リアルではモブなわたしは、GBNでずっと暮らしたい。   作:ゼラチナマスター

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ミッション1-9 ニュービーさんに、最高のガンプラバトルを!

 

 かくて、物語は冒頭の交戦映像へとつながる。

 

「エニルさん! 後ろのドム・トローペンが接近中です!」

「前門のグフ、後方のドムか……」

 

 モニター画面とレーダーを眺め、エニルは冷静に状況を分析する。

 敵数は2、無傷のグフとバズーカを失い、小破したドム。

 こちらも小破だが、牽制に多用したライフルとハンドグレネードの弾数はだいぶ心もとない。

 それでもエニルは不敵に笑みを浮かべてみせた。

 

「ようやく、出て来てくれたな、クランプ」

「さ、作戦通りなんですね、エニルさん!?」

「安心しろ。最悪とは程遠い!」

 

 ドムとの交戦中の奇襲が、もっともエニルが避けたい展開だった。

 崖を滑り降りたグフ・タイプが、離脱エリアへの道へ飛び降り、堂々と仁王立ちする。

 敵のベース機体を見れば、敵の性能や手札はおおよそにでも把握できる。

 クランプの愛機グフ・タイプは同じ青でもエニルのジェガンと違い、淡い水色に近いカラー、

 ライフルを弾く丁寧な塗りのシールドには火砲が接続され、一目で機体名は明らかだ。

 

「MS-07B3 グフ・カスタム、グフの中距離化力を強化した陸の王者……!」

 

 畏怖と共にその名を呼び、エニルはジェガン・Cのスラスターを全開に吹かす。

 モニターに映るグフ・カスタムが、その代名詞たるガトリングシールドを構えていた。

 猛烈な銃弾の雨を、ジェガン・Cは全力の回避機動で辛うじて回避する。

 凄まじい弾幕は、CPU機の豆鉄砲とは比べ物にならない。

 まずは距離を取る。グフ・カスタムの間合いを外さねば、まともに戦闘するどころではない。

 

「え、エニルさん、後ろーっ!」

「来たか、ドム!」

 

 そして下がったところで、安全圏でもない。

 後方モニターに映るドム・トローペンが、みるみるうちに大きくなる。

 ホバー移動の猛烈な速度そのまま、ドムが大上段に構えたヒートソードを縦一文字に振り下ろす。

 操縦桿を切り返し、大きなステップで鋭い切込みを辛うじてかわす。

 同時にライフルをグフ・カスタムへと打ち込み、ガドリングシールドの追撃を牽制する。

 振り返りざまのドムの鼻先にライフルを撃ちこみ、出鼻をくじく。

 前後からの挟撃を何とか回避し、エニルは細い脇道へとジェガン・Cを滑り込ませる。

 火砲の射線を切り、ようやく一息。そう思った瞬間、エニルの後ろでロウジが盛大に深呼吸した。

 

「じ、地獄のような連携でしたね……!」

「自分のガンプラの強みを押し付ける。強者の戦いぶりだな」

「か、勝つつもりなんですよね……?」

「そのためにキミに、あのオブジェクトを探してもらったんだ」

 

 エニルの操縦で、ジェガン・Cは細い脇道を出来る限りの速度で駆け抜ける。

 やがてモニターに、ほどほどに広けた盆地が映し出される。

 バルチャーが野営でもした跡と言う設定か、木箱やコンテナ、朽ちかけた戦闘車両の残骸など、背の低いオブジェクトが点在する。

 火砲を防げそうな背の高い遮蔽はなく、外に出る通路は入り口の他にない。

 

「……よし。予定通り、ここが最終決戦場だ」

 

 こちらは全速力で抜けたが、相手は罠や策を警戒して速度を落とすだろう。

 稼いだ時間で、エニルは勝利を手繰り寄せるための準備を進める。

 バルチャー野営地の真ん中で、エニルはジェガン・Cが背負ったコンテナを下ろす。

 

「まずはドム・トローペンを落とす」

「いけますか? あのドム、めちゃめちゃ装甲厚そうですよ」

「ハンドグレネードをまともに踏ませてやって、五体満足だからな」

 

 ロウジへ説明を行いながら、エニルは自分の手札を確認する。

 火器はビームライフルの残弾が3、ハンドグレネードが1。あとはサーベルと、隠し玉のミッション報酬のみ。

 

