リアルではモブなわたしは、GBNでずっと暮らしたい。   作:ゼラチナマスター

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前回はサーバー不具合だったみたいで申し訳ありません。

次回は6/30(日)です


ミッション3-4 不意のアクシデントを乗り切ろう!

 

 認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちと言うやつを。

 脳裏をそんな言葉が無駄にいい声で駆け巡る。

 言いたい、けど今それは絶対に言っちゃダメなやーつー!

 

『さて、ダイバーさん。お揃いですね。

 イベントの司会進行役を務めるトロンです!』

 

 パンクロック姿の美少女アバター、トロンが甲高い声ではきはきと挨拶する。

 トロンちゃんはかわいいなあ。運営応接室のモニターに映るトロンの笑顔を見ながら、セセリアはそんなことを思う。

 時刻はバトルから約15分後、運営さんとの打ち合わせの開始時刻だ。

 運営応接室にはロウジ、ハサウェイが定刻通りに入室し、行儀よくソファに座っている。

 ロウジ、えらい。ハサウェイ、マジメ。セセリアは壁際から二人を心の中で称賛した。

 

『早速打ち合わせといきたいところなのですが……

 大変申し訳ないことに、運営の不手際で問題が発生してしまいました』

「……あの、トロンちゃん。ウチ股関節が固いねん。正座はけっこーしんどいねんけど」

「なんでボクまで連帯責任ー!?」

 

 何これ、これって魔女裁判? セセリアは心の中で叫んだ。

 その不手際を起こした運営であるところのエセリアは壁際で正座中だ。

 そして、セセリアはついでとばかりにエセリアと並んで正座させられているのである。

 慣れない正座の感覚をアバターが錯覚し、リアル身体にまでしびれが襲ってくる。地味につらい。

 

「……うるささ、2倍」

「ええと、セセリア。隣のそっくりさん、誰だ?」

「プロビルダーのエセリアパイセン。ボクらの対戦相手だよ!」

 

 ロウジとハサウェイ、二人がそろって冷たい眼差しで睨んでくる。

 正直、めちゃめちゃ居心地が悪い。

 ロウジなんか人見知り気味にハサウェイの袖を掴みながら睨んできてる。

 本当はあの横にセセリアがいないといけなかった。そこはほんと、ごめん。

 

「エセリア・ドートや。あんじょうよろしゅうに」

『はい。エセリアさんが皆さんの対戦相手です。

 そして、運営の不手際の主犯です。ごめんなさい』

 

 正座するエセリア、モニターのトロン、運営コンビから改めての挨拶が飛んでくる。

 先ほど模擬戦のバトルフィールドを強制的に止めたのも、モニターに映るこのトロンだ。

 バトル相手がエセリア、実況がトロンさん。よしちゃんと覚えた。

 正座の辛さに耐えながら、セセリアは情報をきちんと頭の中でメモする。

 

「……何をやらかしたんだ、セセリア?」

「……怒らないから、正直に言って?」

「えっとね? エセリアパイセンのお誘いで、

 デストロイガンダムと模擬戦させていただきました。結果はボロ負けー」

「……は!? セセリア、それは……ずるい」

 

 あ、ロウジの頬が膨れた。人見知りモード発動中だから判りにくいけど、だいぶ拗ねてる。

 

『はい。そうです、ずるいんですよ。

 今までの挑戦者の皆さんは、もちろん事前にデストロイとの模擬戦をしてないわけですね?

 このままエキシビジョンマッチを続行するのは、今までの挑戦者に公平性を欠く訳です』

 

 そう言われれば確かにそうだ。トロンに冷静な口調で指摘され、セセリアは言葉に詰まる。

 とはいえ、自分は誘いに乗っただけだ。セセリアは隣の正座でぷるぷるするエセリアを肘でせっつく。

 

「ちょっとエセリアパイセン! 自信満々で模擬戦誘ったじゃん。

 何か考えあっての事じゃなかったの?」

「ふふふ、良く聞いてくれたな、セセリアちゃん。

 トロンちゃん、実はな……ウチは、このイベントの方針転換を考えとってん!」

「おー、すごい。さっすがー!」

 

 超絶うさんくさい! いたずらっぽい笑顔のエセリアに、セセリアは心の中で絶叫する。

 まるで、とっておきの儲け話があるんですよ。とかいうサギ師みたい!

