分けホバーで迫るガンプラ、ドムタイプの姿があった。

「揺れるぞロウジ、しっかりダイバーギアを握っていろ!」

 複座シートの少年に遅い警告を発揮しながら、美女はウェポンゲージをクリック。

 腰に吊られたライフルをジェガンが構え、小さなステップと共に振り向きざまに二連射、

 大気を焼いて伸びるメガ粒子がドムタイプの構えたバズーカに着弾、破壊する。

 飛び道具を潰したとみるや、ジェガンは素早く前方へ振り返る。腰から何かを投げ捨て、谷底の狭い道を素早く駆け抜けてゆく。

 慌てたようにそれを追うドムタイプの足元で、ジェガンが投下したハンドグレネードが炸裂する。ドムがたまらず足を止め、ジェガンから引き離される。

 

「エニルさん凄い! 間もなくゴールエリアです……」

 

 美女の妙技に、少年は快哉を叫ぶ。

 だが、少年の称賛の声を打ち消すように、前方の空に閃光弾が打ちあがる。

 

「バルチャーサイン『宣戦布告』……か!」

 

 緊張と称賛ないまぜにした顔で、美女はその空を見上げる。

 たなびく閃光弾の線のたもと、青いグフタイプのガンプラが悠然とたたずんでいた。

 

「素晴らしいガンプラ、そして良い腕だ。エニル・エル。

 だがここまでだ、大人しく物資を渡したまえ!」

「まったく、いいロールプレイだね……」

 

 美女の呟きと同時、返答はこれだとばかりにジェガンタイプが素早くライフルを撃ち放つ。

 だがビームの輝きはグフタイプの構えたシールドに着弾し、むなしく飛散する。

 

「……盾の塗装、ビームコーティング判定ですっ!」

「丁寧な仕上がりね。憎ったらしい!」

「この風、この肌触りこそ戦争よ!」

 

 決め台詞と共に、グフタイプがジェガンタイプの行く手を塞ぐように崖を滑り降りる。

 

「エニルさん、このままじゃ挟み撃ちです!」

 

 慌てる少年と対照的に、美女は不敵に笑ってみせた。

 

「まったく。これだから……ガンプラバトルはやめられない」

 

 グランドキャニオンを舞台に、三機のガンプラが激しくぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 グフタイプが放つ激しい銃撃音が、どこかのマンションの室内にこだました。

 弾幕が携帯端末の狭い画面いっぱいに埋め尽くし、ジェガンタイプへと殺到する。

 

「あー、ロウジ! 来てる、後ろドム来てる!」

 

 窓際の勉強机に立てかけた携帯端末を覗き込み、”その子”はジェガンタイプへ必死で声援を送る。

 前から放たれるグフタイプの弾幕と後ろからドムタイプ、挟まれたジェガンタイプは絶体絶命である。

 グランドキャニオンを舞台に、三機のガンプラが激しくぶつかり合う。

 現実世界で”その子”が眺める映像は、オンラインゲーム、GBNのリアルタイム動画だった。

 

「ああ……もう、あっぶない!

 2対1でやりあうとか、ロウジ達が不利に決まってんじゃん!」

 

 大切な友人が乗ったジェガンタイプの奮戦に、”その子”の目はくぎ付けだった。

 GBN……ガンプラバトルネクサスオンライン、

 自作のガンプラを使って楽しむフルダイブ型のオンラインゲームだ。

 

「ロウジのバカ。どうしてボク抜きでこんな熱いバトルしちゃってるの!? 

 ……はい、宿題忘れたボクが悪いんですけどねそりゃ!」

 

 友人である少年のバトルの様子を、”その子”は動画で外から見守るしかなかった。

 完全に作業の手止めた”その子”は手元には、まだほぼ手付かずの英文和訳の課題が残っている。

 

「ちょっと、そんな危ない地形で迎え撃つ気!?」

「何その我に秘策あり、って顔!」

 

 動画内のカメラがジェガンタイプのコクピットに切り替わり、メインシートに座る美女と、サブシートの少年が写る。

 ガンプラを操る美女と少年はダイバーと呼ばれるGBNのプレイヤーなのである。

 モニターとレーダーを眺めながら、美女と少年が作戦会議を行う。その表情は真剣だった。

 

 そして動画のカメラは切り替わり、武器を構えたジェガン・タイプ目掛け、グフ・タイプ、ドム・タイプが襲い掛かる。

 動画内でガンプラが激しく傷つき、ダイバー達がガンプラを駆りながら、熱い言葉をぶつけあう。

 

「ああ、嘘、ロウジ……!?」

 

 息を吸う事すら忘れ、”その子”は画面に見入る。

 画面に映るガンプラバトルが、今まさに決着の時を迎えようとしていた。

 

『Battle ended WINNER! ……』

 

 勝利者の名前を聞くこともなく、叩きつけるように”その子”は端末の画面を消す。

 ”その子”の目の前で、ガンプラバトルは劇的な決着を見せた。

 乱暴な筆跡でノートに和訳を書きつけ、”その子”は必死に解答欄の余白を埋め、

 ”ママ”に課されたリアルミッションへと立ち向かう。

 

「最終閲覧数7、って何さ……」

 

 課題を進めながらも、”その子”は思わずぼやいた。

 あのガンプラバトルをたった7人しか見ていない。それが信じられなかった。

 

「確かに有名フォースの激突でも、レアイベントでもないし。

 ロウジなんか完全無名のニュービーさんだけど!」

 

 愛機を駆って激突したダイバー達はいい腕前だが、けしてランキングトップ層ではない。

 既存キャラアバターを好んで使用する、たぶん中堅どころでしかないだろう。

 

「待ってなよ、ロウジ。

 次はボク……セセリアちゃんの番なんだからね!」

 

 それでも、ぶつかりあうガンプラの姿は雄々しく、

 芝居がかった台詞でロールプレイするダイバー達は、本当に楽しげだった。

 大好きな世界を、自慢のガンプラと共に、同行の士達を駆け抜ける。

 それに勝る喜びはないと、ダイバー達は語るのだ。

 そしてそれは、”その子”も例外ではなかった。

 

「ママ、課題終わったよ!

 隠したボクのダイバーギア、どこ!?」

 

 これから語るのは、そんな中堅どころの目立たないダイバー達の日常の物語である。

 先ほどの勝者の名を教える前に、少しばかり前の時間から物語を始めよう。

 

●読み飛ばしても構わない巻末プチ解説

 

・ダイバーギア

 GBNのログインに使う、台座型ガンプラの読み取りキットのこと。

 操縦桿型のコントローラー、キーボード、スピーカー内蔵のゴーグル型のバイザーで没入感は抜群。

 ガンプラ販売するお店やゲームセンターに筐体が置いてあることもあるが、

 登場人物たちのほとんどはセレブなことに、家庭用のダイバーギアを使っている。

 小型ながら大型筐体に劣らぬ性能を持つが、宿題を忘れると親に隠されてしまうのが難点。

 

 

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