リアルではモブなわたしは、GBNでずっと暮らしたい。   作:ゼラチナマスター

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いよいよ3話開始です
そろそろタイトルが苦しくなってきました

※バトルの制限時間変更に伴い、実況のタイムスタンプを多少変更しました。


第3話:ウチはガンプラが譲れない
オープニングムービー1:破壊者は挑戦者に立ち塞がる。


 流行を追うのは悪じゃない。

 ただ、一歩立ち止まってよく考えてみてほしい。

 

『一発、二発、三発! 爆発の花が容赦なく咲き誇るぅ!

 さあ、挑戦者のジャイアントバズーカがデストロイの背面で炸裂だ!」

 

 甲高い声の実況音声が、コロニーの宇宙港を模した広いロビーに響き渡った。

 激しい爆発が幾つも弾け、爆炎と煙が大型モニターの画面上をいっぱいに埋め尽くす。

 ここはフルダイブ型オンラインゲーム、GBN(ガンプラバトルネクサスオンライン)、そのロビーだ。

 ロビーへ設置された観戦用大型モニターの一つに、今日は多くのダイバー達が観客として集まっていた。

 

『さあ、さしもの大型機もこれは応えたか……!?』

「そったれ! っとぉしいわっ!」

 

 愛らしい声の悪態と共に、爆炎を裂いて6連装のミサイルが次々と真上に撃ちあがる。

 ぬっと大型機背面の大型フライトユニットが爆炎から突き出され、

 円周上に配置された20門もの多数のビーム砲が、背面側へ無数のビームを一斉射した。

 まるでビームの嵐だ。バズを構えて大型機へ突貫していたドムも、慌てて真横へ回避機動に移る。

 だがあまりのビームの密度を避けきれず、ドムの肩口へ幅広のビームが突き刺さる。

 重装甲のドムがたまらずよろけたところへ、時間差でホーミングしたミサイルが次々と着弾していった。

 

「コズン、返事をしろ、コズンっ!」

『大型機、まるで無傷!

 挑戦者から悲痛な叫びが上がるっ!

 背面から果敢に攻めたドム・トローペンのコズン少尉だったが、

 ターゲットの背面に装備された火器の時間差攻撃の猛威をまともに食らってしまったぁ!』

 

 悲痛な叫びに、無慈悲な実況アナウンスがかぶさる。

 ミサイルが着弾した爆発が収まり、バズーカごと右腕と右足を吹き飛ばされたドムが大写しとなる。

 いくら大型ミサイルとは言え、凄まじい威力だ。GBNロビーのダイバー達が大きくどよめく。

 

「はっはー! デストロイの火力密度舐めたら血ぃ見るで!」

 

 モニターに映るバトルエリアは、近代的な街並みが立ち並ぶアフリカ・オルドリン自治区(FREEDOM)だった。

 その近代的な街並みのど真ん中、HGデストロイガンダムが仁王立ちする。

 激しい攻撃を受けたはずだと言うのに、丁寧に塗装されたデストロイはまるで無傷にしか見えない。

 少女の愛らしい声で関西弁の喋りが響き、デストロイが肩口から2本伸びた連装ビーム砲を構える。

 アウフプラール・ドライツェーンの計4門のビームが発射され、真正面の建物を吹き飛ばす。

 瓦礫が巻き上がり、噴煙立ち込める中、追撃とばかりに胸部三連スーパースキュラが放射される。

 刹那、鋭い回避機動で2機のジオン系ガンプラ、グフ・カスタムと旧ザクが噴煙から飛び出し、左右に散開した。

 

「ガデム、全火力を集中投射してくれ! なんとか懐へもぐりこんでみる!」

「おうともクランプ! コズンの仇討ちといこうじゃないか!」

 

 渋い声での相互通信会話がロビーに響き、挑戦者二人のバストアップ画像がモニター端に映る。

 ジオンの野戦軍服に身を包んだ渋い中年男性アバターが二人、威勢よく叫んだ。

 旧ザクが脚部のミサイルランチャーと両手のバズーカをデストロイ目掛け撃ちまくる。

 続いてグフ・カスタムが左手のガトリングシールドと右手のスパイクシールドを構え、スラスターで突進した。

 だが、デストロイが近づかせまいと両手あわせて十本の指ビームと頭部イーゲルシュテルンで弾幕を張り、誘導ミサイルを乱射する。

 突進するグフ・カスタムは急速反転から回避機動に移り、ガトリングシールドで迫るミサイルを迎撃した。

 

『さぁ、バトル始まって450秒が経過! 折り返し!

 1対3の変則エキシビジョンマッチ、ついに挑戦者の一機が大破し、1対2に!