 でも打開策はたぶん、これしかない。セセリアは無心で拍手し、ほめたたえる。

 

「実はな……あのHGデストロイ、バトル用にさらにカスタムしたガチバージョンがあるねん!」

「ふむふむ、なるほど。新型ガンプラなら確かにボクも初見、同条件!」

 

 エセリアがすっくと立ちあがり、格好つけて指を立て、声高に宣言した。

 あれ、意外に真っ当に聞こえる?

 セセリアもついでとばかりに一緒に立ち上がり、壁によりかかって正座のしびれが抜けるのを待つ。

 

「SEED FEEDOMの後半で大破したデストロイをアコードが回収し、強化改修したんや。

 破損した部分を新たなパーツで補い、実弾兵装を追加したバージョン。名付けて……ウルトラデストロイ!」

「おお……すっごい! メイジン級のプロのガンプラビルダーの本気とバトル出来るなんて、超ラッキー!」

「……あの堅牢なデストロイの、さらに本気バージョン!?」

 

 得意げに胸を張り、エセリアが高らかに宣言する。

 ごますりの太鼓持ちの気分で、セセリアは調子よく追随した。

 いや、それでも正直ちょっと見てみたいぞ。プロのガチバトル用のガンプラとか!

 人見知りモードのロウジさえ、声は小さいながら、きらっきらに目を輝かせたのが判る。

 だが、残るハサウェイとトロンはというと。

 

「ええと、トロンさん。それってアリなんですか?」

『……まあ、当人同士の納得があればいいですかね。

 でも、今度はそちらに不公平だよね?』

 

 すごくビミョーな表情でハサウェイとトロンの二人が、モニター越しに視線を交わしていた。

 はらはらしながら様子をうかがうセセリアへ、ハサウェイが無表情で顔を向けた。

 

「……セセリアだけを出場停止にすれば、エキシビジョンマッチのガンプラは元のデストロイのままでいいのでは?」

「ハサウェイ、それはちょっと無慈悲ぃー!?」

 

 無表情のハサウェイに冷たい声で指さされ、セセリアは悲鳴を上げる。

 ハサウェイがにっこり笑顔になる。セセリアの背中をぞっと悪寒が駆け抜けた。

 

「一度しか挑戦権のないような高難度イベント、自分達だけ特別にさらに難易度が上がりました。

 理不尽だ! ってオレが怒るの、そんなにおかしいかな?」

「すいませんっした……」

 

 セセリアは即座に土下座した。

 ……あ、うん。バチクソにブチ切れた時のロウジみたいなアレだ、これ。

 ハサウェイの静かな怒りに、セセリアはただただ、額を床にこすりつけるほかなかった。

 

『プロビルダーがガチガンプラで蹂躙とか、ドン引き案件、炎上待ったなしですよ』

「まぁ待ちぃや、トロンちゃん。ウチ真面目に考えたねん。

 今回のイベント、ターゲット層が間違ってる言うたやろ?

 もっとバトル好きのダイバーに訴求すべきやねん」

 

 頑張れエセリアパイセン、何とかいいところに着地させるんだ。

 床しか見えない視界のまま、セセリアは心の中でエセリアへとエールを送る。

 

『そのためにロウジくん、ハサウェイくん、セセリアさんの貴重なバトル体験を犠牲にしていいとでも?

 ロウジくんなんて、まだ開始して3か月も経ってないんですよ?』 

「んー。トロンちゃん。ちょい待ってな。

 セセリアちゃんにちょい聞きたいねんけど」

「はい! なんでございましょー?」

 

 いきなり流れ弾が飛んできた。

 セセリアはカエルみたいに跳ね起き、うわずった声で返答する。

 

「ガンプラの作り方、我流って感じやなかった。バトルの動きも正直、悪ぅない。

 確か、ジブンは師匠おるんよな?」

「いえっす。プロビルダーの人がシショーだよ!」

 

 お褒めの言葉を預かり、思わずいい声で返事をしてしまう。

 当時からプロビルダーだったロウジのパパに、幼いセセリアはきっちりガンプラ作りを叩きこんでもらった。

 まあ、基礎を教えてもらっただけだ。弟子といってもほとんど自称みたいなもんだけど。

 