「……まともにやったら、火力が足りないな」

「だから、アレを使うんですね?」

「そう。ドムの強みはその速度、だが弱みもその速度故の直線的な動きだ」

 

 その時、ガンプラの音響センサーが特徴的なホバー音と重厚な足音を拾い上げた。

 

「エニルさん……来ます!」

「ドムを排除したならば……頼むぞ、ロウジ」

「……やってみます!!」

 

 いよいよだ。盆地の入口に狙いを定め、エニルはエリア全域に声を張り上げる。

 

「物資はコンテナの中だ。欲しければ奪っていくが良い。クランプ!」

「貴様をやってからそうさせてもらう。エニル・エル!」

 

 会話と同時、盆地入口に機影が現れた。

 ジェガンが撃ち込んだビームが、先頭の敵ガンプラが構えたシールドに吸い込まれて霧散する。

 シールドを構えたグフ・カスタムの影からドム・トローペンが飛び出してきた。

 

「そう来ると……思っていた!」

 

 サブウェポントリガーを引き絞り、山なりにハンドグレネードを投擲する。

 盾を構えた姿勢ではガドリングの迎撃が間に合うまい。エニルの読み通りグフ・カスタムはシールドで構え、足を止める。

 だがドム・トローペンは爆煙の中を構わず猛進する。

 グフとドムの間が空き、その刹那、グフからはジェガンがドムの背に隠れる。

 

「この一瞬が、欲しかったんだ!」

 

 ドム・トローペンの思わぬ突進に慌てた風に姿勢を崩し、ジェガンはスラスターで後方へ低空を跳ぶ。

 瞬間、エニル操るコクピットが大きく揺れ、ダメージアラートでモニターが真っ赤に染まる。

 右手首ごと千切れ飛んだライフルが、大地に虚しく落下する。

 

「……ち、やるっ!!」

 

 エニルは舌打ち混じりに敵を称賛した。 

 低空でホバリング。ダメージでぐらつくガンプラの姿勢を何とか立て直す。

 敵機の格闘の踏み込みの間合いは十分に計算しきったはずだった。だがドムは縦斬りよりもさらに半歩踏み込み、全身でヒートソードを大きく突きこんできたのだ。

 勝利を確信したのか、火器と右手を喪失したジェガン・C目掛け、ドムがまっすぐ全速で迫る。

 

「やられるっ!?」

 

 ロウジの悲鳴と同時、ドムが真下からの激しい爆発に消える。その真横には朽ちかけた戦闘車両の残骸。

 それは、エリアに仕掛けられたステージギミック。

 

「アフターウォー名物、対MS地雷の味はどうだ!」

 

 爆炎の中よろめくドム・トローペンのシルエットへ、ジェガン・Cが逆手に握ったビームの刃を横薙ぎに叩き付ける。

 ビームの刃と重装甲の拮抗は一瞬。敵機の胴体は上下に分断される。

 上半身だけで突きこまれたヒートソードを右腕の肘から先を犠牲に払いとばし、頭部モノアイ目掛けてビームサーベルを突き返す。

 引き抜くサーベルに確かな手応え。さしものドム・トローペンも完全に動きを止めた。

 

「コズンをよくも!」

「ロウジ、今だ!」

「はいっ!」

 

 ロウジが使った隠し玉で、モニターが真っ黒い煙で埋め尽くされる。

 叫ぶクランプの通信画像が乱れ、消えた。

 エニルは操縦桿を離し、冷静にダイバーギアに特殊コマンドを入力する。

 さぁ、いよいよクライマックスだ。

 

●読み飛ばしても構わない巻末プチ解説

 

・ステージギミック 対MS地雷

 グランドキャニオン(アフターウォー)の各地に仕掛けられたステージギミック。

 バルチャーが獲物を狙うために仕掛けたという設定のため、うっかり踏むとそのままCPU戦が始まる。

 他のエリアにも、サイド6のサンタバルーンや、08小隊ステージの急なスコールなど細かい仕掛けがある事が多い。

 クランプとコズンはグランドキャニオン(UC)が主戦場だったために逆に罠にかかりやすくなってしまっていた。

 爆発はやたら派手だが、ギミックで一発退場だとクソゲーすぎるので、機体ダメージは低めに抑えられている。

 ただし、非常にびっくりする上に、ガンプラのよろけを誘発してしまうため、大きな隙をさらす。

 もちろん、対MS地雷が本当にアフターウォー名物かは定かではない。

 

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