 いよいよガンプラバトルも佳境に入ってきたようです!』

「こだわりある武装も結構やけど、デストロイの陽電子リフレクターは実体弾にも有効なんやで。

 ビグザムのIフィールドと一緒の攻略法通じる思たら大間違いや!」

 

 実況アナウンスに続き、ターゲットであるデストロイから愛らしい少女の声で挑発が響く。

 グフ・カスタムと旧ザクは遮蔽を転々としながら、デストロイへガトリングシールドとバズーカの猛射を加えるが、

 デストロイは攻撃を真正面から受け止め、指や顔のビームとミサイルで遮蔽物を次々に吹き飛ばしていく。

 GBNロビーでは多くのダイバー達が、モニターで映し出される迫力あるガンプラバトルの映像に見入っていた。

 ターゲットのデストロイVS挑戦者3機、これはGBNの運営が開催する変則のエキシビジョンマッチなのである。

 

『さあ、近づきたい挑戦者、近づかせたくないターゲットの攻防!

 間もなく600秒経過、制限時間は折り返し、残り300秒だ!』

 

 遮蔽はだんだんと少なくなり、デストロイと2機の距離は一向に縮まらない。

 旧ザクが弾切れのバズーカと足ミサイルをパージし、業を煮やしたように叫ぶ。

 

「クランプ! 30秒時間を稼いでくれ!

 ワシは例のアレを使う!」

「やめろガデム!

 その武装は……危険すぎる!」

 

 後方、遮蔽の影へと旧ザクが飛び込み、瓦礫に埋もれた背面コンテナへ手を伸ばす。

 旧ザクがコンテナから引っ張り出したものに、ロビーの観客が一斉にどよめいた。

 それは、一本のMSサイズのふとん叩きだったのである。

 

『おおーっと、まさかアレは、最近流行のスペシャルウェポン!』

「Come on ! いち、にち、ごぉーっ!」

 

 野太い雄たけびと共に、旧ザクがカラフルな光に包まれる。

 そして同時に、旧ザクを操るダイバー、髭面のおっさんの画像がカラフルな光に包まれる。

 この先の展開を察したロビーの観客達、笑うわ、叫ぶわ、大騒ぎである。

 

『ジオン軍人ガデム大尉は魔法少女である。とでも言うのかーっ!?』

「ちょぉっと、待たんかぁぁぁぁい!?」

 

 だが、それを許すデストロイではなかった。

 悲鳴まがいのツッコミと共に、デストロイが重々しいスラスターの轟音と共に、巨体がゆっくりと宙へと浮かびあがる。

 グフカスタムのガトリングシールドの弾幕を強引に突破し、高空からデストロイのデュアルアイが輝く。

 魔法のふとん叩きを握りしめた旧ザクを睨み、デストロイが叫ぶ。

 

「アカンやろ、それはっ!」

「魔法の少尉、ブラスターガデ……むぅっ!?」

 

 轟音と共に、デストロイの右腕が猛烈な勢いでスラスターを噴射し、鉄拳となって飛ぶ。

 鉄拳が、かわいく決めポーズをとる旧ザクの頭部に突き刺さり、胴体ごと粉砕する。

 名乗りと同時に髭面おっさんの画像は掻き消え、かわいくウィンクする髭面ジオン軍人(スカートつき)の悪夢は防がれた。

 

『あーっとガデム大尉無惨! 名乗りを完了する前に鉄拳粉砕!

 けどちょっと絵面がヤバすぎたとトロンちゃんも思うぞっ!」

「……言わんこっちゃない、ガデム!」

 

 悲痛な叫びと共に、グフ・カスタムが単機、デストロイへと立ち向かう。

 だが、一機でもはや、何が出来ると言う訳でもない。

 試合を観戦するダイバー達も、モニターからしらけた空気で目を離し、口々に雑談を開始する。

 デストロイの正面火力にグフカスタムが打ち砕かれ、ほどなくしてバトルは終わった。

 GBNの現実は非情だ。 ただ流行を真似ただけで勝てるなら世話はないのである。

 

●読み飛ばしても構わない巻末プチ解説

 

・公式エキシビションマッチ

 

 運営の公式G-tubeチャンネルを使用して放送されるバトルのこと。

 GBN内で視聴する以外でもインターネット環境があれば視聴出来る。

 勝敗は公式の戦績には記録されず、階級やダイバーランクの昇進降格などは行われない。

 ゆえに、目立ちたがりによるはっちゃけたガンプラ選びや運用が多数見られる。

 だが、放送されたものはデータアーカイブに残り、話題の回であれば多くの人間に見られる事となるのだ。

 うん、ごめんよガデム。でもミニスカおじさんは筆者もアカンと思うな……

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