「んで、リーダーのロウジくん、それにハサウェイくんもキミと同じぐらいバトルいける方なんやろ?」

「もちろん!」

 

 セセリアは思いっきり胸を張り、エセリアの問いかけに返答する。

 別にこれは、褒められて舞い上がっている訳ではない。

 ソファに座る二人の方に歩いていき、セセリアはロウジとがっしり肩を組む。

 

「……ロウジも、セセリアも。二人ともボクより強いよ」

「……褒めたって、ずるしたのは許さないもん」

 

 肩を組んだ手を、拗ねたロウジに思いっきりつねってくる。

 それでもセセリアは笑顔できっぱりと言い切った。

 二人は自分より強い。セセリアは自信をもって断言できる。

 

「……でも、プロビルダーのガチのガンプラ、バトルやりたいっしょ?」

「……うん。すっごく」

 

 ロウジの耳元で呟くと、ぼそぼそとした小声で、しっかりと答えが返ってきた。

 

「ってことや、トロンちゃん。

 きちんと、この子らが十分満足できるバトルになると思うで」

『……当人達が承諾してくれるなら、ガンプラの交換はいいでしょう』

 

 ロウジもOK、トロンちゃんも承諾はしてくれそうだ。

 後の問題は……かなりお怒りのハサウェイだ。

 生真面目に唇を引き結んだハサウェイに、真剣な顔で尋ねる。

 

「……ごめん、ハサウェイ。ダメかな?

 ロウジも。ボクも、ガチでバトル仕様にカスタムしたプロのガンプラとやりあってみたいんだ」

 

 ロウジがうつむきがちに、ハサウェイの方を見る。

 沈黙が続き、ハサウェイが深く長く息を吐き出した。

 

「……セセリアのポカはロウジに免じて許します。

 けど、運営の皆さんの都合でオレ達だけ難易度が上がる事には、やはり納得いきません」

『……1VS3でシステムで少数側に自動的にかかる強さ補正を運営権限でカットします。

 いわゆるCPU戦とかのボス補正とかももちろん無し。ハサウェイくん、それでどうかしら?』

「……そういう譲歩をいただけるなら、OKです。運営さんだって大変でしょうし」

 

 厳しい表情のまま、ハサウェイは考え込み、ゆっくりとうなずいた。

 うわぁ……ハサウェイ、マジ立派。怒りを飲み下したハサウェイを、セセリアは心の中で称賛する。

 

『エセリアちゃん。その条件であなたも良いわね?』

「もちろん、ガチのガチはウチも望むところや。

 サンキューな、トロンちゃん。

 ありがとうな、ハサウェイくん。そしてロウジくん、セセリアちゃん

 ……ええバトルにしよな」

 

 エセリアが笑顔で差し出す手を見て、セセリアは不安げにロウジを見やる。

 大丈夫かな、人見知りモード。握手するのは、リーダーたるロウジの役割だ。

 だが、心配は杞憂だった。

 ロウジはゆっくりソファから立ち上がり、エセリアが差し出す手をしっかり握り返す。

 

「秘蔵してきたガチガンプラ、その初お目見えに、僕達を選んでくれたんです。

 ご厚意を裏切るようなバトルはしません。絶対に」

 

 良かった。何とか、良い方向に決着ついたみたいだね……

 セセリアはリアルで深々と息を吐き出し、運営応接室のソファに体をもたせかけた。

 後は細かいバトルの条件とかの確認だ。粛々と打ち合わせが進んでいく。

 

「はい。質問です。オレ達のフォースの正式名称と、実際にバトルで使用するガンプラの登録、

 いつまでに運営さんに報告すれば良いですか?」

『そうね。動画のPV作成とかも収録後に行うし、実際は当日でも変更は効くけれど、

 報告は前日23時59分までに報告お願いします。万一当日でもダメでした、となったらまずいものね』

「ガンプラの細部ブラッシュアップならともかく、武装や設定の監修は前日までが基本やで。

 もちろん、実戦テストもそれまでに済ませときや。ぶっつけ本番で事故ったら目も当てられへんで」

 

 ハサウェイ、優等生。ちょーえらい!

 はきはきと手をあげて的確な質問を投げかけるハサウェイに、セセリアはこっそり安堵と感嘆の吐息を吐き出す。

 ロウジも真面目だけど、几帳面さではハサウェイが一番かな。

 

「あ、そうだ。使用するガンプラや武装って、自作や自力のミッション習得物に限るとか、ないよね?

 ボクのルブリス・ジェミニ、あのままじゃ絶対勝てないから、武装をレンタルしようと思ってるんだけど」

『ビルダーとファイターが同一である必要はありません。

 ただレンタルしただけでは使いこなせませんし、レンタル出来る人間関係、リアル資産も実力の一つです』

 

 念のためにセセリアも挙手する。”常識”のすり合わせはとても大事だ。

 学校の課外学習で特殊ルールのすり合わせなしで大富豪をやった時は大惨事だったもん。

 

「言うても、プロビルダー相手にレンタル頼むのはやめとき、ごっつ金かかるで。

 プロとは”お金を貰い、仕事に金銭に見合う責任を負う者”や。

 プロとアマの第一の違いはそこや。あくまで、ウチの考えやけどな」

『そうですね。このエセリアさんはプロなんです!

 ですから、きちんと報酬に見合ういいバトルを体験させてくれると期待しててください』

「……トロンちゃん。ほんま堪忍。当日はマジのガチでエンターテイナーやるから」

 

 決め顔でプロなんたるかを語った直後、エセリアがトロンに言葉のナイフでぐっさり刺される。

 うわー、草生える。セセリアは笑いをこらえる。エセリアが睨んできたけど知るもんか。

 

「僕の愛機、バグで使用自粛中です。だからレンタル予定なんですけど……」

「エニルさんがプロかアマかは聞いた事なかったけど、そこは大丈夫じゃない?

 今回、エニルさんのフォース“GM-ARMS”の代理としてボクらがこのミッションに挑む訳だしさ」

 

 ロウジもだいぶ人見知りモードは収まってきたみたいだ。よかったよかった。

 

『あ、セセリアちゃん、ストップ。

 本当に細かい事なのだけど。当選後の出場権の移譲は本来認められてません。

 出場権を売り飛ばす人とかいたら困るからね。

 だから、対外的には“ロウジくん達が応募し、当選しました”で通します。よろしくね?』

「わっかりましたー!」

 

 良く判らないけど、大事な事なのだろう。セセリアは元気な声で返事する。

 ほとんど同時に、学校で鳴るような時報のチャイムが応接室に響き渡る。

 時計を見ると、打ち合わせ終了時刻になっていた。

 

『はい。それじゃロウジくん、セセリアちゃん、ハサウェイくん、長時間お疲れ様でした!

 今日は解散します。前日と二日前にはメールを送ります。

 フォース名考えるの、頑張ってね!」

「はーい!」

 

 優しい声のトロンに促され、セセリアはロウジ、ハサウェイと共にソファを立つ。

 エセリアが、セセリアそっくりの顔で笑い、エールを送ってくる。

 

「プロでもアマでも、バトルを楽しむ気持ちはいっしょや。

 テンションブチアガるバトル、皆に見せたろや」

「……が、がんばります!」「まーかせて!」「善処します」

 

 声はまったく揃わないけれど、ボクらの心はきっと一つだ。

 勢いよく挨拶し、おのおのが退出コマンドを押す。

 三人揃って部屋から退出し、GBNロビーでアバターが再構築される。

 

「相手はメイジン級のプロビルダー、秘蔵のガンプラとバトル!

 ……うぅん、すっごいすっごい楽しみ!」

 

 にっこにこ笑顔のロウジが、いきなり叫んだ。

 ちょっとロウジ、近くの人がぎょっとしてるよ!

 セセリアは慌ててロウジの腕を掴み、人気のないベンチの方へと誘導する。

 

「すごいなロウジ。正直オレは、不安の方が勝るよ」

「……だって、メイジン級のプロの本気が見れるんだよ?

 マフティーの……ハサウェイのZも凄かったけど、きっとさらにすごいよ!

 ……そこのアホは一足先にプロの本気を味わったみたいだけどさ」

「……その節は、本当に申し訳ございません」

 

 にっこにこ笑顔でロウジが突然言葉のナイフを振りかざす。

 心臓に超悪い。セセリアは真剣な顔でもう一度二人へしっかりと頭を下げる。

 

「ロウジ、ハサウェイ、ボクがやらかしたせいで妙な事になっちゃって本当にごめん!

 でも、どうしても確かめてみたかったんだ。今のボクとプロ、どれだけ差があるのか……」

 

 頭を下げながら、セセリアは今夜の出来事を噛みしめる。

 やらかしただけの甲斐はあった、と思う。

 今の自分では、とてもかなわない。プロは、はるかに遠い目標だ。

 

「ロウジ。確かに今のボクのガンプラじゃ、あのデストロイには勝てない。

 ……けど、いつか、アレに勝てるガンプラ、ゼッタイに作るから」

 

 下げた頭を起こし、セセリアはロウジに厳かに宣誓する。

 未来もきっと自分はロウジの傍にいる。

 その時、自分がどんな自分になっていたいか。

 ぼんやりとしていた思いが、はっきりした形になるのを感じる。

 

「……セセリア、判ってる?

 それ、すっごく大変だよ!」

「そうだね。シショーが口癖みたいに言ってたよ。

 ”楽しいだけじゃ、絶対に辿り着けない道のり”だって」

 

 拗ねたようにそっぽを向いたロウジがこっちに向き直り、しかりつけるように言ってくる。

 ロウジの言葉を真正面から受け止め、セセリアは呟く。

 

「いつか、ロウジのためにサイコーでサイキョーのガンプラ、用意したげるからさ。

 それで、とびっきりのバトルしよう!」

 

 プロはすごい。プロになれるぐらい経験したガンプラは強い、当然だ。

 プロに勝てるようなガンプラを作るだなんて、はるかに遠い道のりだ。

 でも、今日のボクは、その一歩目を踏み出した。

 ぱあっと花開くように満面の笑顔になり、ロウジが左手の小指を差し出してくる。

 

「うん! その時は、僕が頭を下げて、乗せてって頼むから」

 

 ロウジとセセリア、二人のアバターの小指をからませながら、ささやかな誓いを締結する。

 

「それがキミの”私のたった一つの望み”なんだ……?」

 

 すごく柔らかな微笑みで、ハサウェイが言ってきた。

 その顔には、怒気なんてもうない。

 少し照れ臭そうに頬をかき、いつものようにセセリアは元気良く告げる。

 

「そう、僕の淡い夢だ。けど、今の望みは、フォースの皆で、プロに勝つ事さ!」

 

 今のボク一人じゃ勝てないけど、ボクら三人なら、きっと勝てる。

 ハサウェイが、ロウジが、ゆっくりと笑顔で言葉を返してくれる。

 

「セセリアよりオレが強い。アレ、テキトー言った訳じゃないよな?

「……セセリアは調子乗りのおっちょこちょいだけどさ。

 僕って結構、いつも君を頼りにしてるんだよ?」

 

 ロウジが、すっごくかわいい顔で嬉しい事を言ってくれる。

 にっこにこ笑顔でロウジにヘッドロックを決め、頬を指でぷにぷに突く。

 

「オッケー。でも今日は遅いし、具体的な打ち合わせは、また明日ね!」

 

 さて……早速エニルさんに報告と相談しないと!

 とりあえず、今回やらかしてしまったことの会話ログ、エニルに送付することとする。

 ログインした時のもやもやなんて、もう晴れた。

 時刻は夜。けれどGBNロビーのガラス越しに見える空は晴天だ。

 まるで今のボクみたい。そんなことを考え、セセリアはふわりと笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

●読み飛ばしても構わない巻末プチ解説

 

・プロビルダーとアマチュアビルダー

 

 この作品独自の設定なのです。たぶんきっと粗はあると思われます。

 ガンプラ製作代行に絡んだ金銭のやり取りでの様々なトラブルを問題視し、

 2000年代頃、ガンプラ販売の会社と関連会社による業界団体が発足した。

 それがメイジン・カワグチがトップに務めるガンプラビルダー協会である。

 年に一度、学科試験と実技試験を行い、合格者はガンプラ免許を取得する。

 当作品では、この免許を持つものをプロとして呼ぶものとする。

 もちろん免許の取得がプロとしての最終目標ではない。

 企業に雇われるもしくはフリーランスとして、年に一度行われるガンプラバトルの全国大会に出場する。

 同じく年に一度行われる全国一斉ガンプラビルドコンテストに出品するなどを目指す。

 ”赤い彗星の人”は企業がスポンサーで、エセリアはフリーランスです。

 

 

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